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健康まめ知識

加齢性難聴は認知症のリスクにもつながる?初期症状と予防法(2024年2月)

年齢を重ねる中で直面する「加齢性難聴」。その影響は、単なる聴力低下だけではないかもしれません。加齢性難聴の進行を緩やかにするためには、早い段階で症状に気づくことが大切です。放置していると、認知症や命にかかわるリスクと結びつく可能性があるため注意しましょう。本記事では、加齢性難聴への理解を深めながら、初期症状や予防法についてご紹介します。

◆加齢性難聴とは?

◎どんな病気?

加齢性難聴とは、内耳にある蝸牛の有毛細胞に損傷が生じることで引き起こされる感音難聴のことです。細胞数の減少や聴毛が抜け落ちることで、聴力の低下が進行します。加齢以外にも、神経回路や脳の認知機能低下が影響している可能性も指摘されています。

◎加齢性難聴の初期症状

加齢性難聴の初期症状はさまざまですが、気づきにくいサインも存在するため注意しましょう。たとえば、テレビの音が聞こえづらくなり、音量を上げることが増えたり、電子機器や家電の音に気づけなくなったりするなどの症状には注意が必要です。また、耳鳴りがする、話し声が大きくなるなどの症状が現れることもあります。

◎加齢性難聴の治療法は?

現代医学では、加齢性難聴を完治することは難しいとされています。一度減少してしまった内耳の感覚細胞を元に戻すことは不可能です。しかし、難聴の原因が加齢性難聴でない場合、投薬や手術で治療ができる可能性もあります。歳のせいと決めつけずに、初期症状に気づいたらすぐに耳鼻咽喉科に診てもらうようにしましょう。

◆加齢性難聴によるリスク

・外出時や災害時の危険に気づきにくい

外出時、車のクラクションや後方の自転車に気づかないなど、事故などに遭いやすくなる危険性があります。また、災害を知らせる警報に気づけなかった場合、避難が遅れて命にかかわるおそれもあるため注意が必要です。

・認知症のリスクが高まる可能性がある

近年の研究からは、加齢性難聴と認知症の関連性が浮上しています。聴力低下が神経回路や脳の認知機能に影響を与え、認知症の初期症状が現れる可能性があると指摘されているのです。フランスでは、65歳以上を対象に認知症テストを行いました。それによると、難聴があり補聴器を使用していない人の結果が、同じく難聴があり補聴器を使用している人よりも悪かったという結果が出ています。難聴への適切な対処は、認知症の予防にもつながると考えられます。

◆加齢性難聴は初期症状に気づくことが大切

加齢性難聴は、根本的な治療法がありません。しかし、初期症状に気づいて適切な対処をすれば、病気の進行を抑えることが可能です。初期症状に気づいたら、すぐに耳鼻咽喉科へ受診しましょう。早期に補聴器をつかって聞こえをサポートすることで、加齢性難聴の進行を緩やかにできます。

◆加齢性難聴悪化の原因と予防法

◎加齢性難聴が悪化する原因

加齢性難聴の原因は加齢ですが、悪化する主な原因は、騒音環境に置かれることによる音響外傷です。騒音など大きな音が出ている場所で仕事をしている人や、大音量でテレビを見たり音楽を聴いたりしている人は注意しましょう。

また、糖尿病や動脈硬化、高血圧なども、神経機能を低下させるため難聴の原因になります。そのほか、血流の悪化を招くため、飲酒・喫煙も原因になります。

◎加齢性難聴の予防法
・騒音を避ける

加齢性難聴を予防するためには、騒音の出る場所を避けることが重要です。大音量でテレビを見たり音楽を聴いたりすることも、内耳の有毛細胞を壊し、難聴の発生につながるおそれがあるため音量に注意しましょう。

・生活習慣の見直し

加齢性難聴の予防においては、健康的な生活習慣が重要です。バランスの取れた食事、適度な運動・睡眠、禁酒、禁煙などは、加齢性難聴の予防法として挙げられます。また、定期的な耳の健康チェックや聴覚検査も重要です。これらの生活を普段から心がければ、加齢性難聴の予防が期待されます。

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加齢性難聴のリスクや予防法をご紹介しました。現代の医療では根本的な治療法がないため、加齢性難聴が発生したら補聴器で聴力を補いながら悪化を防ぐという対応が必要になります。認知症の進行につながるリスクも懸念されているため、初期症状に気づいたらすぐに耳鼻咽喉科に相談しましょう。加齢性難聴についての理解を深めると同時に、その重要性を認識し、適切なケアや予防策を積極的に取り入れることが、健康な耳と認知機能の維持につながります。

2024年02月01日