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健康まめ知識

健康診断でコレステロール値が気になったら?知っておきたい対策法(2023年11月)

コレステロールは、私たちの健康に大きな影響を及ぼす物質の一つです。コレステロール値が気になる方、あるいは高いと診断された方々にとって、その役割や対策法について知っておくことは非常に重要です。この記事では、コレステロールの種類や役割について解説したうえで、コレステロール値を下げる方法や対策法をご紹介します。

◆コレステロールの種類

コレステロールは一つの単語で表されますが、実際には2つの主要なタイプがあります。それぞれ役割や健康への影響も異なるため、しっかり把握しておきましょう。

◎HDLコレステロール:

HDLコレステロールは「高密度リポプロテインコレステロール」の略で、通常「善玉コレステロール」と呼ばれます。血管の中から余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きをします。HDLコレステロールが正常に働くと、血管の詰まりを予防し、心臓疾患のリスク低減に有効です。

◎LDLコレステロール:

一方、LDLコレステロールは「低密度リポプロテインコレステロール」の略で、「悪玉コレステロール」とも呼ばれます。LDLコレステロールの主な働きは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶことです。しかし、LDLコレステロールは、過剰になると血管の内壁に沈着し、プラーク(動脈硬化)の形成を促進します。このプラークが成長すると、血管が狭くなり、血液の流れが阻害され、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めてしまうのです。

◎コレステロール値が高くなるとどうなる?

コレステロール値が高い状態、とくにLDLコレステロールが過剰に存在する場合、心臓疾患や血管疾患のリスクが高まります。これは、血管の内壁にコレステロールが蓄積してしまうことにより、動脈硬化が進行するためです。結果として、心臓への酸素供給が制約され、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を引き起こす可能性が増加します。コレステロール値の高さは、高血圧や糖尿病といった他のリスク要因と相まって、心臓疾患の危険性を増加させるため注意しましょう。

◆コレステロールの役割

コレステロールは体に悪いイメージをもたれている方も多くいますが、それぞれ体内で重要な役割を果たしており、一概に「体に悪い」とはいい切れません。

LDLコレステロールは、通常細胞内に取り込まれ、細胞膜の形成やホルモンを生み出す役割があります。

HDLコレステロールの役割は、組織に蓄積した余分なコレステロールを肝臓に戻すことです。コレステロールの代謝を調整し、体内のコレステロールバランスを保つ重要な働きを持っています。

コレステロールが不足すると、肌や髪の潤いや艶が失われたり細菌に感染しやすくなったりするおそれがあります。さらに血管の細胞が脆くなり、脳内出血などのリスクが高くなるため注意が必要です。

◆コレステロール値を下げる対策法

コレステロール値を正常な範囲に保つためには、食生活と生活習慣の見直しが必要です。以下は、コレステロール値を下げるための対策法です。

◎健康的な食事

飽和脂肪酸を制限し、トランス脂肪酸を避けることが重要です。これは、加工食品やファーストフードに多く含まれています。1日3食バランスの取れた食事を心がけ、間食や夜食は控えるようにしましょう。魚、大豆製品、野菜、果物、全粒穀物、ナッツ類、健康的な油(オリーブオイルなど)を中心とした食事がおすすめです。

◎適度な運動

週に150分以上の有酸素運動を行うのが望ましいとされていますが、まずは少しずつ習慣化していくことが大切です。運動はHDLコレステロールを増加させ、LDLコレステロールを減少させる効果が期待できます。早歩きのウォーキングやヨガなど、有酸素運動と呼ばれる運動から始めてみましょう。

◎喫煙とアルコールの制限

喫煙をやめ、アルコール摂取を適度に制限することで、コレステロール値の改善が期待できます。喫煙や過度なアルコール摂取は、動脈硬化を高める要因になるといわれています。

◎薬物療法:

高コレステロール症の治療には、医師の指導のもとでコレステロール降下薬が使われることがあります。これは、食事療法と運動だけでは効果が不十分な場合に選択されます。

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コレステロールは私たちの体にとって欠かせない物質です。HDLコレステロールとLDLコレステロールの適切な管理は、心臓疾患や血管疾患のリスクを軽減するのに効果的です。健康診断や血液検査でコレステロール値に問題がある場合は、ご紹介した方法でコレステロール値を下げる対策を行うことをおすすめします。バランスの良い食事と規則正しい生活習慣を維持し、コレステロール値を適切な範囲に保ちながら健康な毎日を送りましょう。

2023年11月02日