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まめ知識カテゴリ: 胃・腸

腸内環境から健康に!お腹を健やかに整えよう(2020年4月)

腸内環境は私たちの健康と深いかかわりがあります。消化や吸収のほかにも、多くの大切な機能がある腸。普段の生活習慣や食習慣によって、腸内環境が乱れないように過ごしましょう。ここでは、腸の役割やお腹を健やかに整えるポイントをお伝えしていきます。毎日の健康維持にお役立てください。

 

◆腸内環境とは?どうして整える必要があるの?

私たちの体にある腸が、食べ物の消化と吸収にかかわる大切なはたらきをしていることは、多くの方がご存知でしょう。しかし、腸の役割はそれだけではありません。

 

実は、腸は自律神経と深いかかわりのある器官です。自律神経には、心身の緊張とリラックスを切り替え、コントロールする役割があります。腸は神経細胞が多い器官であり、私たちの感情とも密接に関係するといわれます。また、人間の体内にある免疫細胞のうち、5割以上が腸に存在するともいわれ、体を守るはたらきを担っているのです。

 

このように、多くの大切な機能を備えている腸。ところが、そんな腸のはたらきは、生活習慣の乱れにより低下してしまうことがあります。腸内環境が悪化すると、便秘や下痢のほか、肥満や肌荒れなどさまざまな不調につながることも。腸内環境を健やかに保つことは、日々の健康維持にも欠かせません。

 

◆腸内フローラのはたらき

人間の腸内には、1,000兆個を超える細菌が住んでいるといわれます。これらの大量の細菌が住む様子が、まるで花畑のように見えることから、腸内細菌は「腸内フローラ」とも呼ばれます。「フローラ(flora)」とは、英語で花畑を意味する言葉です。

 

腸内フローラには、体に良いはたらきをする「善玉菌」、悪いはたらきをする「悪玉菌」、どちらでもない「日和見菌(ひよりみきん)」という種類があります。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち、数が多く優勢なほうの味方となる細菌です。

 

バランスの良好な腸内フローラは、食べ物を栄養のある物質へと作り変えたり、体を守ったりするはたらきがあります。一方で、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化すると、お腹の調子が悪くなり便秘や下痢につながります。

 

健康のためには、腸内フローラを善玉菌が多い状態に保ち、お腹の調子を整えることが大切です。ここからは、腸内環境を整える生活習慣や食生活についてご紹介します。

 

◆腸内環境を整える生活習慣

腸内環境を整えるために、朝~昼は活動的に過ごし、夕方~夜はリラックスして過ごしましょう。自律神経が自然と切り替わるような生活リズムが理想です。朝、目が覚めたら1杯の水を飲み、朝食を取ってください。腸に刺激を与えて排便を促しましょう。一方で、交感神経と副交感神経が切り替わる夕方以降には、軽い運動と軽い食事を心がけます。睡眠不足やストレスは、自律神経の乱れにつながるため、できるだけ解消につとめてください。

 

◆腸内環境を整える食生活

食生活から腸内環境を整えるうえでは、善玉菌を含む食品と、善玉菌のエサとなる食品をバランス良く摂ることが大切です。善玉菌を含む食品の例には、ヨーグルト・チーズ・納豆をはじめとした発酵食品が挙げられます。また、乳酸菌やビフィズス菌を含む整腸剤を摂る方法もあります。一方で、食物繊維やオリゴ糖を豊富に含む食品は、善玉菌のエサとなります。野菜類・果物・豆類をはじめとした食品も、併せて取り入れましょう。

 

今回は、私たちの腸内環境を整える大切さや、腸内フローラのはたらきについてご紹介しました。自律神経が自然と切り替わる生活習慣や、善玉菌および善玉菌のエサを取り入れた食生活で、腸内を健康的に保ちましょう。

 

ブロッコリーを食べて健康になろう!(2017年10月)

 

ブロッコリーは食べやすく、そして季節を問わず手に入れやすいため、普段からよく食べているという方も多いのではないでしょうか?そんな身近な食材であるブロッコリーですが、実は健康に良い成分が豊富に含まれています。最近あまり体調が良くないという方は、食事にブロッコリーをたくさん取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

◆貧血予防に効果的なブロッコリー

ブロッコリーに効果が期待できるのは貧血予防です。貧血は鉄分が不足することで起こります。鉄分は、ヘモグロビンの成分となり酸素の運搬を行う働きがあるため、不足すると血液の巡りが悪くなってしまうのです。ブロッコリーは野菜の中でも特に鉄分が豊富なため、たくさん食べれば鉄分不足の予防につながります。

 

ブロッコリーに含まれている有効な成分は、鉄分だけではありません。鉄分の吸収率を高めるビタミンCや、造血作用のある葉酸も豊富に含まれています。特にビタミンCはレモンの3倍も含まれていて、2房食べるだけで1日分のビタミン必要量を満たせるといわれています。

 

ブロッコリーを他の食材と合わせるのもおすすめです。例えば、牛・豚・鶏のレバーや青魚といった食材には、鉄分が豊富に含まれています。しかし、鉄分の吸収を促す栄養素を一緒に摂らなければ、うまく体内で吸収することができません。レバーや青魚を食べる際には、ブロッコリーを取り入れて、健康効果を高めましょう。

 

◆便秘解消にも役立つ!

ブロッコリーには、食物繊維が100gあたり4.4gと、野菜の中でもトップクラスに多く含まれています。食物繊維には腸内の働きを良くしてくれる働きがあり、便秘の解消に大変効果的です。

 

食物繊維は、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2つに分けられます。ブロッコリーに含まれる食物繊維は不溶性で、水に溶けません。不溶性食物繊維は腸内で水分を吸収して膨らみ、便をかさ増しして腸壁を刺激し、蠕動(ぜんどう)運動を促す効果があります。そのため、たくさん摂ることで便通が促進されるのです。

 

ただし、不溶性食物繊維だけを摂っても、あまり効果が期待できません。不溶性食物繊維には便を固くする作用もあるため、摂り過ぎると便秘を悪化させてしまうおそれもあります。理想は水溶性と不溶性の食物繊維を2:1の割合で摂ることです。水溶性食物繊維には便を柔らかくする働きがあるため、不溶性食物繊維による便を固くする働きを和らげることができます。ブロッコリーを食べるときは、水溶性食物繊維が多く含まれるりんご・にんじん・こんにゃく・海藻類も合わせることをおすすめします。

 

◆ブロッコリーの栄養をこわさない調理法は?

