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まめ知識カテゴリ: 血液・神経

冬場の入浴にご用心。ヒートショックのリスクと対策(2019年12月)

 

冬場にご自宅の寒暖差が気になることがないでしょうか?
リビングから廊下へ出たとき、浴室から脱衣所へ出たときなどに強い冷えを感じるときは、ヒートショック対策を始めましょう。今回は、寒い季節に気をつけたいヒートショックのリスクと対策をご紹介します。

 

◆ヒートショックとは?

冬場によく起こる健康被害としてよく話題にのぼる「ヒートショック」。そんなヒートショックとは、急激な温度差が原因で血圧に大きな変動が生じ、さまざまな病気のリスクが高まることを指します。例年、秋頃から被害が増え始め、ピークは1月頃。風呂場やトイレでの事故が多く、特に65歳以上の高齢者や生活習慣病患者の方は注意が必要です。

 

ヒートショックにより血圧が大きく変動すると、心筋梗塞・脳卒中・不整脈などを引き起こすリスクが高まります。入浴中にヒートショックが起こった場合には、浴槽内で倒れることによる溺死の危険性も無視できません。なお、年間の入浴中の死亡者数は全国で約14,000人といわれていますが、このうち大部分はヒートショックが原因だと考えられています。

 

このように、ヒートショックは急死につながるケースもあり、決して軽視できない症状です。被害が起こりやすい場面を理解するとともに、秋から冬にかけて対策を始めましょう。

 

◆ヒートショックが起こりやすい場面

ヒートショックによる事故が起こりやすい場所として、主に浴室・脱衣所・トイレが挙げられます。たとえば、温かい居間から寒い脱衣所へ移動し、寒い脱衣所から浴室へ移動し、熱い湯船に浸かるような場面はその一例です。急激な温度差で血圧が上下し、ヒートショックを起こす危険性があります。気温の低いトイレでも同様のことが起こりえます。

 

さらに、ヒートショックは浴室やトイレ以外で起こることもあるため、注意しておきましょう。たとえば、温かい居間から寒い廊下に移動したときに血圧が上下してしまうケースも珍しくありません。冬場は、暖房を入れた部屋と入れない部屋とで10度以上の温度差が生じることもあり、身近な場所にヒートショックの危険が潜んでいるといえます。

 

◆今からできるヒートショックの対策

ヒートショックによる健康被害や死亡事故を防ぐために、今からできる対策をご紹介します。気温が下がり始めたら意識的に取り入れてみてください。

 

・脱衣所に暖房器具を設置する

浴室と脱衣所に温度差があるときは、脱衣所に暖房器具を設置して、部屋と部屋の温度差をできるだけ少なくすると良いでしょう。あるいは、浴室の扉や浴槽の蓋を開けておくことで、脱衣所との温度差を和らげる方法もあります。脱衣所だけでなく浴室も冷える場合には、シャワーでお湯はりをして、浴室全体を温めるのも効果的です。

 

・浴槽に入る前に手足を温める

浴室に入ったとき、いきなり浴槽に入り全身を温めると、心臓に負担をかけやすくなります。まずは心臓から遠い手足にお湯をかけて、部分的に温めてから少しずつ体を慣らしましょう。また、お湯の温度が高すぎるのも好ましくありません。温度は38~40度を目安にして、長時間浴槽に浸かりすぎないようお気をつけください。

 

・入浴前の食事や飲酒を控える

食事を摂った直後は消化器官に血液が集まるため、血圧が下がりやすくなります。また、飲酒をすると血管が拡張して血圧が下がりやすく、かつ体の反応が鈍くなります。このような状態での入浴は体への負担が大きく、血圧の変動によるヒートショックのリスクが高まるため注意が必要です。食事や飲酒は入浴後にするよう心がけましょう。

 

意外と身近にある健康被害であるヒートショック。特に高齢者や生活習慣病患者の方は、入浴前にご家族に声がけを行うなど、万が一の事態に備えておくことが大切です。冬場によくある危険についてよく理解し、日々健康にお過ごしください。

 

糖尿病や動脈硬化を引き起こすことも?血糖値スパイクの危険性(2018年7月)

 

食後に急激に血糖値が上がる状態を「血糖値スパイク」と呼びます。血糖値スパイクを放置すると、糖尿病や動脈硬化が引き起こされてしまう可能性があり、早めに対策することが必要とされています。こちらでは、血糖値スパイクの特徴や対策法についてお伝えします。健康維持のためにぜひお役立てください。

 

 

 

◆血糖値スパイクとは?

血糖値スパイクとは、食後に急激に血糖値が上昇する状態のことです。通常、血糖は空腹時は80~100mg/dl、食後は高くても140mg/dl以下で安定しています。しかし、血糖値スパイク状態になると、食後の血糖値が140mg/dl以上にまで急激に上昇してしまうのです。現在、成人の約20%が、このような血糖値スパイク状態であると言われています。

 

血糖値スパイクになると、糖尿病にかかるリスクが高まります。糖尿病とは、空腹時の血糖値が126mg/dl、食後の血糖値が200mg/dlを超える状態を指します。つまり血糖値スパイクの方は、糖尿病の予備軍になってしまっているのです。

 

また、血糖値スパイクによって動脈硬化の危険性も高まります。動脈硬化とは、動脈が硬くなり、血管内部で詰まりが起こることによって血流が悪くなる状態のことです。血糖値スパイク状態が続くと、細胞から活性酸素が発生するようになり、細胞が傷ついてしまいます。そうすると動脈が硬くなり、心不全・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・脳出血・閉塞性動脈硬化症といった病気が引き起こされやすくなります。病気を防ぐためにも、血糖値スパイクには早めに対策することが必要です。

 

◆血糖値スパイクは気づかれにくい!

