日照時間の短い季節は、季節性うつ(季節性情動障害)に要注意!(2021年11月)
次第に日が落ちるのが早くなり、秋の深まりや冬の訪れを感じる季節になりました。日照時間は、12月の冬至が1年でもっとも短いとされています。もっとも長い6月の夏至と比べると、日の出から日の入りまで約5時間も差があるのです。
そんな日照時間の短い季節になると、憂鬱な気分になったり気分の落ち込みを感じたりすることはありませんか? 今回は、日照時間の短い季節に気をつけたい、季節性うつ病(季節性情動障害)についてご紹介します。
◆季節性うつ病とは?
季節性うつ病とは、季節性情動障害(SAD)と呼ばれることもある病気で、毎年決まった時期に症状が現れるという特徴があります。日照時間と深いかかわりがあるといわれており、緯度の高い地域ほど多く見られる病気です。日照時間の短くなる秋口から症状が現れ始め、日の長くなる春先になると自然に回復します。このような特徴から「冬季うつ病」と呼ばれることもありますが、雨で日照時間が短くなる梅雨時に発症する場合もあるようです。おもな症状は、気分の落ち込み・体のだるさ・無気力・過眠・過食などが挙げられます。
◆季節性うつ病の原因とは?
季節性うつ病には、日照時間が深く関係していると考えられています。人間は日光に当たると、セロトニンという脳の神経伝達物質が合成されます。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれており、集中力が増して気持ちが明るくなるなど、精神面に好影響を与えるホルモンです。一方、セロトニンが不足すると、気分の落ち込みや疲労感、意欲低下など、うつ症状が発現するといわれています。
また、日光浴を浴びると、体内でビタミンDも作られます。ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進したり免疫機能を調整・維持したり、多彩な働きを担う栄養素です。ビタミンDの欠乏もまた、季節性うつ病と関連しているといわれています。
◆季節性うつ病の予防法
日照時間の少なくなる冬場は、意識的に季節性うつ病の予防に努めましょう。暖かい部屋に閉じこもりがちな冬場だからこそ、気をつけたいポイントをご紹介します。
・日光を浴びる
季節性うつ病は、日照時間と深いかかわりのある病気です。セロトニン不足、ビタミンD不足を防ぐためにも、意識的に日光を浴びるようにしましょう。屋内で働いている方や外に出る機会の少ない方は、可能な限り窓辺で過ごし、日光に当たるようにするだけでも良い影響が期待できます。
・バランスの良い食事を心がける
冬場は、年末に向けて仕事が忙しくなったり飲み会が増えたり、食生活が乱れる可能性が高い時期といえます。肉や魚などのたんぱく質やビタミン、ミネラルを意識的に摂り、栄養バランスのいい食事を心がけましょう。バランスのいい食生活は、セロトニンの生成を促します。また、ビタミンDは、食事から摂取することも可能です。魚、卵、キノコ類に多く、しらす、アンコウの肝、干しシイタケに多く含まれています。意識的に食事に取り入れてみてください。
・適度な運動
適度な運動は、気持ちが前向きになったりストレス解消になったりする効果が期待できます。外に出る機会の少ない方は、できるだけ運動を習慣化してみましょう。特に、太陽の光を浴びながらできる、ウォーキングなどの運動がおすすめです。
日照時間が短くなる冬場こそ気をつけたい、季節性うつ病についてご紹介しました。日光浴は、セロトニンを分泌させ、ビタミンDを生成するなど、季節性うつ病を予防する効果が期待できます。冬場の日照時間を変えることはできませんが、晴れた日は意識的に日光浴を取り入れてみてください。冬になると気分の落ち込みや集中力の低下を感じるという方は、無理はせず、心療内科や精神科に相談しましょう。