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まめ知識カテゴリ: 目・鼻・耳・口

健康への第一歩は歯から(2013年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
健康への第一歩は歯から

 市民合唱団で歌われている方に、練習はさぞ大変でしょうと訊ねたところ意外な答えが返ってきました。きついのは歌の練習ではなく、口臭だというのです。往々にして年齢層が高いため歯周病にかかっている人の割合が多いようです。歯周病からくる口臭を我慢しながら、声を合わせて練習をするのはきついと言うのです。日本人の約70%の人が歯周病にかかっているというデータがあります。歯を失う原因としても虫歯よりも歯周病の方が多いのですが、普段あまり自覚症状が無いために、歯周病のケアには無関心になりがち。しかし、気づかないうちに周囲の人には多大な迷惑をかけていることもあるのです。今回は、この歯周病について紹介します。

 
     

 

歯周病とは
   虫歯は、歯そのものが病気になってしまうものですが、歯周病は、歯を支えている組織が壊れていく病気です。その始まりは、歯の汚れ。歯垢と呼ばれる歯の表面についた食べ物のかすに細菌が繁殖したものが歯周病の原因となりますが、この細菌は、24時間汚れを放置すると繁殖してしまうと言われています。適切な歯磨きによって食べ物のかすを取り除いてしまえば、この細菌の繁殖は防げるのですが、不適切な歯磨きなどで、歯垢ができてしまうと、それから約2日ほどで、今度はもっとやっかいな歯石に変化してしまいます。歯石になってしまうと歯ブラシで取り除くのは難しいので、歯石になる前に取り除くことが大切です。

また、不適切な歯磨き以外にも歯周病を引き起こしやすくなる原因があります。その一つが喫煙です。タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させる作用がああるので、血液の流れを悪くします。血行を悪くすると身体の抵抗力が低下し、細菌が繁殖しやすくなり、しかもニコチンと共に多くの有害物質が歯垢に混じって歯に付着したり、口内の環境を整える働きのある唾液の分泌量が減る原因にもなります。

唾液が少なくなるとドライマウスと呼ばれる口腔乾燥症の状態に陥ります。これは、水分の補給が十分でなかったり、口を開けて呼吸する口呼吸をしている人がなりやすい症状ですが、唾液は細菌の繁殖を押さえる免疫機能を持っているので、唾液量の低下は歯周病にもつながります。
 また、糖尿病を患うと身体の抵抗力が弱くなるので、歯周病を引き起こしやすくなります。恐ろしいのは、虫歯菌や歯槽膿漏の菌が抜歯などの際に、血中に紛れ込むと感染性心内膜炎という心臓病まで引き起こしてしまうことです。特に重度の歯槽膿漏の場合、口内にたくさんの細菌が存在するので、そのリスクが増大します。症状としては、熱が出たり、動悸が激しくなったりしますが、ひどい場合は弁膜が壊れ急性心不全を起こすこともあります。

   
歯周病の見分け方
  ●歯茎からの出血

歯ブラシをかけたとき、出血をするようであれば、まず初期の歯周病を疑います。出血を怖れて、出血部を避けてブラッシングしているとさらに歯周病が進行してしまいます。正しいブラッシングを続けても出血があるようなら、すぐに歯科医に相談してください。
●口臭

虫歯に食べかすが詰まって腐敗した臭いと歯周病の場合の口臭は違いますが、口臭はなかなか本人は気がつかないもの。歯周病の臭いの原因は、歯と歯茎の境に付着した細菌が歯に沿って根の方に侵入し、そこで繁殖して臭いを発します。周囲の人に注意されたらすぐに歯科医に相談してください。
●歯がグラグラする

歯周病が進行すると歯を支えている組織が壊れるので、歯がグラグラしてきます。しかし、相当ひどくなるまで気がつかない場合が多く、舌の先で触って動くのを感じるようになったときは、すでに手遅れです。
 初期の歯周病をチェックするには、親指と人差し指で歯をつまみ、ゆすってみて動きを感じるようでしたら要注意として、歯科医に相談しましょう。何かものを噛んだときにたよりない感じがしたときも危険な兆候です。

   
歯周病の治療
   歯周病の初期であれば、まず歯科医で溜まった歯石を取り除いて、ブラッシングを毎日丁寧におこなっていれば改善されていきます。その後は定期的に歯科医に歯石の除去をしてもらい歯周ポケットの深さなどをチェックし、加齢とともに増すリスクに対処するようにしましょう。

進行した歯周病で、歯槽膿漏になると治療もたいへんです。歯周病の進行で深くなった歯周ポケットからは、スケーリングという器具を使った治療だけでは奥深くの歯石が取り除けなくなります。そこで、歯茎を切開して奥深くの歯石や感染歯質を除去したり、溶けた骨を回復するための処置を行う歯周外科治療が必要になることもあります。

