画像

まめ知識カテゴリ: アレルギー

今からでもできる最新の花粉症対策(2014年3月)

     
 
3月のテーマ:
今からでもできる最新の花粉症対策

 日本人の4人に1人が花粉症だといわれています。毎日の花粉情報に一喜一憂している人も多いことでしょう。花粉の心配の少ない雨の日が待ち遠しいという声も聞きます。ご存知のように、花粉症とはスギやヒノキなどの花粉が飛ぶ季節にだけ症状がある季節性アレルギー性鼻炎のことですが、鼻だけでなく眼のかゆみや涙、充血が伴ったり、皮膚やのどのかゆみ、下痢症状なども伴うことがあります。この時期は、長年花粉症に悩まされている人にとって憂鬱な時期。春が四季の中で一番好きだったのに、嫌いになったという人もいることでしょう。
 今月は、こうした不快な症状を緩和する方法を紹介します。

 
     
花粉症のメカニズム
 

 今年初めて花粉症になったという人もいることでしょう。この10年の花粉飛散量の平均は、それ以前の10年間の平均と比べて2倍以上になっているというデータがあります。初めて花粉症を発症する年齢も、子供から高齢者まであらゆる年代に見られ、もうこの歳だから花粉症にはならずに済んだと安心することもできないのです。そうした人のためにも、その発症メカニズムをあらためて紹介します。

 
その1
 

 スギやヒノキなどの花粉が、目や鼻から人体に入ってくると、私たちの身体はそれが有害な侵入者かどうか判断します。

その2
 

 身体にとって有害なので排除すると判断した場合、この侵入者に反応する物質を作る仕組みが働きます。リンパ球が働いて作り出すこの物質をlgE抗体と呼びます。

その3
 

 抗体ができた後で、再び花粉が体内に入ってくると、鼻や目の粘膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合します。
(ちなみにこの肥満細胞とは、太ることとは関係がなく、顕微鏡でのぞくと膨れて見える様子が肥満を想像させるので名付けられたもので、顆粒細胞と呼ばれることもあります。)

その4
 

 すると肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が分泌されて、花粉をできるだけ体外に洗い流そうとします。
くしゃみで吹き飛ばそうとしたり、鼻水や涙で洗い流そうとしたり、逆に鼻づまりを起こして中に入り込むことを防ごうとするわけです。

   
初期療法を行えば比較的楽に花粉症の時期を乗り越えられる
 

 悪化してから病院に行くよりも、症状の軽いうちに治療を受けるとそのシーズンを通して花粉症の症状を軽くすることが可能です。毎年花粉症で苦しんでいる人は、できれば花粉の飛び始める前に病院に行きましょう。

今月は、もう花粉の飛散が始まっています。関東地方は2月中旬には飛び始めますから、来年は、1月中に病院に行くと効果的な初期療法が受けられるということを覚えておきましょう。花粉症の発症を遅らせたり、飛散量の多い時期の症状を軽くすることができ、薬の量や使用回数を少なくすることもできます。

   
自分でできるケアも知っておきましょう
 

 花粉症を悪化させて苦しまないためには、早めに診察を受けることが大切ですが、症状を軽くするために自分でできるケアもありますので、それをご紹介します。

 
その1
「外出するときは帽子、マスク、花粉症対策用の眼鏡などを装着する」
 

 花粉を身体に取り入れないように、マスクで鼻と口を覆い、髪の毛への付着も帽子などで極力防ぎ、最近デザイン性も向上した花粉症対策用の眼鏡などで目からの花粉の侵入を防ぎます。市販されているほとんどのマスクは吸気に際して95%以上花粉を除去するとされています。ただ、マスクは花粉が付くと目詰まりしますから、できるだけ頻繁に取り替えるようにします。安いマスクを毎日使い捨てにすると経済的で、衛生的だとされています。

その2
「外出から帰ったら、できだけ身体についている花粉を落としてから入室する。」
 

 髪の毛や、衣服には外出中にたくさんの花粉が付着しています。花粉症でない人は、無頓着になりがちですが、家族に花粉症で苦しんでいる人がいる場合、できるだけ玄関に入る前に埃を払うように全身から花粉を振り落として、家に持ち込む花粉の量を減らしましょう。

