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まめ知識カテゴリ: 健康まめ知識

ベトベト汗を防いで、夏をサラッと快適に!(2009年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
ベトベト汗を防いで、夏をサラッと快適に!
  梅雨があければ、いよいよ夏本番。夏休みを楽しみにしている子供たちのために、レジャーの計画をたてているご家庭も多いのではないでしょうか。たくさんの人で賑わう観光地や電車の中、ショッピングセンターなど、むっとする人いきれの中に出かけると、汗や体臭が気になるもの。夏に汗をかくのは当然の生理現象ですが、実はこの汗も健康のバロメーターなんです。生活習慣の改善で、さらっとしてにおいのない、快適な汗をかける身体づくりを目指しましょう。
 
     

 

汗の種類とメカニズム
 
 汗はベタベタしてくさいもの、というイメージがありますが、体質や生活習慣によってそのベタつき具合やにおいが異なります。そもそも汗は体内にたまった熱を放出するためにかくもので、汗を分泌する「汗腺(かんせん)」にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があります。
エクリン腺
  運動をしたり暑いときにかく汗がでるところで、全身に約230万本あると言われています。体外へ熱を放出する大切な役割を担っており、基本的にこの汗腺から出る汗はさらさらしていてにおいもほとんどありません。
アポクリン腺
  脇の下、陰部、乳首やおへその周り、耳の中など特定の部位にある汗腺。ここから出る汗は、脂肪、鉄分、尿素などの成分を含み、乳白色で独特の臭気があります。わきがの主な原因となるのはここから出る汗で、この汗腺が大きかったり多かったりすると起こりやすくなります。

 

あなたの汗はどのタイプ?
   通常全身のエクリン腺からかく汗はさらさらしてにおいも少ないものですが、エアコンに頼りすぎた生活や運動不足などで汗腺の機能が鈍ると、ベタベタした汗をかくようになります。また、汗に含まれている成分によって皮膚の常在菌が繁殖することで、いやなにおいが発生することも。まずは以下のチェック項目から、ベタベタ汗の危険度をチェックしてみましょう。

<ベタベタ汗診断>

入浴はシャワーですますことが多い
運動はほとんどしない
室内ではいつもクーラーをかけている
汗をかいてもそのままにしている
耳垢が湿っている
便秘がち、あるいはくさいおならがよく出る
食事は肉が中心で野菜はあまり食べない
ストレスがたまりやすい、いつもイライラしている
煙草を吸う
お酒が好き

6個以上の項目に当てはまる方は、ベタベタ汗の持ち主、あるいは予備軍の可能性大です。ベタつきやにおいの少ない快適な汗をかけるよう、生活習慣の改善を心がけましょう。

   
生活習慣改善のポイント
 
1. ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、湯上りのクーラーは控える。
  汗腺の機能を回復するためには、「ゆっくり汗をかく」ことが大切。岩盤浴もおススメです。
2. 水分補給と有酸素運動を心がける。
基礎代謝が高まると、血液だけでなく汗もサラサラしてきます。水分補給とともにミネラルの摂取も心がけて。
3. エアコンに頼り過ぎない。
冷房の効いた部屋と蒸し暑い屋外への行き来を繰り返すと、汗腺や脳に変調が起き、ベタベタ汗の原因になってしまいます。
4. 食生活を見直し、腸も健康に。
肉をはじめとする高タンパクな食事を減らし、食物繊維や発酵食品を積極的に摂りましょう。
5. ストレスをためないよう、上手に気分転換を。
ストレスによって交感神経が緊張すると汗をかきやすくなり、におい物質を発生させる原因にもなります。
6. お酒・煙草は控えめに。
お酒を飲む量や回数が多いと肝機能が低下し、血中の遊離脂肪酸濃度が高まりくさい汗の原因に。また、煙草に含まれるにおい物質もくさい汗の原因となります。
 
 このように、健康的な生活、バランスのとれた食生活を送っている人ほど汗のべたつきやにおいが気にならない、サラサラ汗をかけるようになると言えます。もちろん体質など個人差があるので一概には言えませんが、ベトベト汗やにおいの強い汗が気になる場合は、生活習慣や食生活を見直して、快適な汗をかけるよう心がけましょう!

 

 

「治療」よりも「予防」。予防接種のススメ(2009年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
「治療」よりも「予防」。予防接種のススメ
  雨が多く、過ごしやすいとは言いがたい季節ですが、梅雨も四季がある日本の豊かな風土の特徴のひとつ。雨だからとダラダラ過ごすのではなく、読書や芸術鑑賞など、心の栄養を蓄える絶好のチャンスと考えて楽しんでみてはいかがでしょうか?

さて、未だ猛威を振るう新型インフルエンザ。感染症・伝染病の恐ろしさを改めて実感した方も多いと思います。そこで今回は、転ばぬ先の杖・予防の大切さについてお話します。

 
     

 

まずは自分自身の健康管理を!
 
 インフルエンザに限らず、あらゆる病気に対する「予防」の第一は、病原体に負けない強い身体を作ること。そのためには、規則正しい生活、適度な運動、バランスのとれた食事など、普段から健康的な生活を心がけることが大切です。「そんなの当たり前」と言わず、まずは当然のことからはじめましょう。
また、今回の新型インフルエンザの流行に伴い、手洗いやうがい、マスクの着用などの大切さが改めてクローズアップされました。風邪やインフルエンザの流行する季節は「冬」に限らないということも、痛い教訓として実感できたのではないでしょうか。これからの季節も、油断せずに体調管理と身近な予防を心がけていきましょう。
予防接種を受けよう!
   予防接種とは、一般的に「ワクチン(不活性化もしくは無毒化したウイルスや病原菌)を接種することにより、病原体に対する免疫をあらかじめ成立させておくことで病気にかからないか、症状を軽くできる」ものです。
◎予防接種の種類

生ワクチン

生きたままの病原菌の毒性を弱めて作ったワクチンのこと。これを接種することでその病気にかかったときと同じ状態にし、免疫を作り出します。ただし、きちんと免疫ができるまでは時間がかかるので注意が必要です。また、接種後は発熱、発疹などが起きやすくなります。

例)BCG、ポリオ、麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)など

不活化ワクチン・トキソイド

ウイルスや細菌をいったん死滅させ、必要な成分だけを抽出して作ったもの。病原菌は体内で増殖しないので、何度か接種することで、細胞に抗原を記憶させ免疫を作る狙いで接種されます。

例)日本脳炎、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風の混合ワクチン/3種混合)など

予防接種の多くは、生後数ヶ月の乳幼児から中学生までの子供が対象のものですが、ことインフルエンザに関しては、毎年流行が予測される型に応じたワクチンの予防接種が、子供から高齢者までを対象にして行われています。また、海外旅行に行く際も、訪問先に応じて積極的に予防接種を受け、感染を未然に防ぐよう心がけましょう。

予防接種を受ける前に!

