コーヒーの飲みすぎは危険?健康的にコーヒーを楽しむための目安量(2022年12月)
朝、起き抜けに飲んだり、甘いお菓子とのペアリングを楽しんだり、毎日コーヒーを飲む習慣があるという方は多いのではないでしょうか。アフリカ大陸で発見されてから、栽培方法やコーヒー文化が世界中に広まり、現在では多くの人に愛飲されています。しかし、コーヒーはカフェインを多く含むため、「飲みすぎは体に悪い」と考える方も多いでしょう。そこで今回は、コーヒーの過剰摂取が体に悪いといわれる理由や、コーヒーを飲むことで得られるメリット、1日の目安量などをご紹介します。
◆コーヒーの飲みすぎは危険って本当?
コーヒーはカフェインが含まれているため、体に悪いというイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。まずは、カフェインの摂りすぎが原因で引き起こされるおそれのある症状をご紹介します。
・不眠
カフェインには眠気覚ましの効果があることで知られていますが、これはカフェインに覚醒効果があるためです。人は、脳内で「アデノシン」という物質が「アデノシン受容体」と結合することで眠気を感じます。コーヒーを飲むと、カフェインがアデノシンの働きを邪魔するため、眠気を感じにくいといわれています。
しかし、カフェインを過剰に摂取すると心拍数の増加やめまい、不安、震えなどの症状が出ることもあるため摂りすぎには注意が必要です。興奮状態が続いて眠れなくなるなど、眠りに悪影響を及ぼすおそれがあります。
・消化器系への悪影響
コーヒーを飲むと、胃のむかつきや吐き気などの症状が出る場合もあります。カフェインの摂りすぎで興奮状態になると、消化器官に悪影響が及ぶことがあるためです。下痢や嘔吐などの症状が出る場合もあるため、胃腸の調子が悪いときなどは、コーヒーは避けるのが無難です。
・胎児への悪影響
カフェインの胎児への影響はまだ確定していませんが、自然流産や胎児発育遅延などが懸念されることから、過剰摂取は控えたほうが好ましいと考えられています。妊娠中や授乳中などはコーヒーの摂取を控えることが推奨されています。肝機能などが未熟な赤ちゃんは、成人よりもカフェインの影響を受けやすいとされているのです。
◆コーヒーを飲むことで得られるメリット
コーヒーには、「クロロゲン酸」というポリフェノールが赤ワインに匹敵する量で含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用があるため、体内の活性酸素を追い出し、若々しい体を保つのに効果的です。活性酸素が原因で引き起こされる生活習慣病の予防にも効果があるとされ、研究が進められています。
また、コーヒーのいい香りにはリラックス効果があります。コーヒーの香りで気分が落ち着いたり、幸せな気持ちになったりする人も多いのではないでしょうか。忙しいときや疲れているときなど、コーヒーを淹れて一息ついてみるのもおすすめです。
◆1日あたりの適切なコーヒーの摂取量
カフェインの適切な摂取量に関しては個人差があるとされているため、国や地域によって異なります。日本をはじめ、海外でも具体的な数値などは定められていません。
胎児への影響が懸念されている妊娠中・授乳中の方に対しては、各国で摂取量の目安が定められています。WHOを例に挙げると、「妊婦はコーヒーの摂取量を1日に3~4杯までにすべき」としています。
粉末10g熱湯150mlで抽出した場合、コーヒー100mlあたりのカフェイン量は60mg。インスタントコーヒー2gを熱湯140mlで溶かした場合は、57mgが目安です。
【出典】食品安全委員会 ファクトシート「食品中のカフェイン」
近年、カフェインを多く含むエナジードリンクの過剰摂取が原因の急性中毒が相次いでいます。なかには心肺停止や死亡に至る例もあり、カフェインの大量摂取による健康被害について注意が呼びかけられています。心停止に至ったケースでは、いずれもカフェインを6g以上摂取していたというデータもあるため、摂取量の目安にしてみてください。
コーヒーは過剰摂取による危険性も懸念されていますが、さまざまなメリットも期待できます。適量を守りながら、健康的に毎日のコーヒータイムを楽しみましょう。