画像

健康まめ知識

蒸し暑い季節、「あせも」に気をつけよう!(2010年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
蒸し暑い季節、「あせも」に気をつけよう!
 梅雨に入り、ますます湿度が高く蒸し暑い季節になりました。地域によっては真夏日を記録したところもあり、早くも夏バテを経験している方もいるのではないでしょうか。さて、蒸し暑い夏にはどうしても「汗」をかくもの。ただでさえ不快指数の高い季節に汗でじっとりするのは気持ちの良いものではありませんが、発汗は体温調節に欠かせない働きです。今回は、この「汗」が原因で起こる「汗疹(あせも)」についてお話します。
 
     

 

あせもとは
 

 
あせもは、汗を多量にかいたあとに現れる皮膚トラブルのひとつで、汗管(汗のでる管)にかき過ぎた汗とほこりなどが詰まり、汗がきちんと出ないために軽い炎症を起こしたもの。主に小児が発祥することが多く、これは子供が大人と比べて汗をかきやすいことと、汗を出す能力(コントロールする機能)が未発達なためと言われています。また、大人でも発熱性疾患や多汗症の人、厨房や工場内など長時間高温になる環境で働いている人が発症することもあり、冬場でも暖房や厚着などで汗を多量にかくと起こることがあります。

あせも
<あせもの種類と特徴>
水晶様(すいしょうよう)汗疹
  皮膚表面の角層で汗管がふさがり、直径1~3mm程度の小さな水疱(すいほう)が多発しますが、かゆみや痛みなどの症状は特にありません。
紅色(こうしょく)汗疹
  表皮有棘層(ひょうひゆうきょくそう)で汗管がふさがることで起こり、赤い丘疹(きゅうしん)が多発し、軽いかゆみやチクチクした軽い痛みを伴うことがあります。
深在性(しんざいせい)汗疹
  真皮内で汗管がふさがってしまうのが原因で起こり、熱帯地方や高温の環境で長時間作業に従事している人のように、繰り返し高温にさらされると現れます。深在性汗疹の発疹がある部位では汗が出なくなります。
 
あせもの治療について
 

 
あせもの初診は、なるべく皮膚科や皮膚泌尿器科にかかりましょう。水晶様汗疹の場合は特別な治療を行わなくても自然に治ることが多く、紅色汗疹はステロイドクリームの外用のみの治療が、深在性汗疹の場合も高温多湿の環境を避けて自然治癒を待つことがほとんどです。

ただし、かゆみのために掻きすぎてしまうと、化膿菌の感染を受けると「あせものより」と呼ばれる汗腺膿瘍を起こしてしまうこともあります。このように汗疹に細菌感染が加わっている場合は、抗菌薬の感受性検査や組織検査を行い、抗生剤の全身投与や膿を切開して取り除く治療が必要になるケースもあります。

あせもの治療
   
あせもは予防が大切
 

 
あせもは、基本的に症状の軽いものは汗をよくふき取った上で少量のベビーパウダーを使うだけで治りますが、治療について知るよりも、まずは予防を意識しましょう。そのためには、何よりも「汗をかき過ぎない」環境づくりが一番です。厚着をし過ぎないように気をつけ、肌にあたる衣類は汗を吸いやすい素材のもので、皮膚との摩擦が起こりにくい柔らかい生地のものを選ぶようにしましょう。

また、皮膚を清潔に保つのも大切なポイントなので、汗をかいたらこまめにふきとるようにし、可能であれば早めにシャワーを浴びて汗を洗い流しましょう。すでにあせもができている場合の入浴は、患部への刺激を抑えるために、ごしごし洗わないようにし、泡立てた石鹸を手につけてやさしく洗い、ぬるめのお湯を使うと良いでしょう。

汗をかきやすく、自分で室内温度の調整などを行えない小児に対しては特に注意が必要です。上記の予防に加え、就寝時には汗をかきやすい首の後ろに水枕をあてるなどの工夫をするとより効果的です。

あせも予防
   
 
あせもが起こる原因は「汗」ですが、汗をかかないよう冷房の効いた部屋でずっと過ごしていると、体温の調節を行う自律神経に支障をきたしてしまうこともありますし、やはり「夏は汗をかく」という前提での対策が自然な考え。汗をかいたまま放っておくのは気分的にも気持ちの良いものではないので、普段から涼しく清潔な衣類を身につけ、汗をかいたら早めにシャワーを浴びて着替えるようにして気持ちよく過ごしましょう!

 

 

2010年06月28日