持病や体調などによっては、予防接種が受けられない(受けるべきでない)ケースもあります。以下のような方は予防接種を避けてください。また、服用中の薬等がある場合も事前に必ず担当医に相談してください。

発熱など、体調不良の人
妊娠中、もしくは妊娠の可能性がある人
アレルギーを持っている、もしくは持っている可能性がある人

 

 予防接種はこれまで、天然痘の根絶をはじめ、ポリオの流行等、多くの疾病の流行の防止に大きな成果をあげ、感染症による患者の発生や死亡者の大幅な減少をもたらすなど、わが国の感染症の対策に重要な役割を果たしてきました。しかし、忘れられた感染症が突然流行することもあり、油断は禁物です。予防接種はあくまで任意のものですが、その意義を正しく理解し、面倒がらずに予防接種を受けるようにしましょう。

 

 

サンダル履きの素足に注目!巻き爪、大丈夫?(2009年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
サンダル履きの素足に注目!巻き爪、大丈夫?
  肌寒い夜もありますが、日中は半そで一枚で過ごせる陽気も多くなり、木々の新緑にも初夏を感じる季節になりました。大型連休もあり、キャンプや川遊びなど、アウトドア・レジャーに出かけるご家族も多いのではないでしょうか。そんな時、水辺で遊ぶには欠かせないのがビーチサンダル。レジャー以外でも、夏に向けて素足にサンダルを履く機会も増える季節です。以前にも「外反母趾」や「靴の選び方」など、足に関するお話を何度かしましたが、今回は足の「爪」についてお話します。
 
     

 

巻き爪とは
 
元々季節の変わり目は、気候の変化やホルモンバランスの変化によって、体調を崩しやすい傾向があります。特に春は、風が強く、花粉やホコリなどが大気中に舞うため、肌にとっては決して優しい季節ではありません。そして、夏に向けて紫外線も多くなる時期。まずはトラブルの原因を知りましょう。
巻き爪の原因
    生まれつき巻き爪という人を除き、日常生活を過ごす中で巻き爪になってしまうのは、爪に何らかの負担がかかっている証拠。爪が薄いとその分変形しやすく、巻き爪になりやすい傾向はありますが、一般的に考えられる主な原因は以下のとおりです。

外部からの圧迫
  足の巻き爪の原因として、一番多いと考えられるのが「靴」による圧迫。例えば、つま先が細くなっているデザインの靴や、ヒールの高い靴などを日常的に履いていると、足の指先(特に親指)が圧迫される状態が続き、爪を変形させてしまいます。また、窮屈な靴ではなく、サイズの合わないぶかぶかの靴も指に体重が集中してしまうため、巻き爪の原因となることもあります。
爪の切り方
  いわゆる「深爪」が原因となるケースも多く見られます。普段から深爪がちな場合はもちろん、巻き爪の初期段階で、爪が肉に食い込むのを防ぐために短く切ってしまうのも、実は巻き爪を悪化させる原因となります。これは、爪がどこまで伸びればいいのかを知らせる「爪のアンテナ」を、深爪によって切り落としてしまうしまうためと言われ、深爪を続けた結果、本来なら伸びない皮膚に向かって爪が食い込むように伸びてしまう原因となります。
スポーツや怪我など
  足をふんばるスポーツやサッカーなど、足の指に負担や衝撃が加わる場合にも、巻き爪になることがあります。これは靴と同じく外部からの圧迫で爪に負担がかかるためです。また、足の指を強くぶつけたり、足の上に重いものを落としてしまった場合なども、足の指が腫れて両側から爪を圧迫し、巻き爪の原因となります。
体重の増加
  妊娠などで、急激に体重が増加した場合も、足の指に普段以上の負担がかかることになり、巻き爪を引き起こす恐れがあります。こういう場合は特に、ヒールの低い靴を履くなどして、足の指に負担がかからないよう注意して過ごしましょう。
巻き爪を防ぐには
    巻き爪を放っておくと、指の肉に爪がどんどん食い込み激しい痛みを伴うだけでなく、ひどいケースでは巻き込まれた皮膚が化膿してしまうこともあります。また、巻き爪による足の痛みをかばうため、歩き方が不自然になり、足首や膝、腰などを痛めてしまう場合も。その他、重心を無意識に小指側にかけるためにO脚になってしまったり、巻き爪が身体全体のバランスを崩してしまうこともあります。そうなる前に、正しいケアで巻き爪を防ぎましょう。

爪は「スクエアカット」に
  爪を短く切りすぎる「深爪」が良くないことは先にお話しましたが、爪を切るときは先端に丸みをもたせる「ラウンドカット」ではなく、先が四角くなる「スクエアカット」にしましょう。爪の先の左右を伸ばすことで支えができ、爪が巻きにくくなります。ただし、あまり長すぎると先端が圧迫されて変形を助長してしまうため、白い部分を1ミリ程度残す長さを目安に。また、左右の角がとがっているとストッキングなどに引っかかってしまうため、やすりで少し丸く整えると良いでしょう。
靴選びも重要!
  つま先に負担や圧迫をかけないよう、足に合った靴を履くよう心がけましょう。また、パンプスなど、ヒールの高い靴や先の細い靴でなくても注意が必要です。靴の中で足が遊んでしまうような場合は、サイズや形が合っていない証拠。巻き爪だけでなく、外反母趾など足の変形の原因にもなるので、普段履いている靴もこの機会に見直してみましょう。また、仕事などでどうしても窮屈な靴を履かなくてはいけない場合は、時々靴を脱いで足をマッサージするなどの工夫をして、足先への負担を減らしましょう。
 
  巻き爪は、サンダルの足元がスマートに決まらないばかりか、痛みや身体のゆがみなどのトラブルの原因にもなります。靴選びや爪の切り方など、普段からできるケアをしっかり行い、巻き爪にならないよう気をつけてくださいね。また、子供や赤ちゃんの爪を切るときにも、深爪にはご注意を!