さらに歯周病が進行して、歯槽骨の大部分が溶けてしまい回復の見込みがない状態になると、他の歯や骨に悪影響を及ぼす恐れがあるため、抜歯しなければなりません。

高齢者が歯を失う原因として最も多いのは、この重度の歯槽膿漏によるものです。

   
歯周病の予防
   予防のために最も大切なのは、歯磨きです。しかし、単にブラッシングをすれば良いというものではありません。最近でもたまに見かけるのは、大きめの歯ブラシに歯磨き粉をたっぷり付けてゴシゴシと磨いている人。歯を磨いたという達成感はあるものの、歯や歯茎を傷つけるばかりで、歯垢の取り残しを生じてしまいます。歯垢を落とすためには、小ぶりな歯ブラシで最初は柔らかめのものを選んで、歯の一本一本に対して磨くというより細かく振動させて刺激を与えるようなイメージでブラッシングします。

歯ブラシの当て方は、歯と歯茎の間に歯ブラシを45度の角度であてて歯垢をかき出すバス法という基本的な磨き方と、歯に対して歯ブラシの全面を直角にあてて振動させるスクラッピング法などいくつかの方法があります。いずれも一度歯科医で指導を受けると理解しやすいでしょう。

前述したように、唾液は細菌の増殖を抑える働きがありますが、寝ている間は、分泌が減少します。つまり、寝ている間は菌が増殖しやすい状態にあるわけです。就寝前の歯磨きが重要なのは、そのためです。

そして、朝起きたときが、口内に最も細菌が増殖している状態になります。朝起きたらまず歯磨きをして、この細菌を体内に取り込まないようにします。
 以前は食後にすぐに歯を磨きましょうと言われていました。ところがこれが誤りだったことが分かってきました。食事をすると口内のPH値が酸性に傾きます。アルカリ性の歯の表面が、この酸によって侵されやすい状態にあるわけです。ここで歯磨きを行うと酸に溶かされた歯を削ってしまうことになります。

口内のPH値は、唾液が食後30分~1時間で中和してくれますから、歯ブラシで磨くのは、その後にしましょう。食後すぐは、水で口をすすぐ程度にしておき、唾液による歯の表面を補う再石灰化の作用の後に、歯ブラシを使うというのが正しい歯周病ケアとなります。

 

疲れ目、ドライアイ ―「目」のトラブルは現代病!?(2011年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
疲れ目、ドライアイ

―「目」のトラブルは現代病!?

暦の上ではすっかり「春」ですが、冷え込む日も多く、本格的な春の日差しが待ち遠しい今日この頃。風邪やインフルエンザへの対策もまだまだ気が抜けませんが、花粉症にも注意が必要な厳しい春になりそうです。花粉症の症状のひとつに「目のかゆみ」がありますが、眼精疲労やドライアイなど、「目」に起こるトラブルは意外と多いもの。今回は“目の健康”についてお話します。

 
     

 

目の乾き・疲れはパソコンや携帯が原因!?
 

 多くの人が、普段あまり意識せずに行っている「まばたき」。通常、人は3秒間に1回まばたきをすると言われています。そして、まばたきをすることで、目の表面が乾き切る前に新たな涙の層が形成され、眼球を乾燥から守っているのです。

しかし、パソコンのディスプレイや携帯電話の画面を“凝視”する機会・時間の多い現代の生活スタイルによって、まばたきの回数が減少する傾向にあるようです。まばたきの回数が減ると涙の蒸発量も増え、当然目が乾きやすくなります。

目の表面に定着した涙の層が乾き始めるまでの時間はおおよそ10秒ですが、5秒間目を開けていられない場合は、ドライアイの可能性がかなり高いと言われています。

   
ドライアイとは
   「ドライアイ」とは、涙液の量的不足または質的異常が原因で、様々な自覚症状とともに種々の角結膜上皮障害をきたす状態を総称したものです。ドライアイの原因にはいくつかのタイプがあり、加齢とともに涙の排出機能不全が起こる、自己免疫疾患で涙腺が破壊される、などが挙げられますが、最も多いのはまばたきの減少や涙液成分の異常で角膜表面が乾燥し、目が“肌荒れ”したような状態になる「蒸散型」と言われています。

「蒸散型」のドライアイは中高年の男性にも多く見られ、「目が乾く」「目が疲れる」などの自覚症状から、老眼と思い込んで放っておいてしまう方も多いようですが、ドライアイの場合は治療による症状の改善が可能なので、心当たりのある方は一度専門医の受診をお勧めします。

   
ドライアイが起こるわけ
   目の表面を覆う「涙」は3層構造になっていて、一番外側から、被膜として水分の蒸発を防ぐ「油層」、栄養分と水分を含む「水層」、角膜表面に直接触れる「ムチン層」で構成されています。油層の主成分は、まつげの生え際にあるマイボーム腺から分泌されますが、なんらかの原因でこの腺が目詰まりすると、油層の形成が不完全になって水層の蒸発が早まることになります。

一方、ムチン層の主成分はタンパク質で、粘性が高く、涙を目の表面に定着させる働きがあります。この成分は結膜のゴブレット細胞から分泌されていますが、炎症などでこの分泌機能が低下すると、涙の「保持力」が落ちてしまいます。また、それ以外でもコンタクトレンズの長期使用などで角膜表面が荒れている場合も、涙が瞳の表面に定着しにくくなります。

