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健康まめ知識

一年の汚れをスッキリと、 耳の中まで大掃除?(2007年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
一年の汚れをスッキリと、

耳の中まで大掃除?

 色々あった2007年もいよいよ師走、最後の月を迎えました。今年一年の家族の健康についても整理して、新しい年も元気に過ごすための準備を整えておきましょう。さて、一年の締めくくりに家中の大掃除をするご家庭も多いと思いますが、この機会に体のお掃除・耳掃除についてお話しします。
 
     

 

 
耳垢はなぜたまる?
 
  耳垢は外耳道、つまり耳の穴に溜まる垢(あか)のことです。外耳道皮膚の皮脂腺(耳垢腺と呼ばれる汗腺の一種)からの分泌物に、外耳道表皮の角化脱落細胞(古くなってはがれ落ちた皮膚)や空気中の埃がくっついて塊のようになったものを耳垢と言います。鼓膜の外層で生まれた鼓膜上皮には、鼓膜側から出口に向かってゆっくりと移動する「移送能」という機能があり、この上皮が出口近くまで来ると自然にはがれて耳垢の原因となります。このような皮膚上皮の移動性は鼓膜・外耳道の特徴で、耳垢が発生するのは生理現象として正常なことなのです。
 
湿った耳垢はトラブルの印?
 

 耳垢の量や状態には個人差があり、環境や体調などによっても変化します。お風呂やプールに入った後などに湿り気があるのは当然として、普段から耳垢がベトベトしたり粘り気のあることを気にする方も多いようですが、これは耳垢腺からの分泌物の多寡によって変化するもので、体質的に個人差があって当然のものです。一般的に東洋人には乾性耳垢(こな耳)が多く、西洋人には湿性耳垢(あめ耳)の体質が多いと言われますが、もちろん「日本人なのに湿性だ」と心配する必要はありません。中には少しにおいがあることもありますが、基本的にははがれ落ちた皮膚や埃なので心配はないでしょう。

 
耳垢を放っておくと病気になる?
 

 先にお話しした通り、外耳道の皮膚や毛は外側に移動する性質があることから、耳垢は自然と外に押し出されてくるものです。また、外耳道と中耳とは鼓膜で隔てられているため、耳垢がたまったために中耳炎になることはありません。

ただし、綿棒などで耳垢を押し込んでしまったり、耳かきで外耳道の皮膚を傷つけて炎症を起こしてしまったりと「耳掃除」が原因でトラブルを引き起こすこともあります。

   
 
耳垢栓塞
 

文字通り耳垢が栓のように詰まってしまった状態で、聞こえも少し悪くなることがあります。多くの場合は綿棒などで耳掃除をしているつもりが、逆に奥に押し固めてしまうことで起こります。カチカチに固まってしまっているケースもあり、その場合は専門医でも除去しきるのに数回かかることもあります。無理にとろうとすると、耳の中を傷つけたり、さらに奥へとやってしまうこともあるので注意しましょう。

外耳道湿疹・外耳道炎
 

外耳道の皮膚はとても薄く傷つきやすいため、耳かきなどでこすると傷がつき、痒みを起こすことがあります。外耳道湿疹・外耳道炎の原因の多くは「耳の掻きすぎ・いじりすぎ」で、耳掃除によって起こった痒みを抑えるためにさらに耳を掻きすぎて炎症を起こしてしまうケースです。耳かきは一般的に気持ちのいいものなので、つい掻きすぎてしまうという人にも注意が必要です。

   
子供の耳掃除をするには
 

 小さなお子さん、特に乳幼児の場合、親御さんが耳掃除をしてあげることも多いでしょう。しかし、通常市販されている綿棒は子供の耳には太すぎること、子供の外耳道は大人よりも短いことなどから、耳垢を奥に押し込んでしまう危険性が大人の耳掃除以上に高いものです。また、目で耳の中が見える分、必要以上にこすってしまったり、奥まで掃除しようと突っ込んでしまって痛い思いをさせてしまうケースもあります。乳幼児は特に分泌量が多いこともあり、耳垢が気になることも多いと思いますが、出口付近のものだけを、皮膚をこすらないように優しくとってあげるようにしましょう。

同じ掃除でも、しずぎると却って良くないということもあります。耳掃除の場合は、身だしなみ程度に、外から見えるものだけを優しく取り除くのが基本です。耳垢を放っておいたことが原因で病気になることはまずありませんが、耳垢が極端に多かったり、においが気になる場合は、耳垢ではなく膿などが混じった「みみだれ」の可能性もあります。その場合「慢性中耳炎」などの耳の病気のサインとも考えられるので、速やかに診察を受けることをおすすめします。

   

 

 

2007年12月28日