 

 

素肌美人を目指せ!春の肌トラブル対策(2009年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
素肌美人を目指せ!春の肌トラブル対策
  桜の花が咲き始め、季節は春を迎えました。入学や入社など、新生活がスタートする4月ですが、「春一番」に代表されるように風の強い春は、実はお肌のトラブルが起こりやすい季節。新しい生活の始まりに心躍らせる時期に、肌の悩みを抱えていては楽しい気持ちも半減してしまいます。正しい対処法を知り、美しい肌で自信を持って新生活に臨みましょう。
 
     

 

春に肌トラブルが起こりやすい理由
 
元々季節の変わり目は、気候の変化やホルモンバランスの変化によって、体調を崩しやすい傾向があります。特に春は、風が強く、花粉やホコリなどが大気中に舞うため、肌にとっては決して優しい季節ではありません。そして、夏に向けて紫外線も多くなる時期。まずはトラブルの原因を知りましょう。
大気中の汚れ
  風の強い春は、ホコリやチリ、細かい砂など様々な汚れが大気中に含まれます。春は皮脂の分泌が増加する季節でもあるため、これらの細かい汚れが皮膚に付着しやすくなります。この汚れが、肌荒れやニキビなどのトラブルを引き起こしてしまうのです。
アレルゲンの増加
  花粉症の人には辛い季節ですが、花粉症の症状が出ていない人にとっても、花粉のアレルゲンは油断できないものです。また、ダニなどの活動が活発になる季節なので、花粉だけでなくダニの死骸などもアレルゲンとなります。アレルゲンが皮膚に付着すると、その刺激から肌を守ろうと防御システムが働き、肌が赤くなったりかゆくなったりする、アレルギー症状を引き起こすこともあります。
紫外線
  紫外線に注意するのは、日差しの強い夏の間だけでいいと思っている人も多いかもしれませんが、実は春から初夏にかけての季節のほうが、紫外線は強く降り注いでいます。しかも、冬の間日光に当たる機会が少なかった肌は、紫外線への抵抗力が弱まっています。そのため、いつも以上に紫外線の刺激を受けやすく、痛みや赤み、乾燥などを引き起こしてしまいます。
 
春の肌を守るには
    このように、春は過ごしやすく見えて、お肌にとっては厳しい季節。新生活が始まると生活リズムが変化し、また、昼夜の温度差も大きいため、いつもよりもしっかりとした意識で体調管理をすることも大切です。新しい生活の始まりに合わせ、生活習慣の改善を含めてお肌のケアを行いましょう。

洗顔・保湿をしっかりと!
  まずは、毎日のスキンケアの見直しを。春は肌に汚れがつきやすい季節なので、朝晩の洗顔をきちんと行い、洗顔後は化粧水や保湿液をつけて乾燥や汚れから皮膚をガードしましょう。また、洗顔時や洗顔後には、併せてマッサージをするのもおススメ。血行がよくなり、新陳代謝を促すために、肌が活性化されます。
紫外線対策は万全に!
  夏のように強い日差しを感じることが少ないため、つい忘れがちな紫外線対策ですが、この季節こそ注意が必要。ちょっとした買い物や散歩、洗濯物を干す間も、油断は大敵です。日焼け止め効果のあるクリームなどを常に塗る習慣をつけ、出かけるときには帽子や日傘を持つようにしましょう。また、顔だけでなく、薄手の長袖をはおるなどして身体への紫外線にも注意してください。
旬の野菜を食卓に!
  旬の食材は、栄養分が豊富でおいしいもの。さらに、旬の季節に合わせて食べると、健康面にも良いとされています。春菊や竹の子、春キャベツ、山菜など、春が旬の食材を積極的に食事に採り入れ、身体を内側からキレイに元気にしていきましょう。また、春は身体の中の老廃物が排出されやすい季節でもあります。ハーブティーなど、デトックス効果のある食材も意識的に摂りましょう。
 
  漢方の古典 「黄帝内経(こうていだいけい)」 には、春は花や草木の芽が吹き、それまで静かにしていた動物や昆虫が外に飛び出し、川や海に住む生き物まで自然の全てが活き活きと栄えてくる季節として、春の3ヵ月を発陳(はっちん)と呼ぶと書かれています。そして、「この季節には少し早起きし、楽な格好で外に出てゆったりと歩き、春に芽生えた万物と同じように心身ともに活き活きと活動的な気持ちで過ごすと良い」とされているそうです。草花が芽吹くこの季節は、ウォーキングにも最適です。春の明るい景色を眺めながら身体を動かせば、ストレスによる肌トラブルも防ぐことができるはずです。

 

 

「鼻うがい」でスッキリ、花粉症対策(2009年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
「鼻うがい」でスッキリ、花粉症対策
 朝晩は冷え込むこともありますが、温かい日差しや桜のつぼみに、春の訪れを感じる季節になりました。しかし、花粉症に悩む方々にとっては、春の訪れは憂鬱なもの。インフルエンザや風邪の予防に引き続き、外出時にはマスクを手放せないという方も多いのではないでしょうか。今回は、花粉症の症状を少しでも楽にするための対策「鼻うがい」についてお話します。
 
     

 

花粉症とは?
 