さらに、現代人の多くが抱える「ストレス」もドライアイの原因のひとつと言われ、緊張による交感神経優位の状態によって涙が枯れることもあるそうです。
<ドライアイの症状>
 通常は「眼が乾く」という症状をはじめ、「眼がゴロゴロする(異物感がある)」「眼が痛い」「光や風が眼にしみる」などが主体です。しかし、その他にも、「眼が疲れる」「眼がかゆい」「不快感がある」「めやにが出やすい」「すぐ充血する」など、眼精疲労やアレルギー性結膜炎あるいは慢性結膜炎に類似した症状を示すことも少なくありません。さらに悪化してくると、「目を開けていられない」「頭が痛い・重い」「肩がこる」「気分が悪い」などの症状が起こることもある、軽視できない病気なのです。
<ドライアイセルフチェック>

以下のような症状が現れた場合は、「ドライアイ」の恐れがあります。早めに専門医を受診するようにしましょう。

■目が乾く

■目がショボショボする

■目がゴロゴロする

■光がまぶしい

■目が痛む

■視界がかすむ

■10秒間以上目を開けていられない

■目が重たく感じる

■視力が低下してきた

   
ドライアイ・疲れ目を防ぐ「目の体操」
   目がかゆいからといってこするのは良くありませんが、目の周りのツボ指圧は、目の病気の予防・改善効果が期待できます。自分の指だけで手軽に行えるので、仕事や勉強の合間、起床時などに行ってみてください。
<目の体操(ツボ指圧)>

1. まゆ頭のやや下の骨のくぼみにある天応(てんおう)のツボを、指先や指関節で40~50回、ゆっくり数えながら指圧する。
2. 目頭と鼻の付け根との境にある睛明(せいめい)のツボを、指先や指関節で40~50回、ゆっくり数えながら指圧する。
3. 鼻腔の端から左右にそれぞれ指3本ぶん、ほおの中央部にある四白(しはく)のツボを、指先や指関節で40~50回、ゆっくり数えながら指圧する。

※眼球を指で押さないよう、十分注意しながら行ってください。

 
 
花粉症の方は特に、目のかゆみや異物感、不快感などが起こりやすい季節ですが、その症状ももしかすると「ドライアイ」が原因かもしれません。デスクワークの方など、長時間パソコンの画面を見る習慣のある方も要注意!ドライアイの治療の基本は点眼薬の使用ですが、体質や症状によって最適な点眼薬も違うので、眼科で処方してもらうのが一番です。目を大切にして、快適な「春」を送りましょう。

 

 

あなたの「いびき」、大丈夫ですか?(2010年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
あなたの「いびき」、大丈夫ですか?
 三寒四温を繰り返し、ようやく春めいた日が続くようになってきました。当センターのある茨城県水戸市でも、偕楽園の梅が見ごろを迎え、春の訪れを感じることができます。さて、暖かくなってくると日中の眠気が気になるもの。また、「春眠あかつきを覚えず」と言われるように、過ごしやすい春の夜の睡眠は気持ちよく、ついつい寝過してしまうこともあるものです。今回は、その睡眠に深い関係のある「いびき」についてのお話です。
 
     

 

激しい「いびき」をかく人は、要注意!
 

いびきは「睡眠時に起こる異常な呼吸音」と定義され、発生源は上あごの奥にある粘膜が、睡眠中の呼吸に伴って過剰に振動するために起こります。いびきの原因は、主に「気道の狭窄」によるものなので、長期間いびきが続くと換気低下が起こり、呼吸機能、ひいては血液循環機能に影響が出てきます。眠っている間のことなので本人には自覚がないものですが、大きないびきは周囲の迷惑となるだけではなく、健康面にも影響があるので注意が必要です。

また、「大きないびきをかいている」と指摘された人は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の疑いもあります。5年前にJR西日本の福知山線脱線事故の原因となったことで広く知られるようになった病気ですが、主な症状である「いびき」や「昼間の強い眠気・居眠り」、「熟眠感がない」などに心当たりのある方は、内科や呼吸器科、耳鼻咽喉科などでの受診をおすすめします。

 

頭痛
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
 
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、10秒以上の呼吸停止を一晩に30回以上、あるいは睡眠1時間あたり5回以上繰り返す状態のことで、閉塞型と中枢型の2つのタイプに大別されます。SASの大多数は閉塞型で、これは睡眠中に空気の通り道である上気道が塞がることにより呼吸が障害されて起こります。

<主な症状>

睡眠中の呼吸停止 大きないびきをかく
熟眠感がない 何度も目が覚める
夜間ひん尿 起床時に頭痛がする
胸焼け 日中の強い眠気・居眠り
集中力低下・疲労感 勃起不全・ED
抑うつ    

<原因>

睡眠時の無呼吸状態は、多くの場合、空気の通り道である気道が、部分的あるいは完全に閉鎖してしまうことによって起こります(閉塞型睡眠時無呼吸症候群)。肥満体の人や顎が小さい人などに多く、これらの人は、もともと気道が狭い構造になっている上に、睡眠中には咽頭の筋肉や舌が緩むため、さらに気道が狭くなって閉じてしまうことが原因です。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の弊害について
 
