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健康まめ知識

冷え込む季節は「重ね着」を上手に活用!(2010年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
冷え込む季節は「重ね着」を上手に活用!
 記録的な猛暑から一転、朝晩の冷え込みが厳しい季節になりました。真冬並みの寒さになる日もあるかと思えば、天気の良い日中は暖かかったり、お出かけの際の服装に悩んでしまうことも多いのではないでしょうか。急激な気温の変化は、風邪や体調を崩す原因となります。そこで今回は、重ね着を上手に使った体温調整についてアドバイスします。
 
     

 

重ね着のポイント
 
「空気の層」を意識しよう
 

 
体にぴったりとした衣服のほうが保温効果があると感じてしまいがちですが、実は体を締め付ける窮屈な衣服は、血行が悪くなり、冷え性の原因となるなど逆効果になってしまうことが多いのです。理想的な肌着や洋服は、「サイズにゆとりがあり、体と衣類の間に空気の層ができるもの」です。とはいえ、着膨れしてしまうのは動きづらく見た目も格好悪くなってしまいます。伸縮性に優れ、体の動きに合わせてほどよくフィットするものを選び、上手に重ね着をして暖かく過ごしましょう。

あせも
3つの「首」を温める
 

 
衣服で効果的に体を温めるポイントは、“3つの首”の保温、すなわち、首、手首、足首の保温です。首は、頭を支えているために筋肉が緊張していて血液の流れが悪くなりやすいものですが、マフラーやハイネックの肌着・洋服で首周りを温めると全身の血流が良くなります。手首、足首も同様で、いずれの部位も皮膚が薄いため、そこを温めると皮膚下を流れる血液も同時に温まり、その血が流れることで体全体が温まると考えられています。

あせも
「煙突効果」を上手に使う
 
  重ね着をすることで空気の層が作られると、体温で温まった空気は下から上へとあがっていき、襟元から出て行きます。これが「煙突効果」です。衣服の重ね着で温かく過ごす秘訣は、襟元から出て行こうとする、この温かい空気を出さないようにすること。しかし、襟元を安易にふさぐと湿気がこもってしまい、ムレることになります。これを解消するには、保温性と通気性を兼ねたシルクのスカーフやマフラーが最適です。スカーフは室内でも利用しやすいファッションアイテムなので、熱は出さずに適度に湿気を保ってくれるシルクを上手に活用してみましょう。
   
下半身の保温について
 
冷え対策のポイントは、下半身を温めること
 

 衣服での寒さ対策といえばコートやジャンパーの利用ですが、上半身だけ温めるのは効果的な重ね着とはいえません。冷え対策のポイントは、下半身を温めることなのです。実は、冷えを感じる時は上半身よりも、お腹や下半身のほうが冷えているのです。体の中の血液は、重力のために約70パーセントが下半身に集中しているため、寒さ対策や冷え性の改善には、下半身を温めることが重要です。上半身に厚手のコートをはおるより、まずは下半身に気を配り、靴下やタイツ、腹巻などを使って温めるようにしましょう。

<下半身を保温するポイント>
「腰」を温める
 

 
寒さを敏感にキャッチする腰を温めると、脳が「あまり寒くないかな」と判断し、手足の血管を拡張して多くの血液を手足まで送ります。血流が良くなると熱も同時に伝わることになり、手足も温かくなります。女性は生理中、腹部に血液が集まって手足が冷たくなってしまいますが、腰を温めると手足が温まり、生理痛の予防にもなります。カイロを使ったり、腰まで覆う発熱素材のスパッツなどを上手に利用しましょう。

「お腹」を温める
 

 お腹は内臓に近く、お腹を冷やすということは、内臓を冷やすことと同じです。腸などが機能低下すると便秘や下痢の症状が出てきてしまいますし、また、女性の場合は生理痛、不妊症や生理不順などにもつながってしまいます。最近ではオシャレな腹巻も多く出回っているので、お腹周りの保温に活用しましょう。

「足」を温める
 

 足は、体の中でも血液の巡りがとても悪く、冷えやすい場所です。足先は、保温性のある靴下やタイツ、足首やふくらはぎを足首ウォーマーやレッグウォーマーなどで温めましょう。膝は痛みの出やすい箇所でもあるので、冷える前に保温性のあるタイツやサポーターなどで予防すると良いでしょう。また、ひざの裏は皮下脂肪が少なく、血管が皮膚の表面近くを通るため血液が冷やされやすい場所なので、ひざの裏を蒸しタオルなどで温めると足全体が温まります。

   
重ね着を上手に活用するテクニック
 

 重ね着の利点は、「暑ければ脱げる」ところです。そのため、気温差に合わせての脱ぎ着が難しい「肌着の重ね着」はNG。しかも、暖房などで汗をかいたまま濡れた肌着を身に着けていると、かえって体が冷えてしまいます。肌着、シャツ、セーター、コートと重ね着の基本を守って空気の層をつくり、室内や車内の温度に合わせて脱ぎ着しやすいファッションで過ごしましょう。

 
おススメの重ね着
 

 お腹を冷えから守るための腹巻や通気性のよい素材のタイツ、スパッツをズボンやスカートの下に身につけましょう。天然素材や発熱素材のものを身につけると良いです。また、熱伝導率が低く保温性が高い化学繊維は、吸湿性が低いので汗を吸わず中でムレてしまいます。このムレが冷えの元になってしまうので、シルク・綿・ウールなどの天然素材のものを選ぶようにしましょう。
<上手な重ね着のポイント>

1.暑いと感じたときや汗をかいたときに、脱ぎ着で調節できることを考える

2.「空気の移動をさせない」ことをイメージしながら重ね着の素材に気をつける

3.天然素材のものを利用して、同じ素材が重ならない工夫をする
<着膨れしないポイント>

1.吸湿発熱繊維のインナーを上下で着る

(※肌に直接触れるものはピッタリサイズのインナーで体温を逃がさないこと)

2.首、手、手首、足首に冷気が直接触れない様に、マフラー、帽子、手袋、靴下を使用する

3.コートやジャケットは、生地の織りが密でしっかりとしているもの、厚地の裏地が付いている物を選ぶ

   
 
最近では「ウォームビズ」という言葉もすっかり定着し、室内の暖房だけにたよる防寒対策は時代遅れになりました。保温性に優れた素材を使った衣類、中でも肌着の開発は目覚しく、近年では抗菌効果、ドライ効果、薄さ・軽さなど、様々な機能を併せ持つアイテムが次々と発売されています。これらの機能性下着も上手にとりいれ、オシャレに重ね着を楽しんでみてはいかがですか?

 

 

2010年11月28日