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まめ知識カテゴリ: 飲酒・喫煙

飲み過ぎにはご注意! 中高年のためのアルコールとの正しい付き合い方(2015年8月)

イラスト「飲酒をしない人より、適量を飲む人の方が死亡率が低い」という海外の調査報告が一時期話題となりました。その結果、「お酒は適量だったら体に良い」と言われるようになり、それを信じている方も多いようです。しかし実はこれ、欧米の人の場合は、という前置きがあるのを知っていましたか? アルコールのつくる有害物質の分解能力に違いがある欧米人と日本人では、お酒が体にもたらす影響に違いがあるのだとか。つまり、上記の調査はあくまで海外で行われたものなので、日本人には当てはまらないというのが実情なのです。

 

とは言え、アルコールにはストレス解消や、コミュニケーションを円滑にするというメリットももちろんあります。そこで今回は、特に中高年の方がどのようにお酒に付き合っていけば良いか? ということについてお伝えします。

 

◆お酒の適量はどれくらい?

イラストまずは厚生労働省が「健康日本21」で示した“節度ある適度な飲酒量”を見てみましょう。ここには1日平均のアルコール量は20gと書かれています。ビールで言うと中瓶1本、日本酒だと1合がこれに該当します。

 

とは言え、「じゃあ毎日ビールなら中瓶1本を飲んでいいんだ」と考えるのは早計です。実はこの量というのは、“健康かつアルコール代謝機能が正常な人”が対象となっています。さらに、アルコール20gが体に良い、ということではありません。あくまでも、1日平均で飲んで良いのは20g、という上限を示した数値であることを覚えておきましょう。

 

◆アルコール代謝機能が低下する中年男性は飲み過ぎに注意

さて、前項で出てきたアルコール代謝機能とは一体何なのでしょうか? これはアルコールを分解、吸収し、排泄する機能のことです。特に中高年になるとこの機能の低下が起こるため、いわゆる“お酒に弱くなった”という状態になります。

 

イラストしかし、アルコール代謝機能の低下を自覚しないまま若い頃と同量のアルコールを摂取する方は少なくありません。そのため、ご自身の体に合わない量の飲酒となり、体へのダメージが大きくなってしまうのです。

 

また、加齢による衰えは血中アルコール濃度の高さにもあらわれます。この理由は、体内の水分量の減少と、前述したアルコール代謝機能の低下にあります。血中濃度が高いまま大量の飲酒を続ければ、やはり健康を害す原因ともなってしまうので注意が必要です。

 

◆どうして中高年はお酒を飲み過ぎてしまうの?

普通に考えれば、お酒に弱くなれば飲酒量は減るものです。しかし、ある実勢調査によると、常習飲酒者(毎日飲酒をする人)と多量飲酒者(毎日3合以上飲酒をする人)のピークは、なんと40代~60代なのだとか。お酒をたくさん飲むのは若い人、というイメージがありますが、実際には中高年、特に男性なのです。

 

では、なぜ中高年の方はお酒に弱くなっているにもかかわらず、飲酒量が減らないのでしょうか? この理由はさまざまですが、その中のひとつとして「飲み過ぎの慢性化」があげられます。

 

東京都で行われた調査によると、自分の飲酒の適量を日本酒2合と答えた人が40代で40%、60代だと30%にものぼるそうです。これは前述した厚生労働省が示した基準の約2倍。つまり、あきらかに“飲み過ぎ”と言えます。

 

こうした結果が出る原因は、中高年の場合体がアルコールに慣れてしまっているため、少量では満足感が得られず、ついつい飲み過ぎてしまうことが考えられます。それを繰り返すことにより飲み過ぎが慢性化し、どんどん摂取量が増えていくのでしょう。

 

◆お酒と上手に付き合うために、覚えておきたい3つのルール

前置きが長くなってしまいましたが、ここからは「中高年がお酒と上手に付き合うために覚えておくべきルール」についてご紹介します。すでに飲み過ぎが慢性化している方にとっては少し大変かもしれませんが、これからのご自身の健康のことを考え、ぜひ実践してみてください。

 

○自分の“適量”を見直しましょう

前項でも触れているように、ご自身にとっての“適量”は、必ずしも健康にとっての“適量”ではありません。中高年はアルコール代謝量が低下していることもありますから、できれば厚生労働省の基準値よりも少ない量を目指すよう心がけましょう。

 

○毎日飲むのはやめましょう

イラストアルコールには強い依存性があります。そのため、毎日飲酒を続けているとそれが依存を招く可能性も。飲酒回数だけで言えば、最低でも週に2日は休肝日をつくるよう心がけてください。また、毎日だらだらと長時間飲酒を続けている方はすでにアルコール依存がはじまっている可能性もあるため、注意が必要です。

 

○飲むなら食べるをルールにしましょう

空腹状態で飲酒をすると、アルコールが胃を通り抜けて小腸に運ばれ吸収されます。その結果吸収のスピードが早くなり、血中濃度が急速に高くなってしまいます。体への負担を和らげるためには、必ず食事を同時に摂るようにしてください。

