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まめ知識カテゴリ: 風邪・インフルエンザ

「治療」よりも「予防」。予防接種のススメ(2009年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
「治療」よりも「予防」。予防接種のススメ
  雨が多く、過ごしやすいとは言いがたい季節ですが、梅雨も四季がある日本の豊かな風土の特徴のひとつ。雨だからとダラダラ過ごすのではなく、読書や芸術鑑賞など、心の栄養を蓄える絶好のチャンスと考えて楽しんでみてはいかがでしょうか?

さて、未だ猛威を振るう新型インフルエンザ。感染症・伝染病の恐ろしさを改めて実感した方も多いと思います。そこで今回は、転ばぬ先の杖・予防の大切さについてお話します。

 
     

 

まずは自分自身の健康管理を!
 
 インフルエンザに限らず、あらゆる病気に対する「予防」の第一は、病原体に負けない強い身体を作ること。そのためには、規則正しい生活、適度な運動、バランスのとれた食事など、普段から健康的な生活を心がけることが大切です。「そんなの当たり前」と言わず、まずは当然のことからはじめましょう。
また、今回の新型インフルエンザの流行に伴い、手洗いやうがい、マスクの着用などの大切さが改めてクローズアップされました。風邪やインフルエンザの流行する季節は「冬」に限らないということも、痛い教訓として実感できたのではないでしょうか。これからの季節も、油断せずに体調管理と身近な予防を心がけていきましょう。
予防接種を受けよう!
   予防接種とは、一般的に「ワクチン(不活性化もしくは無毒化したウイルスや病原菌)を接種することにより、病原体に対する免疫をあらかじめ成立させておくことで病気にかからないか、症状を軽くできる」ものです。
◎予防接種の種類

生ワクチン

生きたままの病原菌の毒性を弱めて作ったワクチンのこと。これを接種することでその病気にかかったときと同じ状態にし、免疫を作り出します。ただし、きちんと免疫ができるまでは時間がかかるので注意が必要です。また、接種後は発熱、発疹などが起きやすくなります。

例)BCG、ポリオ、麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)など

不活化ワクチン・トキソイド

ウイルスや細菌をいったん死滅させ、必要な成分だけを抽出して作ったもの。病原菌は体内で増殖しないので、何度か接種することで、細胞に抗原を記憶させ免疫を作る狙いで接種されます。

例)日本脳炎、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風の混合ワクチン/3種混合)など

予防接種の多くは、生後数ヶ月の乳幼児から中学生までの子供が対象のものですが、ことインフルエンザに関しては、毎年流行が予測される型に応じたワクチンの予防接種が、子供から高齢者までを対象にして行われています。また、海外旅行に行く際も、訪問先に応じて積極的に予防接種を受け、感染を未然に防ぐよう心がけましょう。

予防接種を受ける前に!

持病や体調などによっては、予防接種が受けられない(受けるべきでない)ケースもあります。以下のような方は予防接種を避けてください。また、服用中の薬等がある場合も事前に必ず担当医に相談してください。

発熱など、体調不良の人
妊娠中、もしくは妊娠の可能性がある人
アレルギーを持っている、もしくは持っている可能性がある人

 

 予防接種はこれまで、天然痘の根絶をはじめ、ポリオの流行等、多くの疾病の流行の防止に大きな成果をあげ、感染症による患者の発生や死亡者の大幅な減少をもたらすなど、わが国の感染症の対策に重要な役割を果たしてきました。しかし、忘れられた感染症が突然流行することもあり、油断は禁物です。予防接種はあくまで任意のものですが、その意義を正しく理解し、面倒がらずに予防接種を受けるようにしましょう。

 

 

インフルエンザに備える!うがいと手洗い方法(2009年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
インフルエンザに備える!うがいと手洗い方法
 新型インフルエンザ流行の危機が報じられた昨年以来、マスクの着用やうがい・手洗いの徹底が呼びかけられています。今年に入り、1月の2週目には国内のインフルエンザ発生件数は1週目から倍増。本県でも、潮来、古河、ひたちなかの3市でインフルエンザ警報が発令されるなど、確実にその猛威をふるっています。予防接種を受けた方も、受けていない方も、今回のお話を参考に、まずは基本の「うがい・手洗い」で、インフルエンザの予防につとめましょう!
 