 花粉症とはそもそもアレルギー反応の一種で、アトピーや食物アレルギーなどを持っているアレルギー体質の人は、特にかかりやすいと言われています。ウイルスや細菌などが侵入してくると、その「敵」のタイプを覚え、次の来襲に備えてぴったりの「抗体」を作っておくというのが免疫のシステムですが、それが過剰な反応を起こして本来は毒でもないスギなどの花粉にまで抗体を作り出してしまい、鼻や目についた坑原(花粉)を取り去ろうと、くしゃみ・鼻水・かゆみなどの防御システムが働く、というのが花粉症のメカニズムです。
 現在10人に1人が発症していると言われ、日本特有の現代病とも言える「花粉症」。その大きな原因となっているスギ花粉が飛散するのが今の季節です。予防のためには、原因となる花粉を吸い込まないことが第一なので、外出時のマスクやメガネの着用はもちろん、花粉の付きにくい素材の服を着る、外出後はすぐに着替える、こまめな掃除を心がけるなどして、花粉を室内に持ち込まない工夫も大切です。
 
「鼻うがい」の効果
   人間の身体には、目や耳、口などの孔があいていますが、常に孔が開いていて、外の空気を取り込んでいるのは鼻の孔だけです。そのため、鼻は空気中の花粉も取り込みやすく、また、鼻の前方には綿毛細胞がないので、ここに付着した花粉は長く残ってしまうことになります。「鼻うがい」は、鼻の中を洗浄し、花粉を洗い流すことで、花粉症の原因となる花粉そのものを取り去る効果を持っています。その他、アレルギー性鼻炎や口内炎、にきびやじんましんなどの症状改善にも効果があるという報告もあり、もちろん風邪の予防にも有効です。
   
「鼻うがい」のやり方
  ◎用意するもの

ぬるま湯100cc

(刺激を少なくするため、体温と同じくらいの37℃前後の温度を目安に)

食塩1g(血液とイオン構成が同じの天然塩を用意しましょう)
人間の体液と同じ、0.9%の濃度の食塩水を使用することで、刺激を最小限に抑えられます。水道水をそのまま使うと、鼻の粘膜を刺激してしまうので注意してください。

◎やり方

1.   お湯に食塩を入れ、よくかき混ぜます。(濃度0.9%の生理食塩水を使用してもOKです)
2.   顔を上に向け、片方の鼻の孔に少しずつ食塩水を流し込みます。(一方の鼻の孔を押さえ、コップの淵からゆっくり吸い上げるようにしてもOK)
3.   鼻の奥に食塩水が流れていくのを確認したら、前かがみの姿勢になって鼻か口から食塩水を出します。(このとき、鼻をかんで出すのではなく、自然に流れ出てくるままにまかせます)
4.   これをもう一度繰り返し、反対側の鼻の孔も同じように行います。
5.   慣れてきたら、食塩水を入れたあとに顔を傾け、鼻の奥の右側、左側も洗うようにします。(顔を傾けすぎて、耳に水が入らないように注意しましょう)

慣れてくれば、両方の鼻の孔を同時に洗浄しても大丈夫ですが、耳の方へ食塩水が入らないよう注意して行ってください。また、鼻うがいの最中や後に、鼻の中に食塩水が残った状態で鼻をかむと、耳に水が回ってしまうので、鼻をかまないよう注意しましょう。(中耳炎などの耳の病気の原因になることがあります) 最後に頭を下に向け、左右にゆっくり振るようにすると残った食塩水が鼻や口から出てくるので、ティッシュ等で拭き取るようにしてください。

   
   「鼻うがい」は、基本的に1日1回、帰宅後や夕食後、入浴前などに行うのがおすすめです。鼻の中を刺激するため、かえって鼻水が増えてしまうこともあるので、慣れるまでは外出前や就寝前などは避け、余裕のある時間帯を選ぶといいでしょう。「痛そう」「難しそう」というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、「すっきりした」「楽になった」という感想を持つ鼻うがい経験者も多いので、花粉症の方は是非試してみてください。

 

 

インフルエンザに備える!うがいと手洗い方法(2009年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
インフルエンザに備える!うがいと手洗い方法
 新型インフルエンザ流行の危機が報じられた昨年以来、マスクの着用やうがい・手洗いの徹底が呼びかけられています。今年に入り、1月の2週目には国内のインフルエンザ発生件数は1週目から倍増。本県でも、潮来、古河、ひたちなかの3市でインフルエンザ警報が発令されるなど、確実にその猛威をふるっています。予防接種を受けた方も、受けていない方も、今回のお話を参考に、まずは基本の「うがい・手洗い」で、インフルエンザの予防につとめましょう!
 
     

 

インフルエンザとは?
   ご存知のとおり、インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染によっておこり、通常「風邪」と呼ばれる普通感冒とはちがう特徴を持っています。「風邪」の場合は、のどや鼻(せき・くしゃみ・鼻水など)に症状が出るのに対し、インフルエンザは1日から5日(平均で3日)の潜伏期間を経て急に38~40度の高熱が出て、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状も強く出るのが特徴。これらの症状が4~5日ほど続き、重症化したり合併症を発症すると、命の危険に関わる恐れもある感染症です。

インフルエンザは、感染者のくしゃみや咳などを介して、空中に飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染する「飛沫感染」の危険性が高く、インフルエンザが流行している期間は感染の危険が高まりますが、ウイルスを吸い込んだからといって、すぐに感染・発症するわけではありません。ウイルスが身体の中に入り込む前に洗い流してしまえば感染を防ぐことができるので、外出時のマスクの着用、および外出後のうがい・手洗いが大切なのです。

 
正しい「手洗い」の方法
 
1. 手を水で濡らし、石鹸をつけて両手の手の平をこすり合わせてよく泡立てます。

(石鹸を泡立てることで界面活性作用が生まれ、消毒の効率が高まります)

2. 手の甲をもう片方の手の平でよくこすり洗いします。反対の手も同様に。
3. 指を組み、両手の指の間をこすり洗いします。
4. 親指をもう片方の手で包み、こすり洗いします。反対の親指も同様に。
5. 手の平を、もう片方の手の指先でこすり洗いします。反対の手の平も同様に。

(細かいしわの間も、意識してしっかり洗いましょう)

6. 爪の隙間を洗います。爪ブラシなどを使うとより効果的です。
7. 流水でよくすすぎ、石鹸をきれいに洗い流します。
8. 乾いた清潔なタオル、ペーパータオルなどで手を拭き、よく乾かします。
仕上げにアルコール殺菌スプレーなどをすりこむと、更に効果的です。
朝起きたとき、会社や学校に着いたとき、食事の前、トイレの後、掃除の後、そして帰宅後と、こまめに「手洗い」を行いましょう!
正しい「うがい」の方法
 
1. 清潔なコップに水を入れます。

(うがい薬があれば記載の量で希釈して使用。お茶の成分「カテキン」には殺菌作用があるため、お茶でのうがいもOKです)

2. 口にふくみ、まずはブクブクうがいをします。

(口の中の細菌や食べかすを除去するため、ガラガラうがいの前に必ずブクブクうがいをしましょう!目安は15秒以上、しっかりと)

3. 水やうがい薬を口に含んで上を向き、のどの奥まで液が回るようにガラガラうがいをします。

(こちらも、15秒以上を目安にしっかりと!)