豊富に栄養を含むブロッコリーですが、調理法によって貴重な栄養素が流れ出てしまうことがあります。ブロッコリーを食べるときは調理のしかたに気をつけておきましょう。

 

ブロッコリーを茹で過ぎると、水溶性であるビタミンCが失われてしまいます。包丁で茎の部分に切れ込みを入れて茹で時間を短縮するなど、工夫をしてみてください。あるいは、電子レンジでそのまま加熱したり、鍋に少量の水とブロッコリーを入れフタをして蒸したりする調理法も便利です。

 

また、ブロッコリーをスープに入れると、流れ出た栄養素まで丸ごと摂れるのでおすすめです。例えばシチューのように肉や他の野菜がたっぷり入ったメニューを選べば、バランス良くブロッコリーを食べられます。寒い季節には、ブロッコリーを使った温かいメニューで健康を目指しましょう。

 

ブロッコリーには貧血・便秘などのさまざまな症状を防ぐ効果があります。ブロッコリーに含まれる栄養素が流れ出てしまわないためにも、調理法にも工夫をしてみてください。健康のために、身近な野菜であるブロッコリーをお役立てください。

アボカドは栄養の宝庫! でも食べ過ぎには要注意!(2017年2月)

「森のバター」とも呼ばれるアボカドは、とても健康に良い食材です。老化の防止、体内のデトックス、血液をサラサラにするなど様々な効果があります。脂肪の燃焼にもよく、ダイエットにもおすすめの食べ物。ただ、果物の中ではカロリーが高い部類に入るので、食べ過ぎには注意が必要です。今回は、アボガドの持つパワーと、食べるときの注意点についてご説明します。

◆アボカドに含まれる栄養素の紹介

アボカドは果物の中で最も栄養価が高いといわれる食材です。皮膚の新陳代謝を高めてシミやそばかすを防止してくれるビタミンEや、皮膚や粘膜の正常保持効果があるビタミンA、免疫力アップや、コラーゲンの生成を促進してくれるビタミンCなどが豊富に含まれています。これらの成分を取るとアンチエイジング効果も期待できます。

ビタミン以外の栄養素にも着目。アボカドのコエンザイムQ10には生活習慣病予防や美肌効果があり、カルシウムやリンには骨を強くする働きがあります。さらにグルタチオンという成分には解毒を促進させて肝臓を助ける働きがあるので、飲酒・喫煙で疲れた肝臓を癒す力も。また、アボカドに含まれるビタミンEの抗酸化作用はがんの予防、プロトカテク酸にはがん細胞の増殖を抑制する効果があるといわれています。

アボカドには脂肪分が多いですが、体に良いタイプの脂肪なので摂っても問題ありません。

アボカドにはリノール酸やオレイン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸が含まれています。これには悪玉コレステロールを抑える働きがあるので、むしろ体にとっていい働きが期待できるでしょう。コレステロールの吸収を抑えられると血液がサラサラになり、動脈硬化の予防につながります。アボカドを一つ食べるだけで、これだけ多くの栄養素を摂取することができるのです。

◆デトックス効果もあり、ダイエットの食事にもおすすめ

アボカドにはさらに、デトックス効果も期待できます。アボカドにはゴボウ1本分もの豊富な食物繊維が含まれていますが、食物繊維には腸内の環境を良くしてくれる効果があるので、便秘に悩む人には心強い味方です。またアボカドに含まれるカリウムには、摂り過ぎたナトリウムを尿として排出してくれる働きも。余分なナトリウムが体内から出ていくことで、高血圧の予防にもつながります。現代は塩分過多の食事が問題視されますので、カリウムは積極的に摂っておきたい成分の1つです。

また、脂肪を燃焼してくれるうえに満腹感も高いのでダイエットにも適している食材です。アボカドに含まれる消化酵素やオレイン酸には脂肪を分解、燃焼させる効果があります。運動の前にアボカドを口にすれば、効率よく脂肪を吸収・消化できるでしょう。食べ方として、バターの代わりに使うのがおすすめ。パンを食べるときなどにバターを塗る代わりアボカドを塗って、カロリーを抑えてみてください。

◆難点は高カロリー。食べ過ぎに注意!

満腹感を得られ、栄養価も高い夢のような食材のアボカドですが、高カロリーという難点もあります。アボカドは1つ220キロカロリーと、ご飯1杯分くらいのカロリーがあるので、ご飯も同じように食べていては、カロリーの過剰摂取につながります。適度なカロリー摂取を心がけるのであれば、普段からごはん1杯分減らす食事を意識してみてはいかがでしょうか。もしくは切って半分だけ食べる、という食べ方もいいかもしれません。カットしてある場合でもきちんとラップで包めば、冷蔵保存で2日程持つので、小分けに食べることも可能です。

果物を食べ過ぎて太るということは滅多にありませんが、アボカドの場合は果物の中でもカロリーが高い種類なので要注意です。しかし、健康効果はとても高いので食べ過ぎない範囲でぜひ取り入れてみてください。

弱った内臓を労る(2015年1月)

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年の初めを迎えて、体調はいかがでしょうか。暴飲暴食という言葉は、この時のためにつくられたのかと思える程、年末年始はさまざまなイベントや会食が続きます。付き合いの良い人は多少無理をしてでも様々な関係者と飲食を共にされたことでしょう。

 

皆さんご存知のように、「七草がゆ」はこうして疲れた胃腸を労って休ませてあげようという昔人の知恵だといわれています。しかし、飽食の時代といわれて久しい現代。お正月でも24時間休むことなく、様々な飲食物を購入できるコンビニなどが身近にある生活では、そうした昔人の知恵だけでは、疲れきった胃腸が簡単に回復しない程、内蔵疲労が重症化しているという人も少なくないことでしょう。

 

そこで今回は、年末年始で弱った内臓を労るということをテーマにしたいと思います。

 

養生の基本

 

図養生をするという言葉があります。貝原益軒の「養生訓」を思い起こす人もいることでしょう。益軒はその中で、「人は飲食によって生命が養われ、飲食は半日も欠くことができない。飲食は人間の最も大きな欲で、その欲望に任せていると病気になり、命を失う」と言っています。

 

