紫外線と健康の関係とは?知っておきたい日焼けの基礎知識(2021年4月)
紫外線は、一般的に夏の季節にもっとも強くなります。春から夏にかけて、少しずつ紫外線対策を意識し始めましょう。今回は、紫外線と健康の関係についてお伝えします。つい勘違いしがちな部分もあるからこそ、改めて日焼けの基礎知識を確認してみてください。
◆紫外線の浴びすぎは健康に悪いの?
私たちが目で見ることはできませんが、太陽光には「紫外線」が含まれています。紫外線は、体内でビタミンDを作るために必要な要素です。ビタミンDには、腸でのカルシウムの吸収を2~5倍にする働きがあります。不足するとカルシウム不足に陥るおそれがあり、大切な栄養素といえるでしょう。きのこや一部の魚類にも含まれていますが、食品のみで必要な量を確保するのは難しいと考えられています。ところが、紫外線の浴びすぎは健康への影響が懸念されているため、やや注意が必要です。
◆日焼けの基礎知識
紫外線を浴びると、私たちの体は日焼けをします。日焼けには、紫外線を浴びた数時間後に肌が赤くなる「サンバーン」と、数日後に肌が黒くなる「サンタン」という種類があります。サンバーンが2~3日程度で消えるのに対して、サンタンが消えるまでには数週間から数カ月といった長い期間がかかることも珍しくありません。
このようにサンタンによって肌が黒くなるのは、体が紫外線の被害を防ごうとする防衛反応です。よく「サンタンが紫外線を防ぐ」と誤解されることもあるようですが、実際に紫外線を防ぐ効果はとても小さく、SPF4程度だといわれます。なお、一般的な日常生活レベルで使われる日焼け止めは、SPF10~35です。
日本で紫外線がもっとも強くなるのは6~8月ですが、紫外線の強さや量は地域によって異なります。また、紫外線量は環境によって大きく異なり、日陰の紫外線量は日向の50%、光が反射しやすい新雪の上では紫外線量が100%+80%となります。紫外線をよく反射する雪や砂のある環境では、日焼けをしやすくなることに注意しましょう。
◆紫外線が健康に与える影響
紫外線を浴びすぎると、皮膚や目の健康に影響を与えると考えられています。たとえば、紫外線を浴びた数時間後に起こるサンバーンでは、皮膚に炎症が起こって赤みや痛みといった急性傷害が生じることも。また、日焼けのダメージが長年にわたり続くと、肌にシワやシミなどの慢性傷害が現れます。ほかにも皮膚に良性や悪性の腫瘍ができるおそれがあり、目には白内障や翼状片といった病気のリスクがもたらされます。
◆紫外線の浴びすぎを避けるポイント
皮膚や目の健康を守るためにも、日頃から紫外線の浴びすぎを避けるよう心がけましょう。ここで押さえておきたいのは、すでに日焼けをした後に対策をするより、日焼けをする前に対策をするほうが効果的である点です。外出をするときは、紫外線の強い10~14時の時間帯や、紫外線量の多い環境をできるだけ避けましょう。その際は、できるだけ日陰に入ったり、衣服・帽子・日傘で肌を覆ったりする対策が有効です。
また、屋外の紫外線を避けるのが難しいときは、肌に塗る日焼け止めを活用する方法もあります。市販の日焼け止めは、利用シーンに応じたSPF・PAの数値から選ぶと良いでしょう。特に、レジャーやスポーツのように、長時間にわたり紫外線の強い場所で過ごすときは、数値が高くかつ耐水などの効果も併せて確認してみてください。
紫外線は体内でビタミンDを作るために必要な一方で、浴びすぎは皮膚や目の健康に影響を与えると考えられています。肌のシワやシミといった、美容の観点でのデメリットも少なくありません。紫外線の浴びすぎを避けるために、ご紹介したポイントをぜひ参考にしてみてください。