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健康まめ知識

入浴剤を上手に使って、ぽかぽか&リフレッシュ!(2008年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
入浴剤を上手に使って、ぽかぽか&リフレッシュ!
 2008年も残すところあと少し。年内に片付けなければならない仕事や雑事に追われ、普段以上に忙しく過ごしている方も多いのではないでしょうか。『師走』と呼ばれるだけあり、何かと慌しい時期ではありますが、健康維持のためにも、ゆっくりリフレッシュする時間は大切にしたいもの。そこで今回は、前回に続きお風呂の話題、一番のリラックスタイム・入浴をより心地よい時間にする「入浴剤」についてお話します。
 
     

 

入浴剤を使った入浴のメリット
 
 お風呂が大好きな日本人にとって、入浴剤は身近なアイテムのひとつ。各地の有名な温泉のお湯が楽しめるものをはじめ、スーパーの日用品コーナーにも様々な入浴剤が並んでいます。菖蒲湯や柚子湯など“薬湯”に入る習慣は古くからあり、生薬を配合して布袋に詰めた入浴剤の原点とも呼ぶべき商品は、なんと明治時代から登場していたそうです。現代の入浴剤と同じように、温泉の効果を自宅で再現するような商品が開発されたのは昭和に入ってからですが、それ以降、健康の保持・改善だけでなく、色や香り、感触などでリラクゼーションの効果を重視した商品も開発されるようになりました。
 入浴剤の基本的な効果は、入浴そのものによって得られる温浴効果(身体を温める、痛みの緩和など)と、清浄効果(身体の汚れを落とす、皮膚を清浄にするなど)を高めることにあります。商品に表示される具体的な効能については薬事法に定められており、各メーカーが勝手に効能をうたうことはできません。効果や効能は入浴剤を選ぶ際の重要なポイントになるので、以下に挙げる「代表的な成分の効果」を参考にしてください。
   
入浴剤の代表的な成分の効果と、そのメカニズム
 
無機塩類系入浴剤
成  分:
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、等を主成分とするもの
剤  型:
粉末、顆粒が多い
効果について:
無機塩類系入浴剤の最大の効果は、塩類が皮膚の表面のたんぱく質と結合して膜を形成し、身体の熱の放散を防いでくれるというもので、入浴後の保温効果を高め、湯冷めしにくくしてくれます。また、硫酸ナトリウムには皮下組織の賦活作用や修復作用があり、あせも、ひび、あかぎれ等の予防に効果があり、炭酸水素ナトリウム(重曹)は石鹸と同じように皮膚の汚れを乳化し、清浄効果を高めてくれます。
 
炭酸ガス系入浴剤
成  分:
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等とコハク酸、フマル酸、リンゴ酸等を組み合わせたもの
剤  型:
錠剤や粒状
効果について:
炭酸ガスの血管拡張作用を有効利用したもので、湯に溶けた炭酸ガスが皮膚吸収によって容易に皮下内に入り、直接血管の筋肉へ働きかけて血管を拡げます。血管が拡がると末梢血管の抵抗が弱まって血圧が下がり、血流量が増えるため、全身の新陳代謝が促進されて疲れや痛み等の回復に効果的です。ちなみに、皮下内に入った炭酸ガスは肺から呼吸によって体外へ排出されるので、身体の中に蓄積することはありません。
 
酵素系入浴剤
成  分:
蛋白質分解酵素、パパイン、パンクレアチン等の酵素を配合したもので、無機塩類と組み合わせて使うことが多い
剤  型:
粉末、顆粒が多い
効果について:
医薬品の消化剤や洗浄剤等によく利用される酵素は、蛋白質や脂肪、澱粉等を分解して消化や洗浄を助ける効果をもっています。入浴剤に酵素を配合する目的は、皮膚に無理な刺激を与えずに清浄にし、他の成分と一緒に入浴効果を高めることにあり、皮膚の表面や毛穴にたまった汚れを洗い流しやすくしてくれます。そのため、浴後は清潔で滑らかな使用感をもたらしてくれます。
 
