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健康まめ知識

新しい一年の始まりに、心の健康を考える(2007年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
新しい一年の始まりに、心の健康を考える
 みなさん、新年明けましておめでとうございます。健康のこと、生活のこと、仕事や勉強のこと…新しい年の始まりに、一年の目標はたてましたか?お正月休みで緩んだ生活のリズムもそろそろたて直して、今年も元気にスタートしましょう。

さて、ここでは毎回身近な病気などについてお話ししていますが、今回は少し趣向を変え、精神障害のひとつであるPTSD(外傷後ストレス障害)について触れていきます。

 
     

 

PTSD(外傷後ストレス障害)とは?
 

 PTSDとはPost-traumatic Stress Disorderの略称で、戦争や自然災害、事故、家庭内暴力や性的虐待など、自分自身や身近な人の生命や身体に脅威となる外傷的な出来事を経験した後に長く続く心身の病的反応を指します。日本では阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件に関連して大きく取り上げられ、注目されるようになりました。

<主な症状>

PTSDでは、以下の3症状が同時に出現します。

1.再体験

原因となった体験を、意図しないのに繰り返し思い出してしまう(フラッシュバック)ことや、悪夢など。

2.回避

原因となった体験を思い出してしまうような、類似した出来事を意識的もしくは無意識的に避け続ける行動をとること、感情や感覚などの反応性の麻痺など。

3.持続的な覚醒亢進(こうしん)

交感神経の亢進(高ぶる)状態が続き、睡眠障害や神経過敏、集中困難などイライラした状態が続く。

 
PTSDにかかるケース
   PTSDは、心的な外傷を受けた後、上記のような症状が数週間から数ヶ月の間に起こり、数年に渡って続く精神障害です。通常ならば衝撃的な出来事を体験した場合でも、時が経つにつれてそのショックや記憶は薄れていくものですが、受けたショックがあまりにも大きすぎる場合などに発症するとみられています。ただし個人差も大きく、同じような体験をした場合でも発症する人としない人がいるように、個人の性格やストレスへの過敏性など、様々な要因が発症に影響していると研究が進められています。また、幼児期など自我の未発達な段階で受けた大きな心的外傷は特に危険性が大きいと考えられ、早期の対応が必要とされています。

PTSDの重症度には大きな幅があり、比較的軽症のものから重症のものまで、患者によって様々です。大災害や大事故でなくても、家庭や学校、会社内など日常生活をとりまく環境のなかで受けた心的外傷が発端となることもあり、昨年も大きく取り上げられていた「いじめ」問題も重要な要因のひとつと言われています。

 
治療について
   現在のところ、主な治療は薬物療法と心理療法です。睡眠障害や過敏症状などには抗不安薬、抑うつ症状には抗うつ薬などが用いられ、心理療法ではカウンセリングを中心に体験を言葉にする行動療法などが行われています。しかし、多くの患者は、原因となった体験を思い出したくないがために、それについて語るのを避ける傾向があり、周囲からの協力や理解を得にくいという問題点があります。誰かに話して相談できる態勢づくり、また、周囲がその人を心理的に支えていくことが治療の第一歩です。

医療機関では、精神科・心療内科が本症の診療に当たっています。

 
 
 残念ながら事故や事件は後を絶たず、被災者や被害者、その家族の苦しみは続いています。ただし、PTSDはあくまでも回復可能な病気です。原因となった心的外傷を取り除くことはできませんが、その体験が日常生活に大きな障害を起こさなくなることが第一の回復と考えられます。原因となるような事故や事件が起こらないことを願いつつ、今年も一年明るく健康に過ごしましょう!

 

 

2007年01月28日