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まめ知識カテゴリ: 女性の病気

冷え性にはタイプがあった?タイプ別の冷え性対策と改善法(2021年10月)

 

気温がぐんと下がり、どんどん寒くなるこれからの時期は、冷え性に悩まされる方も多いでしょう。冷え性は、「全身型」「内臓型」「四肢末端型」「下半身型」と、大きく4つのタイプに分けられます。今回は、冷え性のタイプ別に、より効率的な対策・改善法をご紹介します。さまざまな対策法を試しても冷え性が改善しないと感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

◆全身型

全身型の特徴は、常に体温が低く、気温の変化に関わらず一年を通して寒さを感じるタイプです。ストレスや生活習慣が乱れている若者や高齢者など、基礎代謝が低下している方に多く見られます。冷えが慢性化しているため、自覚症状がない人が多いのも特徴的です。倦怠感や疲労感を感じやすく、食欲や気力の低下などの症状が出るケースもあります。甲状腺機能の低下によって引き起こされる可能性もあるため、あまりにも症状が改善されない場合は病院に受診しましょう。

 

・全身型の対策・改善法

全身型冷え性の主な原因は、基礎代謝の低下にあります。適度な運動を取り入れたり、規則正しい生活を心がけたりして、基礎代謝を上げるよう努めましょう。靴下や腹巻などを活用し、できるだけ体を冷やさないようにすることも大切です。冷たい飲食物を避け、ショウガやネギなど、体を温める性質をもつ食品を積極的にとりましょう。

 

◆内臓型

内臓型は、手足や体の外側などは温かいのに内臓だけが冷えてしまうタイプで、別名「隠れ冷え性」とも呼ばれています。胃腸が弱く、筋肉の少ない方に多く見られるタイプです。冷たい飲食物を好んで摂取する方や、全身に汗をかきやすい方も内臓型冷え性の可能性が高いといえます。冷えを自覚しづらいため、知らず知らずのうちに内臓に負担をかけてしまっているかもしれません。

 

・内臓型の対策・改善法

内臓型冷え性は、ストレスなどで自律神経が乱れると引き起こされやすくなります。ストレスをため込まないよう適度に発散したり、規則正しい生活で睡眠不足を解消したりして、自律神経を整えましょう。薄着は避け、腹巻やカイロで積極的にお腹を温めるのも効果的です。冷たい飲み物や生野菜の摂取を控え、温かいものをとりましょう。

 

◆四肢末端型

四肢末端型は、手先や足先が冷える典型的な冷え性タイプです。食事量が少ないダイエット中の方や、運動不足によって筋力が低下してしまっている方に多く見られます。体を温めるためのエネルギーが不足しているため末端まで血液が巡らず、手先足先から冷えてしまうのです。しもやけや肌荒れ、月経トラブルを引き起こすことがあります。

 

・四肢末端型の対策・改善法

四肢末端型冷え性の主な原因は、運動不足による筋力の低下です。体の中でもっとも多くの熱を生み出す筋肉をつけるために、毎日の生活に運動やストレッチを取り入れましょう。また、しっかり食事をとることも大切です。特にたんぱく質は、食事誘発性熱産生の高い栄養素のため、積極的に摂取することをおすすめします。お風呂はシャワーだけで済まさず、湯船にしっかり浸かるようにしましょう。

 

◆下半身型

上半身は温かいのに、お尻や太もも、足など、下半身が冷えてしまうタイプです。加齢によって血管が細くなったり筋力が衰えたりすることで、下半身の血行が悪くなると起こりやすくなります。また、むくみやすい方、デスクワークなどで長時間同じ体勢でいる方なども起こりやすいタイプです。下半身は冷えているのに上半身は血が巡るため温かく、「冷えのぼせ」の症状が出ることがあります。

 

・下半身型の対策・改善法

下半身型冷え性は、下半身の血行不良が原因となって起こります。スクワットやかかとの上げ下げ運動、階段の上り下りなどを積極的に行いましょう。また、マッサージやストレッチも効果的です。デスクワークなどで長時間同じ体勢をとる方は、定期的に立ち上がったり下半身のストレッチをしたりして、血液を循環させるように心がけましょう。

 

 

冷え性を4つのタイプに分け、タイプごとの対策と改善法をご紹介しました。自分の冷え性タイプと原因をしっかり把握し、より効果的な対策をとりましょう。冷えは、さまざまな体の不調を引き起こす原因にもなります。より健康的に冬を過ごせるように、冷え性を改善しながら寒さに備えましょう。