     

 

インフルエンザとは?
   ご存知のとおり、インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染によっておこり、通常「風邪」と呼ばれる普通感冒とはちがう特徴を持っています。「風邪」の場合は、のどや鼻(せき・くしゃみ・鼻水など)に症状が出るのに対し、インフルエンザは1日から5日(平均で3日)の潜伏期間を経て急に38~40度の高熱が出て、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状も強く出るのが特徴。これらの症状が4~5日ほど続き、重症化したり合併症を発症すると、命の危険に関わる恐れもある感染症です。

インフルエンザは、感染者のくしゃみや咳などを介して、空中に飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染する「飛沫感染」の危険性が高く、インフルエンザが流行している期間は感染の危険が高まりますが、ウイルスを吸い込んだからといって、すぐに感染・発症するわけではありません。ウイルスが身体の中に入り込む前に洗い流してしまえば感染を防ぐことができるので、外出時のマスクの着用、および外出後のうがい・手洗いが大切なのです。

 
正しい「手洗い」の方法
 
1. 手を水で濡らし、石鹸をつけて両手の手の平をこすり合わせてよく泡立てます。

(石鹸を泡立てることで界面活性作用が生まれ、消毒の効率が高まります)

2. 手の甲をもう片方の手の平でよくこすり洗いします。反対の手も同様に。
3. 指を組み、両手の指の間をこすり洗いします。
4. 親指をもう片方の手で包み、こすり洗いします。反対の親指も同様に。
5. 手の平を、もう片方の手の指先でこすり洗いします。反対の手の平も同様に。

(細かいしわの間も、意識してしっかり洗いましょう)

6. 爪の隙間を洗います。爪ブラシなどを使うとより効果的です。
7. 流水でよくすすぎ、石鹸をきれいに洗い流します。
8. 乾いた清潔なタオル、ペーパータオルなどで手を拭き、よく乾かします。
仕上げにアルコール殺菌スプレーなどをすりこむと、更に効果的です。
朝起きたとき、会社や学校に着いたとき、食事の前、トイレの後、掃除の後、そして帰宅後と、こまめに「手洗い」を行いましょう!
正しい「うがい」の方法
 
1. 清潔なコップに水を入れます。

(うがい薬があれば記載の量で希釈して使用。お茶の成分「カテキン」には殺菌作用があるため、お茶でのうがいもOKです)

2. 口にふくみ、まずはブクブクうがいをします。

(口の中の細菌や食べかすを除去するため、ガラガラうがいの前に必ずブクブクうがいをしましょう!目安は15秒以上、しっかりと)

3. 水やうがい薬を口に含んで上を向き、のどの奥まで液が回るようにガラガラうがいをします。

(こちらも、15秒以上を目安にしっかりと!)

4. ガラガラうがいを何度か繰り返します。
手洗いと同じく、外出後や食事の前後など、こまめに行いましょう!
 
インフルエンザの予防には、うがい・手洗いが基本ですが、普段からの健康管理も大切です。また、ウイルスは湿度を嫌うため、加湿器などを利用して、室内の湿度を50~60%に保つのも有効です。規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、じゅうぶんな睡眠を心がけ、この冬も元気に過ごしましょう!

 

 

今年は何型?インフルエンザは予防が肝心!(2006年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
今年は何型?インフルエンザは予防が肝心!
 にわかに寒くなり、季節はいよいよ冬めいてきました。秋から冬、この季節の変わり目に注意したいのは、やっぱり「風邪」。なかでも、インフルエンザは普通の風邪とは違う感染症で、特に注意が必要な病気です。国内で毎年約1,000万人がかかるというインフルエンザ。今回は、本格的な流行を前に、インフルエンザの予防についてお話します。
 
     

 

インフルエンザと風邪の違いは?
 

インフルエンザと風邪は、そもそも原因となるウィルスの種類が違います。インフルエンザは高熱が出るだけでなく、筋肉や関節の痛みなど全身に出る症状が強く、気管支炎や肺炎を併発しやすいなどの特徴があり、抵抗力のない乳幼児や高齢者にとっては生命にかかわる危険も。また、突然大流行することもある、恐ろしい病気です。