SASの症状、および合併症は、以下の2つによって引き起こされます。
睡眠中に無呼吸が起こるたびに脳波上の覚醒反応が起こり、深い睡眠を得ることができない。
無呼吸により、肺における酸素の取り込みと二酸化炭素の排出が一時的に停止してしまうため、血液中の酸素不足や炭酸ガスの排出不全が反復され、各種臓器に悪影響を生じる。
この2つが原因となり、覚醒後に熟睡感がなかったり、日中の動悸や冷汗、激しい眠気・居眠りが多くなります。また、血液中の酸素濃度の低下により、心肥大や心不全、高血圧、不整脈、脳障害を合併する可能性もあり、大変危険な病気であることがわかります。
予防と治療について
 
SASの治療には、口腔内装具(マウスピース)を装着しての睡眠や、鼻閉の改善手術、扁桃腺の摘出・軟口蓋形成術などがあります。ただし、無計画な手術はかえって症状を悪化させることもあるため、これらの治療には正しい原因の把握が重要です。治療の際は、必ず専門医に受診するようにしましょう。

また、家庭においての治療や予防には自己管理が必要です。

頭痛
肥満の予防
  肥満は首のまわりに贅肉がつき、のどの内側も狭くなるためにいびきをかきやすくなります。
側臥位睡眠
  仰臥位(仰向け)の睡眠は重力の影響により上気道が閉塞しやすくなります。側臥位(横向き)に寝ることで口蓋垂(こうがいすい)周囲の気道閉塞が軽減するため、SASの発生を抑える効果が期待できます。
アルコール制限
  アルコールは筋肉の緊張低下を起こすため、気道が狭くなりやすくなります。禁酒とまではいかなくても、節酒を心がけることも大切です。
いびき予防絆創膏
  鼻づまりが原因の場合に有効なことが多い対処法で、鼻孔を広げることを目的とした絆創膏を鼻に張って就寝します。

 

たかが「いびき」とあなどってしまいそうですが、米国の調査ではSASのない人と比較して死亡率が3~5倍も高いことがわかっています。また、うたた寝や眠気による交通事故や業務能力の低下など、日常生活にも支障をきたす恐れがあるので、いびきチェックを行うか、専門医に受診して気道狭窄の有無を調べてみましょう。

 

 

「味覚障害」を予防して、おいしく食べよう!(2010年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
「味覚障害」を予防して、おいしく食べよう!
 新年明けましておめでとうございます。昨年猛威を振るった新型インフルエンザもようやく落ち着きをみせてきましたが、まだまだ油断は禁物です。新しい年の始まりを祝うと共に、改めて気を引き締め、家族みんなが健康で過ごせるよう生活面を見直しましょう。さて、お正月といえばおせち料理や親戚が集まっての外食やご馳走など、食べる楽しみも多い時期。今回は、そんな「食べる楽しみ」を守る、味覚障害の予防についてお話します。
 
     

 

味覚障害とは
 
 味覚障害とは、読んで字のごとく「味」を感じる味覚に障害が起こる病気。最も多い症状は「味覚の低下」や「味覚の消失・脱失」で、食べ物の味がわからなくなってしまうというものです。この症状は味覚障害患者の約7割に現れており、続いて多いのが『何も食べていないのに苦い味がする』などと訴える「自発性異常味覚」で、この症状は味覚の低下と一緒に現れる場合もあります。この他、本来の味と違った味を感じる「錯味(さくみ)症」や「異味(いみ)症」、何をたべてもおいしく感じられない「悪味(あくみ)症」などがあります。思い当たる症状がある場合は、一度、内科や耳鼻科で受診をしてください。

また、自覚症状がない方も、以下のチェックシートで自己診断をしてみましょう。当てはまる項目が多いほど味覚障害になっている恐れがあるので注意してください。

<味覚障害チェックシート>

最近、食べ物の味がしなくなった気がする
以前に比べて食べ物を「おいしい」と感じなくなった
「甘い」「酸っぱい」「辛い」「苦い」のうち、感じない味がある
口の中に何も入っていないのに味がする
色々な臭いを感じなくなった
舌がピリピリと痛むことがある

 

味覚障害の原因
 
 そもそもなぜ「味覚障害」が起こるのでしょうか?その主な原因は、血液中の亜鉛不足にあると言われています。また、薬の副作用や、肝障害・腎障害・消化器障害・糖尿病などの病気、食品添加物の影響などによっても起こることがあり、原因の分からない「特発性味覚障害」もあります。

このように、「味覚障害」の起こる原因はさまざまですが、共通するのは身体の組織や細胞医必要な亜鉛の欠乏と考えられます。亜鉛が不足することによって舌の奥にある「味蓄(みらい)」という部分の味細胞の生まれ変わりが遅くなり、味細胞の構造や機能に影響を与えるということが最近の研究結果で明らかとなってきたのです。