放置すると危険な血糖値スパイクですが、健康診断ではなかなか見つけることができません。なぜなら健康診断は空腹時に行われるため、血糖値スパイクの方も、正常な数値が出てしまうからです。血糖値スパイクを調べるためには、食後1~2時間の間に検査をすることが必要になります。病院の中には、検査の前にブドウ糖の入った甘い液体を飲んで、飲む前と後の血糖値を測定してくれるところもありますが、このような検査方法はまだ一般的ではないのが現状です。

 

また、血糖値スパイクは痩せている方でも起こります。ある調査では、痩せ型の20代女性のうち、5人に1人に血糖値スパイクが起きていることが分かりました。しかし、若い方や痩せ型の方で、血糖値スパイクを気にする方は多くありません。血糖値スパイクは、年代や性別に関係なく、全ての方が気にかけておくべき症状です。

 

◆血糖値スパイクを改善するには?

血糖値スパイクを防ぐには、食べる順番に気をつけることが効果的です。ご飯を食べる前に、副菜や主菜を食べることで、血糖値の急激な上昇が抑えられます。最初にご飯を食べてしまうと、少量であったとしても、血糖値は大きく上がってしまいます。しかし、野菜やきのこ、海藻といった野菜類から食べれば、血糖値の急激な上昇を抑えられるのです。

 

野菜類には食物繊維が豊富に含まれており、糖や脂肪を吸着してくれます。また、満腹感も感じやすくなるため、食べ過ぎを予防することにも役立ちます。血糖値スパイクが気になる方は、野菜から先に食べる習慣をつけましょう。

 

また、食後に適度な運動をすることも有効です。運動をすると血液中のブドウ糖類が筋肉のエネルギーとして使われるため、血糖値が下がります。食後30分~2時間の間に運動をすることで、血糖値スパイクを防ぐことができます。食事の後は、ウォーキングや体操といった緩やかな運動を行うようにしましょう。

 

健康診断で気づかれにくいですが、血糖値スパイクの状態になっている方は数多くいらっしゃいます。血糖値スパイクを放置すると、糖尿病や動脈硬化が引き起こされる可能性があり、危険です。食べる順番を工夫したり、食後に運動したりして、血糖値スパイク状態になるのを防ぎましょう。

貧血を甘く見るのは危険。食べ物で対策しよう!(2017年6月)

 

目まい・動悸・息切れを引き起こす貧血。少し具合が悪くなるだけだからと言って放置してしまっている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、貧血は放っておくと重大な病気を引き起こす可能性もあり危険です。必要な栄養を摂って貧血対策をしましょう。

 

 

◆貧血の原因は鉄分が不足すること

貧血の7割は鉄分が不足することで起こる「鉄欠乏性貧血」です。

 

血液の成分である赤血球には酸素を運ぶ働きがあり、赤血球の中に含まれるヘモグロビンは酸素と結合することで、肺から取り込まれた酸素を体中に運んでいます。

 

ヘモグロビンを作るには鉄が必要なので、鉄が不足するとヘモグロビンも少なくなり、酸素の運搬が上手く行かなくなってしまうのです。すると酸素を体中に送ろうとして心臓や肺が激しく動き、動機や息切れが起こります。

 

鉄が不足してしまう原因には、過度なダイエットや偏食があります。また、女性の場合は毎月の生理や、妊娠中および授乳中に胎児や母乳に鉄分を取られてしまうことで、鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあるので注意が必要です。

 

◆貧血を甘く見ると大変なことに

貧血の症状には、目まい・立ちくらみ・動悸・息切れ・食欲がなくなる・耳鳴りなどがあります。休めば一旦は回復しますが、そのまま放置してしまうと、重大な症状にもなりかねないので気をつけましょう。

 

慢性的に貧血が続くと、心臓は動く回数を増やし、より多くの血液を送って酸素を運ぼうとします。この状態が長期間続けば、心臓に負担がかかって心不全などのリスクを高めることになります。

 

また、大きな病気が原因で貧血が起こっていることも考えられます。胃潰瘍・十二指腸腫瘍・大腸がん・子宮筋腫などを患っていると、体内で出血が起きて貧血になることがあるのです。

 

さらに、貧血の多くを占める「鉄欠乏性貧血」以外の原因だった場合、病院での治療が必要になるかもしれません。血液中の白血球・赤血球・血小板が減少する「再生不良性貧血」や、ビタミンB12が欠乏することで赤血球が上手く作れなくなって起こる「巨赤芽球性貧血」、赤血球が破壊されることで起こる「溶血性貧血」などの場合は、早急に病院へ行って診てもらう必要があります。

 

このように貧血は大きな病気の原因や疾患のサインであることも考えられるので、放置しないようにしましょう。

 

◆貧血対策に鉄分を多く含むものを食べよう

貧血を治すためには、鉄分をたくさん含んだ食事を摂るのが有効です。鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に含まれる鉄で、体内への吸収率が高くなっています。一方、非ヘム鉄は植物性食品や、乳製品、卵に含まれており、吸収率は低いのが特徴です。非ヘム鉄の吸収率を上げるには、タンパク質やビタミンCと一緒に摂取するのが重要になります。

 

ヘム鉄を多く含んでいるのがレバーです。とくに豚レバーには多くの鉄分が含まれます。レバーにはヘモグロビンに鉄を渡す役目をする銅も多く含んでいるため、より効果的に貧血の対策ができます。レバーの他には、イワシやカツオなどにヘム鉄が含まれています。

 

非ヘム鉄を多く含む食材にはほうれん草・小松菜・ひじき・大豆・ドライフルーツなどがあります。非ヘム鉄を含む食材はそれだけ食べても吸収されにくいので、ビタミンCを多く含む野菜や果物と一緒に摂取しましょう。ビタミンCが多く含まれている食材にはブロッコリー・カリフラワー・じゃがいも・にがうり・苺・キウイフルーツなどがあります。