4. ガラガラうがいを何度か繰り返します。
手洗いと同じく、外出後や食事の前後など、こまめに行いましょう!
 
インフルエンザの予防には、うがい・手洗いが基本ですが、普段からの健康管理も大切です。また、ウイルスは湿度を嫌うため、加湿器などを利用して、室内の湿度を50~60%に保つのも有効です。規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、じゅうぶんな睡眠を心がけ、この冬も元気に過ごしましょう!

 

 

エコであったか!保温グッズ活用のススメ(2009年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
エコであったか!保温グッズ活用のススメ
 みなさま、新年明けましておめでとうございます。今年も一年、病気や怪我をすることなく健康な日々を過ごしていきましょう!さて、初詣や親戚参りにバーゲンと、新年は何かと外出する機会の多い時期です。インフルエンザの脅威から身を守るためにマスクの着用やうがい手洗いなどの予防を徹底するのはもちろんのこと、普段から身体を冷やさない工夫をしておきましょう。そこで今回は、エアコンやストーブに頼らない”エコ”効果も抜群の保温グッズをご紹介します。
 
     

 

まずは保温のポイントを押さえましょう
 
 身体を温める(冷やさない)ためには、第一に寒い外気を遮断し、体温を逃がさないことが重要です。例えば防寒・保温に優れているといわれるダウンジャケットは、生地の間に水鳥の羽毛をたっぷり入れることで外気との間に空気の壁を作り、抜群の保温効果を発揮してくれます。重ね着にも同じような効果があり、特に冷えやすいお腹を温める腹巻や下半身をぴったり包む股引(ももひき)は、まさに日本人の知恵から生まれた保温グッズの代表です。
お腹と下半身を温める
下半身には発熱源となる筋肉や太い血管が集中しているため、下半身を重点的に冷えから守ることで全身を効率よく温めることができます。お腹は腹巻で、足元はタイツや靴下でしっかりカバーし、下半身の冷えを防ぎましょう。
 
腰と太ももを温める
太ももの筋肉量は全身の3分の1から4分の1を占めるといわれ、発熱源である筋肉が最も多い部分。太ももを湯たんぽなどで温めると、温かい血液が全身に行きわたり、効率よく身体を温めることができます。また、腰には体温調節をつかさどる自律神経のスイッチがあるため、湯たんぽやカイロを使うときは太ももと腰を交互に温めると良いでしょう。
 
首を温める
首には寒さを感じるセンサーがあり、首を温めると手足の血流量がアップするといわれています。温感・冷感を感じ取るセンサーが集中している首を温めると、脳は「身体が温まった」と判断し、冷えて収縮していた手や足の先の血管が緩んで温かくなります。また、首の後ろには「風門」「風池」「風府」などのツボがあり、このツボを温めると体中がぽかぽかしてきます。
 
電気を使わない、エコな保温グッズ
 
保温下着
いつもの洋服の下に、保温効果の高い下着を1枚着るだけでずいぶん暖かく感じることができます。昨年はより保温効果の高いあったか下着が大ブームとなりましたが、腹巻やももひきと聞くと「かっこ悪い」「恥ずかしい」と感じる方も多いかもしれませんが、最近ではオシャレなデザインの商品もたくさん販売されているので、ファッション感覚で楽しんでみてはいかがですか?
 
マフラー
先にお話したとおり、首の保温は身体全体の保温につながります。オシャレのアクセントとしても活用できるマフラーが1本あると、寒い日の外出も楽しくなりますね。また、冷えてなかなか眠れないという夜には、首周りにタオルを巻くのもおススメです。布団の間から入ってくる冷気を防ぎ、身体を優しく温めてくれます。
 
湯たんぽ・カイロ
湯たんぽやカイロは、身体の一部分を直接温めてくれる即効性のあるアイテム。湯たんぽを太ももの上に置いたり、カイロで腰を温めると、その部分だけでなく全身を温めてくれる効果もあります。外出時に冷えを感じたときは、温かいペットボトル飲料や缶コーヒーなどで代用することもできます。
 
ひざ掛け・ブランケット
冷えやすい下半身を温めるのに便利なのが、ひざ掛けやブランケット。職場や車に1枚常備しておくと、足元の冷えを防いでくれます。先にお話したとおり、太ももの保温も全身の保温に効果があります。手元にひざ掛けがないときは、上着などで代用してもOKです。
   
温性食品で身体を中から温める
 
 温性食品とは、その名のとおり身体を温める機能を持つ食品のことで、代表的なものに秋冬が旬の食材(薬味、根菜類)などがあります。例えばニンジンやレンコン、ネギ、ニンニク、タマネギ、ショウガなど。根菜の煮物やショウガ湯などは、身体を中から温めてくれます。中でもショウガとシナモンは特に即効性が高いといわれ、ショウガは漢方の処方にもよく使われる食材です。ショウガはチューブ入りのものでも生と変わらない効果が得られるので、バッグに入れて持ち歩けば外出先でもスープや紅茶などに入れて飲むことができます。また、シナモンも小瓶入りのパウダータイプなら手軽に持ち歩くことができ、コーヒーやココアに入れておいしく身体を温めることができますよ。
   
寒い季節はついつい暖房器具に頼ってしまいますが、室内と外気の温度差や空気の乾燥が体調を崩す原因となることも。そして何より、CO2の排出を少しでも抑えるために、エコな保温グッズを上手に活用し、身体にも地球にも優しいあったか生活を送りましょう。

 

 

入浴剤を上手に使って、ぽかぽか&リフレッシュ!(2008年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
入浴剤を上手に使って、ぽかぽか&リフレッシュ!
 2008年も残すところあと少し。年内に片付けなければならない仕事や雑事に追われ、普段以上に忙しく過ごしている方も多いのではないでしょうか。『師走』と呼ばれるだけあり、何かと慌しい時期ではありますが、健康維持のためにも、ゆっくりリフレッシュする時間は大切にしたいもの。そこで今回は、前回に続きお風呂の話題、一番のリラックスタイム・入浴をより心地よい時間にする「入浴剤」についてお話します。
 