 

 

禁煙のすすめ。(2012年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
禁煙のすすめ。

 健康増進法によって、分煙をとり入れる飲食店が増えています。ある飲食店の店長さんによると入店したお客様の顔を見るだけで、喫煙者かどうかすぐに分かるといいます。どんなところで? と問うと全体の印象で分かるといいます。接客業は毎日たくさんの人の顔を見続けているので、瞬間的にその人の好みや性格を読み取る勘が身につくのかもしれません。

しかし、長く喫煙を続けている人は勘の良い人ばかりか、誰にでも分かるような特徴が現れてくるものです。スモーカーズフェイスといいますが、喫煙を続けていると皮膚のハリがなくなり、目尻や口周りなどにしわが増え、いわゆる老け顔になってきます。さらに歯がヤニによって着色され、口臭の発生や白髪、脱毛も起きてきます。

初対面の人は、第一印象が大切だといわれます。この印象が決まるのに6秒から7秒。仕事などでは最初に好感を持たれないと次はないとまでいわれます。この第一印象の決めては顔、表情だそうです。喫煙によるスモーカーズフェイスで、人生の大きな損失を被る事になるかもしれません。そうなる前に禁煙をしたいという人に今回は、禁煙の方法をご紹介します。

 
     

 

ニコチン依存症の人の禁煙法
   ニコチンの身体的依存の人は、喫煙が途絶えてニコチンの血中濃度が下がってくると、集中力が低下し、イライラするようになります。さらに頭痛、倦怠感、肩こりや歯が浮くという症状を起こす人もいます。一般的に禁煙後2~3日目が最もつらい症状となり、1週間程で軽くなってきます。この時期に、我慢できなくなって禁煙に失敗するという経験を繰り返す人も多いことでしょう。タバコがやめられないということが、意志が弱い証拠だと思い込んでしまったりする人もいますが、実はタバコには麻薬にも劣らない強い依存性があるのです。麻薬依存への対処は、治療の対象になることはよく知られています。しかし、タバコも同様だと考えた方が、禁煙の近道になるのです。

タバコをやめるために、徐々に吸う本数を減らしたり、低ニコチンの銘柄に変えても、なかなかうまくいかないのはこの強い依存性のためです。タバコの本数を減らしたり、低ニコチンの銘柄に変えた場合でも、一本のタバコをより深く吸い込んだり、根元まで吸う事で結果としてニコチンの摂取量があまり変わらないばかりか、喫煙間隔を空けることでタバコがより美味しく感じられ、依存を強くしてしまう可能性もあります。

こうした強い依存症の場合、ニコチンを喫煙以外の方法で身体に取り入れ、ニコチンの量を徐々に減らしていくという方法があります。ニコチン代替療法と呼ばれるもので、ニコチンガムやニコチンパッチというものが一般的に使われています。次にそれぞれについてご紹介します。

 
ニコチンガム
 

 ニコチンガムはガムのように噛むとニコチンが口の粘膜から吸収されるもので、タバコを20本以上吸っていた人は、一日にこのガムを6~9個用います。一つを15分程度かけてゆっくり噛むとニコチンが体内にゆっくりと吸収されます。ガムの個数を徐々に減らしていって最終的にニコチンの摂取がなくても、禁断症状があらわれないように身体をコントロールして、禁煙を行います。ガムにはタバコをやめた口寂しさを紛らわせてくれるという利点もあります。

ニコチンパッチ
   ニコチンパッチは、一日一枚ニコチンの入ったパッチを皮膚に貼ってニコチンを皮膚から吸収させるというものです。気をつけなければいけないのは、この治療を行っているときに、タバコを吸うと大量のニコチンを接種する事になり、中毒症状を起こす危険があります。そのため現在薬局では、処方箋がないと買えないようになっています。

その他の方法

 

 肌が弱いためにニコチンパッチが使用できない場合は、禁煙によるイライラを軽減するとともに、タバコを美味しく感じさせない効果のあるニコチンを含まない飲み薬を飲むという方法もあります。1日2回食後に服用します。飲み始めの一週間はタバコを吸いながら服用し、8日目から禁煙を開始するというもので、タバコが心底嫌いになる効果が期待できます。服用期間は12週間となっています。

このように禁煙を本気で行いたいというのであれば、禁煙外来で適切な治療と指導を受けるというのが、もっとも成功率の高い方法です。治療には健康保険が適用されます。ただし、以下の4つの要件を満たしていると医師が診断した場合に限られます。