 

貧血のとき避けた方が良い食べ物もあります。コーヒー・ウーロン茶・紅茶などのお茶類には「タンニン」という成分が含まれていますが、こちらは鉄分の体内への吸収を妨げる働きがあり、貧血によくありません。貧血のときはコーヒーやお茶類を飲みすぎないようにしましょう。どうしても飲みたい場合は、比較的タンニンが少ない麦茶を飲むようおすすめします。

アボカドは栄養の宝庫! でも食べ過ぎには要注意!(2017年2月)

「森のバター」とも呼ばれるアボカドは、とても健康に良い食材です。老化の防止、体内のデトックス、血液をサラサラにするなど様々な効果があります。脂肪の燃焼にもよく、ダイエットにもおすすめの食べ物。ただ、果物の中ではカロリーが高い部類に入るので、食べ過ぎには注意が必要です。今回は、アボガドの持つパワーと、食べるときの注意点についてご説明します。

◆アボカドに含まれる栄養素の紹介

アボカドは果物の中で最も栄養価が高いといわれる食材です。皮膚の新陳代謝を高めてシミやそばかすを防止してくれるビタミンEや、皮膚や粘膜の正常保持効果があるビタミンA、免疫力アップや、コラーゲンの生成を促進してくれるビタミンCなどが豊富に含まれています。これらの成分を取るとアンチエイジング効果も期待できます。

ビタミン以外の栄養素にも着目。アボカドのコエンザイムQ10には生活習慣病予防や美肌効果があり、カルシウムやリンには骨を強くする働きがあります。さらにグルタチオンという成分には解毒を促進させて肝臓を助ける働きがあるので、飲酒・喫煙で疲れた肝臓を癒す力も。また、アボカドに含まれるビタミンEの抗酸化作用はがんの予防、プロトカテク酸にはがん細胞の増殖を抑制する効果があるといわれています。

アボカドには脂肪分が多いですが、体に良いタイプの脂肪なので摂っても問題ありません。

アボカドにはリノール酸やオレイン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸が含まれています。これには悪玉コレステロールを抑える働きがあるので、むしろ体にとっていい働きが期待できるでしょう。コレステロールの吸収を抑えられると血液がサラサラになり、動脈硬化の予防につながります。アボカドを一つ食べるだけで、これだけ多くの栄養素を摂取することができるのです。

◆デトックス効果もあり、ダイエットの食事にもおすすめ

アボカドにはさらに、デトックス効果も期待できます。アボカドにはゴボウ1本分もの豊富な食物繊維が含まれていますが、食物繊維には腸内の環境を良くしてくれる効果があるので、便秘に悩む人には心強い味方です。またアボカドに含まれるカリウムには、摂り過ぎたナトリウムを尿として排出してくれる働きも。余分なナトリウムが体内から出ていくことで、高血圧の予防にもつながります。現代は塩分過多の食事が問題視されますので、カリウムは積極的に摂っておきたい成分の1つです。

また、脂肪を燃焼してくれるうえに満腹感も高いのでダイエットにも適している食材です。アボカドに含まれる消化酵素やオレイン酸には脂肪を分解、燃焼させる効果があります。運動の前にアボカドを口にすれば、効率よく脂肪を吸収・消化できるでしょう。食べ方として、バターの代わりに使うのがおすすめ。パンを食べるときなどにバターを塗る代わりアボカドを塗って、カロリーを抑えてみてください。

◆難点は高カロリー。食べ過ぎに注意!

満腹感を得られ、栄養価も高い夢のような食材のアボカドですが、高カロリーという難点もあります。アボカドは1つ220キロカロリーと、ご飯1杯分くらいのカロリーがあるので、ご飯も同じように食べていては、カロリーの過剰摂取につながります。適度なカロリー摂取を心がけるのであれば、普段からごはん1杯分減らす食事を意識してみてはいかがでしょうか。もしくは切って半分だけ食べる、という食べ方もいいかもしれません。カットしてある場合でもきちんとラップで包めば、冷蔵保存で2日程持つので、小分けに食べることも可能です。

果物を食べ過ぎて太るということは滅多にありませんが、アボカドの場合は果物の中でもカロリーが高い種類なので要注意です。しかし、健康効果はとても高いので食べ過ぎない範囲でぜひ取り入れてみてください。

いろいろな症状の改善につながるリンパマッサージ。自分でやるときの注意点とは?(2016年12月)

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テレビや雑誌などでよく取り上げられるリンパマッサージ。しかし、具体的にどういうものなのか分からない人も多いのでは?リンパは老廃物の除去や健康的な肌作りに重要な役割を担っていますが、滞りやすいという欠点も。そこで、リンパの働きをよくするためのマッサージが重要なのです。ここでは、リンパマッサージの詳しい効能と、自宅でやるときの注意点についてご紹介します。

 

 

◆リンパとは?

リンパとは、血液と同じように体中に存在するものです。全身に張り巡らされているのがリンパ管。その中を流れている血しょうの一部で、リンパ管に吸収されたのがリンパ液。そして、全身の要所にある、リンパ管が合流している部分をリンパ節と呼びます。これらを総称したものがリンパです。リンパの働きは、老廃物の回収と排泄、細菌の退治など。また、ウイルスなどへの抗体を作ったり、異物や細菌を除去したり、健康を維持するうえでさまざまな機能を備えています。

 

血管と同じように体中に張り巡らされているリンパですが、その役割は全く異なります。血管が酸素と栄養を運ぶのに対して、リンパ管は不要物を運ぶごみ箱のような存在です。また、血液は心臓をポンプとして自動的に全身に流れてきますが、リンパは筋肉の動きによって自発的に流れています。そのため、リンパの停滞は運動不足の人に多く見られます。

 

