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健康まめ知識

冬の脱水症の予防と対策のために、電解質を意識して水分補給をしよう(2021年12月)

冬は、汗をかく機会があまりなく水分を失っている自覚も少ないため、飲料摂取量が少なくなってしまう傾向にあります。空気の乾燥により体の水分も失われやすく、脱水を引き起こす可能性が高い季節といえます。また、ノロウイルスやインフルエンザなど、感染症にかかりやすい季節でもあるため、下痢や嘔吐で脱水症に陥ってしまう人も珍しくありません。今回は、そんな冬場の水分補給をより効果的にする、「電解質」についてご紹介します。

 

 

◆電解質とは?

電解質とは、水に溶けると電気を通す性質をもった物質のことです。人間の体の水分(体液)には、もともと電解質が含まれています。水中では電解質は電気を帯びたイオンになり、体内の水分量やpHを一定に保ったり、神経細胞や筋肉細胞の働きにかかわったりしています。

電解質はそれぞれバランスを取りながら、生命の維持に重要な役割を果たしています。そのため、バランスが崩れてしまうと腎機能やホルモンの働きが低下し、命にかかわることもあるのです。

 

◆おもな電解質とその役割

おもな電解質は、ナトリウム・クロール・カリウム・マグネシウム・カルシウムの5つです。これらは、5大栄養素のうちのミネラルに属します。こちらでは、それぞれの働きや性質をご紹介します。

 

・ナトリウム (Na)

ナトリウムは、体の水分や浸透圧を調節する働きを持っています。神経伝達や筋肉の収縮にも深いかかわりをもつ成分です。

 

・クロール(Cl)

大部分のクロールはナトリウムとともに存在しており、体の水分量や浸透圧の調節などを行っています。胃酸の分泌や酸塩基平衡の維持にもかかわる成分です。

 

・カリウム(K)

神経伝達や筋肉の収縮、心臓の収縮にかかわります。カリウムが低くなると神経麻痺や摂食障害、高くなると不整脈や腎不全などが起こる可能性が高く、生命維持に大きな役割を果たしている重要な成分です。

 

・マグネシウム(Mg)

マグネシウムは神経や筋肉を正常に機能させ、骨や歯を作る働きをもちます。また、体内にある酵素も、マグネシウムがなければ正常に機能しません。カルシウムやカリウムの代謝にもかかわる成分です。

 

・カルシウム(Ca)

カルシウムは、骨や歯を作ったり、血液を凝固させたりする働きをしています。体内のカルシウムの99%は、骨や歯などに蓄えられており、血中のカルシウム濃度が低下すると、骨から血液中に移動して濃度を保っています。

 

◆より効果的に水分補給するためのポイント

普段の生活をするうえでは、定期的に適量の水分を摂るように心がけていれば何も問題はありません。しかし、大量に汗をかいたときや、風邪や胃腸炎などにかかって嘔吐や下痢の症状があるときなどは注意が必要です。水分とともに電解質も失っていることになるため、水やお茶だけでは適切な水分補給ができているとはいえません。

 

電解質を失った状態で水を飲んだ場合は、一時的に体液が増え、体液における電解質の濃度が下がります。すると体は、電解質の濃度を一定に保とうとして、過剰な水分を尿として排出してしまうのです。結果として体液量が回復できず、水分補給ができていない状態を「自発的脱水」と呼びます。このような場合、電解質を含む飲料で水分補給すれば、体液を薄めずに水分補給ができます。水分とともに電解質を失った場合は、経口補水液やイオン飲料で水分補給することが大切です。

 

脱水症の予防には、塩分濃度が0.1~0.2%のスポーツドリンクなどが有効です。脱水症が発生した場合は、スポーツドリンクに比べナトリウム量が多く水分吸収速度の速い経口補水液が適しています。

 

 

より効果的に水分補給するために、意識しておきたい電解質についてご紹介しました。電解質は、生命を維持するためになくてはならない存在です。感染症にかかりやすく脱水症を起こしやすい冬は、電解質を含む経口補水液やイオン飲料を常備してみてはいかがでしょうか。

2021年12月03日