◇ニコチン依存症を診断するテストで5点以上の評価を受ける。

◇1日の平均喫煙本数に、これまでの喫煙年数を掛けたものが200を超える。

◇1ヶ月以内に禁煙を始めたいと思っている。

◇禁煙治療を受ける事に文書で同意する。

また、以前健康保険で禁煙治療を受けた人は、前回の治療の初回診察日から1年以上経過していない場合は、自由診療になります。

   
   禁煙すると人は太ります。タバコは大人のオシャブリと言った人がいますが、確かに口寂しくてついつい間食をしてしまったりして、カロリーオーバーになりがちです。人によっては、まるで舌の薄皮が何枚も剥がれるようにそれまで感じなかった味が分かるようになり、食べ物がとても美味しく感じられるようになったりするようです。でもそれは、幸せなことではないでしょうか。一時的に体重が増えたとしても、今度は運動で息切れがしないようになります。適度な運動を楽しむことで、健康な身体を手に入れるチャンスが増えるわけですから、禁煙の向こうには今まで感じた事のなかった幸せが待っているかもしれません。

 

お酒と楽しくつきあう 急性アルコール中毒やアルコール依存症にならないために(2012年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
お酒と楽しくつきあう

急性アルコール中毒やアルコール依存症にならないために

歓迎会やお花見など、なにかと飲酒の機会の多いシーズンになりました。適度な量の飲酒はストレス解消には効果的ですが、短時間に多量のアルコールを摂取すると、周囲に迷惑をかけるだけでなく、急性アルコール中毒を引き起こすことにもなります。ご存知のように急性アルコール中毒は、酔った状態を超えて意識障害や昏睡、重症の場合は死にいたることさえあります。また、飲酒が習慣化すると、あらゆる疾患の原因にもなるアルコール依存症に陥る可能性も高まります。そこで今回は、急性アルコール中毒や、アルコール依存症にならないために、お酒との付き合い方を考えてみましょう。

 
     

 

  急性アルコール中毒とは
   

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短時間に多量のアルコールを取ることで起きる中毒症状です。血液中のアルコール濃度が、0.4%を超えた場合は1~2時間で約半数が死に至ります。酔ってきたと自覚する(飲酒開始から血中アルコール濃度の上昇)までには時間がかかり、自覚することで飲酒の量を抑制できますが、短時間で大量の酒を飲むと酔っているという自覚なしに危険な量のアルコールを摂取してしまうことになり、急性アルコール中毒が起こります。

     
   
予防方法
飲酒する際には、アルコールの吸収を遅らせる蛋白質や脂肪分を含むつまみを食べる。
一気飲みは控えて、自分のペースで飲むこと。他人にも強要はしない。
飲み始めはできるだけゆっくりと飲む。
 
対処法
迷わずに救急車を呼びましょう。解毒剤の様な物があるわけではありませんので、対外にアルコールを排出する以外に治療方法はありません。救急車が到着するまでは、呼吸の確保と体温の維持には注意してください。また、吐瀉物で窒息する危険があるので応急処置として吐かせることはしないようにしましょう。嘔吐物がのどに詰まって窒息する危険があるので、必ず体と頭を横向きにして寝かせて目を離さないでください。

もし、心肺機能が停止したら心肺蘇生法(人工呼吸、心臓マッサージ)を施してください。状況によってはAEDを使うなど、生命の維持に努めてください。また、体温が低下しないよう毛布を掛けるなど保温に気を配りましょう。

     
  アルコール依存症とは
   
飲酒すると、周囲にからむようになった。
飲まないと眠れなくなった。
休日は、朝から飲まないといられない。
断酒すると手がふるえるようになった。
γ-GTPの数値が上がった。
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このようなことに心当たりがありませんか? ある方は要注意です。アルコール依存症は慢性アルコール中毒とも言われ、日本国内には300万人近くもいると言われています。急性アルコール中毒とは逆に、体質的にアルコールを受け入れやすい人がなりやすいようです。アルコールに含まれる有害物質であるアセトアルデシドの分解が早い人と遅い人がおり、飲酒癖のある人は分解のスピードが比較的早く、これは遺伝的とも言われます。こうした体質を持つ人は連日飲んでも社会生活に支障がないと思い込み、いつの間にかアルコール依存症に陥りがちです。また、仕事や家族関係でストレスをかかえている人や、中高年の男性も依存症に陥りやすいと言われています。女性は体格や女性ホルモンなどの要因から、習慣的飲酒が短期間でも依存症になることがあると言われています。それだけに誰もが陥りやすい疾患なのです。
     
   
予防方法
ほどほどの飲酒を心がける
休肝日は、週に連続して2日以上確保すること
不幸な気持ち等を変えるために、積極的にお酒の酔いを利用しない
断酒
 
治療方法
アルコール依存症は病気です。個人の性格や嗜好の問題ではなく、自らの意思で飲酒行動をコントロールできなくなり、強迫的に飲酒行為を繰り返す精神疾患、と自覚してください。現在のところ治療方法は『断酒のみ』です。一時的な禁酒や減量ではすぐに元の状態に戻ってしまいます。

