若者も要注意!スポーツ中に襲いかかる労作性熱中症のリスクと対策(2016年7月)
激しい日照りが降り注ぐこの時期、特に注意したいのが熱中症。水分を奪われ急激な体調不良に襲われるこの症状は、幼児や高齢者などの年齢層が多くかかると言われています。しかし、最近では野外で部活動に励む中高生が熱中症で倒れ、救急車で搬送されるという事例も。熱中症は、暑い夏では誰にでも起こりえる症状だと用心し、必要な対策を立てるようにしましょう。
◆「古典的熱中症」と「労作性熱中症」
熱中症とは、体内外の熱の影響により、体温調節や発汗量のコントロール機能が失われ、めまいやけいれん、顔面蒼白、失神など、さまざまな体の不調を引き起こす症状です。その熱中症は、大きく分けて2つに分けられます。
・古典的熱中症
体の外からの熱によって体調不良が起きる熱中症です。夏になると気温が上昇し、体内温度にも影響をおよぼします。猛暑の期間が何日も続くと、熱波とよばれる現象が起き、高齢者や乳幼児が発症しやすくなります。その中でもなりやすいのは、心臓病・腎臓病・糖尿病などの持病を持っている方など。また、野外の車の中で乳幼児が発症するケースもこれにあたります。
・労作性熱中症
暑い環境の中で激しく体を動かしたり、太陽の降り注ぐ中で作業や労働に従事したりした時に起こりやすい熱中症です。若くて健康な人でも、一度に大量の汗をかいて水分が失われると臓器障害などを引き起こします。
最近とくに多くなったのが、後者の労作性熱中症です。ラクビー選手など、屈強な体格を持つ若者ですら、熱中症にかかって死亡するという例が増えています。労作性熱中症は、その多くがスポーツ・労働する環境や、その方法が原因で発生しているといえます。酷暑の中で体を動かす際は、環境面やルール作りなどを重視し、熱中症対策を立てる必要があります。
◆スポーツ環境で注意したいこと
野外でスポーツする場合、どんな環境でのぞめばいいのでしょうか。以下にまとめてみましたので、参考にしてください。
・常に温度計を準備し、35℃以上になれば屋内へ
35℃以上で体を激しく動かすことは熱中症のリスクを高めるため、基本的には避けましょう。そのため、指導者の方は常に温度計をにらみながら管理することを怠らないでください。また、1日の中でも比較的涼しい朝や夕方でも熱中症は発症します。日照りの強い日中の時間だけ注意するのではなく、朝練習や日の沈んだ時間帯でも運動量と温度には気を配るようにしましょう。
・急激な温度差に注意
熱中症の多くは、7・8月をピークに発生します。しかし、体が暑さに馴れきっていない梅雨明けや、暑さのぶり返しのある9月など、意外な時期に体調の変化を訴えるケースも目立ちます。それまでと比べ温度差を実感したときは、急激な運動は避け、徐々にペースを上げていくのがポイントです。
◆スポーツ中に気をつけること
次に紹介するのは、スポーツ中に心がける注意点。いずれも簡単に始められることなので、忘れずに実行するように努めてください。
・水分をしっかり補給
「水分が足りてないな……」と自分の中で感じたら、無理をせず水分を補給するようにしましょう。その時、微量の塩分を含ませると回復に効果的です。スポーツドリンクの飲料でも適度の糖分を含ませるなど、成分含有量にも気を配ってください。ちなみにスポーツドリンクは100ml中40~80mlのナトリウムが適量といわれます。
・いきなりハードに動かない
運動に慣れた選手でも、急に体を動かすのはよくありません。熱中症が危ぶまれる中でのスポーツは特に、「体を暑さに慣らす」ことを意識するようにしてください。体力差や運動能力には個人差がありますので、周囲のペースについて行けない場合は、無理をせず申告してできるだけ自分のペースでトレーニングを行うようにしましょう。また、暑さに体が慣れてくると水分も多く失われるため、スポーツドリンクなど補給は多めに取るのが肝心です。
運動中に起きる労作性熱中症は、暑さと体力、運動量の管理をしっかり行えば防げます。若いからといって油断せず、対策をしっかり立てて心置きなく好きなスポーツに励みましょう。