それはわかっていても飲食の欲望には負け、つい食べ過ぎ、飲み過ぎをしてしまうのが人の性。さらにそれが宴会などで、美食や美酒が並ぶということになれば、いくら益軒が「養生訓」で「酒はほろ酔いでやめ、食事は満腹の半分でやめるべきだ」と言ってもそれを守り抜くことは至難の業。「わかっちゃいるけどやめられない」ということになってしまう人も多いことでしょう。

 

しかし、負担を一手に引き受ける胃や腸はそれではたまりません。まずその働きについて知識を新たにしておくことで、無茶な食欲に少しブレーキをかけましょう。

 

胃と腸の働き

 

簡単に説明すると以下のようになります。

 

胃は、食物を消化する代表的な器官。粘液を内膜全体に分泌し、強力な胃酸から内壁を守っていますが、暴飲暴食やストレスによって粘液の分泌がうまくいかなくなると、胃の内壁が胃酸で荒れたり、潰瘍を生じることがあります。

 

腸は、食物の消化と吸収を行います。胃ほど強い消化能力はありませんが、その長さを生かして繊維質をはじめとする分解されにくいものをゆっくり消化し、同時に栄養分も腸壁から吸収します。

 

しかし、腸はこの常識的な認識からさらに飛躍的な発見に基づいて、その働きの重要性が認められました。

 

アメリカの神経生理学者のマイケル・D・ガーション医学博士が、「セカンド・ブレイン 腸にも脳がある」という本の中で、脳に存在しているはずの神経伝達物質「セロトニン」が腸にも存在する事を発見し、体内のセロトニンの95%が腸で作られているということを発表したのです。博士は「つまり腸に脳があるこということだ。信じ難いことに、腸は豊かな感情を持ち、脳や脊髄からの指令がなくとも反射を起こさせる内在性神経系を持っている。我々の先祖はアメーバの原生的生物から進化して脊椎を獲得した時、頭蓋と腸の両方にそれぞれ別の感情を持つ脳を発達させたのである」と述べています。脳とは腸から進化して最後にできたものだというのです。

 

いかがでしょう。こうした高度な機能を有する器官を、アルコールや暴食で痛めつけていいものでしょうか。

 

疲れた胃腸を癒すには

 

図我々に備わった大切な器官が、疲れて弱っていたとしたら、それをほったらかしにすることは、もうできませんね。それでは、その回復法について紹介しましょう。

 

夜行性動物でない人間は、昼間働いて夜休むということを習慣化してきました。この習慣は体内リズムとなり、このリズムを守ることが、胃腸の健康のためにはとても大切だといわれます。この体内リズムを整えるために大切なのが食事のタイミング。一日三食、決まった時間に食事を食べることが体内にリズムを生み出します。

 

また、寝る三時間前からは何も食べない、そして間食はなるべくしないということも大切です。こうすることで体内リズムが整い、快便にもつながります。

 

胃の生理からいえば、問題となるのは食事の回数よりその間隔だといわれます。空腹が長時間続くと胃液が胃の粘膜を荒らしたり潰瘍ができやすくなったりするのです。朝食を抜いてのたばこやコーヒーは、さらに胃を荒らす原因になります。

 

朝食はきちんととり、その後は5~6時間あけて食事を取るのが体には一番いいようです。

しかし、前日に宴会などで胃腸が疲れていると感じられる時は、スープやみそ汁などで胃腸を温める程度の朝食にして休ませてあげたほうが回復は早まります。

 

よく噛むことも大切

 

図よく噛んで食べることが大切だとよく言われます。現代人は噛む回数が減っているという指摘もよく耳にします。ある実験によると弥生時代の人々が食べていたものを咀嚼するためには、一回の食事で4000回近く噛まなければならなかったといいます。ところが現代のファーストフードでは1000回を大きく下回り、600回程度噛めば食事が終わってしまうという結果になりました。

 

噛むという行為は、食べ物を小さく砕き消化しやすくするというだけでなく、脳や胃腸を刺激し、全身を活性化してくれるのです。また唾液と混ぜ合わせることで胃への刺激を減らす効果もあります。

 

さらにこの唾液には、様々な働きがあるとされています。 唾液の中には粘性タンパク質のムチンという胃を保護し食べ物を飲みやすくする成分がありますが、それ以外にも様々な成分が入っています。例えば、ご飯やパンを分解して麦芽糖にする酵素アミラーゼ。抗菌作用を持つ物質、ラクトフェリン、リゾチーム。その他にも、細菌の発育の抑制をするラクトフェリンや、免疫作用に関係するIgAという抗体、歯の中にしみ込んでいって歯を石灰化して強くさせるスタテリンなども含まれています。

 

噛むことで唾液と食物が混じり合い、消化吸収されやすくなるのですが、忙しいと早食いになってしまい、噛む回数が減ると胃は余分に働くことになってしまいます。噛むことが胃腸を疲れさせないためにも大切だということですね。

 

図また、食後すぐ動いたり入浴してしまうと、胃に十分な血液が回らなくなって、消化がスムーズにできなくなります。食後は30分以上ゆっくり休むように心がけたいものです。

 

暴飲暴食は誰もが陥りやすいものですが、今年も元気に過ごせるよう、自分の健康は自分で守り、維持していきたいものです。

 

 

 

 

食後にすぐ横になるのは良い? それとも悪い?(2013年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
食後にすぐ横になるのは良い?

それとも悪い?

