怒りが健康に与える影響とは?アンガーマネジメントを身につけよう!(2022年7月)
思い通りにいかないことがあったときや身勝手な人に振り回されたときなど、イライラして怒鳴ったり周りに当たったりしてしまうこともあるでしょう。怒ることに対してネガティブなイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、怒りの感情そのものは決して悪いものではありません。しかし、怒りやイライラなどのストレスは、健康に悪影響を及ぼすとされています。怒りやストレスはなくすことはできませんが、だからこそうまく付き合っていくことが大切です。そこで今回は、怒りが健康に与える影響や、怒りを管理する「アンガーマネジメント」を身につける方法などをご紹介します。
◆怒りが健康に与える影響
「怒ると血圧が上がる」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。血圧とは、心臓から送り出された血液が血管内部にかける圧力のことです。心臓は脳の命令ではなく自律神経の働きで動いており、怒りを感じると自律神経が乱れるといわれています。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類がありますが、怒りやイライラなどの心的ストレスは交感神経の活動を活発にさせます。交感神経は、心臓の鼓動を早めたり血管を収縮させたりする働きがあるため、怒ると血圧が上がるといわれているのです。ストレスや高血圧は、健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
◆アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントとは、怒りの感情とうまく付き合いコントロールするための手法です。誤解されることもありますが、アンガーマネジメントは怒らないことを目標とするものではありません。怒りの感情とうまく付き合い、発生した怒りをうまく扱いながら適切な対応をすることを目標とするものです。身につけることでさまざまな効果が期待できるとして、家庭や職場はもちろん、スポーツ界などでも注目されています。
◆アンガーマネジメントを身につける方法
アンガーマネジメントを身につけるためには、自分の意識から変えていく必要があります。ここでは、すぐに実践できる怒りをコントロールするテクニックをご紹介します。
・ストップシンキング(思考停止)
怒りを感じたときに、まず思考を停止させる方法です。怒りの感情を態度・行動に移す前に、思考を強制的に断ち切りましょう。怒りが継続する時間は6秒間といわれているため、何も考えずにピークが過ぎるのを待つことで怒りが増幅してしまうのを防げます。
・スケールテクニック(怒りの数値化)
怒りの度合いを客観的に見て、10段階評価やパーセンテージなどで数値化する方法です。数値化を癖づければ、「今日は○%だから先日ほどではない」と気づけることもあるでしょう。
・グラウンディング(意識をそらす)
怒りを感じたら、怒りの対象となるものから意識をそらし、まったく関係のないものに注意を向ける方法です。たとえば空を見上げてみたり、時計の秒針を目で追ってみたり、別のものに集中してみましょう。怒りの感情から意識をそらすことで、距離を置いて冷静に考えることができます。
・コーピングマントラ(心が落ち着く言葉を唱える)
心が落ち着く言葉を心の中で唱え、怒りが収まるのを待つ方法です。「大丈夫」「問題ない」など、気持ちを落ち着かせる言葉を自分自身に投げかけることで、冷静に対処できることがあります。好きな人やペットの名前など、心が落ち着く言葉であればなんでも構いません。
・タイムアウト(仕切り直す)
上記のテクニックを試しても怒りが抑えられない場合は、一旦その場から離れ、仕切り直しましょう。休憩を挟んだり後日改めて話し合いの場を設けたりすることで、冷静に怒りの原因と向き合うことができます。どうしても怒りが収まらないときは、無理に抑え込まず、時間をしっかり置いてみてください。
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怒りの感情が健康に与える影響や、怒りを管理するアンガーマネジメントのテクニックなどをご紹介しました。怒りの感情は、避けることができない自然な感情の一つです。怒りに振り回され、心や体に悪影響が及ぶのを防ぐためには、怒りの感情とうまく付き合っていくことが大切です。体のためにも、心穏やかに過ごせるようアンガーマネジメントを身につけてみてください。