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健康まめ知識

鍋物と栄養 ~ 免疫力を高めて風邪予防 ~(2004年12月)

 

鍋物と栄養 

~ 免疫力を高めて風邪予防 ~

社団法人 茨城県栄養士会
高 文江
 
 
 
     暖冬とは云え、寒さも本格化して来ました。

体を冷やさないための頭寒足熱を心掛けた、体外暖房管理は言うまでもありませんが、体内暖房を起こすための食事管理も、欠かす事が出来ません。

この時期に季節が体に及ぼす影響として、皮膚の乾燥や痒み、抜け毛、ひび、あかぎれ、静電気の影響などがあります。何と言っても”風邪”が心配です。疲労・心労は体力・免疫力低下に繋がりますので予防を心掛けましょう。

今回は、冬季の栄養補給源として持ってこいの献立としての鍋料理の話をします。

古来、日本人の食事形態は、男女はもとより身分や地位により皿数や食事時間および場所までが異なっていた事実が残されています。時代の錯誤はあるものの、竪穴式住居では「いろり」と称する吊した鍋の中に、あり合わせの食材を入れて下から薪を焚いて煮込んだ、ごった煮が、今に残る鍋料理として確立したとされています。

今や、わが国には北海道の石狩鍋やジンギスカン鍋から始まり、九州のふぐちり鍋、さつま汁まで、お国自慢とされる鍋料理が数々あります。一般的とされている湯豆腐やすき焼き、おでんについても、発祥地が示されており、お国自慢が伺えます。

茨城県の鍋料理といえば「あんこう鍋」。主役のあんこう魚については、吊して解体する、あんこうの七つ道具、捨てるところがない等々、知れば知るほど興味が沸いてきます。

    鍋料理はバランス料理
   
鍋料理には、
  1.水煮・・ 素材を出し汁で煮て、好みのたれやポン酢に薬味を加えて食べる
  2.汁鍋・・ 味噌、醤油、キムチなど味付けした汁で煮るなど食べ方はいろいろです
  3.すき鍋・ すき焼きなど濃い味の調味液で煮る
 
 鍋料理大半の栄養面の特徴は、ひとつの鍋に主菜材となる肉、魚介類、大豆製品からは、血や肉を作る蛋白質を摂り、たっぷり加える冬野菜をはじめ、きのこ・こんにゃく・海藻などの副菜からは、ビタミン、ミネラル、繊維が摂取出来ます。最後に少々の雑炊や煮込み麺を食べる事で、主食、主菜、副菜が揃います。

何といっても大きな魅力は、特に不足しがちな副菜がたっぷり摂れ、体内代謝の正常化に繋がる事です。素材の持つ色数や品数も栄養摂取に貢献しますので、好き嫌いなく偏らず食べましょう。

 濃い調味液や汁の飲み過ぎは、塩分や糖分の摂りすぎになりますので気をつけましょう。血圧管理中や高脂血症改善中の方は、特に注意をして下さい。

鍋料理の最大の特徴は、”ひとつの鍋をみんなで囲み食す”事です。個食化の進む中で、同じ鍋の食材を分け合い、おいしく食べる行為が体とこころの栄養吸収に役立つ良い機会になりますように・・

 

 

2004年12月28日