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健康まめ知識

漢方薬で体の不調を改善しよう!(2019年4月)

 

漢方薬には、体質にかかわる症状や、検査には現れない不調に対処する働きがあります。病気というほどではないものの、不調に悩まされている方は、漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。こちらでは、漢方薬の種類や、使用する際の注意点をお伝えします。

 

◆漢方薬とは

漢方薬とは、中国から伝来して日本で独自の発展を遂げた「漢方医学」で使用される薬のことです。江戸時代中期、オランダから入ってきた医学は「蘭方」と呼ばれていました。それに対して従来の日本医学を「漢方」と呼び始めたのが由来です。

 

漢方薬は、自然界に存在する植物や鉱物、動物を元に作られます。これらの材料の薬効となる部分を複数組み合わせて、薬を作るのです。

 

漢方医学には、患者を心身両面から捉え、人間が持っている自然治癒力を高めることで治療するという考え方があります。そのため、冷え性のような体質にかかわる症状や、更年期障害をはじめとした検査には現れない不調の改善に役立ちます。体調不良に悩まされている方は、ぜひお試しください。

 

◆漢方を使うのにおすすめの症状

漢方を使うと効果を感じられる可能性があるのは、次のような症状です。

 

冷え性に悩む方は多くいらっしゃいますが、西洋医学では病気に分類されないため、明確な治療法がありません。漢方には血流を良くしたり、自律神経の動きを高めて体温調節を促したりする働きがあります。そのため、冷え性改善にも効果を期待できます。

 

病気というほどひどくなくても、頭痛や動悸に悩まされる方は少なくありません。漢方薬を使うとホルモン分泌や自律神経のバランスを整える効果ができ、不快な症状を和らげられる可能性があります。

 

月経に伴う症状の改善に、漢方が役立つケースもあります。PMSや月経不順にお悩みの方は、ぜひ漢方を使用してみましょう。だるさやイライラを感じた際に、漢方薬を飲むとホルモンバランスの改善が期待できます。

 

◆よく使われる漢方

よく使われる漢方は、葛根湯・芍薬甘草湯・加味逍遙散・五苓散といったものです。患者さんの体力に応じて、使われる薬が変わります。

 

葛根湯は、風邪薬としてよく使われる漢方薬です。風邪の引きはじめの頭痛や発熱に働きかけます。体力がある方向けの薬で、熱がすでに上がった状態だとあまり効果は得られません。

 

芍薬甘草湯は、筋肉のけいれんやけいれん予防に使われています。体力にかかわらず使用できる漢方薬です。

 

女性の更年期障害や、自律神経失調症によく使われます。体力があまりない方でも使用可能です。不定愁訴と呼ばれる心身の不調に活用されています。

 

体内の水分が滞ると、めまいや頭痛、下痢といった症状が起こります。五苓散には、水分代謝を促す働きがあり、渇きに悩んでいる方におすすめです。

 

◆漢方薬の注意点

漢方を使用する際には、いくつかの注意点があります。まず、飲み合わせです。相性の悪い薬を一緒に飲んでしまうと、体に悪影響を与えるおそれがあります。たとえば、葛根湯に含まれる麻黄は血圧を乱高下させる作用があり、心疾患の薬や降圧剤を飲んでいる方には向きません。また、漢方にはさまざまな成分が含まれるため、アレルギーを持っている方は成分を確認してから飲む必要があります。

 

加えて、漢方薬のみで病気を治そうとすることは推奨されていません。漢方薬は西洋薬の補完的な存在として扱われています。たとえば、風邪で漢方薬を服用する際も、あまり症状が進行してしまうと、効果を期待できません。漢方薬のみで治療するのではなく、ほかの治療法と合わせて行うようにしましょう。

 

漢方薬は、単独で病気を治療するのには向きませんが、西洋医学では治しにくい体の不調への対処に役立ちます。冷え性・頭痛・PMSといった症状にお悩みの方は、ぜひ医療機関や薬局で専門家に相談してみてください。

2019年03月29日