リンパマッサージは、溜まった老廃物を流して、体のリンパの流れを改善するマッサージです。不要物がなくなれば、健康や美容にさまざまな効果が期待できます。

 

◆便秘、冷え症、ダイエットに効果を発揮

まずは便秘。痛みがないので油断しがちですが、お通じが悪いと頭痛や食欲不振、肩こりや腰痛の引き金になることがあり、見逃せない症状です。便秘とリンパには密接な関係があるので、マッサージで改善できる可能性があります。腸回りのリンパに刺激を加えると、腸の働きが活性化されて、排便が促されるのです。便秘解消が目的の人は、腰回りと下腹部のマッサージを行いましょう。

 

mame1612_002冷え症の人にもリンパマッサージは効果的です。冷え症は慢性化すると、ホルモンバランスが崩れて老化を早めたり、免疫力を低下させたりするなど、さまざまな問題を起こします。リンパマッサージは、下半身を重点にし、広い範囲で定期的に行うことが有効です。ふくらはぎや足裏、足首などをマッサージしましょう。休憩時間などにぜひ試してみてください。

 

ダイエットにも効果が期待できるかもしれません。リンパマッサージをすると、リンパの流れだけでなく、血液の流れもよくできます。体が活発になり、基礎代謝が上がるので、痩せやすい体が作れるでしょう。また、マッサージでリンパの流れを良くすれば、老廃物が外に流れてむくみを取ることができるので、見た目が痩せて見えることも。体型が気になる方は、ぜひトライしてみましょう。

 

◆セルフマッサージの注意点

mame1612_003リンパの流れはとても穏やかなので、あまり早くマッサージしてはいけません。心臓から出て行ったリンパ液がまた心臓に戻ってくるまでには12~24時間かかります。血液は1周40秒程なので、比べるとリンパの流れはとても遅いことが分かります。リンパ液は1秒で1センチほどしか進まないので、リンパマッサージはゆっくりと一定の速度で行うのが理想的です。

 

また、早く効果を出したいからといって、強くし過ぎてもいけません。リンパ液は皮膚の表面近くを流れているので、くれぐれも強い力で押さないように。あまり強く押しすぎると、逆にむくみや血行障害を引き起こす恐れがあります。1か所の所要時間は10~15分が目安です。一度にたくさんやらずに、こまめに行って毎日続けましょう。

 

リンパマッサージは病院の治療とは違うので、一度に劇的な効果が出るものではありませんが、続けると体質改善につながります。無理せずこまめに続けましょう。あまり力は入れず、さするようなマッサージを心がけてくださいね。

コーヒーのせいで高血圧になるという噂は嘘?適量を楽しめば、体に良い影響も(2016年3月)

イラスト「コーヒーを飲むと高血圧症になるよ」といった噂を聞いたことはありませんか?確かに以前まで、コーヒーと高血圧症には密接な関係性があると考えられていました。しかし、近年の研究によると、こうした症状が起こる可能性は低く、むしろ血圧を下げてくれる場合がある、ということが分かってきています。

 

そこで今回は、コーヒーと高血圧症の関係について紹介するとともに、摂取する際にはどのようなことに気をつけるべきか?また、どんな症状が起こったら飲むのをやめるべきか?といった話題をお伝えします。大好きなコーヒーを安心して楽しむために、ぜひご覧ください。

 

◆「コーヒーは高血圧のもと」という噂について

まずは、なぜ「コーヒーを飲み過ぎると高血圧になる」という噂が広まっていたのかについて解説しましょう。これは、コーヒーに含まれるカフェインに理由があります。カフェインは刺激物です。そのため、摂取すると交感神経が優位に働くようになり、血圧上昇につながるのです。

 

受験勉強や残業などで、眠気覚ましや気合いを入れるためにコーヒーを飲んだ経験のある方も多いでしょう。気分が高まったり、やる気が出たりすることにつながるのは、こうしたカフェインの作用が理由です。しかし、そのせいで「コーヒー=高血圧症」という噂が広まってしまった、と考えられます。

 

◆コーヒーと高血圧症に関する研究結果

イラストでは果たして、本当にコーヒーを飲み過ぎると高血圧になるのでしょうか。実は、このことについて調査した研究がアメリカで行われています。

 

ある施設で高血圧症の約3万人の助成に12年間、コーヒーの摂取を習慣的に行ってもらい、それに伴う血圧上昇を調査したというこの研究。その結果はなんと、ほとんどの人にコーヒーと高血圧症の関連性が認められなかったのだとか。それだけでなく、なんと高血圧症になるリスクが低下した、という傾向についても分かったそうです。

 

「でも、これは外人の話でしょ?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。実は、こうした研究は日本でも行われています。

 

その研究は、飲酒習慣のある20~79歳の男性を対象に行われました。彼らをいくつかのグループに分け、コーヒーと高血圧症について調べた結果、なんとコーヒーを飲んだグループのほうが高血圧症の人の割合が少なかったそうです。

 

こうした事例を見てみると、コーヒーが高血圧症の原因になるとは考えられません。さらに言えば、高血圧症の予防に効果があるかもしれない、とも予想されます。なお、その理由のひとつに挙げられるのが、コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸と呼ばれるポリフェノール。これには、血圧を下げる作用があるのだそうです。

 

◆飲み過ぎには十分ご注意ください

イラスト前項の結果を見ると、「コーヒーは高血圧症の予防につながるから、どんどん飲むべき」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それには少し注意が必要です。

 

どんなものでも、摂りすぎは良くありません。特に缶コーヒーには大量の砂糖が入っているものが多いため、飲み過ぎると肥満の原因になります。結果、血圧上昇を引き起こす可能性もあるので十分注意しましょう。また、カフェインの過剰摂取も基本的には厳禁。「カフェイン中毒」という言葉もあるくらいですから、飲み過ぎには注意が必要です。1日1~2杯程度が適量とされていますので、その分量を守りましょう。

