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健康まめ知識

夏太りしていませんか?(2012年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
夏太りしていませんか?

一昔前は「夏やせ」に注意しようと言われましたが、猛暑が続く近年、気をつけなければならないのは「夏太り」のようです。日中だけでなく夜になっても汗だくになってしまう毎日。汗をかくと、運動をしたのと同じにエネルギーを消費しているような気になってしまいます。これが実は落とし穴です。体温を下げるための発汗はさほどエネルギーを使いません。汗をかいたことで夏バテを恐れ、脂っこいものばかりを食べ過ぎると、成人病のリスクのある内臓脂肪が増えてしまいます。

 
     

 

夏太りの原因とは
 
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夏太りには、いくつかの典型的な原因があります。一つは先にあげた発汗によるエネルギー消失を過大に意識しての過食。夏バテを予防しようと、土用の丑の日に鰻を食べる習慣が古くからあるように、鰻や焼き肉など、こってりした栄養価の高いものでスタミナをつけようと考えてしまいがちです。発汗で失いがちなビタミンB1を多く含む鰻や豚肉をとることは確かに大切ですが、油分の多い食物のとり過ぎは夏太りに直結します。高カロリーの食べ物が食卓にならぶことの少なかった時代はともかく、現代の夏バテは栄養不足より、冷たいものの飲み過ぎやクーラーによる冷え、ソーメンや冷やし中華などの麺類に偏った食事に原因がある場合が多いのです。

冷たい飲み物のとりすぎは、内蔵の働きを悪くするだけでなく、内蔵そのものを冷やすため、その冷えに対抗しようと身体は内蔵の周りに脂肪をつけて冷えから守ろうとします。夏太りの場合、皮下脂肪よりも内臓脂肪の増加が目立つのもこの身体の働きが関係しているといわれます。また麺類は、あまり噛むことをせずに食べられるので、噛むことによる満腹感が乏しく、ついつい食べ過ぎてしまう傾向にあります、ご存知のように麺類などの炭水化物は、とりすぎれば体脂肪として蓄積されます。しかも、炭水化物に偏った食事では、発汗で失ったビタミンやミネラルの補給が十分にできません。ビタミンやミネラルは脂肪の燃焼に不可欠なため、これが不足するとさらに体脂肪がエネルギーとして利用されずに身体に留まることになります。

発汗で失われるカリウムも夏太りに関係します。カリウムが不足すると身体に「むくみ」が生じやすくなるのです。暑いからといって冷たい飲み物を大量にとり、冷房の効いた部屋であまり動かない生活をしていれば、全身がむくんで短期間で体重の急増をもたらすことになります。

また、もともとしなやかで弾力のある動脈が高い血圧を受け続けると、動脈の壁が傷ついて固くなります。これが動脈硬化で主に細い動脈で起こるため細動脈硬化と呼ばれます。血管の内部に酸化したコレステロールが蓄積されて起こる粥状硬化は比較的太い動脈で起こり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。

   
夏太りを解消するためには、適切な食べ物を腹八分目に
 

先にあげたように、冷たい麺類など炭水化物の過食には注意しましょう。水分補給も夕方以降は、冷たい飲み物を控え、できるだけ温かい飲み物をとるように心がけましょう。午前中は「身体から悪いものを排出する時間帯」といわれ、日が暮れると「身体に蓄える時間帯」になるとされます。水分は午前中に多めにとり、日が沈んだら少なめにすると「むくみ」対策に効果があります。

「むくみ」対策にオススメの食べ物は、きゅうり、冬瓜などのウリ科の野菜や、バナナなどのカリウムの豊富な果物。発汗とともに失いがちなビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸など)も、脂肪の代謝には欠かせません。水溶性ですので、長時間水につけたり加熱しすぎる調理は避けることが大切です。これらの栄養素を多く含む食品は次のとおりですが、一度にたくさんとっても体外に排出されてしまいますので、できるだけ毎日の食事に上手に取り込むようにしてください。

○ビタミンB1

豚肉・うなぎ・たらこ・ナッツ類

○ビタミンB2

豚レバー・鶏レバー・牛レバー・うなぎ・牛乳

○ビタミンB6

かつお・まぐろ・牛レバー・さんま・バナナ

○ビタミンB12

牛レバー・鶏レバー・カキ・さんま・あさり・にしん

○ナイアシン

たらこ・かつお・レバー類・びんながまぐろ・落花生

○パントテン酸

レバー類・鶏もも肉・にじます・子持ちがれい・納豆

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良い睡眠で夏太りを解消する
 
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暑くて寝苦しい夜が続くと、睡眠不足になりがちです。だからといってクーラーに頼りすぎると、夏風邪をひいたりして体調を崩してしまうことがあります。寝苦しい夏の夜に十分な睡眠をとることは大変難しいものですが、睡眠時間が短いと肥満になりやすいという研究結果も報告されています。良い睡眠をとることは、夏バテや熱中症にならないための体調管理や、夏太り対策としても有効だと考えられます。

良く眠るためには、睡眠中の身体の温度が大切です。皮膚の温度(体表面の温度)が高く、深部体温(身体の内部の温度)が低いほど眠りに入りやすいということがわかっています。子育ての経験者はご存知だと思いますが、眠くなるとあかちゃんの手は温かくなります。これは、体表面から熱を放散して、身体の内部の温度を下げる働きによるものです。

深部体温を下げる方法には、寝る前にぬるま湯につかるのがおすすめです。あまり長時間入ってはいけませんが、手足の表面を温める程度にぬるま湯に入ると、手足の末梢血管が拡張して、表面からの放散熱が増え、深部体温を下げる効果がありあす。また、夕方に軽い運動をして皮膚から熱の放散をすると同じように深部体温を下げることができます。

深部体温を下げると良く眠れるというのは、昼間働いている脳の疲労を回復させるために、脳の温度を下げ休ませるためと考えられます。枕につけた頭の熱が気になってなかなか寝付けないとういう人は、頭を冷やすために枕を通気性の良いものに交換したり、枕用の保冷剤を利用するのも良いでしょう。

   

 

2012年09月28日