その3
「洗濯物は室内干しにする」
 

 これも、花粉症対策には大切なポイントです。花粉症で苦しみながら、平気で洗濯物を外に干している人もいるようですが、洗濯物の乾き具合よりも花粉を家に取り込まないようにすることの方が大切です。

その4
「外出から帰ったら、洗顔し、市販の人工涙液などで目を洗う」
 

 目の周辺についた花粉は、洗顔で落とします。ただし、水道水で目を洗うと目を痛める可能性もあるので、目を洗うときは市販の人工涙液などを使うようにします。

その5
「鼻を生理食塩水で洗う」
 

 鼻を洗う簡単な器具と生理食塩水を用意し、外出から帰ったときなどに洗浄すると、鼻の中に入った花粉を洗い流すことができ、症状を軽くすることができます。ただし、洗い過ぎると悪影響がでる場合がありますので注意しましょう。

その6
「部屋の中を乾燥させない」
 

 花粉症の症状に苦しんでいるときは、とくに目や鼻の粘膜が乾燥に弱くなっています。加湿器等を使って、室内の保湿を心がけましょう。3月はまだ寒い時期。特にエアコンなどで室内を温める場合、室内の空気は乾燥しがちなので保湿を心がけることが大切です。

   
 

 これからの季節、花粉症の方にとってはつらい時期ですので、早めに準備をするなど花粉とのつきあい方を工夫するとともに、花粉症ではない方も家や会社などに、できるだけ花粉を持ち込まないよう配慮をしてはいかがでしょうか。

   

 

怖い虫さされ(2011年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
怖い虫さされ

夏休みになり、海や山など野外に出かける機会が多くなります。そこで遭遇するのが「虫」。虫刺されにもいくつか種類があり、刺した虫によって症状にも違いがあります。共通する症状としては赤味を伴う発疹、かゆみといったものですが、中にはスズメバチのように強い毒性やアレルギー症状を引き起こすものもあり、注意が必要です。

 
     

 

人を刺す夏の虫
  ■スズメバチ
スズメバチスズメバチは8月から10月が活動期であり、被害が最も多くなる時期です。まずは巣に近付かないこと、スズメバチが近くに来ても、追いかけたり腕を振り回したりしないこと。またスズメバチは黒いものを襲撃する習性があるので、黒系の服や帽子を避けることもポイントです。

もし刺されてしまったら、すぐに毒を体外に出してください。針のついていない注射器や専用の器具で吸い出し、刺された場所を冷やして心臓より高く上げ、病院へ。口で毒を吸い出すのは、口内の傷や虫歯から体内へ毒が入る場合があるので避けてください。「スズメバチに刺されたら尿をかける」ということもよく言われますが効果はありません。

最も怖いのは、「アナフィラキシーショック」と呼ばれるアレルギー症状で、蜂の毒に過敏に反応してしまうアレルギーを持った人の場合、呼吸困難や血圧低下などを起こし、最悪の場合、死にいたることもあります。アナフィラキシーショックは短時間で起こるので、少しでも様子がおかしいと感じたら、救急車を呼ぶなど速やかに対処するようにしてください。

■ブヨ
虫除けブヨ(ブユ)はハエより若干小さく、体長3~5mm程度の吸血性の虫です。幼虫は小川や渓流で育ち、綺麗な水辺を好むため、夏場のキャンプ場や渓流、ゴルフ場や田んぼなどに生息しています。ブヨは刺される(蚊のように皮膚に針を刺すのではなく、皮膚を噛み切ります)と猛烈に痒いだけでなく、人によっては激しい痛みを生じたり、赤黒く腫れが残ったります。リンパ管炎やリンパ節炎を併発し、時に発熱を伴い、歩行困難になるというような症状が出ることもありますので、アレルギー症の人は特に注意する必要があります。

まずブヨを避けるためには肌をむき出しにしないこと。足(膝より下)を良く刺されますので、長ズボンをはいて予防してください。またまめに虫よけスプレーを使って虫よけを行ってください。もし刺されてしまったらまず患部が熱を持っているときは冷やすこと。そして早めにかゆみ止めの軟膏(ステロイド軟膏など)を塗り、掻きむしかないように注意してください。そこから雑菌が入り、化膿してしまいます。かゆみや腫ればひどい場合は皮膚科を受診してください。