 

なお、カフェインの過剰摂取によって以下のような症状が現れると非常に危険、と言われています。心当たりのある方は、コーヒーを飲む習慣について見直したほうが良いかもしれません。

 

  • 胸がドキドキして、心拍数が上がる
  • 胸焼けがしてくる
  • 不安感が泊まらない
  • 集中力がなくなって、考えがまとまらなくなる
  • まぶたや筋肉にけいれんが起こる
  • 手や指が震え出す
  • 頭痛に見舞われる
  • 喉が異常に乾く
  • 寝つきが悪くなってくる
  • 幻聴、幻覚が出る

 

コーヒーは決して健康に害を及ぼすものではありません。適量であれば、むしろ健やかな生活を後押ししてくれます。飲み過ぎには注意して、良い香りを楽しみながら愛飲するようにしましょう。

 

気軽にできるアンチエイジング(2013年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
気軽にできるアンチエイジング

 アンチエイジングという言葉を、最近よく聞くようになったと思いませんか。数年前までは、アンチエイジングというと多くは美容に関するものでした。しわを取ったり、肌のシミやくすみを改善したりといったものです。その結果、見た目が若くなるというわけです。

しかし、そうした身体の表面だけを改善しても、暫くすると元に戻ったりして、本質的な問題解決にはなりません。最近のアンチエイジングでテーマになるのは、もっと本質的に身体の老化と向かい合い、改善できる点は改善し、極力老化を遅らせようというものです。

例えば、血管は悪い生活習慣や食生活によって、老化し固くなってしまいます。弾力を失った血管は血圧を上げ、動脈硬化をもたらします。動脈硬化はやがて脳梗塞や心筋梗塞の原因となり文字通り命取りとなりますが、この血管の若さを取り戻すことは可能なのです。こうした本質的なアンチエイジングについて、今回はご紹介したいと思います。

 
     

 

血管を若返らせるためには
 

 人の年齢は、血管年齢であると言われることがありますが、この血管の年齢を若返らせることは、比較的容易だとされます。一酸化窒素という血管の内皮(血管の内壁を覆う組織)でつくられる物質が、血管を柔軟にする働きをしてくれるのです。一酸化窒素は、血管の筋肉を柔らかくして拡張し、血流をスムーズにし、さらに血管内のコレステロール体積や血栓の発生を抑える働きがあります。

この一酸化窒素の生成を促すには、どうすれば良いか。「大股で歩く」それだけです。体重のせいで膝に負担のかかってしまう人は、プールでウォーキングをすると良いでしょう。息が上がる程の速度で歩く必要はありません。大股で15分程、毎日歩くようにしましょう。

さらに、もう一つ効果的なのが、筋肉のストレッチ。固くなった筋肉が血管を圧迫して血管の老化を引き起こしていることもあるからです。大臀筋や高背筋を気持ちよく伸ばすストレッチを行ってください。筋肉が伸びれば、それとともに血管も伸びて柔らかくなります。

   
ポリフェノール
 

ポリフェノールの効果が注目されるようになったのは、食道楽と言われるフランス人は、血管の病気での死亡率が低いのは何故かという疑問からでした。フランス人はポリフェノールを多く含んだ赤ワインの消費量が多く、それと関係があるとされたからです。ポリフェノールは摂取すると動脈硬化や脳梗塞を防ぐ抗酸化作用があるといわれます。

もう一つ、ポリフェノールの一種としてアンチエイジング効果の高いのがイソフラボンです。イソフラボンは、豆腐や納豆などの大豆加工食品に含まれ、更年期以降分泌が減少するエストロゲンと同様の働きをするとされるため注目されています。

   
活性酸素
  活性酸素とは、激しい運動やストレス等で体内で代謝される酸素が、より反応性が高い活性酸素に変換されたもので、身体に様々な悪さをすることが知られています。体内には、発生した活性酸素が細胞に損傷を与えるのを防ぐために、抗酸化酵素と呼ばれる活性酸素を消去したり除去する酵素があるのですが、この働きでも分解しきれない活性酸素が細胞を傷つけると老化の原因になるとされています。

また、紫外線や放射線が細胞に照射されると細胞内に活性酸素が発生することが知られています。昔は、日光浴で真っ黒に日焼けした肌が健康の象徴のようにされてきましたが、今や日焼けは老化の主原因の一つに上げられる程です。

   
心の持ち方がもたらすアンチエイジング
 

 心理学者のエレン・ランガーは、非常に興味深い実験を、70歳代後半から80歳代の老人男性を集め、二つのグループに分けて行ったのです。

一週間の実験期間中、一つのグループには、20年前の生活を回顧する話題を義務付け、もう一つのグループには、実際に20年前の小道具に囲まれた生活環境で、よりリアルに20年前の生活を体験させたのです。廊下から老人用の手すりを取り除き、重い荷物も自分で運ばせ、食事も自分たちで作らせました。

するとどちらのグループも日がたつにつれて歩調が速くなり、自信も回復し、杖をついていた老人も杖を使わなくなりました。特に後者のグループは、その効果が顕著で、足取りや機敏性、関節炎の症状、動作の速度、認識能力、記憶力、血圧、視力や聴力まで向上したといいます。

これは、老人とはこうあるべきだという通念が老化をもたらしているという一つの仮説を導きだしています。もう何歳だから、こうあるべきだと、あるいは仕方がないと決めつけていませんか? 