薬用植物系入浴剤
成  分:
センキュウ、トウキ、ボウフウ、チンピ、カミツレ、ハッカ葉等の生薬を配合しており、生薬をそのまま刻んだもの、生薬のエキスを取り出して他の成分と組み合せたもの等種類は色々
剤  型:
粉末、袋状など様々
効果について:
効果は配合されている生薬の種類によって異なりますが、生薬に含まれる化学成分の働きと、独特な香りの働きが特長です。生薬の効果は、医療薬として日本ばかりでなく欧米でも高く評価されており、入浴剤に応用した場合にも血行促進効果や湯冷め防止効果等が認められています。また、もう1つの効果『香り』についても、生薬に限らず“アロマテラピー(芳香療法)”の研究が進み、香りによるリラックス効果は脳波や心拍数等の測定により証明されてきています。
 
清涼系浴用剤
成  分:
l-メントール、炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム等を配合したもの
剤  型:
液体、粉末、顆粒が多い
効果について:
その名のとおり、清涼感を与えることを目的にした商品が多く、主に夏の入浴を快適にするために利用されます。l-メントールを配合して冷感を付与させたものや、炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウムを配合し、入浴後のべたつきを抑えてサッパリ感を与えてくれます。また、お湯の色は青色を基調にしたものが多く、視覚的にも爽快感を付与しています。
 
スキンケア系入浴剤
成  分:
セラミド、コレステリルエステル、米胚芽油、エステル油、スクワラン、ホホバ油、ミネラルオイル、米発酵エキス等の保湿成分を主に配合したもの
剤  型:
液体が多い
効果について:
保湿成分が入浴中に皮膚に吸着浸透してスキンケアを行うタイプ。特に空気が乾燥する冬場は、入浴後に過度に角層中の水分が失われてお肌のかさつきが起こりやすくなってしまうため、保湿を重視したこのタイプは効果的です。また入浴で膨潤したお肌は、保湿成分が浸透し易い状態になっているため、肌の表面だけでなく角層内部にまで浸透し、入浴後のお肌にしっとり、すべすべ感を与えてくれます。
   
入浴剤を使用する際の注意点
   医薬部外品として厚生労働省の承認許可を得て販売されている入浴剤は、その成分やいくつかの商品で実施している皮膚刺激性テストの結果からみて、問題となるような皮膚刺激性はありません。ただし、ごくまれにアレルギー性を示すことがあり、その場合は使用を中止してください。また、乳児の皮膚は抵抗力が弱く、かぶれや湿疹などのトラブルが起きやすいため、入浴剤を使用するのであれば殺菌作用のある沐浴剤を入れた赤ちゃん専用の浴槽を使いましょう。
 
誤飲や目に入った場合
入浴剤の入ったお湯を飲んだり、目に入った場合、通常の使用濃度であれば特に問題はありません。ただし、原液を多量に飲んでしまった場合、異常が認められた場合などは速やかに医師の診断を受けましょう。
洗髪、洗顔に利用する際
皮膚に対する安全性が認められた上で製品化・市販されているため、入浴剤の入ったお湯はもちろん洗髪や洗顔に利用でき、シャンプーや洗顔料の洗浄力にも問題はありません。ただし、衛生上の観点から、すすぎは清潔なさら湯で行いましょう。
   
 
入浴の効果を高めてくれる、様々なタイプの入浴剤。泡の出るものや、トロっとした感触のお湯にするものなど、ユニークな製品も多数開発されています。また、市販の入浴剤でなくても、日本酒や天然塩を入浴剤として使ったり、ちょっとした工夫が入浴効果を高め、リラックス気分を演出してくれます。効果だけでなく、香りや色なども様々なものがあるので、好みや気分に合わせて入浴剤を上手に利用し、お風呂タイムを楽しんでください。

 

 

2008年12月28日