画像

健康まめ知識

食欲の秋。 正しい知識で健康的にダイエット!(2005年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
食欲の秋。

正しい知識で健康的にダイエット!

 徐々に肌寒くなり、道行く人々の服装にも重ね着が目立ってきました。真夏のように露出度の高い格好をすることは減りましたが、食欲の秋と考えるとやはり気になるのが「太る」という言葉。特に世の多くの女性や、中年太りの気になるお父さん達にとって「ダイエット」は常に気になる話題ではないでしょうか。今回は肥満とダイエットについて取り上げ、ただ痩せるのではなく健康的に、効果的に、身体を「引き締める」方法についてご紹介します。
 
     

 

「肥満」のメカニズム
 
肥満とは、その人の標準体重より重いということではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態のことをいいます。下に肥満のタイプをいくつかの分類に分けて挙げますので、自分のタイプと問題点、適したダイエット法をチェックしてみましょう。
体型による分類
 

見た目で判断する、一番分かりやすい分類。脂肪の多くついている部分で判断します。
1.内臓脂肪型(リンゴ型)

多くが「上半身肥満」で、腹部の内臓に脂肪がたまり、弾力のあるタイプ。「ビール腹」ともいわれるいわゆる中年太りの体型で、男性に多く見られるタイプです。肥満による合併症を起こしやすいタイプでもあり、運動による減量が効果的です。

内臓脂肪型は生活習慣病と関わりが深く、高血圧、脳卒中、糖尿病、虚血性心疾患などのリスクファクターとなりますが、運動による減量で効果が出やすいので、日ごろから積極的に身体を動かすように心がけると良いでしょう。

2.皮下脂肪型(洋梨型)

多くが「下半身肥満」で、腕や足、お尻などの皮下に脂肪がたまり、ぶよぶよしたタイプ。日本女性の典型的な体型とも言われ、女性に多く見られる体型です。

女性は年齢と共に脂肪のつく場所に変化が見られることが多く、20代後半ころまではお尻や太ももについていた脂肪が、30歳を過ぎたあたりからウエストやお腹まわりにつきやすくなり、更に皮膚のハリがなくなることや筋力の減退、重力の関係でお尻が垂れ下がってきます。肥満による合併症を起こす心配はあまりありませんが、美容の面からも余分な脂肪をためないこと、適度な筋肉を維持することは大切です。

脂肪細胞からみた分類
 

1.脂肪細胞肥大型

脂肪細胞のサイズが大きくなる肥満で、痩せると脂肪細胞のサイズが小さくなります。成人期以降に多く見られ、内臓脂肪型に多い肥満のタイプです。

2.脂肪細胞増殖型

脂肪細胞の数が増え、痩せても脂肪細胞の数は減りません。乳児期や思春期に多く見られ、皮下脂肪型に多い肥満のタイプです。

脂肪細胞は見た目には分かりにくいため、肥満になった時期で判断しましょう。注意すべきなのは、一度増えた脂肪細胞は小さくはなってもなくなることはないということ。思春期頃までにすでに肥満で、それ以降に太るという、脂肪細胞肥大型と増殖型のふたつのタイプを併せ持った肥満は、重度の肥満症に陥りやすくなるので注意が必要です。
肥満の弊害
 
「肥満は万病のもと」とも言われ、肥満になると多くの器官に異常を起こし、合併症にかかる危険性が高くなります。
循環器系では
 

循環血液量、心拍数が増加して「高血圧」「心疾患」を引き起こします

呼吸器系では
 

脂肪が呼吸の妨げとなって、一時期話題となった「睡眠時間無呼吸症候群」の原因となります

骨格系では
  重い体重が負担となって「腰痛」などを引き起こします。
内分泌、代謝系では
  インスリンの感受性が低下して「糖尿病」に、血中脂肪が増加して「高脂血症」に、尿酸が増加して「痛風」に、卵巣機能障害により「無月経」「過少月経」になるなどの弊害が心配されます。
このほか「脂肪肝」や「胆石症」などの誘引因子にもなり得、健康な生活を送るためにも過度の肥満は大敵ということが分かります。
目的をもったダイエットを
  さて、肥満のメカニズムと弊害について紹介したところで、いよいよダイエットについてお話ししましょう。

まず、最初にはっきりさせておきたいのがなぜ「痩せたい」のか、ということです。ひとことでダイエットといってもその動機はさまざま。「きれいになりたい」「健康を維持したい」「昔の服が着られるようになりたい」などなど。しかし、いつの間にか体重を減らすことだけに集中してしまうケースが多く見られるのです。

 
きれいになるためには「シェイプアップ」
 

たとえばきれいになりたくてダイエットを始めたとしましょう。しかし努力の甲斐あって体重は減ったのに、お腹や足のお肉は残ったままで、なんだかしまりがないという人。それは本来の「きれいになりたい」=「体重を落としてシェイプアップしたい」という目的のうち「シェイプアップ」に失敗してしまったのだということになります。

体重が減ったのは食事制限などのダイエットによるもので、落ちた体重の内わけは筋肉や骨の減少に過ぎない場合が多いのです。

体重だけにとらわれたダイエットは間違い!
 