■マダニ
腫れるマダニは吸血性のダニの中でも大型のダニの総称で、5月から8月にかけて活発に活動し、野山の木や公園の草むらなどの葉、枝、草の先端に生息します。人間のまぶたや耳、首、脇の下、内股など柔らかい部位に寄生します。マダニに刺されても最初は軽い痒みと痛みを伴うだけですが、ある程度マダニが血を吸って大きくなると血豆のように皮膚が腫れます。マダニに食いつかれた場所を中心に、徐々に大きくなる赤い発疹が現れ、慢性化すると神経、筋肉、関節、心臓などが冒されていくことがあります。マダニの持つボレリアに感染すると、ライム病(遊走性紅斑)と呼ばれる皮膚病やツツガムシ病になる恐れがあります。

野山で野外活動する際には、首周りや手首、足首から侵入するのを防ぐこと、明るい色合いの服装がダニの付着防止と発見に役立ちます。また野外から帰宅後は入浴し、からだをよく洗うとよいでしょう。マダニが食いついているのを発見したら、無理やり手で取らず、ピンセットや毛抜きで跡が残らないように丁寧に取り除き、化膿を防ぐ薬を塗ってください。

■毛虫
毛虫毛虫は蚊やダニなどと違って吸血するのではなく、毛虫の持つ毒針によって人を刺します。毛虫による虫刺されの症状は強い痒みと腫れです。小さな赤い発疹ができて、ピリピリとした痛みが生じた後、強いかゆみが出るのが特徴です。

毛虫に刺されたらまずは水でしっかりと毒毛を洗い流すようにしましょう。ケムシの毛が残っていたらガムテープなどで取り除き、患部を強くこすらずに、石鹸で何度も洗い流します。市販のかゆみ止めをつけ、腫れや痛みがある場合は病院で診察を受けましょう。

   
虫を予防する
  夏はついつい半袖半ズボンなど薄着になりがちですが、野外で遊んだり作業をする時はできるだけ長袖・長ズボンを着用しましょう。首まわりにタオルを巻くなども有効です。帽子や手袋も虫よけに効果的です。顔の前に虫よけネットのついた帽子も販売されています。また、外出する前は虫よけのスプレーや防虫剤を肌の露出部分にかけておくとブヨや蚊を避けられます。顔の前に虫よけネットのついた帽子や虫よけシールやリングなど子供達が楽しんで使える便利なグッズも最近は数多く販売されているようです。
   

 

「鼻うがい」でスッキリ、花粉症対策(2009年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
「鼻うがい」でスッキリ、花粉症対策
 朝晩は冷え込むこともありますが、温かい日差しや桜のつぼみに、春の訪れを感じる季節になりました。しかし、花粉症に悩む方々にとっては、春の訪れは憂鬱なもの。インフルエンザや風邪の予防に引き続き、外出時にはマスクを手放せないという方も多いのではないでしょうか。今回は、花粉症の症状を少しでも楽にするための対策「鼻うがい」についてお話します。
 
     

 

花粉症とは?
 
 花粉症とはそもそもアレルギー反応の一種で、アトピーや食物アレルギーなどを持っているアレルギー体質の人は、特にかかりやすいと言われています。ウイルスや細菌などが侵入してくると、その「敵」のタイプを覚え、次の来襲に備えてぴったりの「抗体」を作っておくというのが免疫のシステムですが、それが過剰な反応を起こして本来は毒でもないスギなどの花粉にまで抗体を作り出してしまい、鼻や目についた坑原(花粉)を取り去ろうと、くしゃみ・鼻水・かゆみなどの防御システムが働く、というのが花粉症のメカニズムです。
 現在10人に1人が発症していると言われ、日本特有の現代病とも言える「花粉症」。その大きな原因となっているスギ花粉が飛散するのが今の季節です。予防のためには、原因となる花粉を吸い込まないことが第一なので、外出時のマスクやメガネの着用はもちろん、花粉の付きにくい素材の服を着る、外出後はすぐに着替える、こまめな掃除を心がけるなどして、花粉を室内に持ち込まない工夫も大切です。
 