セルフチェックで乳がんに備えよう(2010年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
セルフチェックで乳がんに備えよう
 記録的な猛暑を記録した、今年の夏。熱中症で亡くなられた方もあり、改めて“身近に潜む危険”について考えさせられました。事故や罹患を未然に防ぐことは最も重要ですが、防げなかった場合は早期発見・早期対処が身を守る鍵となります。今回は、特に早期発見が重要とされる乳がんについてお話します。
 
     

 

乳がんとは
 

 
乳がんとは、その名のとおり乳房にできる癌のこと。女性がかかる癌の中で最も発症数が多く、統計によるとなんと日本人女性の18人に1人がかかると言われているほど“身近な”病気なのです。乳がんは、乳房のなかの母乳をつくるところ(小葉組織)や母乳を乳首まで運ぶ管(乳管組織)から発生する悪性腫瘍で、乳がんの約90%は乳管から発生する「乳管がん」です。

ちなみに、乳がんは女性特有の病気と思われがちですが、男性にも乳腺があるため、ごくまれに男性も乳がんを発症することがあります。ただし、男性の発症率は女性の200

300分の1程度と低く、やはり乳がんは女性特有の病気と言えるでしょう。また、年齢別にみた女性の乳がんの罹患率は30歳代から増加し始めて50歳前後にピークを迎え、その後は次第に減少します。30歳代未満の若い女性でも発症する可能性があり、乳がんにかかる人の数は乳がんで死亡する人の数の3倍以上という調査データも報告されています。

乳がんとは
 
乳がんになる原因とは
 

 
乳がんの発生と進行には、女性ホルモン(エストロゲン)が関係あると考えられています。近年の乳がん患者増加の背景には、食生活の欧米化にともなう体格の向上によって初潮から閉経までの期間、つまり女性ホルモンの影響を受ける期間が長くなったことが深く関係していると言われています。また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法などが一般的なものになったことが乳がんのリスクを高めているとも考えられます。

<乳がんのリスク要因がより高いと考えられる人>
 

・月経 初潮年齢が早い、または閉経年齢が遅い

・出産 初産が遅い、または出産歴がない

・授乳 授乳の経験がない

・体重 閉経後の急激な肥満になった場合

(※ただし、閉経前については肥満者のほうがリスクが低いというデータもあります)

・その他 避妊薬ピルやホルモン剤を常用している、飲酒習慣がある、一親等の乳がん家族歴があるなど

   
乳がんの症状
 

 
乳がんのできやすい部位は乳房の外側の上方が一番多く、ついで内側の上方、外側の下方、乳首付近、内側の下の順になります。乳がんの症状は「しこり」と思われがちですが、乳房のしこりがすべて乳がんというわけではなく、また、初期のころは「しこり」のような自覚症状がなく、痩せてくるなどの全身症状もありません。このように発見が遅れる傾向があるため、乳がん検診を受けて早期に乳がんを発見することが大切なのです。

乳がんは自分で発見できる数少ない癌です。早期発見は乳がんから身を守るための最も有効な手段なので、月1回(生理が終わった1週間後、閉経後の人は毎月10日など日にちを決めて)セルフチェックを習慣づけましょう。

<乳がんのセルフチェックの方法>
 

 
上半身裸になり、両腕を下げて鏡の前に立ち、左右の乳房や乳首の形を覚える。

両腕を上げ、正面、側面、斜めを鏡に映して「乳房のどこかにくぼみやひきつれがないか」「乳首がへこんだり、湿疹のようなただれができていないか」をチェックする。

あおむけに寝て、乳房が垂れずに胸の上に平均に広がるよう、肩の下に座布団などを敷く。

左右の乳房それぞれの、内側半分を調べる。調べる方の乳房がある側の腕を頭の後方に上げ、逆の手の指の腹で軽く圧迫しながらまんべんなく触れる。

※指先でつまむようにして触ると、異常がなくてもしこりのように感じるため、必ず指の腹で行うこと。

左右の乳房それぞれの、外側半分を調べる。調べる方の乳房がある側の腕を自然な位置に下げ、同じように逆の手の指の腹で軽く圧迫しながらまんべんなく触れる。

最後にわきの下に手を入れ、しこりがないか確かめる。

左右の乳首を軽くつまみ、母乳を絞り出すようにして、血液のような異常な液が出ないか調べる。

乳がんのセルフチェック
   
 
毎月のセルフチェックを習慣づけることで、自分の乳房の普段の状態が分かるようになり、異常を早く見つけられるようになります。そして少しでも異常があったらすぐに専門医の診察を受けるのはもちろん、乳がん検診や定期健診も必ず受けるよう心がけてください。どんな病気にも言えることですが、「私は大丈夫」という油断は禁物です!