一方で依存症は「家族病」とも言われています。本人はもとより、家族全体がこの病理現象を理解し、認めることが、この病気から回復する上で必要とされます。

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その第一歩は病気に対する本人の自覚と治療の意志をもたせ、専門医への受診をすることです。その際、もっとも困るのは「自分は依存症なんかじゃない」と否定する気持ちです。プライドが高い人ほどそうした気持ちを抱きやすく、「自分はちがう」と反発しがちです。アルコール依存症はあらゆる疾患に直結する病気であることに気づいて、謙虚な気持ちで病気と向かい合ってください。

依存性薬物であるアルコールを断つことは並大抵の努力ではなく、一生涯これを続けることは想像以上の困難を伴います。このため、断酒をサポートする様々な試みがなされており、アルコール依存症患者とその家族によって作られた自助グループ『断酒会』などが組織化されています。断酒を続けることを互いにサポートし合い、酒害をはじめ、アルコール依存に対する正しい理解・知識を広く啓蒙する活動なども行っています。

吉田兼好も「酒は百薬の長とはいへど、よろずの病は酒よりこそ起これ」と鎌倉時代から適量飲酒の大切さと大量飲酒の危険を詠んでいます。危険な飲酒を避け、適正な飲酒量を心がけることで、多くの人がいつまでも健康にアルコールを楽しむことができることのでしょう。

     

 

「タバコ」がもたらす害を考える(2010年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
「タバコ」がもたらす害を考える
 今月から増税により値上がりする「タバコ」。値上げ率は1箱100円以上で過去最高と言われ、愛煙家からも「これを機に禁煙・減煙する」という声も聞かれます。その一方で「値上がり前にまとめ買いする」という動きも多く、今回の値上げが喫煙率の低下に繋がるかどうかは未知数。タバコが健康に良くないことは周知の事実ですが、今回は改めてタバコが及ぼす健康被害についてお話します。
 
     

 

なぜ喫煙は「身体に良くない」のか
 

 
喫煙による健康被害は、タバコの煙に含まれる有害物質によって引き起こされます。タバコの煙に含まれる4000種におよぶ化学物質のなかで、3大物質はタール、一酸化炭素(CO)、ニコチンです。例えばタールは発がん性が確認されている物質を含み、一酸化炭素はヘモグロビンによる組織への酸素運搬機能を妨げ、組織の酸素欠乏をもたらします。ニコチンは喫煙により約8秒で脳に達し快楽を伴う精神効果があり、タバコ依存の原因と考えられています。また、この他にも、ホルムアルデヒドやシアン化水素など、実に「200種以上」の有害性が確認されている物質が、タバコの煙の中には含まれているのです。

これらの有害物質は、主流煙(喫煙者がフィルターを通して吸う煙)よりも、副流煙(タバコの火のついた部分から立ち上る煙)のほうに高濃度で含まれており、喫煙者はもちろん、喫煙者の周囲にいる人の健康も脅かすといわれています。

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喫煙がもたらす健康被害
 

 
喫煙は「百害あって一利なし」と言われますが、実際にどのような害があるのでしょうか。代表的なものを以下に挙げていきます。

<様々な病気の発病リスクを高める>
心血管疾患
 

 
喫煙は心筋梗塞、脳卒中、突然死、末梢血管障害といった「心血管疾患」の発生率を高めます。心血管疾患は生死に直接関わる重大なものが多く、喫煙習慣によって増加した死因には、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、心筋変性、大動脈瘤、動脈硬化(下肢の動脈の慢性閉塞症等)、脳血栓、その他の脳血管障害があります。このことからも、喫煙習慣によって死亡リスクが増大することが分かります。

メタボリックシンドローム
 

 
近年注目されている「メタボ」ですが、その発生因子には過食や運動不足の他に喫煙習慣も含まれます。これは喫煙が脂質代謝や糖代謝に影響を与えるためで、これによってメタボリックシンドロームの発症リスクが高まるのです。また、メタボリックシンドロームでかつ喫煙している人は、脳梗塞や虚血性心疾患にかかるリスクが著しく高まり、さらに深刻な健康被害が懸念されます。

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がん
 

 
「喫煙」イコール「肺がん」というイメージがありますが、実は肺以外の部位のがん発生にもタバコは影響します。喫煙習慣のある人とない人で発生率を比較すると、肺がん4.5倍、喉頭がん32.5倍、口腔・咽頭のがん3.0倍、膀胱がん1.6倍、食道がん2.2倍、胃がん1.4倍、膵がん1.6倍、肝がん3.1倍という調査結果も発表されており、そのリスクの大きさを表しています。

がん以外の肺疾患
 

 
喫煙は肺がん以外の肺疾患にも影響し、がん以外の肺疾患で最も多いのは、慢性気管支炎と肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD )です。

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消化器疾患
 

 
喫煙は食道や胃、膵臓、肝臓等の消化器にも悪影響を及ぼします。喫煙が原因となる疾患、あるいは影響を与える消化器疾患には、胃潰瘍をはじめ、十二指腸潰瘍、膵炎、肝炎、歯周病(歯槽膿漏等)があります。

