画像

健康まめ知識

”ぽっこり”お腹にサヨナラする、便秘すっきり解消法(2005年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
”ぽっこり”お腹にサヨナラする、便秘すっきり解消法
 日差しが強くなり、日中はTシャツ1枚で充分過ごせる季節になりました。薄着になるにつれ、女性には特に気になってくるのが余分なお肉。下腹部のぽっこりの原因のひとつに便秘が挙げられます。それだけでなく、便秘を放っておくと様々な病気を引き起こす原因となることもあり、いずれにしても解消しておきたいもの。今回はそんな便秘でお悩みの方へ、便秘のメカニズムとすっきり解消法をご紹介します。
 
     

 

便秘はなぜ起こる?
   便秘には大きく分けて、毎日のお通じがない便秘(腸管移送時間遅延型)と便がうまく出せない便秘(便排出障害型)の2種類があります。

<毎日のお通じがない便秘>

食べ物を摂取すると、便として排出されるまでに通常24~48時間かかりますが、3日以上排便のない状態が続く場合がこのタイプ。食べ物は胃や小腸で消化・吸収され、約6時間で大腸の入り口である盲腸に達します。この大腸の働きが弱いと便として排出されるまでに時間がかかるようになり、便が大腸に貯まるため、お腹が張ってきます。大腸の終わりの直腸に便が貯まると便意が起こりますが、この場合大腸に貯まってしまうため便意をあまり感じません。

<便がうまく出せない便秘>

直腸に便が貯まると便意が起こり、トイレで肛門の筋肉を緩めると便が出るのが排便の仕組みです。しかし、このタイプでは排便のときに直腸のポケットのような所に便が貯まってしまったり、肛門の筋肉がうまく緩まなかったりして、便意はあるのに便が出ないという状態になります。力んでも便が出なかったり、便が残っている不快感も長く続きます。

これらの”便秘”が起こる要因はいくつか考えられますが、大きく分けて物理的障害がある場合(器質制便秘)と排便機能がうまく働かないメカニズムそのものに障害がある場合(機能性便秘)とがあります。

<物理的な障害>
便の通り道である腸などの消化器官に物理的な障害があるもので、腸の腫瘍や炎症、閉塞などにより腸の通りが悪くなるために起こります。嘔気、腹痛、下血などの症状を同時に引き起こすことも多く、このような場合は病院での検査と治療が必要。

<排便のメカニズムの障害>

●急性

偏食などで食物繊維の摂取が少ない場合や、体内の水分が少ない場合、便の成分・水分が足りなくなり便が出なくなります。また、運動不足や寝たきりの状態が続くと、腸の運動も低下するため便が排出されず、腸内に長時間貯まることになります。

●慢性

高齢者やお産の回数が多い女性に多いのが「弛緩性便秘」で、便を押し出す腸の力や、りきむ力の低下によるもの。他にも下剤の乱用や過敏性大腸炎が原因で腸が引きつったようになり便の通りが悪くなる「ケイレン性便秘」、便意を我慢したり浣腸を常用するために起こる「直腸性便秘」などがあります。

便秘の弊害
 
 便秘になる=便が腸の中に長時間貯留する、ということになるので、便が腐敗し多くの有害物質を生み出します。腸には本来善玉菌と悪玉菌がバランス良く保たれているものですが、便秘によって生まれた有害物質は毒素が腸内の悪玉菌の増加を助け、様々な病気を引き起こす原因となります。

<便秘が引き起こす症状>

●腹部膨満

腐敗した便が発酵し、ガスが発生するため起こる。

●腹痛

便秘によって出口を塞がれた腸管が、便を出そうと動く時に痛みが生じるもの。腸のたるみが多い部分に起きやすい。

●食欲不振

腸全体の働きが悪くなると食欲がわかなくなる。

●吐気

腸の働きが悪くなると消化液が消化管に貯留しやすくなり、嘔気が起こる。

●肌荒れ・ニキビ

腸内で発生した毒素が肌に影響を与え、荒れたり吹き出物やニキビ、シミなどの原因となる。新陳代謝も低下するため血行が悪くなり、ハリやツヤも失われてくる。

●頭痛・肩こり・めまいなど

腸内の毒素が自律神経の乱れをよび、頭痛、肩こり、めまいが起こりやすくなる。

●腰痛

腹部が便によって圧迫され血流の流れが滞ることで腰痛が起こる。

●動脈硬化

胆汁として分泌されたコレステロールを大腸が吸収してしまい、体内のコレステロールが増加。血液中に溶けたコレステロールが血管内に蓄積されやすくなり、動脈硬化の原因になる。

●痔

固くなった便が無理に肛門を通過する際、肛門の出口付近が切れて裂肛(切れ痔)になる。軽度なら軟膏で改善するが、繰り返し起こると肛門粘膜が繊維化して肛門が狭くなる(肛門狭窄)ため、手術が必要になることもある。

便秘改善のために
 
 大腸の働きを良くするために、生活習慣の改善、食生活の改善を心掛けましょう。

<生活習慣の改善>

起きたらまず水や牛乳などをコップ2杯ほど飲み、腸に刺激を与えましょう。そして朝食は必ず取ること。食後20~30分後に(便意がなくても)トイレに行き排便動作をする習慣を。毎日の規則的な排便のリズムをつくることで便意が起こるようになり、便秘解消に効果的。また、運動も便秘解消に役立ちます。血液循環が良くなることで大腸の動きも活発になるのです。

<食生活の改善>

朝、昼、晩の食事を規則正しく取ることで排便もスムーズになります。偏った食事は避け、栄養バランスにも気をつけましょう。食物繊維を多く含む野菜(豆類、芋類など)やきのこ類、果物(バナナや栗など)、海藻類をたっぷりとり、水分も充分に摂取するよう心掛けましょう。ちなみに1日に必要な食物繊維は20~25gと言われています。

それでも解消されない場合は、軽めの下剤を使用して排便習慣をつける手助けとしてみましょう。また、お腹のマッサージも効果的。おへその周りを右下腹部から時計回りにゆっくりと圧迫し、大腸に沿って押していくようなイメージで。お腹が張っているときや就寝前、便座に腰掛けたときなどにやってみましょう。蒸したタオルやカイロをお腹や腰に当てて腸を温める温罨法も効果的といわれています。

便秘は健康と美容の敵。便秘気味な方はこの機会に生活習慣、食習慣を見直し、すっきり解消させましょう。

 

 

2005年06月28日