「普通の風邪と思っていたら、インフルエンザだった」ということのないよう、以下のような症状を感じたら早めに医師の診断を受けましょう。

<チェックポイント>

・地域内、職場・学校などでインフルエンザが流行している。

・一般的な風邪の症状(咳や鼻水など)がなく、突然高熱が出る。

・38℃以上の発熱およびひどい悪寒を感じる。

この他、間接や筋肉の痛み、倦怠感や疲労感、頭痛、寝込んでしまうほどの症状が出た場合も「ただの風邪だから」と見過ごさずにインフルエンザを疑いましょう。

 
インフルエンザの流行型
 

インフルエンザにはさまざまな型があり、原因となるインフルエンザウイルスは大きく分けてA型、B型、C型の3つに分類されます。さらに毎年の流行を経て変異株があらわれ、特にA型ウイルスは多くの変異株があり、世界的な流行を引き起こすこともあります。A型ウイルスは渡り鳥などによって国を越えて運ばれ、どの型が流行するかという予測は、地球規模の動向を解析して行われます。

予測技術が高まり、毎年実際の流行とほぼ一致するため、予防にはその年の予測をもとに作られた混合ワクチンが効果的です。新型ウイルスが出現しないかぎり、ソ連型、A香港型、B型、どの型が流行しても効果があります。ワクチンの効果が出るのは、接種から約2週間後で効果は5ヶ月前後持続します。日本でインフルエンザが流行するのは例年12月~3月で、1月下旬から2月初旬にピークを迎えることが多いといわれるので、流行前のこの時期に予防接種を受けておくのがいいでしょう。

ただし、体調やアレルギーなどの既住症などによって接種できないこともあるので、医師に相談しましょう。

 
日常生活から予防を!
 
インフルエンザ予防のポイントは、体力をつけて体の抵抗力をつけておくことと、ウイルスに接触しないこと。以下にまとめた予防法を、今日から実践してください。

・栄養と休養を十分とる

食事と睡眠をしっかりとり、体力をつけておきましょう。体の抵抗力をつけておくことで感染しにくい体になります。

・人ごみを避ける

感染の原因となるウイルスに接触しないよう、多くの人が集まる場所は極力避けるように。外出時はマスクを着用するのも良いでしょう。

・温度と湿度を適度に保つ

ウイルスが好むのは、低温・低湿の環境。特にインフルエンザウイルスは湿度に弱いため、加湿器などを活用して室内を快適な湿度に保ちましょう。

・手洗いとうがいを励行する

外出後は、手洗いとうがいを必ず行いましょう。手洗いは接触による感染を、うがいはのどの乾燥を防ぎ、ウイルスの感染を予防します。

 
まずは予防が第一ですが、万が一インフルエンザの疑いがあるような症状が出た場合は、早めに診断を受けること。発症から48時間以内であればインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬が処方されるようになり、その服用は早いほど効果的です。ウイルスがのどや鼻の粘膜に広がり高熱が出てしまうと、根本的な治療が間に合わず、長期間休まなくてはならなくなってしまうこともあります。また、乳幼児や高齢者にとっては命にかかわる危険もあるため、できるだけ早く診断を受けるようにしましょう。

とにかく「インフルエンザは普通の風邪と違って恐ろしい感染症」であることを知り、予防に細心の注意を払って冬を乗り越えましょう。

 

 

風邪の予防と食生活(2006年11月)

 

風邪の予防と食生活

社団法人 茨城県栄養士会

 
 
 
 

 かぜは、いろいろな病気の中でも私たちが一番かかりやすい病気です。かぜを予防するためには、十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。

1.かぜを予防するために大切なこと

(1)  日ごろから栄養、運動、休養のバランスを心がけましょう。

体の抵抗力が低くなると、かぜにかかりやすくなってしまいます。特に寝不足が続いたり、食事をぬいたりした時には要注意です。

うがいimage
(2)  戸外から帰ったら、必ずうがい、手洗いを忘れずに。

うがいやていねいな手洗いは、体の中にかぜのウイルスが入ってくるのを防いでくれます。習慣づけをしましょう。

(3)  室内の温度と湿度を適度に保つ。

冬の快適温度は21から23℃、湿度50%前後です。暖房した部屋は、まめに換気をしたり、湿度が低くならないように上手にコントロールしましょう。

2.食生活のポイント

(1) たんぱく質を十分に補う

たんぱく質は、寒さに対する抵抗力を強めます。それから、私たちの体内にかぜのウイルスが入った時に、それを退治してくれる成分が白血球の中に含まれています。この成分は、たんぱく質からつくられているのでかぜを予防するためには、魚や肉、卵、牛乳、大豆製品などを十分のとることが大切です。

(2) 脂肪も不足しないように

脂肪は体の皮膚や口、のどの粘膜を丈夫にして、かぜのウイルスに対する抵抗力を高めます。また、少しの量でたくさんのエネルギーを出すので体を暖かくします。そのほかにも、ビタミンAやビタミンEの働きをよくしてくれます。