 昔から「食事をしたあとで、すぐ横になると牛なる」とよく言われたものです。子ども心に、牛のような姿にはなりたくない、お腹いっぱいものを食べて、ごろごろしている怠け者にはなりたくないと考えた人もいたことでしょう。

主に、行儀の悪さを戒めた躾だったわけですが、同時に、そこには食事後にすぐ横になってはいけないという健康のための古人の知恵が秘められていたようにも思います。

一方で、ある剣豪小説に、若い武芸者が食べたものを効率よく消化して身体の栄養とするため、食事の後に真上を向いて静かに横たわることを日課にしているという場面がでてきたりします。

実は、消化という作業は、生き物にとって大変な力仕事なのです。元々固体であったものを噛み砕いて、消化液で溶かし、さらに酵素で分解し、血管を通れる栄養素にするという作業を驚くほど短時間でやってのけているのです。身体の血液を消化のために内蔵、消化器官に集中するために静かに横になるというのも合理的に思えます。さて、身体にとって食後にすぐ横になった方が良いか、ならない方がよいのか、今回はこのことをテーマとしてみました。

 
     

 

逆流性食道炎について
 

 
逆流性食道炎とは、食べ物を消化するための胃酸や十二指腸液が、食道に逆流することで食道の粘膜にびらんや炎症を引き起こす疾患名で、食後すぐに横になることが、この病気の要因の一つとされています。

食後にすぐ横になってはいけないという古人の教えは、この疾患に対する戒めだったのでしょうか。では、少しこの疾患について説明しましょう。

逆流性食道炎の症状としては、胸焼けがしてみぞおちのあたりに痛みがあったり、食事中や食後に横になると喉や口の中に胃酸が逆流して酸っぱいものがこみ上げてきたりします。胸のあたりに違和感・不快感があったり、腹部に膨満感があるという症状もあります。

また喉に違和感があったり、声がかすれる場合があります。食べ物が食道を通るときに痛みを伴うこともあります。怖いのは、就寝中に逆流物が気道にはいり、呼吸器疾患を起こすことです。

要因としては、ストレスや暴飲暴食、喫煙、飲酒。噴門とも呼ばれる食道下部括約筋の弛緩や喫煙や加齢による機能低下。食道裂孔ヘルニアという胃の一部が胸腔内に入り込んでしまう病気。妊娠、肥満、便秘、運動による腹圧の上昇、消化不良などとされていますが、一般的には「高齢化などによる噴門の機能低下」が最大要因として知られています。

食べ物を消化するための胃液は、一日に1.5?2リットルも分泌されます。この強い酸である胃液への耐性が弱い食道に胃液が逆流しないように蓋をしているのが噴門と呼ばれる部位です。この噴門が緩んでしまうと食べ物が逆流してしまうのです。

噴門の機能低下は、高齢化ばかりでなく、一回の食事量が多すぎたり、食の欧米化で油分の多い食事ばかり摂りすぎると下部食道括約筋の締まりが弱まり、噴門が開きやすくなってしまうのです。最近、若い人にもこの疾患が増えているのは、この食習慣の欧米化や遅い時間の食事、肥満により脂肪で胃を圧迫するなどの原因が考えられます。これらの原因に、食後すぐに横になる習慣が重なるとリスクが高まると考えて良いでしょう。

次にその予防と治療について紹介します。

 前述のような症状が気になり、肥満している場合は、医師に相談して体質改善と減量を行うこと、生活習慣を改善することが何より大切です。辛いものや脂っこいものを好んで食べたり、遅い時間の食事は消化系に様々な負担をかけます。

治療は、生活改善とともに薬物治療を行います。症状の緩和には食道を刺激する胃液の産生を抑制する薬物を使用します。薬物での治療は中断すると発症時と同じような症状になることが多いので、症状の進行状況をみながら治療薬の増減を行います。

治療薬は、胃酸の分泌抑制剤や消化管運動機能改善剤、胃酸の濃度を中和する制酸剤などを使用します。こうした薬による治療の効果が現れない場合や、食道狭窄などによる出血があるときや食道裂孔ヘルニアが確認されたときは、外科治療を行うこともあります。

手術は機能が低下した噴門や下部食道括約筋の修復や食道裂孔ヘルニアによる裂孔した横隔膜の縫合などを行います。また、高齢者の場合、加齢により緩くなってしまった食道裂孔の縫合などを行う噴門形成術を行うこともあります。

   
食後の安静
  食後に横になって安静にするのは、高齢者の場合上半身は起こした状態で安静にするというのがベストでしょう。この姿勢であれば逆流性食道炎の予防にもなります。もう一つ肝臓という臓器にとっても食後の安静は大切だということも説明しておきましょう。

肝臓には胃や腸で栄養を吸収した血液が集まってきます。この血液が肝臓の中を通過するときに肝臓に栄養が吸収されます。この血液の量が横になると立っているときの2倍から4倍になるといわれます。食後に30分から1時間ごろ寝をすると栄養たっぷりの血液が肝臓に集まり、慢性肝炎などの肝臓病がある人に良いだけでなく、肝臓病を未然に防ぐ効果も期待できます。腹八分目に和食をいただいて、食後にクッションを背に長椅子にゴロンと横になるというのは最高の贅沢かもしれません。

 

とても大切な「腸の健康」(2013年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
とても大切な「腸の健康」

 腸には、栄養となるものから有害な細菌まで、食事をすることで様々なものが入ってきます。その物質を判断して、体内に取り入れたり排泄する役割があります。その他にも、脳内の神経伝達物質として大切な役割を果たすセロトニンの95%を腸が作っているとされています。このようなことから、腸は第二の脳とも呼ばれたりします。緊張してお腹が痛くなったという経験のある方も多いと思いますが、これは脳の緊張が、ダイレクトに腸の活動に影響を与えるためで、脳との密接な関係があります。

さらに大切なのが、免疫機能。腸の粘膜の表面積は、人間の皮膚の約200倍もあるとされますが、外界に接している皮膚が、ウィルスや細菌などにさらされているように、腸は口から入る物によって、皮膚の約200倍もウィルスや細菌にさらされていることになるのです。栄養分を吸収しながら細菌やウィルスは体外に排出しなければならない腸は、その役割りを果たすために人間の身体の免疫システムの70%が集まっていると言われます。この大切な腸の健康について今回は、取り上げてみたいと思います。

 
     

 

日本人の腸の特徴と食べ物の関係
   日本人と欧米人で、決定的に違うのが腸の長さです。日本人の腸は、欧米人の1.5倍もの長さがあると言われます。その理由は、これまでの食生活の違いによるものです。野菜や穀物を主食としてきた日本人は、栄養分をできるだけ多く身体に取り込むために、長い腸が必要だったとされます。一方、欧米人は、腸内に長く留めると腐敗し有害物質の生じる肉類や脂肪分の摂取が多く、腸を短くして出来るだけ早く排泄しようとしたためだと考えられています。

