画像

健康まめ知識

寒い冬には気をつけたいヒートショック現象(2012年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
寒い冬には気をつけたいヒートショック現象

 昨年、東北地方の温泉で2人の男性の突然死が報じられました。原因は入浴中のヒートショック現象による溺死と言われています。一般家庭の浴槽内で起こる溺死者の数は年間約4000人で、うち高齢者は89%(厚生労働省調べ)。
 さらに、原因を浴室やトイレなど家庭内でのヒートショック現象による心臓・脳疾患発作まで広げると、死亡者は全国で年間1万4000人以上(東京救急協会の推計)という数字があります。例年になく寒波の襲来があり、寒さが厳しい上に震災後の無理な節電により風邪をひくなど体調を崩す方も増えてます。

 
     

 

ヒートショック現象とは
 

 「ヒートショック現象」とは、急激な温度変化によって身体が受ける影響のこと。温かい部屋から寒い部屋へ移動すると「ブルっ」と身震いすることがあるように、人は急激な温度の変化にさらされると体内の血管を急激に伸縮させて血圧や脈拍の変動を起こします。これは体温を一定に保つために、人間の身体が反応すること。しかしこの働きが脳卒中や心筋梗塞などに繋がってしまう可能性が高いといわれています。

特に入浴が好きな日本人はヒートショック現象に見舞われることが多いといわれており、お風呂で長時間温まった後、お風呂場から脱衣所に移動した途端、急激に冷たい空気にさらされることがあります。また、この逆も同じ様に 寒い脱衣所からお風呂場へ移動し、冷えた身体を一気に熱いお湯につけることで身体がヒートショック現象を引き起こしてしまい、入浴中に亡くなる、という前出のニュースのようなケースが増えているそうです。特に75歳以上の高齢者には注意が必要と警報を鳴らしています。

イラスト

   
ヒートショック現象を防ぐには
 
入浴時の注意  
 

 脱衣室をあらかじめ暖房で温めておいたり、浴室の浴槽のフタをとって湯気で室内を満たすなど工夫をしましょう。シャワー等で熱めのお湯を出して浴槽にかけても保温効果が上がります。

また一番最初の入浴は浴室内が寒いのと湯の温度が高めなため、からだに負担がかかりがちです。高齢者のいるご家庭は家族が入った後の二番湯を使っていただくようにすると、浴室も温まっているため安心して入浴が出来ます。お風呂の湯温は38~40度が適温であまり長湯をしないこと。半身浴をしたり、水分を摂るなど身体に負担のかからない入浴法を取り入れることも大切です。いきなり湯につかることを避け、リラックスして入浴できるような心掛けをしてください。

トイレでの突然死を防ぐには  
 

 浴室だけでなく、トイレでの脳卒中や心筋梗塞を起こす割合は、突然死の約5%を占めておりあなどれません。トイレでいきむ事や寒い室内でいきなり立ち上がった時など、血圧や心拍の急激な変化等が脳卒中や心筋梗塞を引き起こすと言われています。対策としてトイレや便座などを温かく保温すること、日頃から食生活などに気を配り、便通をよくしておくことも大切です。

   
 
日本家屋は木造住宅が多いため、浴室やトイレ以外にも廊下等温かい室内との温度差が大きな場所があることもヒートショック現象が多いことの一因と言われています。健康に問題がなく、今までまったく元気だった方にも起こる危険性のあるヒートショック現象。節電も求められる今年の冬ですが、命を守るためにも対策を取ることを忘れないようにしましょう。

 

2012年02月28日