<味覚障害の主な原因>

血中の亜鉛不足…
  偏った食生活などが原因で、味覚機能を維持するために必要な血液中の亜鉛の量が正常値より少ない状態。
二次的な亜鉛不足…
  薬や食品添加物の影響/一部の薬や食品添加物が、消化管内で亜鉛と結合して体内への亜鉛の取り込みを低下させたり、体内からの亜鉛の排泄を促進させたりする。

全身の病気の影響/糖尿病や肝障害・腎障害は体内での亜鉛の利用を妨げる。消化器障害は体内への亜鉛の取り込みを低下させる。

特発性の味覚障害…
  血液中の亜鉛の量は正常で原因は不明だが、亜鉛を内服すると症状が改善する。

 

味覚障害を予防するために
 
 味覚機能は年齢と共に徐々に低下し、70歳くらいになると一気に低下すると言われています。しかし、味覚障害になるのは高齢者に限ったことではありません。将来的に味覚障害にならないためにも、次のことに気をつけて味細胞が正しく味を感じられるようにしておくことが大切です。

<味覚障害を防ぐためのポイント>

亜鉛を含む食品を食べる。
  厚生労働省では、亜鉛の1日の摂取量の目安を成人男性11~12mg、成人女性9~10mgと発表しています(アメリカやカナダなどの先進国では男性15mg、女性12mgとされている)。しかし、普段の日本人の食事では6~9mgしかとれていないと言われており、目標の半分しか摂取できていないのが現状です。緑茶や抹茶、牡蠣など、亜鉛が含まれている食品を意識的にとるように心掛けましょう。ちなみに、牡蠣は特に亜鉛が豊富で、100g中に40~70mgの亜鉛を含むので、大粒の牡蠣を1つ食べれば1日の目標値を軽くクリアすることができます。
栄養バランスのとれた規則正しい食生活を心がける。
  亜鉛は体内で合成されないため食品からとらなくてはいけませんが、現代は土壌中のミネラルが少なくなった土地が多く、そこで育った作物中のミネラルも減ってきています。ただでさえとりづらくなった亜鉛を効率的に摂取するため、インスタント食品やファストフードなどの手軽な食品を食べるのを控え、栄養バランスのとれた食事を心掛けましょう。

また、加工食品のとりすぎにも注意が必要です。ほとんどの食品にはポリリン酸ナトリウムなどの食品添加物が含まれており、これらは体内から亜鉛を排出してしまうのです。そしてパンや漬物、しょうゆなどの変色・変質を防止するために含まれるフィチン酸という天然物質も、亜鉛を吸収しづらくする作用があるので注意してください。

喫煙・飲酒を控える
  舌に直接刺激を与える喫煙が良くないのはご存知のとおりですが、アルコールも味覚障害の原因のひとつです。これは、アルコールを分解するためにたくさんの亜鉛が使われるためです。また、亜鉛が不足するとアルコールを分解する酵素のはたらきが鈍くなるので、お酒をよく飲む人ほど亜鉛をとるようにしましょう。

 

   その他、「唾液が出るように、よく咀嚼(そしゃく)して食事をする」「朝晩と食後に歯を磨き、口の中を清潔に保つ」なども、普段の生活の中で気をつけて欲しいポイント。いつまでも食事をおいしく食べるため、味覚障害にならないよう普段から気をつけていきましょう。

 

 

健康な1年の始まりは、 毎日の食事をよく「噛む」ことから(2008年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
健康な1年の始まりは、

毎日の食事をよく「噛む」ことから

 新年明けましておめでとうございます。毎年のことではありますが、新しい1年の始まりという大きな節目を迎え、みなさん気持ちを新たにしていることと思います。今回は健康にこの1年を過ごすために、食事の大切さ、「噛む」ことの大切さについてお話しします。
 
     

 

 
咀嚼(そしゃく)のはたらき
 
  咀嚼とは、食べ物をよく噛みくだき、味わうことです。食べ物を口の中で何度も噛んで細かくすることで栄養として消化吸収されやすくなるため、咀嚼はからだにとって大切な役割をもっています。また、咀嚼回数が多くなると唾液がたくさん出ますが、この唾液にも消化吸収や殺菌力を高める作用があります。他にも、咀嚼の刺激が脳を経て胃に伝わることで、咀嚼運動に見合った胃液が分泌されて効率的に消化が行われるなど、栄養を摂取するための「食事」という行為において咀嚼は大変重要です。

しかし、現代人は昔に比べて食べ物を噛む回数が減っていると言われています。その要因の第一には、軟らかい食べ物が多くなったことが挙げられます。一説によると、日本人の咀嚼回数は弥生時代の1/6、昭和10年代と比べてもなんと約半分の回数に減っているとも。子供の頃からよく噛む習慣がないために顎の成長が遅れ、歯並びが悪くなったり、噛む筋肉自体が弱くなっている現代人が増えているのです。

 
咀嚼はなぜ大切か
 

 食べ物の変化に加え、忙しい現代社会ではゆっくり食事をする時間がないという問題もあるようです。しかし、先にお話しした通り「よく噛んで食べる」ことは健康づくりの第一歩。咀嚼の役割を知ることで、その大切さを見直してみましょう。

