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健康まめ知識

冬の子どもの肌トラブルに要注意!なめまわし皮膚炎とは?(2023年1月)

「なめまわし皮膚炎」とは、冬の乾燥する時期、幼児を中心に多くみられる皮膚病の一つです。「舌なめずり皮膚炎」「口なめ病」「なめかん」と呼ばれることも。口の周囲に赤みや腫れ、ただれなどの症状が現れ、ヒリヒリとした痛みがあります。唇が妙に赤かったり、口の周りの舌の届く範囲に赤い輪がみられたりする場合は、なめまわし皮膚炎の可能性があります。今回は、なめまわし皮膚炎の原因や予防法をご紹介します。

 

◆なめまわし皮膚炎の原因

なめまわし皮膚炎は、とりわけ空気が乾燥しがちな冬の子どもに多くみられる症状です。乾燥によってカサカサになった唇を、舌でなめてうるおそうとして何度も繰り返すことで起こります。唇の乾燥と、舌でなめるという物理的刺激が加えられることで口周辺の皮膚が荒れてしまうのです。皮膚の乾燥が大元の原因となるため、乾燥する時期やアトピー性皮膚炎をお持ちの方はとくに注意しましょう。

 

唇をなめた瞬間はうるおって感じるかもしれませんが、唇の水分が蒸発しやすくなり、かえって乾燥が進んでしまいます。乾燥して荒れた唇をなめる、という行為を繰り返すことで、唇とその周辺の肌が傷ついて炎症してしまうのです。

 

◆冬に唇が乾燥しやすいのはなぜ?

人間の皮膚は、水分の蒸発を防ぐために皮脂膜で覆われて保護されています。皮脂膜は汗腺と皮脂腺からそれぞれ分泌される、汗と皮脂が混ざり合ってできたものです。気温が低いと血行が悪くなり、皮脂や汗の分泌も減少します。皮脂膜が減少する冬は、肌のバリア機能も低下してしまう時期なのです。

 

ただでさえ肌トラブルに注意が必要な時期なのに加え、唇には皮脂腺がありません。暖房器具などの使用でさらに空気が乾燥しやすいため、唇は荒れやすくなってしまいます。

 

◆なめまわし皮膚炎の予防法と対処法

子どものなめまわし皮膚炎の予防法は、大元の原因である「唇の乾燥」を避けることが大切です。ここでは、なめまわし皮膚炎の予防法と対処法をご紹介します。

 

・なめまわし皮膚炎の予防法

空気が乾燥しがちな冬は、水分を意識的に多めに摂るように心がけましょう。冬場は汗をあまりかかないため、水分を失っている自覚が少ないことから、水分摂取量が減ってしまいがちです。子どもには、体を冷やさないように、少し冷ました白湯をこまめに飲ませるようにしましょう。

 

また、なめる行為自体を予防するために、口の周りに食べ物や飲み物、歯磨き粉などがついたままにしておかないことも大切です。清潔を保ち、ワセリンやリップクリームでしっかり保湿し、肌を保護しましょう。

 

・なめまわし皮膚炎の対処法

なめまわし皮膚炎は、一般的には保湿剤の塗布を繰り返して治療します。ただれがひどい場合は、弱めのステロイド外用薬を使用するケースもあります。さらに日中は、紙マスクを着用することで口周りの湿度が高くなるため、なめまわし行為の軽減に効果的です。子どもはリップクリームなどを塗ってもすぐになめてしまうことも多いため、入眠後や覚醒前に塗るのがおすすめです。

 

口の周りに炎症などの症状がみられても、必ずしもなめまわし皮膚炎であるとは限りません。激しい痛みを訴える場合やただれがひどい場合などは、皮膚科の受診をおすすめします。

 

冬の子どもに多くみられる「なめまわし皮膚炎」の原因や予防法などをご紹介しました。子どものなめまわし皮膚炎は、指しゃぶりや爪噛みのように子どもの習慣が原因の疾患です。やめさせようと叱ったり注意したりしても、ほとんど効果がなく、かえって悪化させてしまうこともあるといいます。なかなか改善しないときは皮膚科を受診しましょう。

 

2023年01月05日