     

 

入浴剤を使った入浴のメリット
 
 お風呂が大好きな日本人にとって、入浴剤は身近なアイテムのひとつ。各地の有名な温泉のお湯が楽しめるものをはじめ、スーパーの日用品コーナーにも様々な入浴剤が並んでいます。菖蒲湯や柚子湯など“薬湯”に入る習慣は古くからあり、生薬を配合して布袋に詰めた入浴剤の原点とも呼ぶべき商品は、なんと明治時代から登場していたそうです。現代の入浴剤と同じように、温泉の効果を自宅で再現するような商品が開発されたのは昭和に入ってからですが、それ以降、健康の保持・改善だけでなく、色や香り、感触などでリラクゼーションの効果を重視した商品も開発されるようになりました。
 入浴剤の基本的な効果は、入浴そのものによって得られる温浴効果(身体を温める、痛みの緩和など)と、清浄効果(身体の汚れを落とす、皮膚を清浄にするなど)を高めることにあります。商品に表示される具体的な効能については薬事法に定められており、各メーカーが勝手に効能をうたうことはできません。効果や効能は入浴剤を選ぶ際の重要なポイントになるので、以下に挙げる「代表的な成分の効果」を参考にしてください。
   
入浴剤の代表的な成分の効果と、そのメカニズム
 
無機塩類系入浴剤
成  分:
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、等を主成分とするもの
剤  型:
粉末、顆粒が多い
効果について:
無機塩類系入浴剤の最大の効果は、塩類が皮膚の表面のたんぱく質と結合して膜を形成し、身体の熱の放散を防いでくれるというもので、入浴後の保温効果を高め、湯冷めしにくくしてくれます。また、硫酸ナトリウムには皮下組織の賦活作用や修復作用があり、あせも、ひび、あかぎれ等の予防に効果があり、炭酸水素ナトリウム(重曹)は石鹸と同じように皮膚の汚れを乳化し、清浄効果を高めてくれます。
 
炭酸ガス系入浴剤
成  分:
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等とコハク酸、フマル酸、リンゴ酸等を組み合わせたもの
剤  型:
錠剤や粒状
効果について:
炭酸ガスの血管拡張作用を有効利用したもので、湯に溶けた炭酸ガスが皮膚吸収によって容易に皮下内に入り、直接血管の筋肉へ働きかけて血管を拡げます。血管が拡がると末梢血管の抵抗が弱まって血圧が下がり、血流量が増えるため、全身の新陳代謝が促進されて疲れや痛み等の回復に効果的です。ちなみに、皮下内に入った炭酸ガスは肺から呼吸によって体外へ排出されるので、身体の中に蓄積することはありません。
 
酵素系入浴剤
成  分:
蛋白質分解酵素、パパイン、パンクレアチン等の酵素を配合したもので、無機塩類と組み合わせて使うことが多い
剤  型:
粉末、顆粒が多い
効果について:
医薬品の消化剤や洗浄剤等によく利用される酵素は、蛋白質や脂肪、澱粉等を分解して消化や洗浄を助ける効果をもっています。入浴剤に酵素を配合する目的は、皮膚に無理な刺激を与えずに清浄にし、他の成分と一緒に入浴効果を高めることにあり、皮膚の表面や毛穴にたまった汚れを洗い流しやすくしてくれます。そのため、浴後は清潔で滑らかな使用感をもたらしてくれます。
 
薬用植物系入浴剤
成  分:
センキュウ、トウキ、ボウフウ、チンピ、カミツレ、ハッカ葉等の生薬を配合しており、生薬をそのまま刻んだもの、生薬のエキスを取り出して他の成分と組み合せたもの等種類は色々
剤  型:
粉末、袋状など様々
効果について:
効果は配合されている生薬の種類によって異なりますが、生薬に含まれる化学成分の働きと、独特な香りの働きが特長です。生薬の効果は、医療薬として日本ばかりでなく欧米でも高く評価されており、入浴剤に応用した場合にも血行促進効果や湯冷め防止効果等が認められています。また、もう1つの効果『香り』についても、生薬に限らず“アロマテラピー(芳香療法)”の研究が進み、香りによるリラックス効果は脳波や心拍数等の測定により証明されてきています。
 
清涼系浴用剤
成  分:
l-メントール、炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム等を配合したもの
剤  型:
液体、粉末、顆粒が多い
効果について:
その名のとおり、清涼感を与えることを目的にした商品が多く、主に夏の入浴を快適にするために利用されます。l-メントールを配合して冷感を付与させたものや、炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウムを配合し、入浴後のべたつきを抑えてサッパリ感を与えてくれます。また、お湯の色は青色を基調にしたものが多く、視覚的にも爽快感を付与しています。
 
スキンケア系入浴剤
成  分:
セラミド、コレステリルエステル、米胚芽油、エステル油、スクワラン、ホホバ油、ミネラルオイル、米発酵エキス等の保湿成分を主に配合したもの
剤  型:
液体が多い
効果について:
保湿成分が入浴中に皮膚に吸着浸透してスキンケアを行うタイプ。特に空気が乾燥する冬場は、入浴後に過度に角層中の水分が失われてお肌のかさつきが起こりやすくなってしまうため、保湿を重視したこのタイプは効果的です。また入浴で膨潤したお肌は、保湿成分が浸透し易い状態になっているため、肌の表面だけでなく角層内部にまで浸透し、入浴後のお肌にしっとり、すべすべ感を与えてくれます。
   
入浴剤を使用する際の注意点
   医薬部外品として厚生労働省の承認許可を得て販売されている入浴剤は、その成分やいくつかの商品で実施している皮膚刺激性テストの結果からみて、問題となるような皮膚刺激性はありません。ただし、ごくまれにアレルギー性を示すことがあり、その場合は使用を中止してください。また、乳児の皮膚は抵抗力が弱く、かぶれや湿疹などのトラブルが起きやすいため、入浴剤を使用するのであれば殺菌作用のある沐浴剤を入れた赤ちゃん専用の浴槽を使いましょう。
 
