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健康まめ知識

セルフチェックで乳がんに備えよう(2010年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
セルフチェックで乳がんに備えよう
 記録的な猛暑を記録した、今年の夏。熱中症で亡くなられた方もあり、改めて“身近に潜む危険”について考えさせられました。事故や罹患を未然に防ぐことは最も重要ですが、防げなかった場合は早期発見・早期対処が身を守る鍵となります。今回は、特に早期発見が重要とされる乳がんについてお話します。
 
     

 

乳がんとは
 

 
乳がんとは、その名のとおり乳房にできる癌のこと。女性がかかる癌の中で最も発症数が多く、統計によるとなんと日本人女性の18人に1人がかかると言われているほど“身近な”病気なのです。乳がんは、乳房のなかの母乳をつくるところ(小葉組織)や母乳を乳首まで運ぶ管(乳管組織)から発生する悪性腫瘍で、乳がんの約90%は乳管から発生する「乳管がん」です。

ちなみに、乳がんは女性特有の病気と思われがちですが、男性にも乳腺があるため、ごくまれに男性も乳がんを発症することがあります。ただし、男性の発症率は女性の200

300分の1程度と低く、やはり乳がんは女性特有の病気と言えるでしょう。また、年齢別にみた女性の乳がんの罹患率は30歳代から増加し始めて50歳前後にピークを迎え、その後は次第に減少します。30歳代未満の若い女性でも発症する可能性があり、乳がんにかかる人の数は乳がんで死亡する人の数の3倍以上という調査データも報告されています。

乳がんとは
 
乳がんになる原因とは
 

 
乳がんの発生と進行には、女性ホルモン(エストロゲン)が関係あると考えられています。近年の乳がん患者増加の背景には、食生活の欧米化にともなう体格の向上によって初潮から閉経までの期間、つまり女性ホルモンの影響を受ける期間が長くなったことが深く関係していると言われています。また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法などが一般的なものになったことが乳がんのリスクを高めているとも考えられます。

<乳がんのリスク要因がより高いと考えられる人>
 

・月経 初潮年齢が早い、または閉経年齢が遅い

・出産 初産が遅い、または出産歴がない

・授乳 授乳の経験がない

・体重 閉経後の急激な肥満になった場合

(※ただし、閉経前については肥満者のほうがリスクが低いというデータもあります)

・その他 避妊薬ピルやホルモン剤を常用している、飲酒習慣がある、一親等の乳がん家族歴があるなど

   
乳がんの症状
 

 
乳がんのできやすい部位は乳房の外側の上方が一番多く、ついで内側の上方、外側の下方、乳首付近、内側の下の順になります。乳がんの症状は「しこり」と思われがちですが、乳房のしこりがすべて乳がんというわけではなく、また、初期のころは「しこり」のような自覚症状がなく、痩せてくるなどの全身症状もありません。このように発見が遅れる傾向があるため、乳がん検診を受けて早期に乳がんを発見することが大切なのです。

乳がんは自分で発見できる数少ない癌です。早期発見は乳がんから身を守るための最も有効な手段なので、月1回(生理が終わった1週間後、閉経後の人は毎月10日など日にちを決めて)セルフチェックを習慣づけましょう。

<乳がんのセルフチェックの方法>
 

 
上半身裸になり、両腕を下げて鏡の前に立ち、左右の乳房や乳首の形を覚える。

両腕を上げ、正面、側面、斜めを鏡に映して「乳房のどこかにくぼみやひきつれがないか」「乳首がへこんだり、湿疹のようなただれができていないか」をチェックする。

あおむけに寝て、乳房が垂れずに胸の上に平均に広がるよう、肩の下に座布団などを敷く。

左右の乳房それぞれの、内側半分を調べる。調べる方の乳房がある側の腕を頭の後方に上げ、逆の手の指の腹で軽く圧迫しながらまんべんなく触れる。

※指先でつまむようにして触ると、異常がなくてもしこりのように感じるため、必ず指の腹で行うこと。

左右の乳房それぞれの、外側半分を調べる。調べる方の乳房がある側の腕を自然な位置に下げ、同じように逆の手の指の腹で軽く圧迫しながらまんべんなく触れる。

最後にわきの下に手を入れ、しこりがないか確かめる。

左右の乳首を軽くつまみ、母乳を絞り出すようにして、血液のような異常な液が出ないか調べる。

乳がんのセルフチェック
   
 
毎月のセルフチェックを習慣づけることで、自分の乳房の普段の状態が分かるようになり、異常を早く見つけられるようになります。そして少しでも異常があったらすぐに専門医の診察を受けるのはもちろん、乳がん検診や定期健診も必ず受けるよう心がけてください。どんな病気にも言えることですが、「私は大丈夫」という油断は禁物です!

 

 

2010年09月28日