   
なぜ禁煙できないのか
 

 
では、このような健康被害があるのに、なぜタバコを吸う人がいるのでしょうか。その理由は、タバコに含まれるニコチンにあると考えられます。タバコの主成分であるニコチンは、自律神経のうち、副交感神経を刺激する薬物です。タバコを吸うと、ニコチンは煙に乗って肺に取り込まれ、血流にのって脳に達します。こうして脳の副交感神経系が刺激されると、血圧はやや下がり、呼吸は少し遅くなり、消化器系の活動が促進されます。同時に、休息の時のほっとした気分やくつろいだ気分がもたらされることから「タバコを吸うと落ち着く」「イライラするとタバコが吸いたくなる」といった状態になり、いわゆるタバコ(ニコチン)依存症になると考えられます。

ちなみに、ニコチン中毒と依存症を混同して認識しているケースが見られますが、「中毒」の場合は、タバコの誤飲などによってニコチンの持つ強い毒性が身体に害を及ぼすことを指し、「タバコがやめられない」「吸わないと我慢できない」などの状態は「ニコチン中毒」ではなく「依存症」となります。

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このような健康被害だけでなく、例えば女性には特に気になる美容面では、喫煙によって「小じわが増える」「顔色が悪くなる」などの影響があると言われる他、経済的にも少なからぬ影響があるのは当然です。最近では禁煙・分煙の区域やお店が増えるなど、社会的にも禁煙を推奨する動きになっているのも、タバコの持つ害を考えれば納得のはず。愛煙者の方は、この機会に禁煙・減煙を考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

ビールの季節にご用心。ビール腹=メタボリックシンドローム!?(2007年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
ビールの季節にご用心。ビール腹=メタボリックシンドローム!?
 梅雨が明けたらいよいよ夏本番、よく冷えた生ビールのおいしい季節です。中年男性に多い、お腹まわりを中心に恰幅のいい体型を「ビール腹」と称したものですが、ここ最近はもっぱら「メタボ」なお腹と呼ばれるようになりました。今回は、成人病をはじめとする様々な病気の危険因子である内臓脂肪の蓄積、いわゆる「メタボリックシンドローム」についてお話します。
 
     

 

メタボリックシンドロームとは?
 
 メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積によりインスリン抵抗性(インスリンの働きの低下)が起こり、糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧などの動脈硬化の危険因子が一個人に集積している状態を指します。高コレステロールに匹敵する強力な危険因子として、近年世界的に注目されています。
 
 
メタボリックシンドロームの診断基準
 

メタボリックシンドロームの診断は、必須条件である内臓脂肪の蓄積を『ウエスト径』で判定し、成人男性なら85cm以上、女性なら90cm以上を基準値*としています。さらに、血圧や血清脂質、血糖値の3つの基準値のうち、2つ以上を満たすと「メタボリックシンドローム」と診断されます。

各項目の基準値はこちらの表で確認してください↓

「食と健康」脂肪をためない食生活―メタボリックシンドロームにならないために―
https://imc.or.jp/column/syoku0704.html

*ウエスト径:男性85cm以上、女性90cm以上は、内臓脂肪面積100cm2以上に相当するとの判断ですが、正確な内臓脂肪蓄積の診断には腹部CT検査により内臓脂肪量を測定することが望まれます。

メタボリックの改善には、ウエスト径の5%減を目標に!
 
メタボリックシンドロームの治療は、糖尿病や高血圧、高脂血症などの病態を個々に治療するのではなく、共通の基盤である内臓脂肪を減少させることがポイントです。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて減少するのが速いため、少しの減量で削減効果が期待できます。

そこで、現在のウエスト径、もしくは体重の5%減を目標に、内臓脂肪の削減に努めましょう

 
ウエスト径を減らすポイント
食事は腹八分、間食はしない
 

バランスのよい食事と、食べ過ぎないこと。総摂取カロリーを減らすよう努めましょう。

料理の味付けは薄味で
 

濃い味付けは塩分の摂り過ぎだけでなく、食欲を増進させて食べすぎを招きます。

繊維質の多い緑黄色野菜をよく食べる
 

内臓脂肪が蓄積している人の食生活には、緑黄色野菜の摂取が少ないという特徴があります。バランスを整えるためにも、野菜を積極的に摂りましょう。

適度な運動をする
 

摂取エネルギーを控えるとともに、適度な運動は内臓脂肪を減少させる有効な手段です。一般の肥満治療と同じく習慣的に継続させることが大切なので、徒歩での移動を心がけるなど、日常生活から変えて行きましょう。

お酒は控えめに
 

ビールのおいしい季節ですが、ビールだけでなくアルコールは総じて脂肪に変わりやすいもの。おつまみも高カロリー、濃い味のものが多くなりがちなので、飲みすぎ・食べすぎには注意しましょう。