「鼻うがい」の効果
   人間の身体には、目や耳、口などの孔があいていますが、常に孔が開いていて、外の空気を取り込んでいるのは鼻の孔だけです。そのため、鼻は空気中の花粉も取り込みやすく、また、鼻の前方には綿毛細胞がないので、ここに付着した花粉は長く残ってしまうことになります。「鼻うがい」は、鼻の中を洗浄し、花粉を洗い流すことで、花粉症の原因となる花粉そのものを取り去る効果を持っています。その他、アレルギー性鼻炎や口内炎、にきびやじんましんなどの症状改善にも効果があるという報告もあり、もちろん風邪の予防にも有効です。
   
「鼻うがい」のやり方
  ◎用意するもの

ぬるま湯100cc

(刺激を少なくするため、体温と同じくらいの37℃前後の温度を目安に)

食塩1g(血液とイオン構成が同じの天然塩を用意しましょう)
人間の体液と同じ、0.9%の濃度の食塩水を使用することで、刺激を最小限に抑えられます。水道水をそのまま使うと、鼻の粘膜を刺激してしまうので注意してください。

◎やり方

1.   お湯に食塩を入れ、よくかき混ぜます。(濃度0.9%の生理食塩水を使用してもOKです)
2.   顔を上に向け、片方の鼻の孔に少しずつ食塩水を流し込みます。(一方の鼻の孔を押さえ、コップの淵からゆっくり吸い上げるようにしてもOK)
3.   鼻の奥に食塩水が流れていくのを確認したら、前かがみの姿勢になって鼻か口から食塩水を出します。(このとき、鼻をかんで出すのではなく、自然に流れ出てくるままにまかせます)
4.   これをもう一度繰り返し、反対側の鼻の孔も同じように行います。
5.   慣れてきたら、食塩水を入れたあとに顔を傾け、鼻の奥の右側、左側も洗うようにします。(顔を傾けすぎて、耳に水が入らないように注意しましょう)

慣れてくれば、両方の鼻の孔を同時に洗浄しても大丈夫ですが、耳の方へ食塩水が入らないよう注意して行ってください。また、鼻うがいの最中や後に、鼻の中に食塩水が残った状態で鼻をかむと、耳に水が回ってしまうので、鼻をかまないよう注意しましょう。(中耳炎などの耳の病気の原因になることがあります) 最後に頭を下に向け、左右にゆっくり振るようにすると残った食塩水が鼻や口から出てくるので、ティッシュ等で拭き取るようにしてください。

   
   「鼻うがい」は、基本的に1日1回、帰宅後や夕食後、入浴前などに行うのがおすすめです。鼻の中を刺激するため、かえって鼻水が増えてしまうこともあるので、慣れるまでは外出前や就寝前などは避け、余裕のある時間帯を選ぶといいでしょう。「痛そう」「難しそう」というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、「すっきりした」「楽になった」という感想を持つ鼻うがい経験者も多いので、花粉症の方は是非試してみてください。

 

 

子どもの食物アレルギーと食物除去について(2006年12月)

 

子どもの食物アレルギーと食物除去について

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 内山 真理

 
 
 
 

 食物アレルギーと診断されても、一般的には、小学校に入るまでにはほとんどの子が食物制限を必要としなくなります。特に食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎は3歳以降は急速に減少するといわれています。

実際、卵アレルギーでも3歳を過ぎると食べ過ぎなければ、症状がでない子どもが多いとも聞いています。

しかし、いつかは治るのだからといって、原因食物を食べ続けていると、なかなか症状が良くならないのも真実です。

食物除去を行う場合は、

 主治医の判断に従って必要最低限の制限を必要期間のみ行うのが原則です。決してお母さんの自己判断で行わないで下さい。

 検査と食物日誌から食物アレルギーと診断されたら、ある一定期間は食物除去を行います。

その間、代替食物について医師から十分な説明をうけ、食物日誌をつけながら栄養バランスに気をくばり、食物除去を続けることが大切です。

特に、乳児では市販のベビーフードは控え、食物内容がわかる手づくり離乳食にし、必要に応じて新たな食材を追加しながら食物除去を続けます。

幼児の場合は、食べ物を制限することによる精神的ストレスを念頭において食物制限をしなければなりません。

食べ物を制限することによって、一時的に症状が良くなっても、食べられないストレスが強くなると、さらに症状が悪化してしまうことがあります。

食べることによって多少症状が悪くなっても、得られる満足感が勝るなら多少は食べてもよいなど、ケース・バイ・ケースの対応を主治医とよく相談しましょう。

★ 食物除去の注意点

 
食物除去療法によって症状がどんなに改善しても、心身の発育障害があっては何の意味もありません。 食物アレルギーで食物除去をする場合も厳しい食物制限は行なわず、必要最低限の食物制限をするのが最近の除去食療法の考えです。