腸の役割は、主に栄養分を吸収する小腸と、小腸で吸収しきれなかった食べ物のカスや水分を吸収する大腸とに分かれています。この小腸の長さは、約6メートル、大腸の長さは約1.5メートル。食べ物のカスは、大腸で吸収され、最後に残ったものが便として排泄されるのですが、便秘になるとこの便が腸内に長い時間留まり腐敗が進み、これが長い時間腸の粘膜に触れ続けるとガンなどを引き起こす可能性があります。
日本人の食生活が欧米化した結果、1950年から2000年までの50年間で、日本人の大腸がん患者が約10倍にもなりました。がん細胞は、正常な人でも毎日3000個から4000個は発生すると言われていますが、このほとんどが腸の粘膜で発生し、これを免疫細胞が攻撃し、排除するという作業を繰り返しているのです。この大切な腸を元気に保つために最も大切なのが、腸の中の細菌のバランス。腸内の細菌のバランスは、病気の予防だけでなく老化の防止などにも大切だということが分かってきました。

   

腸内環境が大切

   腸の中には100兆個もの細菌が住みついています。その種類は約500種類。みなさんも良く知っている「乳酸菌」に代表される「善玉菌」と呼ばれる菌、これに対して身体に悪さをするのが「悪玉菌」。そして腸内の環境によって「善玉菌」にも「悪玉菌」にもなるという「日和見菌」という3種類に分類されます。健康な人の腸内は、この「善玉菌」と「悪玉菌」のバランスがうまく保たれています。

それぞれの菌について、詳しく説明するとまず「善玉菌」とは、「乳酸菌」や「ビフィズス菌」などです。「善玉菌」は、腸内を酸性にして病原菌の増殖を防いだり、免疫力を高める働きをします。食べたものを消化吸収するときも、この「善玉菌」が手助けします。また、ビタミンを合成したり腸管運動を促進したりといった働きもあります。

「悪玉菌」とは、良く知られている「大腸菌」を筆頭に、「ウェルシェ菌」「バクテロイデス」「ユウベクテリウム」などが代表的なもの。腸内をアルカリ性にして腐敗させたり、発がん物質や有害な毒素を作り出したりといった悪さをはじめ、糞便・ガスを作り出し、下痢や便秘を引き起こします。

「日和見菌」は、食べ物の種類や体調によって、善玉にも悪玉にもなるというもの。ある「日和見菌」は、有益なビタミンを合成したり病原菌を防ぐ役割を果たす一方、腸内を腐敗させたり、発がん物質を作り出しといった有害な働きもするのです。

では、腸内で「善玉菌」の働きを良くし、「悪玉菌」の活動を抑制するにはどうしたらよいのでしょうか。

   
腸を元気にするには
   腸は毎日大活躍しているので元気にするには、やはりまず休ませてあげることが大切。年末、年始で暴飲・暴食したあとに七草粥を食べて腸を休めるという習慣が日本には昔からありました。飽食の現代、特に40代以上の方は、毎日それほど多くのカロリーを摂取し続ける必要はありません。腹八分目を目安に、多すぎる食事量を減らし、長年酷使してきた腸を大切にした食生活を目指しましょう。定期的に食事をお粥するのも良いでしょう。

また、寝る前に食べると、身体は休んでも腸は働き続けなければなりません。寝る直前の食事を控えることも大切です。そして、よく噛む事。消化の負担を減らし、唾液中の消化酵素を食べ物と良く混ぜ合わせるためにも、早食いを避け、一口でいつもの倍噛むようなつもりで、ゆっくりと食事を楽しみましょう。

   
腸を元気するための食事法
 
1. 脂肪の摂取を減らす、特に動物性脂肪の摂取を少なめに。

2. 主食は、玄米、胚芽米や麦ごはんや雑穀米に。

麺類は、うどんよりも、そばの方が食物繊維は豊富です。

3. 肉類は控えめにして、魚介類や納豆や豆腐などの大豆製品を中心に。
4. 野菜やきのこ、海藻、豆などの食物繊維の入った食物を積極的に摂る。
5. 甘いものは控えめにして、水分補給を十分にする。
6. ヨーグルトやオリゴ糖を食べる。

 

健康のバロメーター「うんち」を知ろう!(2007年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
健康のバロメーター「うんち」を知ろう!
 ぽかぽかと春らしい陽気…というより、真夏のように蒸し暑かったり急に冷え込んだりと不安定なお天気が続いていますね。日中の暖かさに、つい薄着で出かけたら夕方冷え込んで風邪をひいてしまった、なんて方もいるのではないでしょうか。気候が不安定だと、体調も崩れがちです。今回は、体内の健康状態を知る一番身近な方法「便」について考えてみましょう。
 
     

 

まずは「うんち」をチェック!
 

 理想的な便の例えとして、よく「バナナのようなうんち」が良いとされます。これは便の色、固さ、量、そして形(状態)を表しています。以下のチェック項目をよく覚えて、今日の排便後に自分の便を観察してみてください。

●便の色
ben 便の色は腸内細菌のバランスによって変化します。ビフィズス菌たっぷりの健康的な腸内活動を表すのは、白みがかった黄色の赤ちゃんの便ですが、成人がこんな便を出すのは無理な話。食事の内容によっても左右されますが、基本は茶色がかった黄色で、黄色に近いほど「いい便」と言えます。

黒っぽい便:悪玉菌が腸内に増えている証拠。胃や十二指腸、小腸などに潰瘍や腫瘍ができて出血している可能性もあります。

灰色の便:脂肪分の摂りすぎ、肝臓、すい臓、胆のうに異常がある可能性があります。

赤い便:大腸の出血や痔、大腸がんの可能性があります。

上記のような色の便が出る場合、それが一時的なものであれば、食べ物の色素や服用している薬の影響であったりして特に問題はありません。しかし、長期にわたってこのような便が出る場合は、体の器官に異常がある疑いがあるので注意が必要です。

●便のにおい

便の悪臭のもとは、腸内の悪玉菌。便はくさいものだと決め付けがちですが、腸内環境のよい人の便は、実はそれほどくさくないものです。悪臭のきつい便が出る人は、悪玉菌が大繁殖して有害物質を発生している可能性があるので、食事や生活習慣を見直しましょう。また、肉類などのたんぱく質を腸内細菌が分解する際にきつい臭いを出す物質を生産するため、肉類中心のいわゆる欧米型の食生活を送っていると便のにおいがきつくなる傾向があります。

●便の固さと形

便の形状は、便に含まれる水分量によって変わります。健康な便は通常70~80%の水分を含むとされ、まさにバナナの実のような固さと形でスムーズに排便されます。これより水分量が少なくなるとコロコロとしたウサギの糞のような形になりますが、これは便秘の人に多いタイプ。逆に形をとどめないほどゆるい水状の便は下痢の状態です。ちなみに「健康な便は水に浮く」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは食物繊維をたっぷり摂ると繊維質が多く密度の軽い便が出る、という説に基づくようです。しかし繊維質の多い食事を続けても便の比重には変化がなかったという研究結果もあるため、便が沈むからといって特別気にすることはないようです。

●便の量

排便の量は当然食事の量に影響を受けますし、イモ類や豆類など食物繊維の多い食品をたっぷり摂ると便の量も多くなります。一回の便の目安は150g程度とされ、目で見てバナナ1本半~2本分くらいの便が出ていればおおむね理想的な量の排便といえるでしょう。

 
腸内環境を整えて、快便生活を!
 

