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健康まめ知識

「ノロウィルス」には正しい知識で対策を(2013年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
「ノロウィルス」には正しい知識で対策を

 この冬も、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎が大流行の兆しがあり、首都圏の患者報告数が各所で警報基準値を超えているといいます。国立感染症研究所によると、感染性胃腸炎の報告数は例年11月に入ると増えだし、12月にピークを迎えるというパターンがここ数年くりかえされているということです。今、まさに感染症対策に最大の注意が必要な時期を迎えていますが、ノロウイルスに対する知識が不足していたり、間違った常識のために感染のリスクを膨らませてしまったりするケースが多いとも言われます。そこで、今回は正しい対策をとるための基礎知識と、多くの人がしている誤解について紹介したいと思います。

 
     

 

ノロウイルスとは
 

  2002年の第12回国際ウイルス学会で、それまで「ノーウォークウイルス」または「小型球形ウイルス」と呼ばれていたものが「ノロウイルス」と定められました。それまで、電子顕微鏡による観察ではその形態が認められていたウイルスの遺伝子解析が進んだ結果、正式な分類学上の名前がついたわけです。

このウイルスの特徴は、高齢者から乳幼児まで広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こし、感染力も非常に強いというもので、下痢や嘔吐を引き起こします。この嘔吐された吐瀉物に含まれるウイルスが、乾燥しホコリとともに空気中に舞い上がりそれを吸入すると感染してしまうという厄介な性質をもっているのです。

 
誤解その1「アルコール消毒すればウイルスは退治できる」
 

 普段からバイ菌類は、アルコールで消毒できると言われています。傷口の痛みに堪えてアルコール消毒した経験は、どなたもあることでしょう。あの痛みも消毒のためと我慢していたはずです。ところが、ノロウイルスにはこのアルコールが効かないのです。ノロウイルスは、エンペロープ(宿主細胞の膜)と呼ばれるものを持っていないので、アルコールや少しばかりの高温では消毒することができないのです。乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きる事ができるという性質を持っています。集団感染に至るケースが多いのも、こうしたしぶとい性質によるものなのです。

誤解その2「一度感染すれば免疫ができて、二度と感染しない」
 

 ノロウイルスには、多くの遺伝子型があるため、一度ノロウイルスに感染してその遺伝子に免疫ができたとしても、別の遺伝子型のノロウイルスには、また再び感染してしまうことがあるのです。また、腸粘膜での局所感染なので免疫ができたとしても、その免疫の持続時間が短いといわれます。一度感染したから、もう大丈夫と思って油断していると再感染を起こすこともあります。

誤解その3「ノロウイルスは、もともと牡蠣がもっているウイルスだ」
 

 生牡蠣を食べて感染する事が多いので、もともと牡蠣の内部に生息していると思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、ノロウイルスは牡蠣ではなく、海水の中に生息しています。牡蠣のような二枚貝は海水を常に吸い込み、吐き出しているので、海中のノロウイルスが内蔵に蓄積され、凝縮されてしまうのです。もともと人間から排泄されたウイルスが、海水中に流れこんで海水を汚染しているというのが実態なのです。

アサリや蛤、ムール貝なども同じ二枚貝ですが、生で食べないため感染源にならないのです。また、ホタテの貝柱も生で食べますが、ウイルスがいる内蔵は食べないのでこれもまた感染するリスクが少ないとされます。

   
ノロウイルスにかかった場合の対処法
 

 子供や老人がノロウイルスに感染すると、激しい下痢や嘔吐による脱水症状で重症化するケースがあります。脱水症状が進むと意識障害を起こし、最悪の場合死亡することもあります。特に幼児の場合は、自分の吐瀉物を喉に詰まらせて窒息してしまうことがあるので注意が必要です。
 脱水症状を進行させないためには、スポーツ飲料を薄めたものや経口補水液をこまめに飲ませるようにすると良いでしょう。水分補給の目安は体重1kgあたり50mlを4時間で与えます。10kgの体重の子供であれば500mlを4時間で給水というのが目安になります。病院で点滴による水分補給という方法もあるので、とにかく医療機関にまず診断を仰ぐことで、大事に至らないように注意しましょう。

   
看護による感染に注意しましょう
 

 子供がノロウイルスにかかると心配でつきっきりで看護するという場合もあるでしょう。しかし、感染予防対策も同時にとらないと家族全員が感染してしまう危険があります。
 まず、家族の一人が感染した場合、他の家族と隔離して看護する人間は一人にします。前記のようにアルコール消毒は効き目がありませんから、家族全員が流水と石鹸でこまめに手洗いするという衛生管理を徹底します。

吐瀉物や下痢便には大量にノロウイルスが含まれていますから、清掃にはマスクと手袋を着用して空気中にウイルスが舞い上がらないように注意してください。汚染物は、ビニール袋にいれて密封します。

さらに、塩素系消毒剤を使って、患者の周辺の床やドアノブ、患者が手を触れる可能性のある所を消毒します。マスクや清掃に使った布類もビニール袋に密閉して廃棄してください。

   
市販薬は使わない
 

 ノロウイルスによる嘔吐や下痢は、身体がウイルスを排出しようとして起きる症状なので、市販の下痢止め等を使う事は逆効果になります。嘔吐や下痢を市販薬で止めてしまうと体内にウイルスを残してしまう事になるので、自己判断で薬を使う事は厳禁です。市販薬に頼らず、まず医療機関に症状を伝えて、対処法を相談してください。

これからの流行する時期に備えて、勝手な判断をせず正しい対処方法を理解したうえで、ノロウィルスに対応していきましょう。

   

 

2013年12月28日