熱中症患者を見つけたら?いざというときに役立つ応急処置(2018年9月)
暑い中外で活動していると、どんな方でも熱中症にかかるおそれがあります。もしも近くにいる方に熱中症の症状が見られたらどうすれば良いのでしょうか? こちらでは、いざというときのために知っておきたい、熱中症の応急処置についてお伝えします。
◆意識があるか確認して涼しい場所へ
熱中症の方を見つけたら、最初に行うのは意識があるかどうかの確認です。話しかけても返事がなかったり、朦朧として受け答えがおかしかったりする場合は、速やかに病院で診てもらわなければなりません。この処置を誤ると後遺症が残る可能性があり、最悪の場合は死に至ることもあり得ます。病人に意識がないようなら、すぐに救急車を呼びましょう。
まだ意識がある場合は、速やかに涼しい場所に移動してください。可能であればクーラーの効いた室内に連れていくことが理想ですが、近くにないようなら日陰で風通しの良い場所に移動させます。
◆衣服を脱がせて体を冷やす
涼しい場所に移動できたら、衣服を脱がせます。服を着ていると中に熱がこもって体温が下がりにくくなるからです。特に、ネクタイやベルトといった体を締め付けるものは、必ず外しておきましょう。
次に体を冷やして体温を下げます。首やわき、足の付根といった部分には太い静脈が流れており、冷やすと体全体の温度を効率的に下げられます。これらの部分を優先的に冷やすようにしてください。タオルで巻いた保冷剤や氷が使えますが、ない場合は、皮膚に水をかけてうちわで扇ぐだけでも効果があります
◆水分補給をさせる
体を冷やすのと同時に、水分補給をさせましょう。可能であれば、水分と塩分が同時に摂取できるスポーツドリンクが理想です。味が濃いようなら水で薄めても構いません。スポーツドリンクが手に入らない場合は、水1リットルに対して1~2gの塩を加えた食塩水でも代用できます。水分を十分補給できれば、しばらく安静にしていることで、症状が落ち着く可能性が高くなります。
ただし、意識がない場合や嘔吐の症状が出ている場合は、水を飲ませると気道に入るおそれがあります。飲むのが難しいようなら、無理に飲ませないようにしましょう。このようなケースでは、病院に行って点滴をしてもらう必要があります。
◆症状が改善した後も安静に
めまいや吐き気といった症状が収まった後も、体が完全に回復したわけではないため、ご注意ください。熱中症にかかった後は、体温調節を始めとした自律神経の機能が正常に動いていません。軽度の症状でも、最低2~3日は安静にしている必要があります。また、重症化した場合は、3カ月前後入院して治療しなければならないケースもあります。
治りかけの状態で暑い場所に行くと、熱中症が悪化してしまうため、お気をつけください。症状が収まっても、完全に回復するまでは安静にしておきましょう。
◆熱中症を予防するには
熱中症は重症化すると大変危険な病気です。かからないように、あらかじめ対策を採っておきましょう。熱中症対策のポイントになるのは、水分と塩分をこまめに補給することや、よく眠ること、暑さを我慢しないことです。
夏場は体感以上に汗で水分が流れてしまっています。喉が渇いていなくてもこまめに水分を取るようにしてください。また、汗をかくと塩分も一緒に流れるため、スポーツドリンクで水分補給するか、塩飴や塩分タブレットと一緒に摂取するのがおすすめです。
ただし、お茶やコーヒーのようなカフェインを含む飲み物を飲むと、利尿作用によって反対に水分が失われてしまう可能性があります。熱中症対策には、カフェインの含まれていないものを飲むようにしましょう。
睡眠を取ることも熱中症対策に効果的です。毎日よく眠れている健康な状態だと、暑さに負けにくくなります。特に外で長時間活動する予定があるときは、前日によく眠っておくようにしてください。
また、暑さを我慢しないことも熱中症対策につながります。暑いと感じたら、無理せずエアコンの効いた部屋で休むようにしてください。