コーヒーのせいで高血圧になるという噂は嘘?適量を楽しめば、体に良い影響も(2016年3月)
「コーヒーを飲むと高血圧症になるよ」といった噂を聞いたことはありませんか?確かに以前まで、コーヒーと高血圧症には密接な関係性があると考えられていました。しかし、近年の研究によると、こうした症状が起こる可能性は低く、むしろ血圧を下げてくれる場合がある、ということが分かってきています。
そこで今回は、コーヒーと高血圧症の関係について紹介するとともに、摂取する際にはどのようなことに気をつけるべきか?また、どんな症状が起こったら飲むのをやめるべきか?といった話題をお伝えします。大好きなコーヒーを安心して楽しむために、ぜひご覧ください。
◆「コーヒーは高血圧のもと」という噂について
まずは、なぜ「コーヒーを飲み過ぎると高血圧になる」という噂が広まっていたのかについて解説しましょう。これは、コーヒーに含まれるカフェインに理由があります。カフェインは刺激物です。そのため、摂取すると交感神経が優位に働くようになり、血圧上昇につながるのです。
受験勉強や残業などで、眠気覚ましや気合いを入れるためにコーヒーを飲んだ経験のある方も多いでしょう。気分が高まったり、やる気が出たりすることにつながるのは、こうしたカフェインの作用が理由です。しかし、そのせいで「コーヒー=高血圧症」という噂が広まってしまった、と考えられます。
◆コーヒーと高血圧症に関する研究結果
では果たして、本当にコーヒーを飲み過ぎると高血圧になるのでしょうか。実は、このことについて調査した研究がアメリカで行われています。
ある施設で高血圧症の約3万人の助成に12年間、コーヒーの摂取を習慣的に行ってもらい、それに伴う血圧上昇を調査したというこの研究。その結果はなんと、ほとんどの人にコーヒーと高血圧症の関連性が認められなかったのだとか。それだけでなく、なんと高血圧症になるリスクが低下した、という傾向についても分かったそうです。
「でも、これは外人の話でしょ?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。実は、こうした研究は日本でも行われています。
その研究は、飲酒習慣のある20~79歳の男性を対象に行われました。彼らをいくつかのグループに分け、コーヒーと高血圧症について調べた結果、なんとコーヒーを飲んだグループのほうが高血圧症の人の割合が少なかったそうです。
こうした事例を見てみると、コーヒーが高血圧症の原因になるとは考えられません。さらに言えば、高血圧症の予防に効果があるかもしれない、とも予想されます。なお、その理由のひとつに挙げられるのが、コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸と呼ばれるポリフェノール。これには、血圧を下げる作用があるのだそうです。
◆飲み過ぎには十分ご注意ください
前項の結果を見ると、「コーヒーは高血圧症の予防につながるから、どんどん飲むべき」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それには少し注意が必要です。
どんなものでも、摂りすぎは良くありません。特に缶コーヒーには大量の砂糖が入っているものが多いため、飲み過ぎると肥満の原因になります。結果、血圧上昇を引き起こす可能性もあるので十分注意しましょう。また、カフェインの過剰摂取も基本的には厳禁。「カフェイン中毒」という言葉もあるくらいですから、飲み過ぎには注意が必要です。1日1~2杯程度が適量とされていますので、その分量を守りましょう。
なお、カフェインの過剰摂取によって以下のような症状が現れると非常に危険、と言われています。心当たりのある方は、コーヒーを飲む習慣について見直したほうが良いかもしれません。
- 胸がドキドキして、心拍数が上がる
- 胸焼けがしてくる
- 不安感が泊まらない
- 集中力がなくなって、考えがまとまらなくなる
- まぶたや筋肉にけいれんが起こる
- 手や指が震え出す
- 頭痛に見舞われる
- 喉が異常に乾く
- 寝つきが悪くなってくる
- 幻聴、幻覚が出る
コーヒーは決して健康に害を及ぼすものではありません。適量であれば、むしろ健やかな生活を後押ししてくれます。飲み過ぎには注意して、良い香りを楽しみながら愛飲するようにしましょう。