 
腸内環境を左右するのは、腸内細菌のバランス。腸内には500から1,000種類にも及ぶ細菌が存在するといわれ、その中でも乳酸菌などの善玉菌が多い弱酸性の腸内環境が健康な状態。しかし、食生活や生活習慣、ストレスなどで腸内細菌のバランスが崩れると、クロストリジウムなどの悪玉菌が増えてしまいます。悪玉菌が優勢になると腸内はアルカリ性に傾き、腸の働きが鈍くなります。それが便秘の原因となり、さらにその留まった便が悪玉菌の餌となり、腸内は悪玉菌の温床へ…と悪循環を始めます。そうなると、悪玉菌が発生する有害物質が腸壁から吸収され、血液にのって全身へ運ばれ、いろいろな病気やトラブルを引き起こす原因となります。便秘が続くと肌荒れや頭痛などの症状が出るのはこのためです。

悪玉菌は発がん性物質を作り出し大腸がんなどを誘発する原因にもなるので、たかが便秘と侮らず、規則正しい生活、食物繊維の多い食事、そしてたっぷりと水分補給を心がけて早めに解消しましょう。また、ビフィズス菌などの乳酸菌は乳酸や酢酸を出して腸に刺激を与え、運動を活発にして排便を促して便秘になるのを防いでくれるので、ヨーグルトなどの乳製品も積極的にとりましょう。

 
 大腸は、さまざまな病気の発信源といわれます。その腸内を正常な状態に保つことが、健康な体づくりの秘訣。その腸内の様子を知ることのできる便は、まさに健康のバロメーターです。最初は少し抵抗があるかもしれませんが、その貴重な「情報源」を水に流す前に、毎回観察する習慣をつけていきましょう。

 

 

食欲の秋到来!美食家は痛風になりやすい?(2006年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
食欲の秋到来!美食家は痛風になりやすい?
 食欲の秋。暑さも過ぎ、食べ物がおいしい季節です。「うまい肴をつまみにお酒を飲むのが何よりの楽しみ」という人もいるかと思いますが、そんな人は特に注意して欲しいのが痛風という病気。「オヤジの病気」のイメージが強い痛風ですが、若い男性にも意外と多いもので、全国に数十万人の患者がいるといわれる病気です。今回は、あのレオナルド・ダ・ヴィンチも苦しめられたという「痛風」についてお話します。
 
     

 

痛風ってどんな病気?
 

「風が吹いただけで痛い」ほど足の関節が痛む病気、として知られる痛風。ある日突然足の親指の付け根が腫れ、立ち上がれないほどの痛みが発作的に起こります。この発作はたいていの場合1週間ほどで治まりますが、半年から1年の期間を経てまた同じような痛みが起こり、繰り返すうちに足首や膝の関節まで広がってくるように。怖いのは、この痛みと併行して内臓が侵されていくこと。間接の強烈な痛みだけでなく、腎臓などの内臓にも障害が起こってしまう病気と覚えておきましょう。

 
痛風の原因
 

痛風の原因となるのは尿酸という物質で、人間の体の中に必ず一定量あるものです。この尿酸値が何らかの原因で上昇し、蓄積していくと、ナトリウムと塩を作り結晶になります。その尿酸塩の結晶が間接の内面に沈着してしまうのが、痛風発作の原因。尿酸塩は間接以外の部分にも溜まり、特に腎臓には溜まりやすいので痛風の人は腎機能にも注意が必要です。

●痛風にかかりやすいのは男性

痛風患者のほとんどは男性。100人の患者のうち、女性は1、2名ほどしかいないほど男性に多い病気です。その理由は血液中の尿酸濃度(血清尿酸値)の違いにあり、一般的に男性よりも女性のほうが尿酸値が低いもの。女性ホルモンには腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあるためですが、閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると尿酸値も少しずつ上昇するので、おおむね50歳以上の年代では男女の尿酸値の差は縮まってきます。

 
痛風を防ぐには
 
痛風を防ぐには、尿酸値を下げることが大切。それには尿酸のもとになるプリン体という物質を減らすのが第一です。

●尿酸値を上昇させる要因

・食生活

「美味しいものにはプリン体が多い」と言われていましたが、厳密な制限は難しいため、最近では痛風患者に対しての食品制限はそれほどされなくなっています。ただし、肥満度が高いほど尿酸値も上がるため、食事の総量を減らすことは大切です。

・遺伝

痛風患者の約2割は、父親や叔父、従兄弟に痛風もちがいます。痛風には遺伝的な体質が関連するので、親類に痛風患者がいる人は注意が必要です。

・アルコール

アルコールを飲むと尿酸値は一時的に上昇します。特にビールにはプリン体が多く含まれるので、痛風には大敵。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にはあまり含まれませんが、アルコールが代謝するときに尿酸値が上がるため、アルコール自体好ましくありません。

