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健康まめ知識

高血圧は日本人にとって大きな健康リスク(2014年5月)

 

イラスト毎年5月17日は高血圧の日とされていることをご存知ですか?
日本高血圧学会と日本高血圧協会は、第30回日本高血圧学会総会において、毎年5月17日を「高血圧の日」と制定することを宣言し、日本記念日協会により認定登録されました。今月はこの高血圧についてとりあげます。

 

 

降圧薬治療を開始すべきか

日本高血圧学会は、2014年の「高血圧治療ガイドライン」を公表しました。これによると、高血圧の診断基準(降圧薬治療開始基準)は、従来の「収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上」という数値を維持しながら「若年・中年高血圧」の血圧を下げる努力目標を、この診断基準と統一しました。同様に後期高齢者(75歳以上)は「収縮期150mmHg以上、拡張期90mmHg以上」とされ、以前の基準より若干緩和されたのですが、この高血圧治療ガイドラインを超えている人の割合が50代になると女性が50%を超え、男性では70%近くと言われています。多くの人が、数値では高血圧と診断されながら、降圧薬治療を開始しようか、それともそれ以外の方法でなんとかならないかと思案しているのではないでしょうか。今回はそうした悩みをお持ちの方のために情報をご紹介します。

 

高血圧になる原因とは

イラスト血圧が高くなる原因は、遺伝的な要素、肥満によるもの、運動不足によるもの、塩分の高い食生活や喫煙、飲酒の習慣などがあげられますが、普段あまり意識していなくともストレスが要因となることもあります。また、糖尿病や腎臓病などの病気が原因で血圧が高いという場合もあります。

 

最初にあげた遺伝的な要素としては、国立国際医療研究センター研究所の加藤規弘・遺伝子診断治療開発研究部長らの研究グループが「東アジア人を対象に、高血圧に関する大規模全ゲノム関連解析を行い、新規のもの5つを含む計13の遺伝子座を同定した」と発表しました。5万人以上の東アジア人の全遺伝情報を解析し、高血圧に関連する13種類の遺伝子を特定したとし、このうちの5種類は白人ではみつかっていないということです。 

 

イラスト日本人は高血圧になりやすいといわれますが、その要因の一つが遺伝子にあったわけです。この高血圧が日本人に最も多かった時期が、1960年代前半で、この時期をピークに下がる傾向にあるとされています。これは、1955年に高血圧の治療を受けている人が人口10万人に対して61人しかいなかったのに、1975年には475人になり、降圧薬を飲む人が増えたということからです。

 

厚生労働省の「健康日本21」における試算によれば、国民の血圧が平均2mmHg下がれば、脳卒中による死亡者は約1万人減り、新たに日常生活活動が低下する人の発生も3,500人減ることが見込まれています。また、循環器疾患全体では2万人の死亡が防げるとしています。高血圧を下げることがどれだけ大切かわかりますね。

 

高血圧は何歳から増え始めるのか

厚生労働省が平成18年に行った国民健康・栄養調査によると30歳以上の40~50%が高血圧で、やはり年齢とともに上がる傾向にありました。高血圧の人が約50%を超えるのは、男性で50代(59.2%)、女性では60代(57.6%)。70歳以上になると、男性では約71.4%が、女性では約73.1%が高血圧だとされています。高血圧がいかに重要な医療問題となっているかわかりませんか。日本人の最大の健康リスクは高血圧にあるという指摘もあるほどです。ところが、そうした問題をなかなか自分のこととして捉えて医療機関に相談しないという人が、相変わらず多いのが現状です。

 

日本高血圧協会と日本高血圧学会は、高血圧啓発キャンペーン「ウデをまくろう、ニッポン!」を実施。今年の高血圧啓発のテーマを“減塩”と“医師相談”として日本高血圧週間5月9日~17日を中心に、高血圧の危険性や減塩・医師への相談の重要性などについて啓蒙活動を行っています。血圧が高めだという認識がある人は、まず食生活を見直し、医師に相談するようにしてください。

 

軽い運動で高血圧に対処

イラストまた同時に降圧効果のある運動もお勧めします。運動療法は薬物療法や食事療法とともに高血圧治療に有効だとされています。また、体を動かすことで、心肺機能を高め、血液もサラサラにしてくれるので、心筋梗塞や動脈硬化予防にも役立ちます。

 

運動の降圧効果は、どれくらいかというと、高血圧患者が定期的に軽く汗ばむ程度の運動を週3回、1回30分以上行うと収縮期血圧20mmHg以上、拡張期血圧10mmHg以上の低下が見られた患者が 半数以上いたという研究事例もあります。ここでいう汗ばむ程度の運動というのは、ウォーキングやサイクリング、水泳など有酸素運動をさしますが、肥満や足の関節に痛みがあるという人の場合、水中ウォーキングや水中エアロビクス運動などプールで行うものが良いでしょう。

 

高齢者を対象にした研究では、ストレッチと筋肉運動のプログラム30分を月2回、3ヶ月間行ったところ、収縮期が10mmHg程度低下したというものがあります。
以上のようなことから、高血圧に対処し健康を維持するためにも、身体に無理をかけない運動を続ける習慣をつけるようにしましょう。

 

2014年05月01日