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健康まめ知識

病気を防ぐ「あぶら」のとり方(2008年10月)

 

病気を防ぐ「あぶら」のとり方
茨城県栄養士会 佐藤 光恵
 
「あぶら」の種類は様々で、とり方によって、体にプラスにもマイナスにもなります。

健康によい「あぶら」を選んでとることは、メタボリック症候群を防ぐことにつながります。

   
 
「あぶら」の主成分「脂肪酸」にはさまざまな種類があります。
   
 
  サラダ油、ごま油、オリーブ油、肉、魚、乳製品、ナッツなどの食品から、私たちはさまざまな「あぶら」をとり入れています。「あぶら」は正式には脂質あるいは脂肪といい、たんぱく質、糖質とともに3大栄養素の一つです。

脂質は主に脂肪酸によって構成されています。脂肪酸は炭素、水素、酸素が結びついてできており、結びつき方で飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。また、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸は体内での生理作用が異なります。

   
 
脂肪酸の種類と特徴
 
一つの食材や油脂には、複数の脂肪酸が含まれています。多く含まれる主な脂肪酸と食品の種類、その特徴は下表のようになります。
 
脂肪酸の分類と主な種類 不飽和脂肪酸

n-3系多価不飽和脂肪酸

 α-リノレン酸。

 EPA。DHA

不飽和脂肪酸

n-6系多価不飽和脂肪酸

(リノール酸)

不飽和脂肪酸

一価不飽和脂肪酸

(オレイン酸)

飽和脂肪酸

 パルミチン酸

ミリスチン酸

ラウリル酸

ステアリン酸

主な食品 しそ油、えごま油、青背の魚 サフラワー油、

ごま油、大豆油

ひまわり油、

くるみ、とうもろこし油

オリーブ油、大豆油、菜種油、アーモンド、へーゼルナッツ ラード、ヘット

バター、肉の脂身

ショートニング

ヤシ油、ココナツ油

特徴
悪玉のLDLコレステロールをある程度下げる。
中性脂肪を下げる。血栓防止をする。
酸化しやすい
悪玉のLDLコレステロールを下げる。
善玉のHDLコレステロールも下げる。
酸化しやすい
悪玉のLDLコレステロールを下げる。
多くとると悪玉のLDLコレステロールを上げる。
不足すると血管がもろくなる。
   
 
積極的にとりたい脂肪酸、減らしたい脂肪酸
  食事でとった脂肪は脂肪酸に分解後、吸収され、エネルギーとして使われます。エネルギーとして利用されなかった残りは空腹時に備えて脂肪組織に蓄えられます。余れば脂肪になる点では炭水化物もたんぱく質も同じです。コレステロールは脂質の一種で、細胞膜や各種のホルモンの材料としてある程度の量は体に必要です。

健康によいと言われる脂肪酸を含む「あぶら」でも1gで9キロカロリーと、高エネルギーですから、とり過ぎると肥満を招きます。

国民栄養調査では多くの人が「あぶら」をとり過ぎているという調査結果になっています。

一般に肉などに多い飽和脂肪酸の摂取が多く、魚に多いn-3系多価不飽和脂肪酸や、一価不飽和脂肪酸は不足傾向がみられます。

「あぶら」の総量が過剰にならないようにし、様々な不飽和脂肪酸を含む「あぶら」をバランスよくとることが大切です。

   
  油のヘルシーなとり方
  肉に多く含まれる飽和脂肪酸は少なくし、魚に多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸や、オリーブ油に多く含まれる一価不飽和脂肪酸を多くするように心がけることが健康的な「あぶら」のとり方です。

(1)   揚げ物にサラダ油。炒め物にごま油。パスタにオリーブ油とバランスよく料理に使い分け、1日の使用量を大さじ1~2杯までに抑える。
(2)   バラ肉、ベーコン、鶏肉の皮などはできるだけ控える。
(3)   魚の干物は酸化し易いので、新鮮なものを購入し、早く食べきる。
   
 
特定保健用食品に指定されている油
  「体に脂肪が付きにくい」「脂肪の吸収を抑える」などの表示がある食用油が市場に出回っています。あくまで、一般の食用油を使ったときと比べた場合に、表示されているような効果が得られると理解して使うことが必要です。特定保健用の油も1gは9キロカロリーなので、1日の使用量は普通の油と同程度にすることが勧められます。食べるほど効果が上がるものではないです。

 

 

2008年10月28日