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健康まめ知識

お酒と楽しくつきあう 急性アルコール中毒やアルコール依存症にならないために(2012年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
お酒と楽しくつきあう

急性アルコール中毒やアルコール依存症にならないために

歓迎会やお花見など、なにかと飲酒の機会の多いシーズンになりました。適度な量の飲酒はストレス解消には効果的ですが、短時間に多量のアルコールを摂取すると、周囲に迷惑をかけるだけでなく、急性アルコール中毒を引き起こすことにもなります。ご存知のように急性アルコール中毒は、酔った状態を超えて意識障害や昏睡、重症の場合は死にいたることさえあります。また、飲酒が習慣化すると、あらゆる疾患の原因にもなるアルコール依存症に陥る可能性も高まります。そこで今回は、急性アルコール中毒や、アルコール依存症にならないために、お酒との付き合い方を考えてみましょう。

 
     

 

  急性アルコール中毒とは
   

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短時間に多量のアルコールを取ることで起きる中毒症状です。血液中のアルコール濃度が、0.4%を超えた場合は1~2時間で約半数が死に至ります。酔ってきたと自覚する(飲酒開始から血中アルコール濃度の上昇)までには時間がかかり、自覚することで飲酒の量を抑制できますが、短時間で大量の酒を飲むと酔っているという自覚なしに危険な量のアルコールを摂取してしまうことになり、急性アルコール中毒が起こります。

     
   
予防方法
飲酒する際には、アルコールの吸収を遅らせる蛋白質や脂肪分を含むつまみを食べる。
一気飲みは控えて、自分のペースで飲むこと。他人にも強要はしない。
飲み始めはできるだけゆっくりと飲む。
 
対処法
迷わずに救急車を呼びましょう。解毒剤の様な物があるわけではありませんので、対外にアルコールを排出する以外に治療方法はありません。救急車が到着するまでは、呼吸の確保と体温の維持には注意してください。また、吐瀉物で窒息する危険があるので応急処置として吐かせることはしないようにしましょう。嘔吐物がのどに詰まって窒息する危険があるので、必ず体と頭を横向きにして寝かせて目を離さないでください。

もし、心肺機能が停止したら心肺蘇生法(人工呼吸、心臓マッサージ)を施してください。状況によってはAEDを使うなど、生命の維持に努めてください。また、体温が低下しないよう毛布を掛けるなど保温に気を配りましょう。

     
  アルコール依存症とは
   
飲酒すると、周囲にからむようになった。
飲まないと眠れなくなった。
休日は、朝から飲まないといられない。
断酒すると手がふるえるようになった。
γ-GTPの数値が上がった。
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このようなことに心当たりがありませんか? ある方は要注意です。アルコール依存症は慢性アルコール中毒とも言われ、日本国内には300万人近くもいると言われています。急性アルコール中毒とは逆に、体質的にアルコールを受け入れやすい人がなりやすいようです。アルコールに含まれる有害物質であるアセトアルデシドの分解が早い人と遅い人がおり、飲酒癖のある人は分解のスピードが比較的早く、これは遺伝的とも言われます。こうした体質を持つ人は連日飲んでも社会生活に支障がないと思い込み、いつの間にかアルコール依存症に陥りがちです。また、仕事や家族関係でストレスをかかえている人や、中高年の男性も依存症に陥りやすいと言われています。女性は体格や女性ホルモンなどの要因から、習慣的飲酒が短期間でも依存症になることがあると言われています。それだけに誰もが陥りやすい疾患なのです。
     
   
予防方法
ほどほどの飲酒を心がける
休肝日は、週に連続して2日以上確保すること
不幸な気持ち等を変えるために、積極的にお酒の酔いを利用しない
断酒
 
治療方法
アルコール依存症は病気です。個人の性格や嗜好の問題ではなく、自らの意思で飲酒行動をコントロールできなくなり、強迫的に飲酒行為を繰り返す精神疾患、と自覚してください。現在のところ治療方法は『断酒のみ』です。一時的な禁酒や減量ではすぐに元の状態に戻ってしまいます。

一方で依存症は「家族病」とも言われています。本人はもとより、家族全体がこの病理現象を理解し、認めることが、この病気から回復する上で必要とされます。

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その第一歩は病気に対する本人の自覚と治療の意志をもたせ、専門医への受診をすることです。その際、もっとも困るのは「自分は依存症なんかじゃない」と否定する気持ちです。プライドが高い人ほどそうした気持ちを抱きやすく、「自分はちがう」と反発しがちです。アルコール依存症はあらゆる疾患に直結する病気であることに気づいて、謙虚な気持ちで病気と向かい合ってください。

依存性薬物であるアルコールを断つことは並大抵の努力ではなく、一生涯これを続けることは想像以上の困難を伴います。このため、断酒をサポートする様々な試みがなされており、アルコール依存症患者とその家族によって作られた自助グループ『断酒会』などが組織化されています。断酒を続けることを互いにサポートし合い、酒害をはじめ、アルコール依存に対する正しい理解・知識を広く啓蒙する活動なども行っています。

吉田兼好も「酒は百薬の長とはいへど、よろずの病は酒よりこそ起これ」と鎌倉時代から適量飲酒の大切さと大量飲酒の危険を詠んでいます。危険な飲酒を避け、適正な飲酒量を心がけることで、多くの人がいつまでも健康にアルコールを楽しむことができることのでしょう。

     

 

2012年04月28日