画像

健康まめ知識

知っていますか?「緊張型頭痛」(2010年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
知っていますか?「緊張型頭痛」
 1年中で最も寒さが厳しいと言われる大寒を過ぎ、2月4日の「立春」から、暦のうえでは春となります。とはいえ、三寒四温と言われるように、まだまだ寒い日が続く季節。天気のよい日中は暖かくても、夕方を過ぎると急に冷え込むこともあるので、お出かけの際には防寒対策を忘れないようにしたいものです。さて、寒い日は肩や首のコリが起こりやすいものですが、今回はこの「コリ」と密接な関係のある「緊張型頭痛」についてお話します。
 
     

 

緊張型頭痛とは
 
聞きなれない言葉ですが、「緊張型頭痛」とは、実は頭痛の原因の約半数を占める頭痛。働き盛りの壮年層や高齢層に多くみられ、現代病のひとつと言えるものです。

突然頭がズキズキと痛む片頭痛と違い、いつとはなしに重い痛みが始まり、それがだらだらと続く、やっかいな頭痛です。その痛みは「孫悟空の輪をはめられているよう」とも形容され、頭を締め付けられているような圧迫感のある痛みが、緊張型頭痛の特徴です。心当たりのある方は、原因を知って正しい対策を行ってください。

頭痛

<症状>

ズキズキと脈を打つような痛みはないが、ズンとした重い痛み、圧迫されるような痛みを感じる。
多くの場合、肩や首筋に強い“コリ”を伴う。
めまいや身体のだるさを伴うこともある。(※片頭痛に見られるような、嘔吐、目の前がチカチカする、などの症状は見られない)

<原因>

首筋から頭部にかけての筋肉が何らかの原因で緊張する、つまり、肩こりや首筋の“コリ”が原因で起こる。また、長時間パソコンを使うなどの眼精疲労も原因となり、精神的・肉体的ストレスも大きく関係する。
精神的なストレスが原因の場合
  対人関係などによる精神的ストレスがたまると、神経や筋肉の緊張が高まります。この緊張が脳に影響を及ぼし、痛みを調整する機能がうまく働かなくなり、頭痛が続くようになります。
身体的なストレスが原因の場合
  不自然な姿勢などが原因で生じる筋肉への負担が身体的なストレスになり、これによって頭痛が起こります。このような頭痛は、例えば、1日中コンピュータに向かう人に多くみられます。コンピュータに向かう姿勢、すなわち、上半身をやや前かがみにして両手を持ち上げたまま作業する姿勢は、人間にとっては不自然なもので、この姿勢を続けることで身体的なストレスが強くなり、やがて緊張型頭痛を引き起こしてしまうのです。

いずれの場合も、頭のまわりに幾重にもある筋肉が収縮して、頭痛・頭重感を引き起こします。

<特徴>

疲れが出やすい午後以降に痛みが強くなりやすい。
片頭痛に比べ、年齢が高くなってから起こりやすい。
痛みの続く時間が比較的長い。
頭の両側に起こりやすい。

 

緊張型頭痛を予防するには
 
緊張型頭痛の一番の原因は「コリ」ですが、そのコリを引き起こしているのは「ストレス」。

そのメカニズムは、

ストレスによって首筋や肩がこる

頭痛が起こる
振動を避けるため首を動かさなくなる
血行不良になり、首の筋力も弱まる
首筋・肩の疲労が起こりやすくなる
更に頭痛の原因になる

というもの。悪循環に陥りやすい特徴があるため、肩や首筋の“コリ”と、コリの原因となる“ストレスをうまく解消して、この悪循環を断ち切ることが治療と予防のカギとなります。

頭痛
日常生活でストレスをためないよう、趣味や運動などで上手な「息抜き」を心がけ、仕事や車の運転で長時間同じ姿勢をとらなければならない場合は、適度に休憩を入れたり、時々姿勢を変えるようしましょう。
眼精疲労や歯の噛み合わせ、メガネによる圧迫、高さの合っていない枕なども原因となることがあるので、心あたりのあるものは改善しましょう。
緊張型頭痛の治療と薬
 
緊張型頭痛の治療法としては

(1)ストレスをコントロールする

(2)正しい姿勢を心がける

(3)薬を用いる

以上の3つが挙げられます。普段から(1)(2)の治療法を実行し、必要であれば(3)の薬物療法を併用しましょう。精神的なストレスによる頭痛に対しては、軽い抗うつ薬や抗不安薬が有効です。また、身体的なストレスによる頭痛に対しては、筋肉をほぐし、血液の循環をよくする、筋弛緩薬や循環改善薬を一時的に使用します。

そして、薬物療法を用いる際は医師の診断を受け、適切な処方を受けた治療薬を服用するよう注意してください。これは同じ「頭痛」でも、緊張型頭痛に対する治療には基本的に血液の循環をよくする薬を使用し、片頭痛に対しては逆に、血管を収縮する薬を使用しなければならないためです。個人の判断で薬を使用すると、症状に対して正しい薬を選べない恐れもあるので十分な注意が必要なのです。

頭痛には、くも膜下出血や脳腫瘍などの病気が原因となり症状として頭痛が起こる「症候性頭痛」と、頭痛それ自体が病気である「慢性頭痛(機能性頭痛)」があります。慢性頭痛には、今回お話した筋肉のこりが原因の「緊張型頭痛」の他、頭の血管の過度の拡張が原因となる「片頭痛」や「群発頭痛」がありますが、どれも医師の治療が必要な“病気”です。「我慢すれば収まる」と無理をせず、早めに診断と治療を受けましょう。

 

 

2010年02月28日