タバコも控える
 

内臓脂肪型肥満の人には、喫煙者の割合が多いという特徴もあります。喫煙は動脈硬化性疾患の危険性をいっそう高めるので、禁煙に努めましょう。

   
 
  厚生労働省の平成16年国民健康・栄養調査によると、40~74歳において、男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームか、その予備群であることが報告されました。また、子供にもその輪は広がっており、約10人に1人が肥満児であるといわれ、子供の肥満の約7割は成人肥満に移行するともいわれています。

肥満や生活習慣病、どんなケースでも、やはり一番はバランスの取れた食事と適度な運動、つまり生活習慣の改善がポイントです。夏場はアイスやジュースなど糖質の摂取が増えたり、食欲がないために栄養バランスが偏りがちな季節。いつもより更に注意して、ビール腹をスリムにしていきましょう。

 

 

 

食欲の秋到来!美食家は痛風になりやすい?(2006年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
食欲の秋到来!美食家は痛風になりやすい?
 食欲の秋。暑さも過ぎ、食べ物がおいしい季節です。「うまい肴をつまみにお酒を飲むのが何よりの楽しみ」という人もいるかと思いますが、そんな人は特に注意して欲しいのが痛風という病気。「オヤジの病気」のイメージが強い痛風ですが、若い男性にも意外と多いもので、全国に数十万人の患者がいるといわれる病気です。今回は、あのレオナルド・ダ・ヴィンチも苦しめられたという「痛風」についてお話します。
 
     

 

痛風ってどんな病気?
 

「風が吹いただけで痛い」ほど足の関節が痛む病気、として知られる痛風。ある日突然足の親指の付け根が腫れ、立ち上がれないほどの痛みが発作的に起こります。この発作はたいていの場合1週間ほどで治まりますが、半年から1年の期間を経てまた同じような痛みが起こり、繰り返すうちに足首や膝の関節まで広がってくるように。怖いのは、この痛みと併行して内臓が侵されていくこと。間接の強烈な痛みだけでなく、腎臓などの内臓にも障害が起こってしまう病気と覚えておきましょう。

 
痛風の原因
 

痛風の原因となるのは尿酸という物質で、人間の体の中に必ず一定量あるものです。この尿酸値が何らかの原因で上昇し、蓄積していくと、ナトリウムと塩を作り結晶になります。その尿酸塩の結晶が間接の内面に沈着してしまうのが、痛風発作の原因。尿酸塩は間接以外の部分にも溜まり、特に腎臓には溜まりやすいので痛風の人は腎機能にも注意が必要です。

●痛風にかかりやすいのは男性

痛風患者のほとんどは男性。100人の患者のうち、女性は1、2名ほどしかいないほど男性に多い病気です。その理由は血液中の尿酸濃度(血清尿酸値)の違いにあり、一般的に男性よりも女性のほうが尿酸値が低いもの。女性ホルモンには腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあるためですが、閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると尿酸値も少しずつ上昇するので、おおむね50歳以上の年代では男女の尿酸値の差は縮まってきます。

 
痛風を防ぐには
 
痛風を防ぐには、尿酸値を下げることが大切。それには尿酸のもとになるプリン体という物質を減らすのが第一です。

●尿酸値を上昇させる要因

・食生活

「美味しいものにはプリン体が多い」と言われていましたが、厳密な制限は難しいため、最近では痛風患者に対しての食品制限はそれほどされなくなっています。ただし、肥満度が高いほど尿酸値も上がるため、食事の総量を減らすことは大切です。

・遺伝

痛風患者の約2割は、父親や叔父、従兄弟に痛風もちがいます。痛風には遺伝的な体質が関連するので、親類に痛風患者がいる人は注意が必要です。

・アルコール

アルコールを飲むと尿酸値は一時的に上昇します。特にビールにはプリン体が多く含まれるので、痛風には大敵。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にはあまり含まれませんが、アルコールが代謝するときに尿酸値が上がるため、アルコール自体好ましくありません。

・ストレス

様々な病気の原因となるストレス。ストレスや激しい運動は尿酸値を上昇させる原因となります。

・他の病気の影響

腎機能の低下や、血液の病気などによって尿酸値が上がることも。悪性腫瘍が原因で高尿酸血症になることもあるので、注意が必要です。

●尿酸値を下げるには

尿酸値を下げるため日常生活で注意するポイントに、以下のようなものがあります。

・肥満を解消する

摂取カロリーの総量を制限すること、そして標準体重をキープすること。多品目を少しずつ、ゆっくり噛んで食べるよう心がけましょう。

・アルコールを控える

多量の飲酒は避け、特にビールを控えましょう。休肝日をつくるのは、肝臓を含め他の臓器にも良いことです。

・水分を十分とる

尿が1日2リットル以上になるのが理想。そのため、毎日2リットル以上の水分をとるようにしましょう。

・軽い運動をする

激しすぎる運動は尿酸値を上昇させてしまいますが、ウォーキングなどの有酸素運動ならOK。痛風患者に多い高血圧などの合併症にも効果的です。

 
痛風発作が起こった場合は、患部を冷やし、間接を安静にしましょう。痛み止めの内服薬は発作を悪化させることもあるので服用を避け、早めに医師の診断を受けること。

ダイエットと同じく厳しい食事制限を続けることは難しいものですが、日常生活での注意ポイントを守ることが大切。痛風は「尿酸が溜まっているから注意しろ」という身体からのサインと考えましょう。