除去食療法のポイント

お母さんが一人で悩まない

医師と二人三脚で除去食内容を考え、必要以上の制限をしない。

代替タンパクあっての除去食療法

代替食品を使って、成長、栄養障害を起さないようにする。

スキンケア、環境整備をきちんと行う

たとえ食物除去中でも、スキンケアと環境整備が重要。

重症の場合は完全除去療法を行う

アナフィラキーショックを起こしたことのある食品に関しては、徹底的な除去を行う。

定期的に発育、発達をチェックする

特に、乳幼児期の成長障害は大人になっても、その障害が残ることがある乳児では1ヵ月ごとに身長、体重を測定し、母子健康手帳についている発育に記入して発育の遅れがないように気をつける。幼児期では急速な変化はないため3ヵ月毎にチェック。体重の増加不良があった場合は食物除去をゆるめる必要がある。特に、身長の伸びが悪い時は要注意。身長の増加不良が認められた場合は即座に除去食療法を中止。

勝手に除去食を始めたり、中止しない

除去食療法は食物アレルギーの療法の一つなので、自己判断は禁物。

★食物アレルギーと給食について

 食物制限のために皆と同じ給食が食べられないということは、子どもにとって大きな心理的負担になります。

食物制限のある場合は、食物アレルギーについて、園や学校側の理解と協力が不可欠です。同級生には担任から理解と協力が得られるよう説明してもらいます。

除去給食を行う場合は、

「人には色々な悩みや苦手なことがあります。○△さんは皆と同じ給食が食べたいのだけれど、お医者さんから食べてはいけないといわれている食べ物があります。本当は全部食べたくても少ししか食べられないことをわかってあげましょう。」

除去給食が不可能な場合は弁当持参となりますが、その場合は

「しばらくの間、お弁当で頑張ると、きっと皆と同じ給食が食べられるようになるので応援しましょう。」などと学校の先生に説明していただくとよいでしょう。

お弁当の場合は、あらかじめ給食の献立表をみて、給食と似た内容の除去食弁当を持たせる気配りをすることも大切です。

しかし、食物アレルギーは5~6歳になるとかなり症状が軽くなり、多少なら食べても症状がでないこともあります。

多くは、牛乳だけが飲めない場合や、特定の食物だけを食べなければよい場合がほとんどです。

残す必要があることを前もって皆に理解しておいてもらえば、給食を食べることができます。

しかし、そばアレルギーの子は命に関わることがあるので、そば給食の日には弁当を持参しましょう。

 

 

 

身近なアレルゲン 「ハウスダスト」を大掃除!(2005年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
身近なアレルゲン

「ハウスダスト」を大掃除!

 いよいよ師走。一年の締めくくりとして、そして新年を迎える準備として、大掃除の季節になりました。普段なかなか掃除をしない場所まで徹底的にキレイにするそのついでに、今年は「ハウスダスト」もお掃除しましょう。ということで、今回は近年騒がれているハウスダストの正体と対策についてご紹介します。
 
     

 

ハウスダストとは?
 
 ハウスダストとは、ご存知の方も多いと思いますが、空気中の目には見えないほど小さなホコリのことです。その正体は、チリやホコリの他、ダニの死骸やフン、花粉や胞子、タバコの煙粒子など様々。これら空気中に浮遊する微粒子を総じてハウスダストと呼びます。
このハウスダストが鼻炎や皮膚炎などのアレルギー症状や、花粉症、ぜんそくなどの症状を引き起こす原因になるとも言われ、専用の対策製品も多く目にします。また、最近では高気密の構造で建てられた住宅が増え、その気密性が却ってハウスダストの問題を深刻なものにしているとも言われます。
 
ハウスダストを防ぐには?
 
