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健康まめ知識

クロストレーニングのすすめ(2014年2月)

     
 
2月のテーマ:
「クロストレーニングのすすめ」

 クロストレーニングと言っても何?と思われるかもしれません。単純にいうと複数の種目の運動を行うトレーニングのことです。なぜそれがおすすめかということを今回は、ご紹介したいと思います。

 
     
体幹の筋肉を使うと故障が減る
 

 ランニングやテニス、ゴルフ等を趣味のスポーツとして楽しんでいらっしゃる方は多い事でしょう。でも、中高年の方でこうした趣味のスポーツに熱中すると、必ずといって起きるのが筋肉や関節などの故障です。よくあるのがランニングで起こす、脚や膝の故障。テニスでは、テニス肘。ゴルフではゴルフ肩というのが有名ですね。いずれも特定の箇所に負担のかかる動きを、関節や筋肉などが耐えられる限界を超えて繰り返した結果、故障を引き起こしてしまうことが多いとされています。

 スポーツ専門のトレーナーの中には、中高年になると特に体幹の筋肉が弱くなって、本来体幹から力を出すべきところを、身体の末端の筋肉を酷使するフォームになり、故障を引き起こす原因になっているという指摘をされる方もいます。

 例えば赤ちゃんがハイハイする姿を観察すると、体幹を使って動いている事がよくわかります。まだ、腕や脚に十分な力がないのに、思ったより活発に動き回るのは、体幹の筋肉を巧く使っているからです。人間は本来、本能的にこうした動きができるものなのですが、大人になって筋力がつき、その筋肉で動く事を覚えてしまうと体幹を使う事を忘れてしまうのです。使わなければ、筋肉は衰えていきますから、ますます体幹を使う動きをしなくなってしまいます。

   
一流選手は一般の人より筋肉が肥大していない?
 

 ゴルフやランニングを良くされている人で、脹脛(ふくらはぎ)の筋肉が異常に左右に張って、肥大している人を見かけますが、これは体幹を使う事を忘れてしまった人の典型的な筋肉の付き方です。本人は、よく運動をしているからだと自賛されていることも多いのですが、その運動で故障を引き起こすリスクが高まっているという自覚が必要です。筋肉の肥大は、運動による筋肉の破壊と超回復の結果だとされますので、身体の末端の一部の筋肉に過大な負荷がかかっている状態だということになるのです。

 一流の選手は意外に身体の末端の筋肉は肥大していないものです。例えば、マラソンの世界で驚異的なタイムを出し続けるアフリカの選手達の脹脛は、運動をしていない一般の大人の脹脛よりも細く引き締まって見えます。それでいて、あの驚異的なスピード。まさに体幹の筋肉のパワーによるもと考えざるをえません。

   
体幹の筋肉を目覚めさせるには
 

 さて、ではなぜクロストレーニングが良いかということになりますが、実は体幹の筋肉を目覚めさせて使えるようにするには、専門的なトレーニングメニューが必要になります。できれば体幹トレーニングを熟知したトレーナーの指導も受けたいところです。でも、現実的にはそれはなかなか難しいかもしれません。そこで、複数の運動を行なうクロストレーニングで、筋肉や関節への負担を分散しながら、健康に良い運動を継続的に行なうことをおすすめしたいわけです。

 例えばゴルフをした後に、プールで泳ぐ。そうすると疲労した脹脛の筋肉が、水泳のキックによる筋肉への刺激でほぐされ固くなった筋肉が柔らかくなります。これは、歩くという行為は足首を曲げた状態で脹脛の筋肉を使いますが、バタ足のキックは足首を伸ばしたまま主に太ももの筋肉を使って行なわれますから、隣接する脹脛にも豊富な血流がめぐり疲労物質を代謝させてくれるのです。

 泳ぎが苦手な人は、水中ウォーキングでも効果があります。胸を張って腕を振り、膝を前に突き出すように脚を運ぶように意識してください。水が身体の動きを制限して、体幹の筋肉も動員しないと前に進まないので、あるていど強制的に体幹の筋肉が目覚めさせてくれます。

 また、自転車を取り入れるのも良いでしょう。町乗り用のクロスバイクと呼ばれるスポーツ自転車でも良いと思いますが、慣れてきたらロードレーサーと呼ばれるペダルを靴に固定するビンディングを装備したスポーツ用の自転車にすると、さらに効果的です。ママチャリと言われる一般の自転車は、ペダルを上から下に踏みつけて、前に進みますが、脚をペダルに固定すると全く別の筋肉を使ってペダルを“回す”ことになるのです。

 最初は意識をしなければできないのですが、身体の後ろ側の筋肉、広背筋(背中の筋肉)や中臀筋、大臀筋(お尻の筋肉)、ハムストリング(太腿の裏側の筋肉)で、ペダルごと脚を上に引き上げるように力を入れ、踏み下ろすときに少しだけ力を入れて、脚の重さでベダルを押し下げるようにすると、奇麗なペダリングで長距離でも楽に走破できるようになります。

 身体の中心に近い大きな筋肉を動員して動くことで、疲労を防ぎながら身体に良い有酸素運動を長い時間続けることが可能になります。

 ただし、ロードレーサーと呼ばれる本格的な自転車は、メンテナンスや安全走行に関する知識も不可欠なので、家の近くの専門店で相談してから、手に入れるようにしてください。ヘルメットなどの身を守る装備のことや、道路での走り方は、専門的なスタッフに指導してもらうのが一番です。

   
クロストレーニングでアクティブな生活を
 

 クロストレーニングは、普段行っている好きな運動に、水泳やウォーキング、自転車などを組み合わることで、特定個所に負担をかけずに、筋肉や関節の故障を防ぎながら、長い年月のアクティブな生活を可能にする大切なトレーニング方法です。ぜひお試しください。

   

 

 

2014年02月28日