 

 

イライラする、落ち着かない。 これって更年期?(2008年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
イライラする、落ち着かない。

これって更年期?

 三寒四温を繰り返し、季節は春へ。当センターのある水戸市の名所・偕楽園でも梅の花が咲き始め、季節の移り変わりを感じることができます。年度末でもある3月は、季節の変わり目であるとともに入学や就職、転勤など生活環境の変化を間近に控える方も多い月。忙しいせいかなんとなくイライラする、気分が滅入るという方、「更年期のせいかしら?」と疑う前に、まずは更年期について正しく理解してみましょう。
 
     

 

更年期障害とは?
   更年期とは女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰えて停止し、女性ホルモンが欠乏した状態で体が安定するまでの時期を指し、具体的には閉経をはさんでその前後10年ぐらいの期間を指しています。ホルモンのバランスが崩れることで自律神経の働きや情動に影響があり、それによって引き起こされる様々な症状を総称して「更年期障害」と呼ばれます。
   
 
更年期障害には個人差がある
 

 現在、日本人女性の平均的な閉経年齢は52歳前半と言われます。そのため、概ね40代半ばから50代半ばの期間が更年期にあたりますが、更年期障害の症状が30代後半から現れるケースも増えています。閉経だけでなく卵巣の機能が衰え始める時期に個人差があるのはもちろんのこと、若い頃に無理なダイエットを繰り返したり、不規則な生活や食事を続けてきたため、体力の落ち始める30代後半にホルモンのバランスが乱れ始めることが大きな原因になっているようです。また、更年期を迎えても症状がほとんど出ない人から体調を崩して寝込んでしまう人まで、症状の度合いや現れ方も様々です。

更年期障害の症状
 

 このように個人差も大きく症状も様々な更年期障害ですが、その主な症状を以下に挙げていきます。

  <精神神経系>
 

頭痛・めまい・耳鳴り・物忘れ・憂うつ感・判断力、集中力低下・不眠・不安感・倦怠感など

  <知覚系>
 

しびれ・蟻走感(皮膚に虫がはうような感じ)・かゆみ・知覚過敏・知覚鈍麻

  <運動器官系>
 

肩こり・腰痛・関節痛・背筋痛・筋肉痛

  <自律神経系>
 

のぼせ・ほてり・冷え・動悸・息切れ・手足の冷え

  <皮膚・分泌系>
 

皮膚や粘膜の乾燥

湿疹・発汗・ドライマウス・唾液分泌の異常・ドライアイ

  <消化器系>
 

食欲不振・吐き気・便秘・下痢・腹部膨満感・のどのつかえ

  <泌尿器・生殖器系>
 

月経異常・頻尿・残尿感・性器下垂感・性交障害・外陰掻痒症

 
更年期障害に負けないからだと心づくり
 

 先に挙げたように、更年期障害には実に多くの不快な症状が挙げられますが、注意して欲しいのは、これらの症状は主に生理的なからだの変化に伴うものだということを理解する点。イライラしたり気分が落ち込んだり、精神的な症状も起こりやすいだけに悩んでしまう人も多いようですが、「こんなものだ」と割り切って気持ちを変えるだけで随分と楽に乗り切ることもできるのです。

 
生活習慣を整えよう
 

 更年期障害は女性ホルモンのバランスの乱れが原因なので、それを整えることが大切。更年期障害に効果的といわれるエストロゲンを多く含む(※植物性エストロゲン:イソフラボン)大豆製品、体内の免疫力や抗体力を高める抗酸化ビタミン(緑黄色野菜など)、そして骨粗鬆症を予防するためにカルシウムを積極的に採り入れた食事を心がけてください。また、趣味やスポーツを楽しんでストレス解消をするなど心のケアも忘れずに!

