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健康まめ知識

「地震酔い」 その予防と対処法!(2011年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
「地震酔い」 その予防と対処法!

未曾有の大震災発生から半月以上が経過しました。被災者の皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

避難所での生活を余儀なくされている方はもちろん、その他の地域の方も、余震や原発事故への不安、停電や断水、そして様々な品不足など、普段通りの暮らしができない環境に身を置く方が多いのではないでしょうか。しかし、こんな時だからこそ、体調管理にはいつも以上に気を付けたいものです。今回は、被災者の後遺症ともいえる“地震酔い”についてお話しします。

 
     

 

地震酔いとは
 

地震酔いとは 東北地方太平洋地震の発生以降、「実際には地震が起きていないのに揺れているような感じがする」「目まいや吐き気がする」といった症状を訴える人が増えているそうです。大地震を経験した恐怖や、悲惨な光景をテレビや新聞で見たショックなどがトラウマになっているせいとも考えられますが、それ以上に、頻発する余震の影響で「地震酔い」をしている可能性が高いと思われます。
地震酔いは「後揺れ症候群」と呼ばれるもので、車酔いや船酔いなどのいわゆる「乗り物酔い」と同じようなものです。

車酔いや船酔いは視覚情報と平衡感覚とのズレが原因で起こりますが、地震酔いも原理は同じで、地震によって身体が揺れることで三半規管で感じる平衡感覚がズレて、目まいや吐き気などが起こります。
しかし何故「実際には揺れていないのに揺れているように感じる」のでしょうか。これは、人間の脳が持つ「速度蓄積機構」というシステムのせいで、このシステムが、直前に体験した加速度や回転の情報を蓄えているために地震酔いが起こると考えられます。皆さんも、ボートやつり橋など、常に揺れている環境でしばらく過ごした後、大地の上に立っているのに自分の体が揺れているような感覚を味わったことはないでしょうか?地震酔いもこの感覚と同じような現象ですが、地震は特に、人体に与える刺激が強いため揺れている感覚が残りやすいのです。

地震酔いは周期が長い揺れが何度も続く場合に起きやすいと言われますが、今回の地震は揺れた時間が長く、余震の回数も多いため、症状を訴える人が多いようです。また、「余震がまた来るかも知れない」という不安感やストレスが揺れに対する感覚を敏感にさせ、症状を強めている面もあると考えられています。

   
地震酔いの対処法
   乗り物酔いをした場合、車や船から降りてしばらくすれば自然と治るのと同じように、地震酔いもほとんどの人は時間の経過と共に症状は軽くなっていきます。また、余震が今後も続いたとしても、徐々に揺れに身体が慣れて、地震酔いする人は減ってくると考えられています。

吐き気や目まい、不快感など、どうしても耐えられない場合は乗り物酔いの薬を服用すると楽になる場合もありますが、まずは深呼吸してリラックスするようにしてみましょう。
<地震酔いの予防・対処法>

ゆっくり深呼吸して、リラックスする 深呼吸
 

気分の悪さを感じたら、ゆっくりとした呼吸で気持ちを落ち着けましょう。一度大きくゆっくりと息を吐き出すと、自然と呼吸が整います。その後、緊張や不快感が和らぐまで何度か深呼吸を繰り返してみましょう。

身体をリラックスさせる
 

ネクタイやベルト、身体を締め付ける下着などは避け、身体をリラックスさせるようにしましょう。

水分を摂る
  口の渇きを感じる場合は、水やスポーツドリンクなどを飲みましょう。飲み水が不足しているときも、少し口に含むだけでも効果があるので試してみてください。ハーブティーなど、香りにリラックスやリフレッシュ効果のあるドリンクでも良いでしょう。
しっかりと睡眠をとる
 

睡眠不足も地震酔いの要因になります。不安や寒さなどでなかなか寝付けない場合もあるかと思いますが、睡眠不足は様々な体調不良の原因にもなるので、睡眠の確保を心がけてください。

睡眠
ストレスをためない
 

不自由な暮らしや不安のせいでストレスが溜まりやすくなっていますが、身体だけでなく神経を休めることも大切です。軽い運動をする、温かいお茶を飲む、周囲の人と会話するなど、気持ちを楽にできることを見つけてください。

 
 
皮肉な話ですが、今回の大震災がきっかけで、「命の大切さ」や「生きている喜び」に改めて気づいたという声も多く聞かれます。不安な日々が続いていますが、一日も早い復興のためにも、健康第一で前向きに過ごして行きましょう!

 

 

2011年04月28日