腸内環境は私たちの健康と深いかかわりがあります。消化や吸収のほかにも、多くの大切な機能がある腸。普段の生活習慣や食習慣によって、腸内環境が乱れないように過ごしましょう。ここでは、腸の役割やお腹を健やかに整えるポイントをお伝えしていきます。毎日の健康維持にお役立てください。
◆腸内環境とは?どうして整える必要があるの?
私たちの体にある腸が、食べ物の消化と吸収にかかわる大切なはたらきをしていることは、多くの方がご存知でしょう。しかし、腸の役割はそれだけではありません。
実は、腸は自律神経と深いかかわりのある器官です。自律神経には、心身の緊張とリラックスを切り替え、コントロールする役割があります。腸は神経細胞が多い器官であり、私たちの感情とも密接に関係するといわれます。また、人間の体内にある免疫細胞のうち、5割以上が腸に存在するともいわれ、体を守るはたらきを担っているのです。
このように、多くの大切な機能を備えている腸。ところが、そんな腸のはたらきは、生活習慣の乱れにより低下してしまうことがあります。腸内環境が悪化すると、便秘や下痢のほか、肥満や肌荒れなどさまざまな不調につながることも。腸内環境を健やかに保つことは、日々の健康維持にも欠かせません。
◆腸内フローラのはたらき
人間の腸内には、1,000兆個を超える細菌が住んでいるといわれます。これらの大量の細菌が住む様子が、まるで花畑のように見えることから、腸内細菌は「腸内フローラ」とも呼ばれます。「フローラ(flora)」とは、英語で花畑を意味する言葉です。
腸内フローラには、体に良いはたらきをする「善玉菌」、悪いはたらきをする「悪玉菌」、どちらでもない「日和見菌(ひよりみきん)」という種類があります。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち、数が多く優勢なほうの味方となる細菌です。
バランスの良好な腸内フローラは、食べ物を栄養のある物質へと作り変えたり、体を守ったりするはたらきがあります。一方で、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化すると、お腹の調子が悪くなり便秘や下痢につながります。
健康のためには、腸内フローラを善玉菌が多い状態に保ち、お腹の調子を整えることが大切です。ここからは、腸内環境を整える生活習慣や食生活についてご紹介します。
◆腸内環境を整える生活習慣
腸内環境を整えるために、朝~昼は活動的に過ごし、夕方~夜はリラックスして過ごしましょう。自律神経が自然と切り替わるような生活リズムが理想です。朝、目が覚めたら1杯の水を飲み、朝食を取ってください。腸に刺激を与えて排便を促しましょう。一方で、交感神経と副交感神経が切り替わる夕方以降には、軽い運動と軽い食事を心がけます。睡眠不足やストレスは、自律神経の乱れにつながるため、できるだけ解消につとめてください。
◆腸内環境を整える食生活
食生活から腸内環境を整えるうえでは、善玉菌を含む食品と、善玉菌のエサとなる食品をバランス良く摂ることが大切です。善玉菌を含む食品の例には、ヨーグルト・チーズ・納豆をはじめとした発酵食品が挙げられます。また、乳酸菌やビフィズス菌を含む整腸剤を摂る方法もあります。一方で、食物繊維やオリゴ糖を豊富に含む食品は、善玉菌のエサとなります。野菜類・果物・豆類をはじめとした食品も、併せて取り入れましょう。
今回は、私たちの腸内環境を整える大切さや、腸内フローラのはたらきについてご紹介しました。自律神経が自然と切り替わる生活習慣や、善玉菌および善玉菌のエサを取り入れた食生活で、腸内を健康的に保ちましょう。