   
 
食べ物の消化を助ける
 

よく噛むことで食べ物が細かくなり、唾液と混ざって適度に水分が増すため飲み込みやすくなります。また、唾液にはアミラーゼという消化酵素も含まれているため、消化吸収をよくしてくれます。

虫歯や歯周病を予防する
 

咀嚼することで分泌される唾液には、消化酵素の他にも口内の浄化作用があります。さらに口内環境を中性に保とうとする作用があり、虫歯や歯周病の原因となる酸を薄めてくれます。また、唾液に含まれるパロチンというホルモンが、カルシウムと結合して強い歯を作ってくれます。

歯並びを整える
 

よく噛むことで顎の骨や顔の筋肉が発達し、顎が強くなります。顎の発達が遅れていると、歯の大きさとの本来のバランスがくずれてしまい、正しい位置に歯が生えずに歯並びが悪くなってしまいます。

食べすぎ・肥満を防止する
 

よく噛んで食べると、唾液が多量に分泌されるために血糖値が上がり、脳の満腹中枢に働いて満腹感を与えてくれます。よく噛むことで自然と食事のペースもゆっくりになり、食べすぎを予防します。

脳に刺激を与える
 

咀嚼運動が脳に連続的な刺激を与えることで、脳が活発に機能します。眠気を覚ますのにガムを噛むのもその一例で、噛むという行為によって記憶力や集中力が高まります。また、こどもの脳の発育を促したり、老人の痴呆予防にも役立つと言われています。

新陳代謝を高める
 

咀嚼によって、EGF(表皮成長因子)と呼ばれるホルモンも分泌されます。これは細胞分裂を促進するホルモンで、新陳代謝が活発になり若々しい身体を保ってくれます。

   
 

 生きていくためには「食べる」という行為は必要不可欠なものですが、食事とは味覚だけでなく、視覚や嗅覚、触覚など五感で味わうものです。よく噛むことでゆっくりと食事を楽しむことができれば、それは心の余裕や充足感にもつながります。身体のためにも、豊かな生活のためにも、

よく噛んで食べるということはとても大切なのです。普段よく噛まずに飲み込んでしまうという人は、まずは「噛む」ことを意識して、ゆっくりおいしく食事をするよう心がけましょう。

   

 

 

一年の汚れをスッキリと、 耳の中まで大掃除?(2007年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
一年の汚れをスッキリと、

耳の中まで大掃除?

 色々あった2007年もいよいよ師走、最後の月を迎えました。今年一年の家族の健康についても整理して、新しい年も元気に過ごすための準備を整えておきましょう。さて、一年の締めくくりに家中の大掃除をするご家庭も多いと思いますが、この機会に体のお掃除・耳掃除についてお話しします。
 
     

 

 
耳垢はなぜたまる?
 
  耳垢は外耳道、つまり耳の穴に溜まる垢(あか)のことです。外耳道皮膚の皮脂腺(耳垢腺と呼ばれる汗腺の一種)からの分泌物に、外耳道表皮の角化脱落細胞(古くなってはがれ落ちた皮膚)や空気中の埃がくっついて塊のようになったものを耳垢と言います。鼓膜の外層で生まれた鼓膜上皮には、鼓膜側から出口に向かってゆっくりと移動する「移送能」という機能があり、この上皮が出口近くまで来ると自然にはがれて耳垢の原因となります。このような皮膚上皮の移動性は鼓膜・外耳道の特徴で、耳垢が発生するのは生理現象として正常なことなのです。
 
湿った耳垢はトラブルの印?
 

 耳垢の量や状態には個人差があり、環境や体調などによっても変化します。お風呂やプールに入った後などに湿り気があるのは当然として、普段から耳垢がベトベトしたり粘り気のあることを気にする方も多いようですが、これは耳垢腺からの分泌物の多寡によって変化するもので、体質的に個人差があって当然のものです。一般的に東洋人には乾性耳垢(こな耳)が多く、西洋人には湿性耳垢(あめ耳)の体質が多いと言われますが、もちろん「日本人なのに湿性だ」と心配する必要はありません。中には少しにおいがあることもありますが、基本的にははがれ落ちた皮膚や埃なので心配はないでしょう。

 
耳垢を放っておくと病気になる?
 

 先にお話しした通り、外耳道の皮膚や毛は外側に移動する性質があることから、耳垢は自然と外に押し出されてくるものです。また、外耳道と中耳とは鼓膜で隔てられているため、耳垢がたまったために中耳炎になることはありません。

ただし、綿棒などで耳垢を押し込んでしまったり、耳かきで外耳道の皮膚を傷つけて炎症を起こしてしまったりと「耳掃除」が原因でトラブルを引き起こすこともあります。

   
 
耳垢栓塞
 

文字通り耳垢が栓のように詰まってしまった状態で、聞こえも少し悪くなることがあります。多くの場合は綿棒などで耳掃除をしているつもりが、逆に奥に押し固めてしまうことで起こります。カチカチに固まってしまっているケースもあり、その場合は専門医でも除去しきるのに数回かかることもあります。無理にとろうとすると、耳の中を傷つけたり、さらに奥へとやってしまうこともあるので注意しましょう。