 アンチエイジングの第一歩は、自分の可能性を信じることかもしれません。まず十分にストレッチをして、大股で歩きましょう。目標や夢に向かって。

   

 

サイレントキラー、高血圧とは何か(2012年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
サイレントキラー、高血圧とは何か

高血圧は、突然致命的な症状をもたらすことがあります。しかし、そうなるまでまったく自覚症状がないことも多く、サイレントキラーと言われることがあります。血液には酸素や栄養素など、身体に必要な物質が溶け込んで、血管を経由して体中をくまなく巡って取り込まれていきます。血液は重力によって高いところから低いところには容易に流れますが、どうしても心臓より高い頭などには流れにくいわけです。そこで心臓は圧力をかけて血液を送り出します。この圧力が基準値より高い状態を高血圧と呼びます。

 
     

 

血圧はなぜ上がるか
 
イラスト

血圧は、心臓から排出される血液の量とその血液の流れに逆らう末梢血管の抵抗によって決定づけられています。心拍数は自律神経によってコントロールされますが、同時に血管の拡張と収縮もコントロールされています。交感神経が緊張すると、それに伴い心拍出量(心臓が1分間に送り出す血液量)が増えて末梢の血管は収縮し、血圧が上がることになります。逆に交感神経が弛緩すると、緊張とは逆の動きになり血圧は下がるといった具合に、交感神経は血圧と密接に関連しています。

また、もともとしなやかで弾力のある動脈が高い血圧を受け続けると、動脈の壁が傷ついて固くなります。これが動脈硬化で主に細い動脈で起こるため細動脈硬化と呼ばれます。血管の内部に酸化したコレステロールが蓄積されて起こる粥状硬化は比較的太い動脈で起こり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。

   
血圧の正常値は?
 

血圧の値は心臓が収縮して血液を送り出すときに最も高くなり(最高血圧)、心臓が収縮した後、拡張するときに最も低く(最低血圧)なります。この最高血圧と最低血圧の国際的な基準による正常値が、収縮期(最高血圧)130mmHg未満、または拡張期(最低血圧)85mmHg未満といわれています。

血圧測定を自宅で行うと病院などで計るよりもリラックスしているため、より下がった測定結果がでる傾向にあります。そこで家庭血圧の正常な血圧値は、収縮期(最高血圧)125mmHg未満、または拡張期(最低血圧)80mmHg未満とされています。

イラスト
   
高血圧の二つのタイプ
 

明らかな原因があって高血圧になるタイプを「二次性高血圧」といい、原因を特定できないタイプを「本態性高血圧」といいます。日本人に多いのは「本態性高血圧」で、高血圧の約90%の方がこれにあたります。この「本態性高血圧」の発症にはいくつかの遺伝子が関係し、さらに高血圧の合併症として恐れられる脳卒中は、高血圧で脳卒中遺伝子のある人が発症するとされています。

高血圧は遺伝子の影響と生活習慣が複雑にからんで発症すると考えられ、二つの因子が関与する割合は同程度とされています。従って、高血圧の遺伝子があっても生活習慣を改善すれば、正常値を保つことが可能です。  また、特定の病気のせいで発症する「二次性高血圧」は、その原因となる主な病気として腎臓の異常によって起こる腎性高血圧、腎動脈の狭窄や閉塞で起こる「腎血管性高血圧」があります。

   
血圧はなぜ上がるか
 

血圧は、心臓から排出される血液の量とその血液の流れに逆らう末梢血管の抵抗によって決定づけられています。心拍数は自律神経によってコントロールされますが、同時に血管の拡張と収縮もコントロールしています。交感神経が緊張すると、それに伴い心拍出量(心臓が1分間に送り出す血液量)が増えて末梢の血管は収縮し、血圧が上がることになります。逆に交感神経が弛緩すると、緊張とは逆の動きになり血圧は下がるといった具合に、交感神経は血圧と密接に関連しています。

また、もともとしなやかで弾力のある動脈が高い血圧を受け続けると、動脈の壁が傷ついて固くなります。これが動脈硬化で主に細い動脈で起こるため細動脈硬化と呼ばれますが、血管の内部に酸化したコレステロールが蓄積されて起こる粥状硬化は比較的太い動脈で起こり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。

   
改善したい生活習慣
  遺伝的な要因に、以下のような生活習慣が重なると高血圧のリスクが高まりますので注意しましょう。
 
塩分の過剰摂取
過食と肥満
アルコールの過剰摂取
タバコの喫煙
カルシウム、カリウムの摂取不足
ストレスと運動不足
   
本態性高血圧の二つのタイプ
 

本態性高血圧には、「パンパン型」と「ギュウギュウ型」という異なるタイプがあるといわれています。「パンパン型」は、血管が内側から膨らむことによって起こる高血圧で、一方「ギュウギュウ型」はホルモンの影響で外側からギュウっと圧迫されるために起こるといわれます。先にあげた塩分の過剰摂取が血圧に影響するのは「パンパン型」と呼ばれるタイプです。高血圧の70%がこの形だといわれます。

大切なのは高血圧になったら、まず医療機関で何らかの病気による二次性高血圧でないか、診断してもらうこと。正しい治療はそこから始まります。

   
生活習慣を見直し、まず無理のない生活改善を
 
イラスト

 運動不足を解消しようと、いきなり毎朝5キロ走ろうとか、それまでの生活にないものを急に計画するのは、かえって危険です。足や腰に故障を起こして新たな問題を抱えてしまうことにもなりかねません。電車通勤の人は、なるべく階段を利用するといった普段の心がけでできることから始めると良いでしょう。

過食と肥満に関しては、興味深いデータがあります。肥満体質の人は、減量によって確実に減圧できるといわれます。それは1キロ減量すると血圧が4mmHg減圧できるというもの。5キロ減量できれば20mmHg血圧が下がるとされています。あせらずに半年、1年かけるつもりで体重を少しずつ落としましょう。

その他では、まずタバコ。これは無理であろうとなかろうと絶対にやめてください。タバコを一服吸うと血圧が20mmHg上がるとされています。ニコチンが体に入ると血管がギュッと収縮して血圧を押し上げるのです。副流煙によってタバコを吸わない人も同じ害を受けているということになります。

