唐辛子の辛み成分・カプサイシンの効果と摂取時の注意点(2023年5月)
唐辛子と聞くと、真っ赤な細長い果実と、刺激的な強い辛みをイメージする方も多いでしょう。辛みが苦手で、唐辛子を敬遠されている方もいるかもしれません。しかし、唐辛子の辛みの主成分である「カプサイシン」は、体内に入るとさまざまな効果を発揮し、健康をサポートしてくれるといわれています。今回は、カプサイシンの主な効果と、唐辛子を摂取するときの注意点などをご紹介します。
◆唐辛子とは?
唐辛子とは、南アメリカ原産のナス科の野菜です。強い辛みを感じる辛味種と、辛みが少ない甘味種の2種類に大別されます。唐辛子は世界に100種類以上あるといわれており、品種や栽培地域によって形状や味、カプサイシン量なども多種多様です。
◆カプサイシンの特徴
唐辛子の辛みの主成分であるカプサイシンは、主に唐辛子の胎座(実のなかのわたの部分)や種に多く含まれています。舌の痛覚神経を刺激し、摂取すると油や酢には溶けやすく水に溶けにくいという性質があります。カプサイシンを効率よく摂取するなら、生で食べるよりも調理して食べるのがおすすめです。
また、熱によって構造が変化しないため、加熱調理しても辛みは損なわれません。
◆カプサイシンの効果
・冷え性やむくみの改善
カプサイシンを食べると、体がポカポカと温まります。これは、カプサイシンが脳神経に作用し、血行が促進されているためです。全身の血流が良くなり体が温まれば、冷え性の改善にもつながるでしょう。それと同時に、冷えが大元の原因であるむくみの改善も期待できます。
・食欲増進や便通改善
カプサイシンは適量を摂取すれば、胃腸の適度な刺激になります。胃液や唾液の分泌を活発にしたり、蠕動運動を促したりするため、食欲増進や便通の改善にも役立つでしょう。
・疲労回復やアンチエイジング
カプサイシンを摂取すると体が温まるため、新陳代謝が上がったり発汗したりします。老廃物が排出されやすくなれば、疲労回復効果やストレス解消にもつながるでしょう。また、唐辛子にはビタミンCやビタミンA、ビタミンEなども豊富に含まれています。これらの成分には抗酸化作用があるため、疲れにくい体や美肌づくりに効果が期待できるでしょう。ただし乾燥唐辛子になると、ビタミンCがほとんど含まれません。
◆唐辛子を食べるときの注意点
・食べすぎに注意する
唐辛子は、食べすぎると胃腸の粘膜が傷つき、炎症を起こしてしまう可能性があります。吐き気や嘔吐、下痢、高血圧につながることもあるため注意しましょう。カプサイシンの摂取目安量は、体重1kgに対して5mgとされています。体重50kgの方であれば250mgが目安です。日本でポピュラーな鷹の爪であれば、1本あたりのカプサイシン量は1mg程度のため、通常の摂取においては心配無用です。
・唐辛子に触れた手で目や肌をこすらない
唐辛子を触った手で目や肌をこすると、触れた部分に痛みや灼熱感が生じます。唐辛子を採取・調理をする場合は、ビニール手袋を着用するようにしましょう。素手で触れてしまったときは、水道水と石鹸でよく洗い流してください。
・好みに応じて辛みを調節する
人によって辛みの感受性の強さは異なるため、自分の適量や好みの辛さを把握しておくことが大切です。また、体調を崩している場合は、普段よりも辛みの感受性が強くなっている場合もあります。体調を考慮して辛いものを食べるのを控えたり、辛みを調節したり工夫しましょう。
唐辛子の辛み成分であるカプサイシンの効果や、摂取時の注意点をご紹介しました。カプサイシンは、適量を摂取すると食欲増進や血行促進など、健康に嬉しい効果が期待できます。しかし、食べすぎてしまうと、かえって体に負担をかけてしまう恐れがあります。適量を心がけながら、おいしくカプサイシンの効果を取り入れてみてください。