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健康まめ知識

禁煙のすすめ。(2012年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
禁煙のすすめ。

 健康増進法によって、分煙をとり入れる飲食店が増えています。ある飲食店の店長さんによると入店したお客様の顔を見るだけで、喫煙者かどうかすぐに分かるといいます。どんなところで? と問うと全体の印象で分かるといいます。接客業は毎日たくさんの人の顔を見続けているので、瞬間的にその人の好みや性格を読み取る勘が身につくのかもしれません。

しかし、長く喫煙を続けている人は勘の良い人ばかりか、誰にでも分かるような特徴が現れてくるものです。スモーカーズフェイスといいますが、喫煙を続けていると皮膚のハリがなくなり、目尻や口周りなどにしわが増え、いわゆる老け顔になってきます。さらに歯がヤニによって着色され、口臭の発生や白髪、脱毛も起きてきます。

初対面の人は、第一印象が大切だといわれます。この印象が決まるのに6秒から7秒。仕事などでは最初に好感を持たれないと次はないとまでいわれます。この第一印象の決めては顔、表情だそうです。喫煙によるスモーカーズフェイスで、人生の大きな損失を被る事になるかもしれません。そうなる前に禁煙をしたいという人に今回は、禁煙の方法をご紹介します。

 
     

 

ニコチン依存症の人の禁煙法
   ニコチンの身体的依存の人は、喫煙が途絶えてニコチンの血中濃度が下がってくると、集中力が低下し、イライラするようになります。さらに頭痛、倦怠感、肩こりや歯が浮くという症状を起こす人もいます。一般的に禁煙後2~3日目が最もつらい症状となり、1週間程で軽くなってきます。この時期に、我慢できなくなって禁煙に失敗するという経験を繰り返す人も多いことでしょう。タバコがやめられないということが、意志が弱い証拠だと思い込んでしまったりする人もいますが、実はタバコには麻薬にも劣らない強い依存性があるのです。麻薬依存への対処は、治療の対象になることはよく知られています。しかし、タバコも同様だと考えた方が、禁煙の近道になるのです。

タバコをやめるために、徐々に吸う本数を減らしたり、低ニコチンの銘柄に変えても、なかなかうまくいかないのはこの強い依存性のためです。タバコの本数を減らしたり、低ニコチンの銘柄に変えた場合でも、一本のタバコをより深く吸い込んだり、根元まで吸う事で結果としてニコチンの摂取量があまり変わらないばかりか、喫煙間隔を空けることでタバコがより美味しく感じられ、依存を強くしてしまう可能性もあります。

こうした強い依存症の場合、ニコチンを喫煙以外の方法で身体に取り入れ、ニコチンの量を徐々に減らしていくという方法があります。ニコチン代替療法と呼ばれるもので、ニコチンガムやニコチンパッチというものが一般的に使われています。次にそれぞれについてご紹介します。

 
ニコチンガム
 

 ニコチンガムはガムのように噛むとニコチンが口の粘膜から吸収されるもので、タバコを20本以上吸っていた人は、一日にこのガムを6~9個用います。一つを15分程度かけてゆっくり噛むとニコチンが体内にゆっくりと吸収されます。ガムの個数を徐々に減らしていって最終的にニコチンの摂取がなくても、禁断症状があらわれないように身体をコントロールして、禁煙を行います。ガムにはタバコをやめた口寂しさを紛らわせてくれるという利点もあります。

ニコチンパッチ
   ニコチンパッチは、一日一枚ニコチンの入ったパッチを皮膚に貼ってニコチンを皮膚から吸収させるというものです。気をつけなければいけないのは、この治療を行っているときに、タバコを吸うと大量のニコチンを接種する事になり、中毒症状を起こす危険があります。そのため現在薬局では、処方箋がないと買えないようになっています。

その他の方法

 

 肌が弱いためにニコチンパッチが使用できない場合は、禁煙によるイライラを軽減するとともに、タバコを美味しく感じさせない効果のあるニコチンを含まない飲み薬を飲むという方法もあります。1日2回食後に服用します。飲み始めの一週間はタバコを吸いながら服用し、8日目から禁煙を開始するというもので、タバコが心底嫌いになる効果が期待できます。服用期間は12週間となっています。

このように禁煙を本気で行いたいというのであれば、禁煙外来で適切な治療と指導を受けるというのが、もっとも成功率の高い方法です。治療には健康保険が適用されます。ただし、以下の4つの要件を満たしていると医師が診断した場合に限られます。

◇ニコチン依存症を診断するテストで5点以上の評価を受ける。

◇1日の平均喫煙本数に、これまでの喫煙年数を掛けたものが200を超える。

◇1ヶ月以内に禁煙を始めたいと思っている。

◇禁煙治療を受ける事に文書で同意する。

また、以前健康保険で禁煙治療を受けた人は、前回の治療の初回診察日から1年以上経過していない場合は、自由診療になります。

   
   禁煙すると人は太ります。タバコは大人のオシャブリと言った人がいますが、確かに口寂しくてついつい間食をしてしまったりして、カロリーオーバーになりがちです。人によっては、まるで舌の薄皮が何枚も剥がれるようにそれまで感じなかった味が分かるようになり、食べ物がとても美味しく感じられるようになったりするようです。でもそれは、幸せなことではないでしょうか。一時的に体重が増えたとしても、今度は運動で息切れがしないようになります。適度な運動を楽しむことで、健康な身体を手に入れるチャンスが増えるわけですから、禁煙の向こうには今まで感じた事のなかった幸せが待っているかもしれません。

 

2012年11月28日