 

 

”お付き合い”の多い季節、 お酒と上手に付き合おう(2005年3月・4月)

 

     
 
3月・4月の

テーマ:

”お付き合い”の多い季節、

お酒と上手に付き合おう

歓送迎会やお花見など、お酒を飲む機会の多い季節になりました。適度なアルコールは楽しい気分を盛り上げ、会話も弾ませてくれます。しかし、飲み過ぎてしまうと話は別。酔いつぶれて仲間に迷惑をかけたり、次の日二日酔いでダウンしてしまってはせっかくの楽しいお酒が台無し。アルコールと上手に付き合って、楽しく飲みましょう!

 
     

 

お酒の上手な飲み方って?
 
 お酒を飲んだら、アルコールを順調に代謝すること。そのためには丈夫な胃と肝臓が必要です。飲む前、飲んでいる最中、飲んだ後、それぞれに合わせて胃と肝臓をアルコールから守る成分を摂っておきましょう。
 
 

<飲む前には>

効果的な成分:クルクミン
  代表的な食物:ウコン
 

期待できる効果:胆汁の分泌を促進し、肝臓全体の解毒作用を高めるといわれている。サプリメントやお茶など様々な商品が出ているので、普段から摂取し、肝機能を高めておこう。

効果的な成分:セサミン
  代表的な食物:ゴマ
 

期待できる効果:活性酸素を取り除き、肝機能を高めてアルコールの代謝を促すといわれている。サプリメントも活用しよう。

効果的な成分:脂肪
  代表的な食物:ヨーグルト、牛乳など
  期待できる効果:乳製品に含まれる脂肪は胃に膜を張り、アルコールの吸収を穏やかにしてくれる。お酒を飲む 30 分~1時間前に摂取しておくと効果的。
 
 
   
   
 
<飲んでいる最中には>
「飲みながら食べる」のが、飲み過ぎ・二日酔い防止術の鉄則。アルコール代謝を助ける成分をおつまみで補給しましょう。
効果的な成分:たんぱく質
  代表的な食物:肉、魚、チーズ、豆腐、枝豆など
  期待できる効果:動物性・植物性たんぱく質は、肝臓がアルコールを代謝するのに必要な成分。枝豆や冷奴、焼き鳥や刺身などが肴の定番になっているのにも深~い理由があったのです。
効果的な成分:ビタミンB1
  代表的な食物:ネギ、ニラ、にんにくなど
  期待できる効果:こちらも肝臓のアルコール代謝を助ける成分。臭いが気になるという人も、肝臓のために積極的に食べましょう。
効果的な成分:ビタミンC
  代表的な食物:イモ類、小松菜、ブロッコリー、ピーマンなど
  期待できる効果:アルコールの代謝に不可欠なだけでなく、ビタミンCはアルコールによって腸管からの吸収が阻害されてしまいます。しっかり食べて、十分に補いましょう。
効果的な成分:ビタミンE
  代表的な食物:ナッツ類
  期待できる効果:アルコール代謝を促進する働きが。ただし、高カロリーなので食べすぎには注意!
 
<二日酔いになってしまった時は>
二日酔いの時はアルコールの代謝を促進することと、アルコール分解の途中で生じたアセトアルデヒドの分解を促すこと。まずは水分を補給し、食欲が出てきたら栄養を補給しましょう。
効果的な成分:水分
  代表的な食物:スポーツドリンク、ミネラルウォーターなど
  期待できる効果:アルコール代謝で消費された水分をたっぷり補いましょう。ビタミンやミネラルも同時に補給できるスポーツドリンクがおススメ。
効果的な成分:果糖
  代表的な食物:オレンジジュース
  期待できる効果:果糖がアルコールの分解を高め、ビタミンCがアセトアルデヒドの分解を促進してくれる。
効果的な成分:タンニン、カタラーゼ
  代表的な食物:柿
  期待できる効果:タンニンが胃の粘膜を収縮させてアルコールの吸収を穏やかにし、カタラーゼなどの酵素がアルコールの代謝を活発にしてくれる。更に柿はビタミンCも豊富。
効果的な成分:タウリン
  代表的な食物:シジミの味噌汁
  期待できる効果:肝臓の解毒作用を促し、アセトアルデヒドの分解も促進してくれる。
効果的な成分:クエン酸
  代表的な食物:梅干
  期待できる効果:飲んだ後は体の栄養素がアルコール分解に使われ、細胞がエネルギー不足に。クエン酸でエネルギーを生み出す回路(クエン酸回路)を活発にさせましょう。
効果的な成分:カフェイン
  代表的な食物:コーヒー
  期待できる効果:カフェインの覚醒作用で、二日酔いの頭をシャキッとさせましょう。アセトアルデヒドの代謝を促進させたり、利尿作用によって老廃物を体内から追い出す作用もあります。
 
 
二日酔いはなぜ起こる?
 