誤飲や目に入った場合
入浴剤の入ったお湯を飲んだり、目に入った場合、通常の使用濃度であれば特に問題はありません。ただし、原液を多量に飲んでしまった場合、異常が認められた場合などは速やかに医師の診断を受けましょう。
洗髪、洗顔に利用する際
皮膚に対する安全性が認められた上で製品化・市販されているため、入浴剤の入ったお湯はもちろん洗髪や洗顔に利用でき、シャンプーや洗顔料の洗浄力にも問題はありません。ただし、衛生上の観点から、すすぎは清潔なさら湯で行いましょう。
   
 
入浴の効果を高めてくれる、様々なタイプの入浴剤。泡の出るものや、トロっとした感触のお湯にするものなど、ユニークな製品も多数開発されています。また、市販の入浴剤でなくても、日本酒や天然塩を入浴剤として使ったり、ちょっとした工夫が入浴効果を高め、リラックス気分を演出してくれます。効果だけでなく、香りや色なども様々なものがあるので、好みや気分に合わせて入浴剤を上手に利用し、お風呂タイムを楽しんでください。

 

 

寒い季節こそ、効果的な入浴で温まろう!(2008年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
寒い季節こそ、効果的な入浴で温まろう!
 天気の良い日中は暖かいものの、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。寒暖の差が激しいと、風邪をひいたり体調を崩しやすくなるので、外出時は上着を持参するなど、体調管理のためにも外気温には注意して過ごしましょう。さて、冬になると身体の冷えや乾燥、各部のコリや痛みなどが気になってくる方も多いのではないでしょうか。今回は、これらの悩みを助ける効果的な入浴方法についてお話します。
 
     

 

湯船につかるメリット
 
 入浴する大きな目的のひとつは、やはり「身体の汚れを落とす」こと。そのため、一人暮らしの方や、帰宅が遅くて家族と入浴時間が合わない方などは、シャワーのみで済ませてしまうという方も多いようです。しかし、お湯をはった湯船に浸かることには、シャワーだけでは得られない様々なメリットがあります。
温熱作用
肩までお湯に浸かる日本式の入浴法は、最も効果的に身体を温めることができると言われています。それは、温められた血液が血管を通して全身に運ばれ、深部温度を上昇させるため。身体の表面だけを温めるシャワーでは、深部温度はなかなか上昇しません。また、この深部温度の上昇は、視床下部の温熱中枢を刺激し、末梢の血流まで増加するため発汗を促進します。これにより、身体の隅々まで酸素や栄養分が行き渡り、代謝によって蓄積された疲労物質や老廃物も除去されます。
水圧効果
入浴すると身体表面に水圧がかかり、一般的な家庭用の浴槽で肩までの全身浴をした場合、胴回りが3~6cm、胸周りが1~3cm小さくなると言われています。腹部においては、横隔膜が押し上げられて肺の容量が減少するため、それを補うために呼吸数が増加します。この静水圧によって圧縮された血管やリンパ管は求心性(中心に向かって集まる動き)に働き、血液やリンパ液がいっせいに心臓に向かうため、心臓の働きが活発になり、疲労回復へとつながります。
浮力作用
お湯に浸かると、身体は浮力を受けて軽くなります。水中では空気中に比べて約1/9 程度の重さになると考えられるため、例えば体重60kg の人なら、水中では6.2~6.3kgの重力しかかからない計算になります。アクアビクスなどプールでのエクササイズにも応用される原理で、入浴では、身体が軽くなることでだるさを感じなくなり、心身ともにリラックスできます。
   
目的別の入浴方法
 
 このように、湯船に浸かることは身体に様々な物理的効果を与えてくれますが、その効果をより高めるためには「湯温」と「入浴時間」が大きなポイントとなります。目安としては、「ぬるめのお湯にゆっくり」はリラックス効果が、「熱いお湯に短時間」は覚醒・興奮させる効果があると覚えてください。
リラックスし、ストレスを解消したいとき
40℃以下のぬるめのお湯に、ゆっくり長めに浸かります。副交感神経を刺激し、心身を鎮静させる作用があるため、のんびりリラックスした気分を味わえます。また、身体の緊張がとれて本来の疲れが表面に出てくると同時に、脈拍も穏やかになるため、ぐっすりと眠りにつきやすい状態になります。ちなみに、脳が実際にリラックスするのは湯船から出てしばらく経ってからという実験結果も報告されているため、入浴のリラックス効果をより満喫するには、入浴後すぐに家事や明日の準備をするのは避け、のんびり過ごすと良いようです。
筋肉の疲れをとりたいとき、眠気を覚ましたいとき
42~43℃の、少し熱めのお湯に浸かります。熱めのお湯は血行を血行を良くして疲労物質を早く取り除く効果があり、この場合は熱めのシャワーを身体に当てるのも効果が望めます。ただし、心臓や血圧に不安のある方には負担が多いため厳禁です。また、お風呂に入ると眠くなるというイメージがありますが、熱いお湯での短時間の入浴は交感神経を刺激し、心身の緊張を高めてくれます。「これから一仕事するために眠気を覚ましたい」「気分転換したい」という場合は、熱いお湯をさっと浴びる入浴がオススメ。朝風呂の場合も、この入浴法が向いています。
冷えた身体を温めたいとき、湯冷めしたくないとき
身体を温めるには熱いお湯のほうがいいような気がしますが、芯から身体を温めるには40℃くらいのお湯に10分以上浸かるほうが効果的。42℃のように熱いお湯だと、どうしてもゆっくり浸かることができず、身体の表面しか温まらないため、風呂上りに身体の熱が奪われやすくなってしまします。
肌を美しくしたいとき、乾燥肌を防ぎたいとき
湿度の低い冬場は、肌の水分が奪われ、ただでさえ乾燥しがちな季節ですが、熱いお湯は皮膚を乾燥させて肌の老化を早める原因にもなります。そこで、美肌や乾燥肌対策の入浴なら、一番風呂は避けて40℃以下のぬるめのお湯に浸かるのがベスト。また、長時間お湯に浸かると肌に膨潤変化がおきて保湿成分が溶け出してしまうため、過度の長風呂は避けましょう。ナイロンタオルやスポンジで身体をゴシゴシこすることも、皮脂不足や角質層のはがれを起こして乾燥肌を助長するので避け、しっかり泡立てた石鹸で優しく洗うようにしましょう。
   