(3) ビタミンの補給も忘れずに

ビタミンAやビタミンCは、かぜのウイルスに対する抵抗力を強くする働きがあります。野菜サラダ、さつま芋、ほうれん草、にんじん、みかんなどの野菜やくだものをいつも食べるように心がけましょう。

もし、かぜをひいてしまった時には、暖かくして早めに体を休ませましょう。(保温・安静・睡眠)食事は、「消化によい食材を使って体が温まるもの」を食べて、発汗を促すことが大切です。

 

 

 

楽しい夏の邪魔者「夏風邪」(2005年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
楽しい夏の邪魔者「夏風邪」
 夏から秋にかけての季節の変わり目に起こる”夏ばて”。暑さによる食欲不振や、冷房の効いた室内から屋外へ出入りするなど急激な温度差による自律神経の乱れなどが原因で起こります。そんな弱った身体を狙っているのが夏風邪のウイルス。夏風邪でダウンして、楽しいはずの夏休みが台無し…なんてことにならないよう、しっかり予防しましょう。
 
     

 

夏風邪と冬風邪の違い
 
 

 夏風邪も冬風邪も、原因となるのはウイルス。高い気温や湿度を好むウイルスによるものが夏風邪で、症状が徐々に進行して冬風邪よりも長引く傾向があります。一方、冬風邪は主にインフルエンザウイルス(夏場には生きていけない)が原因で、低温と乾燥を好むウイルスによるものです。飛沫感染で流行するのが特徴で、咳や鼻水・鼻づまりなどの症状があらわれるのが夏風邪と違います。

 
 
代表的な夏風邪の種類と症状
 
 
咽頭結膜熱
 

ウイルス:アデノウイルス

症状:39℃前後の高熱が3~5日間続き、喉の強い痛みや、結膜炎(目の充血・目やに)などの症状を伴うことがある。別名「プール熱」と呼ばれ、プールで感染することが多い。

ヘルバンギーナ
 

ウイルス:コクサッキー

症状:38~40℃の急な高熱。喉の痛みを伴い、口の中に水疱や口内炎のような腫瘍ができる。

   
   
夏風邪対策
 
 夏風邪の原因となるウイルスは飛沫感染するインフルエンザとは異なり、主に経口感染が多い。経口感染は手から手、手から口へと感染するので、手洗いが重要な予防策。そして冬風邪と同じく身体の冷えが喉の綿毛の働きを鈍らせ、ウイルスが侵入しやすくなることで感染しやすくなるため、身体を冷やさないことも大切。温度差のある場所を出入りすると自律神経の働き鈍り、温度変化についていけなくなり、皮膚の表面温度低下の原因に。クールビズを実施している会社も多いようですが、自宅の冷房も冷やしすぎないよう気をつけましょう。

その他、カーテンを閉める、エアコンを除湿運転のみにする(湿度が下がれば体感温度も下がります)、扇風機を利用する、照り返しを防ぐため、ベランダに人工芝やプランター・鉢植えなどを並べる、熱を外に逃がすためすだれやよしずなどの日よけを窓の外につける、など、冷房をかけ過ぎることなく涼しい部屋をつくる工夫をしましょう。

夏風邪の対処法
 
 夏風邪かな?と思ったり、だるさを感じたときは無理せず身体を休めましょう。そして

  • 炭水化物や良質たんぱく質を中心とした消化のよい食べ物で栄養をとる
  • 発汗や下痢による脱水症状を防ぐため、こまめに水分を補給する(食塩・電解質を含むスポーツドリンクが最適)
  • 新陳代謝が高まりリラックス効果の期待できる入浴をする。※ただし、症状がかるく熱のない場合のみ
  • クーラーなどを利用し、身体を温めすぎないようにする。※冬風邪治療は身体を温めるものですが、夏風邪の場合保温は体力の消耗につながり逆効果。ただし、温度は適温を心掛け、くれぐれも冷やしすぎないように

などの対処を。治ったように見えても、体内にウイルスが残りやすいので、1ヶ月くらいは注意をしてください。

 
 プール熱など、子供が感染することも多い「夏風邪」。お子さんがプールに行く時は、プールのあとは身体をキレイに洗うこと、タオルは必ず自分専用のものを使うことなどを指導してあげましょう。夏ばてを防ぐためにも食事はきちんと、生活のリズムを崩さないよう気をつけて、夏を元気に過ごしましょう!