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健康まめ知識

イライラ、憂鬱… 女性の悩み・更年期障害(2007年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
イライラ、憂鬱… 女性の悩み・更年期障害
 まだまだ冷え込む晩もありますが、日中の陽射しは暖かく、随分と春めいてきました。花粉の悩みを除けば、なんとなく気持ちもウキウキする季節です。しかし、季節に関係なくイライラしてしまいがちなのが女性の更年期。今回は更年期障害についてお話します。
 
     

 

更年期障害とは
 

Images人間の身体構造と生理機能において人生における大きな転換期となるのが、子供から成人になる思春期と、成熟期から老年期へと向かう更年期。更年期とは、生殖期(性成熟期)と非生殖期の間の移行期を指し、女性の卵巣機能が衰退し始めて消失する時期にあたります。卵巣機能の消失とはつまり閉経のことで、閉経前後における女性ホルモン(エストロゲン)の減少が主な原因となって起こる様々な症状を、一般的に更年期障害と呼びます。

エストロゲンは40歳頃から減少し始めると言われ、閉経後も数年間は分泌されます。更年期障害には大きく分けて2つの発現時期があり、エストロゲンの低下に伴い急速に発現する早発症状と、閉経後数年から10年以上してから発現する遅発症状とがあります。ちなみに、日本人の自然閉経の平均年齢は51歳で、45歳から56歳が閉経の正常範囲とされています。

 
更年期障害の主な症状
 

更年期障害の代表的な症状にあげられるのが、のぼせ(hot flash)、ほてりで、エストロゲンの欠乏により脳の自律神経調節中枢の機能が変化するために起こると考えられています。突然熱感が起こって体から顔や手足へと広がり、発汗や動悸を伴うことが多くあります。また、エストロゲンの低下による中枢神経の機能変化、閉経による女性としての喪失感などによって不眠やうつ症状といった精神的な症状が起こることもあります。

エストロゲンの低下は他にも様々な症状を引き起こし、膀胱および周辺の筋肉低下による頻尿や失禁をはじめ、骨粗しょう症や高脂血症、動脈硬化などの病気を引き起こすことも。また、閉経後(老人性)膣炎による粘膜の萎縮や分泌物の減少によって、膣前庭の灼熱感、掻痒感、乾燥感および性交痛が出現し、性欲も減退します。

●早発症状

のぼせ、ほてり、発汗異常、動悸、めまい、うつ状態、イライラ感、不眠、頭痛、手足のしびれ、蟻走感(皮膚を蟻が這っているような感覚)など

●遅発症状

性交痛、閉経後(老人性)膣炎、尿道炎、失禁、皮膚萎縮、肥満、腰痛、肩こり、骨粗しょう症、骨量減少症、動脈硬化など

 
更年期障害の診断と治療
   更年期障害の診断は、上に挙げたような自覚症状に加え、血中のエストラジオール濃度、LH(黄体化ホルモン)やFSH(卵胞刺激ホルモン)の上昇を測定することで行い、主な治療はエストロゲンを補充する女性ホルモン補充治療です。また、精神症状に対しては精神安定剤や漢方療法が用いられることもあります。

一般的に、更年期障害は「身体がほてる」「イライラする」など、“我慢すれば過ごせる”ものとして捉えられがちですが、女性ホルモンの減少によって起こる骨粗しょう症や動脈硬化などの深刻な病気との関連が注目されるようになり、治療に関しても見直されてきました。

 
 
 女性にとっての更年期は、ホルモンなどによる身体的な変化に加え、心理的、精神的にも大きな変動のある時期です。女性としての喪失感や、子供の成長によって母親としての存在意義が薄れることへの孤独感、夫や自身の定年や老後に対する不安など、様々な環境の変化によってうつ状態が助長されることも。しかし、体力や性的能力の衰えに対して知性や情緒の面では円熟する時期でもあります。「我慢すれば過ぎる」「恥ずかしい」と悩むよりも、診断と適切な治療を受けて心身ともに快適に過ごせるようにしていきましょう。

 

 

2007年03月28日