・ストレス

様々な病気の原因となるストレス。ストレスや激しい運動は尿酸値を上昇させる原因となります。

・他の病気の影響

腎機能の低下や、血液の病気などによって尿酸値が上がることも。悪性腫瘍が原因で高尿酸血症になることもあるので、注意が必要です。

●尿酸値を下げるには

尿酸値を下げるため日常生活で注意するポイントに、以下のようなものがあります。

・肥満を解消する

摂取カロリーの総量を制限すること、そして標準体重をキープすること。多品目を少しずつ、ゆっくり噛んで食べるよう心がけましょう。

・アルコールを控える

多量の飲酒は避け、特にビールを控えましょう。休肝日をつくるのは、肝臓を含め他の臓器にも良いことです。

・水分を十分とる

尿が1日2リットル以上になるのが理想。そのため、毎日2リットル以上の水分をとるようにしましょう。

・軽い運動をする

激しすぎる運動は尿酸値を上昇させてしまいますが、ウォーキングなどの有酸素運動ならOK。痛風患者に多い高血圧などの合併症にも効果的です。

 
痛風発作が起こった場合は、患部を冷やし、間接を安静にしましょう。痛み止めの内服薬は発作を悪化させることもあるので服用を避け、早めに医師の診断を受けること。

ダイエットと同じく厳しい食事制限を続けることは難しいものですが、日常生活での注意ポイントを守ることが大切。痛風は「尿酸が溜まっているから注意しろ」という身体からのサインと考えましょう。

 

 

食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。(2006年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。
 残暑は続きますが、季節は徐々に秋へと色づいてきました。さて、秋と言えばやっぱり”食欲の秋” 健康と食は切っても切れない大切な関係。健康の源である食事をおいしく楽しむために、胃腸の自己管理は欠かせません。そこで今回は、腸内環境についてお話しします。
 
     

 

健康に役立つ”腸内細菌”
 

  私たちの体の中には無数の細菌が棲息しています。細菌と聞くと、なんだか体に悪いもののように感じますが、常在菌と呼ばれるこの細菌たちは、病原菌など身体へ有害な菌の進入や増殖を防ぐ大切なもの。その中で、腸内に棲息する細菌を腸内細菌と呼びます。

●腸内細菌とは

常在菌が最も多く棲息しているのが消化管内で、胃腸管の内壁を覆うように棲みつく無数の細菌が腸内細菌です。腸内細菌は、食べた栄養素から体を構成するのに必要なタンパク質などを合成したり、ビタミンを生成したり、免疫機能を強化させたり、中性脂肪や血糖などの代謝を促進させたりと、健康に関わる多くの働きをしています。

●善玉菌と悪玉菌

さて、腸内細菌といえば善玉菌という言葉を耳にしたことがある人も多いかと思います。お腹に良いとされる「乳酸菌」がそれで、糖類を分解して乳酸や酢酸を生産したり、便秘や下痢を防いだり、消化・吸収・代謝を助けるなどの働きをもつ細菌の総称です。

ちなみに、腸内細菌には、この善玉菌と悪玉菌、そして食生活や体調によって善玉・悪玉のどちらにもなりうる日和見菌の3種類が存在します。悪玉菌は、その名の通り体に悪い働きをする菌で、ブドウ球菌やウェルシュ菌などが挙げられます。

生まれたばかりの赤ちゃんのお腹の中はほとんどが善玉菌ですが、成長と共に悪玉菌が増え、菌のバランスが崩れていきます。悪玉菌が増える原因には、ストレスや薬の服用によるもの、便秘、食生活や疾病などが挙げられますが、悪玉菌が増えると様々な有害物質が生成されることになり、免疫力が低下したり生活習慣病が発症しやすくなると言われています。

体と健康に大切な腸内細菌ですが、一度バランスの崩れた腸内環境は、放っておけば改善されるというものではありません。腸内細菌のバランスを整えるには、偏った食事ではなく、腸内細菌が好んで食べる乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維などをしっかりと摂るように心がけることが大切です。

 
ビタミンを作る腸内細菌
 

健康づくりに欠かせないもののひとつにビタミンがありますが、このビタミンを生成するのが腸内の善玉菌。腸内細菌がつくり出すビタミンには、ビタミンB郡(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12)、葉酸、ビタミンKなど、多くの種類が確認されています。

●ビタミンの種類

【ビタミンA】

皮膚や粘膜を丈夫にする。

【ビタミンB1】

脳を活性化し、疲労を防ぐ。

【ビタミンB2】

発育を促進する成長ビタミン。

【ビタミンB6】

タンパク質をつくる。

【ビタミンB12】

貧血を改善する。

【ビタミンC】

コラーゲンの生成を助ける、ビタミンの代表格。

【ビタミンD】

強い骨や歯をつくるカルシウムを調整する。

【ビタミンE】

活性酸素から体を守る。

【ビタミンK】

血液凝固と骨の健康に役立つ。

【ベータカロチン】

緑黄色野菜に豊富に含まれる、抗酸化ビタミン。

【ビオチン】

皮膚の健康を保つ。

【葉酸】

赤血球や細胞を作るのに役立つ

 

 
ストレスは善玉菌の大敵!
 
強いストレスは腸の蠕動(ぜんどう)運動をコントロールする自律神経中枢にも影響を及ぼし、便秘や下痢を引き起こす要因となります。不規則な便通は腸内細菌のバランスを崩し、善玉菌を減らして悪玉菌を増殖させてしまいます。

●便秘

便通が不規則で、水分の少ない便が出るのが便秘です。便が何日も腸内に滞ると、悪玉菌が繁殖して便を腐敗させます。腐敗した便は有毒物質やガスを発生し、これらの毒素が血液によって全身に運ばれると、様々な病気を引き起こす原因ともなります。便秘気味の人は、食物繊維と水分をしっかりととり、正しい食生活を心がけましょう。

●下痢

便に含まれる水分が腸内で十分に吸収されずに排泄されるのが下痢です。体を冷やさないように気をつけ、温かいスープなどで失われた水分や栄養素を補給しましょう。ただし、腹痛や嘔吐、発熱、血便など異常を感じる下痢の場合は食中毒などの可能性も考えられるので、速やかに医師の診断を受けましょう。

 気持ちのいいお通じは腸の健康につながり、便通を正しく整えることが腸内環境を良好に保つ秘訣です。そのためにもストレスをためないように自分なりの解消法を見つけるなど工夫し、積極的に食物繊維を摂るように心がけましょう。

食物繊維の一日の摂取量の目安は、20~30gです。食物繊維は玄米や麦芽米などの穀類、大豆などの豆類、さつまいもや山芋などのいも類、ごぼうやにんじんなどの根菜類などの野菜に多く含まれています。また、わかめやひじき、寒天などの海藻、きのこ類、乳製品なども食物繊維を多く含む食品。これらの食材を毎日の食事に積極的に取り入れ、上手に食物繊維を摂取しましょう。

