画像

健康まめ知識

冬だからこそ注意!お風呂での突然死を防ぐ入浴のポイント(2016年1月)

イラスト

毎日のバスタイムを楽しみにしている、という方も大勢いらっしゃると思いますが、一方で入浴中に突然死してしまう人は毎年推定1万5千人にものぼる、ということをご存じでしょうか?特に、毎年11月~3月の冬季に起こりやすい事故であり、原因としては心筋梗塞や脳卒中、その他、貧血や溺死、転倒による事故などが挙げられます。

 

今回は、なぜこうした事故が起こってしまうのか?そして、その事故を未然に防ぐためにはどうすれば良いか?についてご紹介します。気持ちの良い入浴を安全に楽しむために、ぜひご覧ください。

 

◆血圧変動のメカニズム

まずは、入浴前~中に私たちの体で何が起こっているのかを、血圧にスポットをあててみましょう。

 

はじめに、暖かい部屋からひんやりとした脱衣所に移動し服を脱ぐと、そこで末梢血管が収縮し血圧が上がります。そして、早く温まりたいという気持ちから熱いお湯へすぐ体を沈めると、今度は交感神経が緊張し、血管がさらに収縮して血圧が上がります。

その後、しばらくお湯に浸かっていると血管が拡張してくるのですが、この時には急速に血圧が低下。その結果、血流がゆるやかになります。体や頭を洗うために湯船から出ると、今度は浴室内の寒さのせいで血圧が上昇してしまいます。

 

このように、入浴というのは血圧の上昇・下降を何度か繰り返すような行為です。血圧の上昇中は血管に圧力がかかるので、脳出血のリスクが高まります。反対に、急下降は血流悪化を招き、心筋梗塞や脳梗塞にもつながる可能性が。その他にも、脳貧血を起こして浴室内での事故を招くケースもないとは言えません。

もちろん、入浴自体が体に悪いかと言うとそれは違いますが、あくまでこうしたメカニズムがあり、血管に負担がかかっているのだということを忘れないでください。

 

◆入浴中の発作予防のポイント

ここからは、入浴時の突然死といった事故を防ぐための方法についてご紹介します。

◎お湯の温度は40度以下に設定しましょう

イラスト突然死が起こるお湯の温度は41度以上と言われています。また、42~43度までになると、死亡事故の確率も高くなるという傾向があるのだとか。これはお湯の温度が高いほど血圧の急上昇につながるからと言われています。そのため、どんなに寒くてもお湯の温度は40度以下に設定することを心がけましょう。

◎脱衣所や浴室は暖かくしましょう

イラスト日本の浴室には、ほとんどと言っていいほど暖房設備がありません。というのも、実は欧米諸国の場合、バスルームに暖房があるのは当たり前なのだとか。こうした背景もあり、日本ではお風呂での突然死が多いとも言われています。そのため、入浴前には脱衣所や浴室をあらかじめ温めておくのが大切です。たとえば、脱衣所に小型の暖房を置いてみたり、浴室に入る前に数分程度熱めのシャワー出しっ放しにしたりといった方法を試してみてください。

◎血圧上昇中の入浴は控えましょう

イラストお酒を飲むと血圧が高くなるのは、多くの方が実感されているでしょう。そのため、飲酒した状態での入浴は非常に危険と言えます。必ず体内からアルコールが抜けてから利用することを徹底してください。ちなみに、外から帰宅した直後なども血圧は高めです。特に冬は早く温まりたい気持ちも分かりますが、少し休んでから入浴をするようにしてください。

 

◆お風呂でゆったりリラックスタイムを

お湯に浸かるのはさまざまなメリットがあります。たとえば、浮力効果によって体が軽く感じ、筋肉の緊張がほぐれ、気持ちがリラックスします。また、水圧によるマッサージ効果も、血行の促進による血液循環の改善で、疲労や足のむくみに効果的です。その他、温熱効果によって発汗が促されれば、それだけで新陳代謝が進み、心も体もリラックスできるでしょう。

 

そのため、時間があるならシャワーで済ますのではなく、ゆったりと浴槽に浸かってリラックスタイムを過ごすのがお勧めです。その際には、今回ご紹介したようなポイントに留意し、突然死などといったトラブルが起こらないよう気をつけてくださいね。

2015年12月25日