 基本はやはりこまめなお掃除。床にはあまり物を置かないように、整理整頓して普段から掃除のしやすい部屋にしましょう。細かいホコリはダニのエサになるため、普段のお掃除がダニの発生防止にもつながります。一番のポイントは、家具や床などにホコリが溜まらないように注意すること。これは毎日のお掃除が大切ですが、掃除の際もホコリをたてないように、掃除機で吸い取るか雑巾でふき取るようにしましょう。ただし、掃除機もハウスダスト対策のしてあるものを。吸い込んだホコリが排気と一緒に出てしまうタイプのものでは、ホコリをまた撒き散らしてしまうことになるので、一度ご家庭の掃除機をチェックしてみましょう。

また、お部屋の換気も重要なポイント。カビの発生を防ぐことにもなるので、換気はこまめに行いましょう。その際、空気のこもりがちな押入れやタンスも開け放しておきます。さらに扇風機などで強制的に空気を循環させると効果的。空気清浄機を利用するのもおススメです。

普段からできる対策
 
 それでは、家庭で行える乾燥肌対策をご紹介します。乾燥を防ぐ=保湿。今日から実践して、潤いのあるお肌を手に入れましょう。
ファブリックの場合
  ・ホコリの溜まりやすいじゅうたんや、毛足の長いカーペットなどはなるべく避けること。使う場合は、ホコリが気にならなくてもこまめに掃除機で吸い取る習慣をつけましょう。ぬいぐるみなどもダニがつきやすいので、同様に。

・肌に直接触れる寝具も、干しただけでは取れないホコリやダニの巣。カバーをこまめに洗濯するのはもちろん、布団なども掃除機で吸い取るようにします。そして布団を干すときは、よく晴れた日の10時~午後2時の間に干すのがベスト。干している時に叩くのではなく、取り込んだときに掃除機をかけるほうが効果的です。

・意外と忘れがちなカーテンもお掃除を。叩いてホコリを落とすのではなく掃除機で表面のホコリを吸い取り、定期的に洗濯するかクリーニングに出しましょう。

   
キッチンや浴室の場合
  ・ダニやカビは湿度を好むため、流しを使った後や入浴後は水滴をふき取り、換気扇を回しましょう。加えて、家や部屋が換気の悪い造りの場合、換気扇はなるべく回しっぱなしにしておきます。
大掃除の時のポイント
  ・マスクを着ける

ホコリを吸い込まないよう、マスクなどを着けて掃除にとりかかりましょう。
・エアコンのフィルターを掃除する

やらなくては、と思いつつなかなか手が出ないエアコンの掃除。フィルターにたまったホコリをとり、キレイに掃除しましょう。ハウスダストの軽減だけでなく、電気代の節約にもなるので、月に一度は掃除するよう心がけましょう。
・押入れを掃除する

目だったカビなどがなくても、押入れの中のものを出してふき掃除と換気を。掃除する間、しまってあった本などは日干しをしておくとカビ防止になります。また、サイズも豊富で手軽なダンボール製の収納を活用している家庭も多いと思いますが、紙の素材は吸湿性が高いのでカビの発生を助長する可能性が。他の素材に変えるか、収納箱自体もときどき日干しするなどの工夫をしましょう。

   
   たかがホコリ、されどホコリ。なんとなくホコリっぽいなと感じると、キレイな空気が吸いたくなるのは当然の身体の反応です。放っておくと咳がでたり、鼻がぐずついたり、様々なアレルギー反応を引き起こす原因ともなりかねません。普段からのお掃除、換気などに加え普段手の届かない場所も掃除して、家中のホコリと汚れた空気を徹底除去!すがすがしい空気の中で新年を迎えましょう。

 

 

花粉症(2004年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
花粉症
ぽかぽかと暖かくなり、お出かけしたくなる春。でもその一方で、花粉症に悩む人には憂鬱な季節です。1961年に発見されて以来、日本での花粉症患者は急増。1996年には実に国民の10人に1人が花粉症という調査結果も出ているほど、多くの人が花粉症に悩まされています。今回は花粉症のメカニズムと、その予防策をご紹介します。正しい対策を実践し、気持ちよく春を過ごしましょう。
 
     

 

花粉症になぜかかる?花粉症のメカニズム
 
 花粉症とはそもそもアレルギー反応の一種。アトピーや食物アレルギーなどを持っているアレルギー体質の人は、特にかかりやすいと言われています。しかし、ウイルスや細菌などとは異なり、本来身体に毒ではないはずの花粉にアレルギー反応が起こるのは何故でしょうか?