お酒は、ほどほどにしましょう。ほどほどの酒は血圧を下げるといわれていますが、飲み過ぎは逆に上がってしまいます。適量は、ビールなら500cc、日本酒は1合、焼酎なら水割り2杯。ワインならグラス2杯程度です。気にして欲しいのは、お酒のおつまみ。習慣でどうしても塩分の高いものを摂ってしまいがちになります。おすすめなのは食材そのものに減圧効果があるとされる枝豆。市販のものは塩分が多めなので、さっと茹でて塩抜きするぐらいで、塩加減も丁度良くなります。

 

知っていますか?「緊張型頭痛」(2010年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
知っていますか?「緊張型頭痛」
 1年中で最も寒さが厳しいと言われる大寒を過ぎ、2月4日の「立春」から、暦のうえでは春となります。とはいえ、三寒四温と言われるように、まだまだ寒い日が続く季節。天気のよい日中は暖かくても、夕方を過ぎると急に冷え込むこともあるので、お出かけの際には防寒対策を忘れないようにしたいものです。さて、寒い日は肩や首のコリが起こりやすいものですが、今回はこの「コリ」と密接な関係のある「緊張型頭痛」についてお話します。
 
     

 

緊張型頭痛とは
 
聞きなれない言葉ですが、「緊張型頭痛」とは、実は頭痛の原因の約半数を占める頭痛。働き盛りの壮年層や高齢層に多くみられ、現代病のひとつと言えるものです。

突然頭がズキズキと痛む片頭痛と違い、いつとはなしに重い痛みが始まり、それがだらだらと続く、やっかいな頭痛です。その痛みは「孫悟空の輪をはめられているよう」とも形容され、頭を締め付けられているような圧迫感のある痛みが、緊張型頭痛の特徴です。心当たりのある方は、原因を知って正しい対策を行ってください。

頭痛

<症状>

ズキズキと脈を打つような痛みはないが、ズンとした重い痛み、圧迫されるような痛みを感じる。
多くの場合、肩や首筋に強い“コリ”を伴う。
めまいや身体のだるさを伴うこともある。(※片頭痛に見られるような、嘔吐、目の前がチカチカする、などの症状は見られない)

<原因>

首筋から頭部にかけての筋肉が何らかの原因で緊張する、つまり、肩こりや首筋の“コリ”が原因で起こる。また、長時間パソコンを使うなどの眼精疲労も原因となり、精神的・肉体的ストレスも大きく関係する。
精神的なストレスが原因の場合
  対人関係などによる精神的ストレスがたまると、神経や筋肉の緊張が高まります。この緊張が脳に影響を及ぼし、痛みを調整する機能がうまく働かなくなり、頭痛が続くようになります。
身体的なストレスが原因の場合
  不自然な姿勢などが原因で生じる筋肉への負担が身体的なストレスになり、これによって頭痛が起こります。このような頭痛は、例えば、1日中コンピュータに向かう人に多くみられます。コンピュータに向かう姿勢、すなわち、上半身をやや前かがみにして両手を持ち上げたまま作業する姿勢は、人間にとっては不自然なもので、この姿勢を続けることで身体的なストレスが強くなり、やがて緊張型頭痛を引き起こしてしまうのです。

いずれの場合も、頭のまわりに幾重にもある筋肉が収縮して、頭痛・頭重感を引き起こします。

<特徴>

疲れが出やすい午後以降に痛みが強くなりやすい。
片頭痛に比べ、年齢が高くなってから起こりやすい。
痛みの続く時間が比較的長い。
頭の両側に起こりやすい。

 

緊張型頭痛を予防するには
 
緊張型頭痛の一番の原因は「コリ」ですが、そのコリを引き起こしているのは「ストレス」。

そのメカニズムは、

ストレスによって首筋や肩がこる

頭痛が起こる
振動を避けるため首を動かさなくなる
血行不良になり、首の筋力も弱まる
首筋・肩の疲労が起こりやすくなる
更に頭痛の原因になる

というもの。悪循環に陥りやすい特徴があるため、肩や首筋の“コリ”と、コリの原因となる“ストレスをうまく解消して、この悪循環を断ち切ることが治療と予防のカギとなります。

頭痛
日常生活でストレスをためないよう、趣味や運動などで上手な「息抜き」を心がけ、仕事や車の運転で長時間同じ姿勢をとらなければならない場合は、適度に休憩を入れたり、時々姿勢を変えるようしましょう。
眼精疲労や歯の噛み合わせ、メガネによる圧迫、高さの合っていない枕なども原因となることがあるので、心あたりのあるものは改善しましょう。
緊張型頭痛の治療と薬
 
緊張型頭痛の治療法としては

(1)ストレスをコントロールする

(2)正しい姿勢を心がける

(3)薬を用いる

以上の3つが挙げられます。普段から(1)(2)の治療法を実行し、必要であれば(3)の薬物療法を併用しましょう。精神的なストレスによる頭痛に対しては、軽い抗うつ薬や抗不安薬が有効です。また、身体的なストレスによる頭痛に対しては、筋肉をほぐし、血液の循環をよくする、筋弛緩薬や循環改善薬を一時的に使用します。

そして、薬物療法を用いる際は医師の診断を受け、適切な処方を受けた治療薬を服用するよう注意してください。これは同じ「頭痛」でも、緊張型頭痛に対する治療には基本的に血液の循環をよくする薬を使用し、片頭痛に対しては逆に、血管を収縮する薬を使用しなければならないためです。個人の判断で薬を使用すると、症状に対して正しい薬を選べない恐れもあるので十分な注意が必要なのです。