 
「食欲の秋」と言えば、気になるのがダイエット。しかし、食べる量を減らすダイエットは便の量と体内の水分を減らすことになり、便秘へとつながる恐れも。また、食事を抑えるだけで運動をしないダイエットも、筋肉を落とし腸の働きを鈍くしてしまうため、腸内環境には好ましくないものです。健康な腸の働きを助けるのは、規則正しい生活とバランスのよい食事、そして快便です。おいしく食べて、体の中から健康管理に努めましょう。

 

 

胃が痛いのはストレスのせい?(2006年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
胃が痛いのはストレスのせい?
 すっかり暖かくなり、半そで一枚で過ごせる陽気になりましたね。でも夜には肌寒い日もしばしば。風邪などに気をつけて過ごしましょう。さて、今回も前回に引き続きストレスが引き起こす心身の不調についてのお話です。今回は大切な消化器官・胃に注目し、胃潰瘍をはじめとするストレス潰瘍についてお話します。
 
     

 

ストレス潰瘍とは?
 

 ストレス潰瘍とは、胃潰瘍(十二指腸潰瘍も含む)の中でも、ストレスの影響が強いもののことで、多発性な上、再発しやすいという特徴をもっています。潰瘍の大きさや深さは様々で、同時にいくつもの潰瘍ができるケースも珍しくありません。

簡単に言うと胃壁や十二指腸がただれて潰瘍ができるという病気ですが、症状で特徴的なのは空腹時におこる腹痛がです。このほか、胸やけやげっぷ、悪心、嘔吐、便秘などがあります。吐血や下血を伴う場合は潰瘍がひどくなっている可能性が高く、早急な治療が必要です。

 
ストレスと潰瘍の関係
 
 近年、潰瘍の原因にヘリコバクター・ピロリという細菌(ピロリ菌)の存在が注目されていますが、ストレスもやはり潰瘍の大きな誘因であると考えられています。

胃潰瘍の原因は、消化器官である胃で分泌される胃液と、その胃液から胃の粘膜を守るはたらきとのバランスがくずれることによると考えられています。精神的なストレスは胃液の分泌を異常に高める一方で、胃壁の防御機能を弱めるため、自分の胃液で胃壁をいじめる結果になり、潰瘍をおこしてしまうのです。

また、慢性的な過労による不眠、倦怠感、肩こり、頭痛など体の不調と同時に、焦燥感、抑うつ感、過敏など精神的な不調を伴うこともあり、胃潰瘍はやはり生活上のストレスと深く関わっていると考えられます。

 
こんな人は、うつの可能性がピロリ菌について
 
 一方、潰瘍はストレスが直接の因子ではなく、ピロリ菌こそが最大の原因であるとの説もあります。これまで、胃には強い酸があるため細菌は存在しないと考えられていましたが、1983年に胃の中から細菌が分離・培養され、その存在が確認されました。ピロリ菌は自らが作り出すアンモニアで胃酸を中和し、胃の中にすむことができる細菌で、様々な毒素を出すため、胃炎や潰瘍を引き起こします。

ピロリ菌の感染源についてはまだ解明中ですが、水や糞便を介して、口から感染するという説が今のところ有力なようです。これは衛生設備の整った先進国では感染の割合が低いことに比べ、発展途上国では多くの人がピロリ菌に感染していることから推測されています。日本では40代以降の人の約半数が保菌者であると言われ、発展途上国と同じくらいの感染率となっています。しかし、30代までの人では、他の先進国と同様低い感染率にとどまっているようです。

ピロリ菌こそが潰瘍の最大の原因であると考える説では、ストレスは潰瘍の誘因にはなりうるものの、ピロリ菌に感染していない人は例え大きなストレスがかかったとしても、潰瘍にはならないと言われます。これまで、潰瘍が再発を繰り返すのは、潰瘍自体は抗潰瘍薬で治すことができるものの、「潰瘍症」という体質までは治せないためだと考えられていました。しかし、ピロリ菌を除菌すれば抗潰瘍薬を服用しなくても、潰瘍は再発しないという研究結果が多く発表され、「潰瘍症」という体質に対して疑問の声もあがっています。

ピロリ菌の感染については血液検査、または内視鏡検査で簡単に分かり、尿や便から調べることもできます。除菌治療で一般的なのは抗生物質と胃酸分泌抑制薬を1週間服用する方法が一般的で、8割以上の人が除菌に成功すると言われています。除菌に成功すれば、以後胃炎や潰瘍の薬を飲み続ける必要がなくなると、その効果が注目されています。

 
一般的な治療
 

●何科に行けばいいか

胃潰瘍が心配な場合、まずは内科、消化器科、胃腸科へ行き、診断を受けましょう。胃X線検査で異常が発見されると、内視鏡検査で確認という手順が一般的で、これらで外科的治療が必要と判断されると、消化器外科へ転送されます。

●内科的治療

内科的治療では、攻撃因子である胃酸をおさえる胃酸分泌抑制剤と、防御因子を強める粘膜保護剤の服用が行われます。医師の指示を守り、処方された薬をきちんと服用すれば、ほとんどの症状が2~3週間で軽快します。ピロリ菌に感染している場合は、先にも述べたように抗生物質を併用して除菌をすると、再発はしないと言われています。しかし、ストレスの影響で潰瘍が治りにくい場合や、再発を繰り返す場合は、心療内科的治療を薦められることがあります。この場合、カウンセリングや自律訓練法を行ってストレスを軽減したり、抗不安剤や抗うつ剤などの薬物療法を行います。

 
 ストレス潰瘍になりやすい人の性格傾向として、几帳面、内向的、こり性、過剰適応(周囲に気を使いすぎる)、感情を表に出さない(自分の中に溜め込む)などが挙げられます。予防のためにも、お酒の飲みすぎや食べすぎ、タバコの吸いすぎに注意し、日頃の体調管理に気を配ることも大切ですが、自分なりのストレス解消法や悩みを話せる相談相手を見つけるなど、ストレスをためないような気配りも必要です。また、消化を助けるために食べ物はよく噛む、胃の調子が悪いときは刺激物(香辛料、アルコール、コーヒーなど)の摂取を控える、喫煙を控えるなど、胃の負担を減らしてあげることも大切。

胃の調子が悪いと、食欲がわかず、体も心も元気がなくなってしまいます。胃腸を大切にし、おいしく食べて、健康に暮らしましょう。