外耳道湿疹・外耳道炎
 

外耳道の皮膚はとても薄く傷つきやすいため、耳かきなどでこすると傷がつき、痒みを起こすことがあります。外耳道湿疹・外耳道炎の原因の多くは「耳の掻きすぎ・いじりすぎ」で、耳掃除によって起こった痒みを抑えるためにさらに耳を掻きすぎて炎症を起こしてしまうケースです。耳かきは一般的に気持ちのいいものなので、つい掻きすぎてしまうという人にも注意が必要です。

   
子供の耳掃除をするには
 

 小さなお子さん、特に乳幼児の場合、親御さんが耳掃除をしてあげることも多いでしょう。しかし、通常市販されている綿棒は子供の耳には太すぎること、子供の外耳道は大人よりも短いことなどから、耳垢を奥に押し込んでしまう危険性が大人の耳掃除以上に高いものです。また、目で耳の中が見える分、必要以上にこすってしまったり、奥まで掃除しようと突っ込んでしまって痛い思いをさせてしまうケースもあります。乳幼児は特に分泌量が多いこともあり、耳垢が気になることも多いと思いますが、出口付近のものだけを、皮膚をこすらないように優しくとってあげるようにしましょう。

同じ掃除でも、しずぎると却って良くないということもあります。耳掃除の場合は、身だしなみ程度に、外から見えるものだけを優しく取り除くのが基本です。耳垢を放っておいたことが原因で病気になることはまずありませんが、耳垢が極端に多かったり、においが気になる場合は、耳垢ではなく膿などが混じった「みみだれ」の可能性もあります。その場合「慢性中耳炎」などの耳の病気のサインとも考えられるので、速やかに診察を受けることをおすすめします。

   

 

 

赤ちゃんと虫歯(2006年6月)

 

赤ちゃんと虫歯

社団法人 茨城県栄養士会

寺門久美子
 
 
 

赤ちゃんには虫歯はありません

  生まれたばかりの赤ちゃんに歯がないので、当たり前ですネ。

赤ちゃんが5~6ヶ月位になると、離乳食を食べ始めます。離乳食は、初めはドロドロ状に仕上げ、次に舌でつぶすことのできる柔らかさの粒状に、そして歯ぐきでかめる程度の噛みごたえのある形に変えていきます。その頃には乳歯がはえてきます。

離乳食を、お母さんが口に入れて、カミカミして食べさせることがあります。これはお母さんの口の中のバイキンも一緒に食べさせることになり、やがて赤ちゃんが虫歯になってしまいます。

  虫歯は、歯の表面のエナメル質や、その内側のぞうげ質が侵されて、内部に向かって穴が空いた状態をいいます。

乳児は、エナメル質やぞうげ質の層が薄いために、虫歯の進行が速く、普段からのケアが大切です。初期の虫歯は、痛みがないので発見は難しいのですが、歯の一部の色が黄褐色になってきます。子どもが物を食べるときに、噛むのを嫌がる、熱い物や冷たい物がしみているときなどは要注意です。そのまま放っておくと、激しい痛みと共にあごの下のリンパ腺が腫れることがあります。

虫歯になると、痛みのため歯の噛み合わせが悪くなったり、あごの筋肉の発達に影響を及ぼしますし、発育に必要な栄養が十分にとれなくなります。

〔起きる原因〕

  歯質、糖分、虫歯菌(ミュータンス菌)が原因で虫歯になります。虫歯菌は糖分をエサとして、デキストランという歯垢を作ります。歯に付着した歯垢の中では虫歯菌によって酸ができ、これが歯の表面のエナメル質を溶かします。

〔予防と治療法〕

  赤ちゃんの時から薄味に慣れさせることです。三度の食事はバランスの取れたものをおやつは、ケーキ、おまんじゅう、甘みの強いジュース、あめ、アイスクリーム、チョコレートなどの糖分の多いものは避け、せんべい、さつまいも、りんご、にぼし、こんぶ、するめなどを、それぞれ時間を決めて与えるといいでしょう。

  乳歯が生え揃ってきたら、歯を磨くようにします。子どもが歯磨きをしたら、お母さんの膝のうえに子どもの頭を乗せて、「寝かせ磨き」をしましょう。そして、良くできたことをほめてあげましょう。

  予防には、食後と夜寝る前には歯を磨くものだという意識づけと習慣が大切です。フッ素を塗ったり、奥歯の小さなくぼみをシーラント(液状プラスチックの充填剤)でおおう方法もあります。

  治療としては、初期ならば進行止めの薬を塗ります。黒い色が多少つきますが、よく磨けばそれ以上の進行を防げます。

  食事は食物繊維の多い、ごぼう、れんこんなどの根菜類や、骨まで食べられる小魚など、噛みごたえのある食品を取り入れ、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。

 

 

 

目を大切に!(2004年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
目を大切に!