頭痛には、くも膜下出血や脳腫瘍などの病気が原因となり症状として頭痛が起こる「症候性頭痛」と、頭痛それ自体が病気である「慢性頭痛(機能性頭痛)」があります。慢性頭痛には、今回お話した筋肉のこりが原因の「緊張型頭痛」の他、頭の血管の過度の拡張が原因となる「片頭痛」や「群発頭痛」がありますが、どれも医師の治療が必要な“病気”です。「我慢すれば収まる」と無理をせず、早めに診断と治療を受けましょう。

 

 

寒い季節こそ、効果的な入浴で温まろう!(2008年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
寒い季節こそ、効果的な入浴で温まろう!
 天気の良い日中は暖かいものの、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。寒暖の差が激しいと、風邪をひいたり体調を崩しやすくなるので、外出時は上着を持参するなど、体調管理のためにも外気温には注意して過ごしましょう。さて、冬になると身体の冷えや乾燥、各部のコリや痛みなどが気になってくる方も多いのではないでしょうか。今回は、これらの悩みを助ける効果的な入浴方法についてお話します。
 
     

 

湯船につかるメリット
 
 入浴する大きな目的のひとつは、やはり「身体の汚れを落とす」こと。そのため、一人暮らしの方や、帰宅が遅くて家族と入浴時間が合わない方などは、シャワーのみで済ませてしまうという方も多いようです。しかし、お湯をはった湯船に浸かることには、シャワーだけでは得られない様々なメリットがあります。
温熱作用
肩までお湯に浸かる日本式の入浴法は、最も効果的に身体を温めることができると言われています。それは、温められた血液が血管を通して全身に運ばれ、深部温度を上昇させるため。身体の表面だけを温めるシャワーでは、深部温度はなかなか上昇しません。また、この深部温度の上昇は、視床下部の温熱中枢を刺激し、末梢の血流まで増加するため発汗を促進します。これにより、身体の隅々まで酸素や栄養分が行き渡り、代謝によって蓄積された疲労物質や老廃物も除去されます。
水圧効果
入浴すると身体表面に水圧がかかり、一般的な家庭用の浴槽で肩までの全身浴をした場合、胴回りが3~6cm、胸周りが1~3cm小さくなると言われています。腹部においては、横隔膜が押し上げられて肺の容量が減少するため、それを補うために呼吸数が増加します。この静水圧によって圧縮された血管やリンパ管は求心性(中心に向かって集まる動き)に働き、血液やリンパ液がいっせいに心臓に向かうため、心臓の働きが活発になり、疲労回復へとつながります。
浮力作用
お湯に浸かると、身体は浮力を受けて軽くなります。水中では空気中に比べて約1/9 程度の重さになると考えられるため、例えば体重60kg の人なら、水中では6.2~6.3kgの重力しかかからない計算になります。アクアビクスなどプールでのエクササイズにも応用される原理で、入浴では、身体が軽くなることでだるさを感じなくなり、心身ともにリラックスできます。
   
目的別の入浴方法
 
 このように、湯船に浸かることは身体に様々な物理的効果を与えてくれますが、その効果をより高めるためには「湯温」と「入浴時間」が大きなポイントとなります。目安としては、「ぬるめのお湯にゆっくり」はリラックス効果が、「熱いお湯に短時間」は覚醒・興奮させる効果があると覚えてください。
リラックスし、ストレスを解消したいとき
40℃以下のぬるめのお湯に、ゆっくり長めに浸かります。副交感神経を刺激し、心身を鎮静させる作用があるため、のんびりリラックスした気分を味わえます。また、身体の緊張がとれて本来の疲れが表面に出てくると同時に、脈拍も穏やかになるため、ぐっすりと眠りにつきやすい状態になります。ちなみに、脳が実際にリラックスするのは湯船から出てしばらく経ってからという実験結果も報告されているため、入浴のリラックス効果をより満喫するには、入浴後すぐに家事や明日の準備をするのは避け、のんびり過ごすと良いようです。
筋肉の疲れをとりたいとき、眠気を覚ましたいとき
42~43℃の、少し熱めのお湯に浸かります。熱めのお湯は血行を血行を良くして疲労物質を早く取り除く効果があり、この場合は熱めのシャワーを身体に当てるのも効果が望めます。ただし、心臓や血圧に不安のある方には負担が多いため厳禁です。また、お風呂に入ると眠くなるというイメージがありますが、熱いお湯での短時間の入浴は交感神経を刺激し、心身の緊張を高めてくれます。「これから一仕事するために眠気を覚ましたい」「気分転換したい」という場合は、熱いお湯をさっと浴びる入浴がオススメ。朝風呂の場合も、この入浴法が向いています。
冷えた身体を温めたいとき、湯冷めしたくないとき
身体を温めるには熱いお湯のほうがいいような気がしますが、芯から身体を温めるには40℃くらいのお湯に10分以上浸かるほうが効果的。42℃のように熱いお湯だと、どうしてもゆっくり浸かることができず、身体の表面しか温まらないため、風呂上りに身体の熱が奪われやすくなってしまします。
肌を美しくしたいとき、乾燥肌を防ぎたいとき
湿度の低い冬場は、肌の水分が奪われ、ただでさえ乾燥しがちな季節ですが、熱いお湯は皮膚を乾燥させて肌の老化を早める原因にもなります。そこで、美肌や乾燥肌対策の入浴なら、一番風呂は避けて40℃以下のぬるめのお湯に浸かるのがベスト。また、長時間お湯に浸かると肌に膨潤変化がおきて保湿成分が溶け出してしまうため、過度の長風呂は避けましょう。ナイロンタオルやスポンジで身体をゴシゴシこすることも、皮脂不足や角質層のはがれを起こして乾燥肌を助長するので避け、しっかり泡立てた石鹸で優しく洗うようにしましょう。
   
  寒い夜の温かいお風呂は嬉しいものですが、冬場は高齢者のお風呂での事故も増えがちです。高齢者や血圧の高い人がいる家庭では、浴室や脱衣所も温めておき、温度差をなくすよう心がけましょう。