 
二日酔いの犯人といわれるのが「アセトアルデヒド」。体内に入ったアルコールが酸化され、炭酸ガスと水に分解される過程で生じる猛毒で、これが血液にのって身体中を駆け巡り、脳の血管を刺激して頭痛などの症状を引き起こすといわれています。また、アルコールのもつ脱水作用によって脳の細胞に含まれる水分が少なくなり、細胞や血管が縮むことでも激しい頭痛が起こったり、全身が脱水状態になることで疲労感や脱力感がうまれるといわれます。
二日酔いにならないためには「飲みすぎない」ことが第一ですが、二日酔いになってしまったときには、上に挙げた栄養素や成分を積極的に摂って、早めの回復を心掛けましょう。また、運動はアルコール血中濃度を下げてくれるので、二日酔いだからといっていつまでも寝ていないで体を動かすよう心掛けましょう。ただし、激しい運動や熱いお風呂に入るのは、心臓に負担がかかりすぎるので厳禁。軽いウォーキングや、シャワー程度に済ませましょう。
アルコールの上手な飲み方「 10 カ条」
 
 

社団法人アルコール健康医学協会の定める「適正飲酒10カ条」。

・ 笑いながら、共に楽しく飲もう

・ 自分のペースでゆっくりと

・ 食べながら飲む習慣を

・ (お酒は)自分の適量にとどめよう

・ 週に2日は休肝日を

・ 人に酒の無理強いをしない

・ 薬(睡眠薬、安定剤、糖尿病薬など)と一緒には飲まない

・ 強いアルコール飲料は薄めて

・ 遅くとも夜12時で切り上げよう

・ 肝臓などの定期検査を

盛り上げるためといっても、一気飲みをしたりさせたりも厳禁です。当然ですが、飲酒運転も絶対禁止。楽しく飲んだあとは、タクシーや代行で安全に帰りましょう。酒は別名「百薬の長」。上手に飲めば、心と体の健康に役立つ”薬”になるのです。

 

 

禁煙(2004年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
禁煙
体に良くないと分かっているものの、なかなかやめられないのがタバコ。アンケート結果では喫煙者の約8割もの人が「タバコをやめたい」と考えていると言います。しかし禁煙に挑戦した人のうち、半数以上の人が1年以内で失敗。成功するのは1割程度と言われています。5月31日は世界禁煙デー。この機会に、禁煙・減煙して健康な体を取り戻してみませんか?そしてタバコは喫煙者自身だけでなく、周りの人の健康にも害を及ぼしていることもお忘れなく!
 
     

 

まずはタバコの害を知ろう
 
 タバコの害=肺がん、というイメージが一般的ですが、タバコは様々な病気のリスクファクター。非喫煙者と比較すると、死亡率(男性)は全ての死因で1.3倍、全てのがんでは1.7倍にもなるという数値が出ています。具体的には、肺がんは4.5倍、胃潰瘍は1.9倍、喉頭がんではなんと32.5倍!女性の場合は子宮がん1.6倍という数値が出ている他、妊娠中の喫煙は胎児にも影響を及ぼし、障害児や早産、出生率低下の原因ともなりえます。
 また、非喫煙者が喫煙者のタバコの煙(副流煙や呼出煙)を吸ってしまうのが「受動喫煙」。有害物質を含んだ煙を吸うことで、非喫煙者にまでも、肺がん、虚血性心疾患、呼吸機能障害などの健康被害が生じているのです。

 
  禁煙できないのは「依存症」
 
 禁煙の大敵は「ニコチン依存症(中毒)」と「心理的依存」という2つの依存症。ヘロインやコカイン並と言われるほど依存性の強いニコチン。肺から血液中に入ったニコチンは一時的に脳を覚醒状態にしますが、その効果が切れると物足りなくなり、再びニコチンを求めてしまうのが「ニコチン依存症」。また、喫煙が日常的な習慣やストレス解消の手段になってしまっている場合、タバコを吸わないとイライラしたり、不安や寂しさを感じてしまうのが「心理的依存」です。

 
 本当はやめたいのにやめられない、そんな人はまずは減煙から始めましょう。ただし、「軽いタバコなら健康への害も減る」というのは間違い。喫煙者は2~3mgのニコチンがないと満足できないと言われ、低タールや低ニコチンの「軽いタバコ」にすると、それまで以上にフィルターギリギリまで吸ったり、本数が増える傾向が強くなります。軽さに関わらず、少しずつでも本数を減らすよう、減煙にチャレンジしてみましょう。