10月10日は『目の愛護デー』。「10 10」を横に倒すと眉と目の形になることから制定されたそうですが、昭和38年のこの日にアイバンクが開設されるなど、目には縁のある日です。 

近年日本人に急増している近視。文部科学省の視力調査(平成 10年度)によると、裸眼視力が1.0未満の子供は小学生で4分の1、高校生では 3分の1にものぼり、テレビゲームなどの影響が大きいと言われています。また、パソコンの普及に伴い、大人になってから視力が低下する人も増えており、今までよりも一層目に対して気を使う必要があるのが現代の社会環境。目の愛護デーにちなみ、今月は「目の健康」について考えてみましょう。

 
     

 

目が悪くなるのはなぜ?
 
 そもそも目はなぜ悪くなるのでしょうか。まずは目の仕組みを知り、目が悪くなる原因を理解しましょう。
【目の仕組み】
目はよくカメラの構造にたとえられますが、目で物を見るときまずは光として認識し、瞳を通して入ってきた光は網膜に像を結びます。このときレンズの役割をしてピントを合わせるのが角膜や水晶体で、弾力性のある水晶体が厚みを増して光の屈折率を強くして、近くのものにピントを合わせます。このピント合わせがうまくできない原因のひとつには、疲れなどが関係しているとも言われています。
【近視、遠視、乱視の仕組み】
 
近視
 

網膜よりも前にピントが合ってしまう状態を言います。

「屈折性近視」は、水晶体が厚く膨らんだままピントの調節がうまくいかなくなった状態で、近視の多くはこのタイプが多いようです。

「軸性近視」は、眼球の長さが伸びすぎてしまい角膜から網膜までの距離が長すぎるために起こります。

遠視
 

近視とは逆に、網膜よりも後ろにピントが合ってしまう状態を言います。

「屈折性遠視」は、水晶体が薄く伸びきったままになってしまい、近くを見ようとしても厚く膨らまない状態です。

「軸性遠視」は、眼球の長さが短すぎるために起こります。

乱視
 

光の焦点が1点に合わず、ぼやけて見える状態を言います。

多くは角膜や水晶体の表面が一定の球面でなく歪んでいるために起こり、その歪み方により、倒乱視、斜乱視、直乱視または不正乱視に分かれます。

【その他の病気】
 
白内障
  水晶体が濁る病気で、視界がぼやけたりかすんだりして見えます。多くは老人性によるもので、老化現象のひとつでもあり、最近は手術など治療法も進んできたため、怖い病気ではなくなってきました。
緑内障
  目に栄養を運ぶ水の循環が悪くなる病気で、放っておくと眼圧(目の中の圧力)が高くなってしまい、目の機能に悪い影響を与えます。視野(見える範囲)が狭くなったり、視力が低下するなど、ついには失明にいたることもある怖い病気です。なかには、眼圧が正常なのにこのような症状になる正常眼圧緑内障と呼ばれるものもあります。
ドライアイ
 

パソコンやテレビなどに囲まれ、目が酷使される環境にいて疲れ目の原因となる目の乾きのことです。目が疲れやすい、目が痛い、光がまぶしく感じる、涙が出るなどの症状が起こり、放っておくと眼病のもとにもなります。

目をいたわる環境作りを
 
 視力低下につながる「疲れ目」。疲れ目を防ぐために、次のような対策をオススメします。
 
パソコンのモニタ・ディスプレイの位置を下げる
 

モニタは目よりも下に置くようにし、できれば机と同じくらいの高さにする。伏目がちにすることで眼球が露出する割合が減り、目が乾くのを防ぐことができます。

パソコンのモニタを見やすい環境にする
 

モニタの位置は直射日光を避けた明るい場所にし、照明も明るくする。角度を工夫したり、フィルターをつけるなどして画面に光が写りこまないようにして下さい。

また、モニタと周りの明るさが違うと目が疲れるので、画面も周囲に合わせて明るくして下さい。

部屋の湿度を保つ
  エアコンの効いた部屋は乾燥しがちです。風が直接眼に当たる場合は、特に眼が乾き疲れるため、加湿器などで部屋の湿度を調節して下さい。目安は最低でも 40%、好ましいのは60~80 %です。
遠くを見て目の緊張を解く
 

パソコンのモニタやテレビ画面など一定の距離にあるものばかり見つめていると、ピントの調節機能が固まり、いわゆる「ピントフリーズ」現象になります。

近い物を見つづけるほど目の筋肉は緊張して凝るため、時々遠くをぼーっと眺め、緊張を解すようにして下さい。

1時間行ったら 10分~15分の休憩をとりながら長時間続けて行わないようにしましょう。また、度の合った中間距離用のメガネが必要な場合もあります。

目の疲れをとる
 

目の周りを軽く押さえたり、ギュッと目を閉じてパッと開く、というような無意識のうちに行っている動作などは目の疲れをとるための行為です。

他にも、冷たいタオルと温かいタオルを交互にあてて緊張を解すなど、目の筋肉のケアもからだの他の部分の筋肉と同じです。目をなるべく疲れさせないように、疲れた時は緊張を解して休ませて下さい。

普段から気をつけて、目をいたわってあげましょう。