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健康まめ知識

最後の寒気、 冬場は脳卒中の危険度大!(2006年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
最後の寒気、

冬場は脳卒中の危険度大!

 暦の上では春、徐々に暖かい日も増えてきました。しかし年間で一番気温が低いとも言われる季節です。晴れた日中などは春の陽気ですが、それでも夜間は冷え込むことも多いのがこの時期。そこで注意したいのが、暖かい室内から急に寒い室外へ出たときや、お風呂場・お手洗いなど暖房のきいてない場所へ移動したときなどに起こりやすい脳卒中。寒い時期の脳卒中発症率は、暖かい時期の1.5倍になると言われています。今回は、その脳卒中についてご紹介します。日常生活から気を配り、危険を減らしましょう。
 
     

 

脳卒中ってどんな病気?
 
 

脳卒中とは、脳の血管がつまったり破れるなどしたために、その先に酸素が届かなくなり脳細胞が死んでしまう病気のこと。脳が急に(卒然と)悪い風に当たる(中る)ために起こる病気と解釈され、このような名前がつけられたと言われています。

大きな発作が起こると、半身麻痺になったり急に倒れて意識がなくなったりします。一方、脳の血管が一時的につまるために起こる「前触れ」の発作が出ていることもあります。この前触れには、一時的に半身が麻痺したり言葉が出てこなくなったりするほか、手足のしびれ、物が二重に見えるなどの現象があり、前触れに気づいて早めに治療をすることが大切です。脳はきわめてデリケートな器官のため、血管の病変によってうけた障害は、迅速に処置しないと大きなダメージが残ってしまうので、脳卒中の治療は時間との戦いと言われています。

 
脳卒中の種類
 
脳梗塞
 

脳を養う血管がつまるタイプで、次の3種類に分けられる。脳卒中死亡の60%以上を占めています。

「アテローム血栓性梗塞」

脳の太い血管の内側に、ドロドロしたコレステロールのかたまりができ、そこに血小板が集まって動脈をふさいでしまう。

「ラクナ梗塞」

脳の細い血管に動脈硬化が起こり、血管がつまってしまう。

「心原性脳塞栓症」

心臓にできた血栓が流れてきて、血管をふさいでしまう。

脳出血
 

脳の中の細い血管が破れて出血し、神経細胞が死んでしまうタイプ。高血圧や、加齢によって脳血管が弱くなることで、血管が破れてしまうことが主な原因となる。日中活動しているときに頭痛やめまい、半身の麻痺、意識障害などが起こる症状で、脳卒中死亡の約25%を占めます。

くも膜下出血
 

脳を覆っている軟膜、くも膜、硬膜という3つの層の膜のうち、くも膜と軟膜の間にある動脈瘤が破れて、あふれた血液が脳全体を圧迫することで起こる。動静脈奇形が出血の原因となる場合もあり、突然激しい頭痛が起きたり、嘔吐、ケイレンなどが起こる。意識不明になり急死することもある。脳卒中死亡の10%強を占める。

常生活の注意点
 
 脳卒中を防ぐには、高血圧予防が第一。そのため、高血圧の原因となる生活習慣を見直し、改めることが大切です。
日頃から自分の血圧を把握し、基礎疾患の管理をしておく
 

健康診断や測定器具などを利用して、自分の血圧がどのくらいなのか把握しておきましょう。血圧が高めな人は、食事のバランスなどにも気をつけて。特に塩分のとり過ぎは血圧を上げる原因になるので、血圧の高い人は一日7gを目安に。

急激な温度変化を避ける
 

暖かい場所から、急に寒い場所へ移動すると血圧が急激に上がるため危険です。特に冬場のお風呂や夜間のお手洗いなどは要注意。お風呂は熱いシャワーを出しておくなどして浴室内を温めておくとよいでしょう。

過労・睡眠不足に注意する
 

過労や睡眠不足は血圧を高めます。夜更かししないよう、気をつけて生活リズムを整えましょう。また、ストレスも身体の大敵。睡眠と併せてリラックス法などを見つけ、上手にストレスを解消しましょう。

喫煙・飲酒はほどほどに
 

毎日お酒を飲む人(日本酒なら1合以上の量)は、脳卒中で死亡する人が多くなるという統計が出ています。また、1日平均40本以上のたばこを吸う人は、吸わない人に比べて死亡率が約4倍にもなります。

肥満に注意する
 

肥満は脳卒中の危険因子である高血圧や糖尿病の原因になるため、間接的に脳卒中の危険因子となります。肥満を防ぐためにも、日ごろから運動する習慣を。また、運動不足は肥満につながるだけでなく糖尿病や高脂血症、高血圧も引き起こすので要注意!

便秘にも注意する
 

あまり意識しないことですが、排便時にりきむと、血圧が上昇します。なんとクモ膜下出血の20%は用便中に起きているという報告もあるのです。便秘がちな人は特に、便通にいいとされる食物繊維を多く含む食品や水分を多く摂るなど、食生活にも気をつけましょう。

 

 脳卒中は、発症してからの迅速な対応が大切ですが、それよりもまずは脳卒中にかかる危険を減らす身体と生活習慣づくりが最優先の課題。血圧管理をはじめ、食事に気をつけて塩分やコレステロールの摂取を減らすよう気をつけて生活しましょう。

 

 

2006年02月28日