ウイルスや細菌などが侵入してくると、その「敵」のタイプを覚え、次の来襲に備えてぴったりの「抗体」を作っておくというのが免疫のシステム。

花粉症になぜかかる?花粉症のメカニズム
しかしそれが過剰な反応を起こして本来は毒でもないスギなどの花粉にまで抗体を作り出してしまい、鼻や目についた坑原(花粉)を取り去ろうと、くしゃみ・鼻水・かゆみなどの防御システムが働く、というのが花粉症のメカニズムです。基本的には花粉に対する抗体・「IgE抗体」が身体の中で一定数以上できたときにアレルギー反応が始まると考えられていますが、その「一定数」がどのくらいなのかは分かっておらず、抗体を持っていても発症する人としない人がいる原因も今のところ不明。花粉症にはまだまだ分からないことが多いのです。

そして、スギ花粉自体の変化も原因のひとつ。都市部の花粉はディーゼル排出粒子に傷つけられ、中のアレルゲン(アレルギー原因物質)が出やすい状態になっているのです。更に、花粉だけよりディーゼルの排ガスを一緒に吸い込むと発症率が高くなるという調査結果も出ています。そもそも日本にスギが増えたのは、太平洋戦争後、山林の復興のために行なわれたスギの植林から。その後ヒノキの植林も進み、スギ花粉によく似た構造のヒノキ花粉もアレルギー反応を誘発。花粉症は現代日本の発展と共に発生した、日本の国民病なのです。

花粉症の予防策
   花粉症の予防には、とにかく早めの対策が効果的。完全に発症を防ぐのは難しいですが、症状が出る前からアレルギーに強い体を作り、花粉に対する免疫力を高めておくことで、症状の軽減が望めます。
 
体づくり編
 
生活習慣の乱れは、免疫機能の正常な働きを妨げます。また、ストレスなどココロの疲れは自律神経の乱れを生み、これも免疫機能を低下させます。充分な睡眠と規則的な食事、軽い運動を心がけ、普段から花粉症に強い体づくりをしておきましょう。
体づくり編
また、タバコやアルコール・辛い食べ物などの刺激物は症状を悪化させる原因となるのでなるべく控えましょう。
病院編
  くしゃみ・鼻水・かゆみ・鼻詰まりなどの適切な対策のために、まずは耳鼻咽喉科での検査を。鼻の粘膜の状態を目で確かめる「鼻鏡検査」、鼻汁を採取して好酸球の数を調べる「鼻汁中好酸球検査」、原因となっている花粉の種類を特定する「血清抗体検査」、血液中のIgE抗体の濃度を調べる「血液検査」などで、諸症状の原因を調べることができます。

また、花粉症の治療の中心は薬物療法。症状を軽減させるための「対症療法」と症状が現れるのを防ぐ「予防的治療」の2つがありますが、症状が出る前に抗アレルギー薬を服用する予防的治療のためには、早めに病院へ行くこと。抗アレルギー薬は内服薬の他、局所的に使う点鼻薬と点眼薬があり、いずれも効果が現れるまでに1~2週間かかるので、花粉が飛び始める前から飲み始め、花粉が飛ばなくなるまで飲みつづけることが必要です。

日常生活編
  花粉症の最大の予防策は、なんといっても花粉を体内に取り込まないようにすること。布団や洗濯物を外に干さない、外出時は帽子・マスク・メガネなどで花粉が付くのを防ぐ、そして帰宅後は手洗い・うがい・洗顔をして皮膚についた花粉をしっかり落とすこと。また、ペットについた花粉も忘れずに。風の強い日の散歩は避け、花粉の飛散量の少ない早朝を選び、家に入れる前にはブラッシングして花粉を払いましょう。

また、部屋に入ってしまった花粉を除去するには掃除機と水ぶきでのしっかり掃除が効果的。ソファや座布団などのカバーもこまめに取り替えて洗濯しましょう。空気清浄機は、目や鼻からの吸い込みを防ぐために、顔の高さに置くとより効果が得られます。