   
 

 人間は誰しも年齢を重ねるとともに体の機能も衰えていくものです。そして更年期は男性にも訪れ、その症状は女性と同じく様々で前立腺肥大症や泌尿器のトラブル、肩こりやめまい、そして倦怠感や疲労感など。いわゆる成人病の起こりやすい時期でもあり、「調子が悪いな」と感じたら早めの受診は大原則ですが、普段の生活改善も大切。オシャレをして出かける、趣味を見つける、運動を始める、、、若々しい気持ちで過ごすことで「更年期」を意識しすぎないのがポイントです。

   

 

 

イライラ、憂鬱… 女性の悩み・更年期障害(2007年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
イライラ、憂鬱… 女性の悩み・更年期障害
 まだまだ冷え込む晩もありますが、日中の陽射しは暖かく、随分と春めいてきました。花粉の悩みを除けば、なんとなく気持ちもウキウキする季節です。しかし、季節に関係なくイライラしてしまいがちなのが女性の更年期。今回は更年期障害についてお話します。
 
     

 

更年期障害とは
 

Images人間の身体構造と生理機能において人生における大きな転換期となるのが、子供から成人になる思春期と、成熟期から老年期へと向かう更年期。更年期とは、生殖期(性成熟期)と非生殖期の間の移行期を指し、女性の卵巣機能が衰退し始めて消失する時期にあたります。卵巣機能の消失とはつまり閉経のことで、閉経前後における女性ホルモン(エストロゲン)の減少が主な原因となって起こる様々な症状を、一般的に更年期障害と呼びます。

エストロゲンは40歳頃から減少し始めると言われ、閉経後も数年間は分泌されます。更年期障害には大きく分けて2つの発現時期があり、エストロゲンの低下に伴い急速に発現する早発症状と、閉経後数年から10年以上してから発現する遅発症状とがあります。ちなみに、日本人の自然閉経の平均年齢は51歳で、45歳から56歳が閉経の正常範囲とされています。

 
更年期障害の主な症状
 

更年期障害の代表的な症状にあげられるのが、のぼせ(hot flash)、ほてりで、エストロゲンの欠乏により脳の自律神経調節中枢の機能が変化するために起こると考えられています。突然熱感が起こって体から顔や手足へと広がり、発汗や動悸を伴うことが多くあります。また、エストロゲンの低下による中枢神経の機能変化、閉経による女性としての喪失感などによって不眠やうつ症状といった精神的な症状が起こることもあります。

エストロゲンの低下は他にも様々な症状を引き起こし、膀胱および周辺の筋肉低下による頻尿や失禁をはじめ、骨粗しょう症や高脂血症、動脈硬化などの病気を引き起こすことも。また、閉経後(老人性)膣炎による粘膜の萎縮や分泌物の減少によって、膣前庭の灼熱感、掻痒感、乾燥感および性交痛が出現し、性欲も減退します。

●早発症状

のぼせ、ほてり、発汗異常、動悸、めまい、うつ状態、イライラ感、不眠、頭痛、手足のしびれ、蟻走感(皮膚を蟻が這っているような感覚)など

●遅発症状

性交痛、閉経後(老人性)膣炎、尿道炎、失禁、皮膚萎縮、肥満、腰痛、肩こり、骨粗しょう症、骨量減少症、動脈硬化など

 
更年期障害の診断と治療
   更年期障害の診断は、上に挙げたような自覚症状に加え、血中のエストラジオール濃度、LH(黄体化ホルモン)やFSH(卵胞刺激ホルモン)の上昇を測定することで行い、主な治療はエストロゲンを補充する女性ホルモン補充治療です。また、精神症状に対しては精神安定剤や漢方療法が用いられることもあります。

一般的に、更年期障害は「身体がほてる」「イライラする」など、“我慢すれば過ごせる”ものとして捉えられがちですが、女性ホルモンの減少によって起こる骨粗しょう症や動脈硬化などの深刻な病気との関連が注目されるようになり、治療に関しても見直されてきました。

 
 
 女性にとっての更年期は、ホルモンなどによる身体的な変化に加え、心理的、精神的にも大きな変動のある時期です。女性としての喪失感や、子供の成長によって母親としての存在意義が薄れることへの孤独感、夫や自身の定年や老後に対する不安など、様々な環境の変化によってうつ状態が助長されることも。しかし、体力や性的能力の衰えに対して知性や情緒の面では円熟する時期でもあります。「我慢すれば過ぎる」「恥ずかしい」と悩むよりも、診断と適切な治療を受けて心身ともに快適に過ごせるようにしていきましょう。