ダイエット=体重を減らすという考えになってしまい、毎日体重計にのって体重を測ることに集中すると、筋肉の重量が見えなくなってしまいます。筋肉は脂肪より密度が高く、重いものだということを常に覚えておいてください。美しく痩せる、シェイプアップするためには筋肉は不可欠のもの。筋力トレーニングや運動をしながらダイエットすると、筋肉がつくため体重が減らなかったり、逆に増えることもありますが、それを「リバウンドだ」「ダイエットに失敗した」と判断しないでください。

体重以外にダイエットの進み具合を目で確かめるには、毎日鏡を見たり、気になる部分のサイズをはかってメモしておいたり、定期的に全身の写真を撮るなどして体型の変化を視覚的にとらえる方法が良いでしょう。

ダイエットの成功は筋肉にあり
  体重が減っても、お肉が残っているように見えるのは、脂肪を支える筋肉が衰えたせいです。筋肉がないと骨の少ない、お腹などの柔らかい部分の脂肪が重力でたるんだ状態になってしまうのです。たるんでしまった部分の脂肪は、食事制限などで摂取カロリーを減らしても減ることはありません。そこを引き締めるためには、筋肉を鍛えて脂肪を持ち上げるしか方法はないのです。筋肉を増強することは基礎代謝の向上にも役立つので、いずれにしてもダイエットには大切なことなのです。

ちなみに、筋肉をつくる栄養素は肉類、魚類、豆類、乳製品、卵に多く含まれるたんぱく質。これらの食品を意識的に摂り、筋肉量を効果的に増やしましょう。また、脂質が気になるときは低脂肪の食品(赤身の肉、ささみ、白身魚、低脂肪乳、豆腐などの豆製品)を選ぶとよいでしょう。

自己分析で、正しいダイエットを
 
肥満度を測定しよう
 

ダイエットを始める前に、まずは自己分析。自分の肥満度や体脂肪を計り、自分に必要なダイエットを知ることからはじめましょう。

肥満度チェックの目安となるBMI(Body Mass Index)指数の測定

BMI=体重(kg)÷身長(m)2

BMIの標準値は、18.5~25で、理想数値は22です。つまり身長(m)2×22が理想体重(kg)となります。数値が25以上だと生活習慣病のリスクが高いといえるので、BMI値が25を超える人は注意しましょう。また、18.5を下回る場合は標準体重より少ないということになるので、体重を減らすダイエットが本当に必要なのかどうか、もう一度考えてみてください。体重は軽いのにたるみが気になる場合は、先にも述べたとおり、筋肉を鍛えてシェイプアップすることをお勧めします。

体脂肪を測定しよう
 

ヒトの身体は水、骨、筋肉、脂肪で構成されています。体脂肪率とは全体重に占める脂肪の割合で、この数値からも自分の肥満度を知ることができます。測定機は手軽に使えるものが出回っているので、ダイエットを始めるのならば一台用意してみましょう。

  男性 女性
適正 10.0~24.9% 15.0~29.9%
少し太り気味 25.0~29.9% 30.0~34.9%
肥満 30.0%以上 35.0%以上
(IMC基準)

体脂肪率は、一日のうちでも変動します。正しく測るために、朝・夕食前、入浴後など、なるべく同じ条件、同じ時間帯で測定する習慣をつけましょう。

BMI値と体脂肪率を測定し、自分の理想の体重を知ることでダイエットの目安としてください。

健康的なダイエット目標の目安は、1ヶ月で3kg程度、肥満の方で5kgまでといわれています。食事を抜いたり、同じ食品だけを食べ続ける単品ダイエットは、身体に必要な栄養素が足りなくなり、身体に負担をかけるので危険です。ダイエット中こそ3食を規則正しくとり、貧血、骨粗しょう症、便秘など無理な食事制限で起こりやすい弊害に気をつけましょう。ドカ食いをやめて摂取カロリーを減らすこと、運動でカロリーを消費し、筋力をつけること、これを頭に置いて、健康的に美しくダイエットしましょう!

 

 

2005年10月28日