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健康まめ知識

今からでもできる最新の花粉症対策(2014年3月)

     
 
3月のテーマ:
今からでもできる最新の花粉症対策

 日本人の4人に1人が花粉症だといわれています。毎日の花粉情報に一喜一憂している人も多いことでしょう。花粉の心配の少ない雨の日が待ち遠しいという声も聞きます。ご存知のように、花粉症とはスギやヒノキなどの花粉が飛ぶ季節にだけ症状がある季節性アレルギー性鼻炎のことですが、鼻だけでなく眼のかゆみや涙、充血が伴ったり、皮膚やのどのかゆみ、下痢症状なども伴うことがあります。この時期は、長年花粉症に悩まされている人にとって憂鬱な時期。春が四季の中で一番好きだったのに、嫌いになったという人もいることでしょう。
 今月は、こうした不快な症状を緩和する方法を紹介します。

 
     
花粉症のメカニズム
 

 今年初めて花粉症になったという人もいることでしょう。この10年の花粉飛散量の平均は、それ以前の10年間の平均と比べて2倍以上になっているというデータがあります。初めて花粉症を発症する年齢も、子供から高齢者まであらゆる年代に見られ、もうこの歳だから花粉症にはならずに済んだと安心することもできないのです。そうした人のためにも、その発症メカニズムをあらためて紹介します。

 
その1
 

 スギやヒノキなどの花粉が、目や鼻から人体に入ってくると、私たちの身体はそれが有害な侵入者かどうか判断します。

その2
 

 身体にとって有害なので排除すると判断した場合、この侵入者に反応する物質を作る仕組みが働きます。リンパ球が働いて作り出すこの物質をlgE抗体と呼びます。

その3
 

 抗体ができた後で、再び花粉が体内に入ってくると、鼻や目の粘膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合します。
(ちなみにこの肥満細胞とは、太ることとは関係がなく、顕微鏡でのぞくと膨れて見える様子が肥満を想像させるので名付けられたもので、顆粒細胞と呼ばれることもあります。)

その4
 

 すると肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が分泌されて、花粉をできるだけ体外に洗い流そうとします。
くしゃみで吹き飛ばそうとしたり、鼻水や涙で洗い流そうとしたり、逆に鼻づまりを起こして中に入り込むことを防ごうとするわけです。

   
初期療法を行えば比較的楽に花粉症の時期を乗り越えられる
 

 悪化してから病院に行くよりも、症状の軽いうちに治療を受けるとそのシーズンを通して花粉症の症状を軽くすることが可能です。毎年花粉症で苦しんでいる人は、できれば花粉の飛び始める前に病院に行きましょう。

今月は、もう花粉の飛散が始まっています。関東地方は2月中旬には飛び始めますから、来年は、1月中に病院に行くと効果的な初期療法が受けられるということを覚えておきましょう。花粉症の発症を遅らせたり、飛散量の多い時期の症状を軽くすることができ、薬の量や使用回数を少なくすることもできます。

   
自分でできるケアも知っておきましょう
 

 花粉症を悪化させて苦しまないためには、早めに診察を受けることが大切ですが、症状を軽くするために自分でできるケアもありますので、それをご紹介します。

 
その1
「外出するときは帽子、マスク、花粉症対策用の眼鏡などを装着する」
 

 花粉を身体に取り入れないように、マスクで鼻と口を覆い、髪の毛への付着も帽子などで極力防ぎ、最近デザイン性も向上した花粉症対策用の眼鏡などで目からの花粉の侵入を防ぎます。市販されているほとんどのマスクは吸気に際して95%以上花粉を除去するとされています。ただ、マスクは花粉が付くと目詰まりしますから、できるだけ頻繁に取り替えるようにします。安いマスクを毎日使い捨てにすると経済的で、衛生的だとされています。

その2
「外出から帰ったら、できだけ身体についている花粉を落としてから入室する。」
 

 髪の毛や、衣服には外出中にたくさんの花粉が付着しています。花粉症でない人は、無頓着になりがちですが、家族に花粉症で苦しんでいる人がいる場合、できるだけ玄関に入る前に埃を払うように全身から花粉を振り落として、家に持ち込む花粉の量を減らしましょう。

その3
「洗濯物は室内干しにする」
 

 これも、花粉症対策には大切なポイントです。花粉症で苦しみながら、平気で洗濯物を外に干している人もいるようですが、洗濯物の乾き具合よりも花粉を家に取り込まないようにすることの方が大切です。

その4
「外出から帰ったら、洗顔し、市販の人工涙液などで目を洗う」
 

 目の周辺についた花粉は、洗顔で落とします。ただし、水道水で目を洗うと目を痛める可能性もあるので、目を洗うときは市販の人工涙液などを使うようにします。

その5
「鼻を生理食塩水で洗う」
 

 鼻を洗う簡単な器具と生理食塩水を用意し、外出から帰ったときなどに洗浄すると、鼻の中に入った花粉を洗い流すことができ、症状を軽くすることができます。ただし、洗い過ぎると悪影響がでる場合がありますので注意しましょう。

その6
「部屋の中を乾燥させない」
 

 花粉症の症状に苦しんでいるときは、とくに目や鼻の粘膜が乾燥に弱くなっています。加湿器等を使って、室内の保湿を心がけましょう。3月はまだ寒い時期。特にエアコンなどで室内を温める場合、室内の空気は乾燥しがちなので保湿を心がけることが大切です。

   
 

 これからの季節、花粉症の方にとってはつらい時期ですので、早めに準備をするなど花粉とのつきあい方を工夫するとともに、花粉症ではない方も家や会社などに、できるだけ花粉を持ち込まないよう配慮をしてはいかがでしょうか。

   

 

2014年03月28日