  寒い夜の温かいお風呂は嬉しいものですが、冬場は高齢者のお風呂での事故も増えがちです。高齢者や血圧の高い人がいる家庭では、浴室や脱衣所も温めておき、温度差をなくすよう心がけましょう。

 

 

足の健康は靴選びから。足に合った靴で、ウォーキングに出かけよう!(2008年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
足の健康は靴選びから。足に合った靴で、ウォーキングに出かけよう!
 季節は秋、過ごしやすい季節になりました。「食欲の秋」「実りの秋」と言われるように、秋は食べ物がおいしく、ついつい食べ過ぎてしまうこともあるのでご用心!運動するにも快適な季節です。このコーナーでも何度か紹介してきた「ウォーキング」を始めるにもぴったりのタイミング。この時、気をつけて欲しいのが「靴選び」。足に合わない靴は、思わぬトラブルの原因にもなるので軽視できません。今回は、正しい靴選びのポイントについてお話します。
 
     

 

足に合わない靴が引き起こすトラブル
 
 私たちの全体重を支える足は、歩行や運度をするだけでなく、血液の循環にも重要な役割を担っています。足にはなんと28個もの骨があり、これらの骨と、じん帯、筋肉、毛細血管で構成されていますが、歩行運動によって毛細血管を収縮して、ポンプのように血液の循環を助けてくれています。足が「第二の心臓」と呼ばれるのはこのためで、全身に血液を送る心臓の大切なサポート役として活躍しているのです。
そしてこのポンプ運動を助ける重要な部位が、歩行を助ける「土踏まず」です。土踏まずは一般的に知られる内側のアーチ状の部分(内アーチ)だけでなく、足の外側にある外アーチ、親指の付け根から小指の付け根にかけてある横アーチの3つがあります。この3つのアーチが、体重や衝撃を分散する天然のクッションの役割を果たしてくれるため、人間が長い時間二足歩行をすることが可能になったのです。この土踏まずのアーチ構造が崩れてしまうことで起こる、様々な足のトラブルを紹介します。
 
外反母趾
外反母趾は、足の親指の形が変形して小指に向かって曲がっている状態。親指の付け根が外側に飛び出して見えるため、この名前がついています。逆に、小指が親指側に向かって曲がってしまい、指の付け根が外側に張り出した状態を「内反小趾」といい、どちらも放っておくと痛みが出てきたり、ひどい場合は脱臼したような状態になることもあります。
開帳足
外反母趾になる一番の原因とも言われる足の変形が「開帳足」。じん帯や筋肉などの結合組織が低下し、横アーチが機能しなくなることで足の指の付け根部分の骨(中足骨)が横に開いてしまう状態です。足が幅広に変形し、柔らかい状態のため「こんにゃく足」とも呼ばれます。一番の原因は筋肉の低下で、運動不足の人や、足が疲れやすい立ち仕事の人に多いトラブルです。
ハンマートゥ
足の指が折れ曲がったままの状態になっているもので、間接の背が靴にあたるため、摩擦でタコができたり、指の腹に魚の目ができたりします。サイズの合わない靴を履いているのが大きな原因で、足指の長い人にも起こりやすいトラブルです。小さい靴や先端の細い靴を履くことで、靴の中で指が折れ曲がってしまい、その状態が長く続くとハンマートゥになってしまいます。
へん平足
足の裏に土踏まずのない状態で、アーチがつぶれ、足の裏全体が地面にくっついている足のトラブルです。幼児の足は足裏全体に脂肪がついているため土踏まずがなくて当たり前ですが、一般的に8歳前後で形成される土踏まずのアーチができていない状態がへん平足です。へん平足になると歩きづらく、足への負担が大きくなるため疲れやすくなります。
   
足の変形から起こる身体のトラブルと、予防のための正しい靴選び
 
 足のトラブルは、足自体の痛みやゆがみだけでなく、身体全体にも影響を及ぼします。例えば、歩き方に変な癖がついたために膝を痛めたり、腰が痛くなったり、さらには肩や首などのコリの原因にもなります。O脚やX脚などの関節の変形も、もとを正せば足のバランスの悪さに大きな原因が。また、土踏まずがしっかり機能しないことで足裏全体が圧迫され、血行不良からむくみや冷えなどの症状が引き起こされたり…と、足の変形は実に様々なトラブルの因子となります。
 土踏まずがしっかり形成されない大きな原因は、歩行(運動)不足による筋肉の低下。遺伝的な原因もありますが、ほとんどは生活の中で改善していけるものです。よく言われるのは裸足で砂場などを歩いて足裏を刺激するという方法ですが、一年中裸足で過ごすわけにはいきません。そこで、普段履いている靴を見直してみましょう。  
靴選びのポイント
  • 靴の中敷の、土踏まず(特に中アーチ)部分が盛り上がっているもの

    ただ平べったいものより、土踏まずのアーチ部分を支えてくれるためバランスが整います。

  • 足先が窮屈でなく、かつ余裕がありすぎてもいないもの

    窮屈な靴は足の変形を引き起こしますが、大きすぎる靴も、無意識に指をくの字に曲げて踏ん張ってしまうため、指が曲がるハンマートゥなどの原因となります。

  • 足にしっかりとフィットするもの

    紐靴など、細かい調整のできる靴がベストです。脱ぎ履きがしづらいと、紐を緩めたままで履く方も多いようですが、足をしっかり包んでフィットする靴を意識して選びましょう。

子供靴の選び方
  • 成長に合わせ、サイズの合った靴を選ぶこと

    靴に足を入れたとき、かかとをぴったりつけて指先に8mmから10mm程度の余裕があるサイズを目安に。

  • かかと周りがしっかりと固定されるもの

    かかとが左右にずれてしまうと、歩き方に変な癖がついてしまいます。かかと周りにホールド力のある靴を選びましょう。

  • 土踏まずを支えるパッドがあるもの

    市販の靴にはパッド入りのものが少ないため、購入後に足に合った補正パッドを取り付けると良いでしょう。

  • 足を甲から足首でしっかり固定できるもの

    紐靴やマジックタイプの靴で、足にしっかりフィットする動きやすいものを選びましょう。

   
  身体の健康は、足の健康から。普段からよく歩くことはもちろん、足に合った靴選びも心がけましょう。いくら歩いても、サイズや形の合わない靴を履いて、足を不自然な状態に押し込めたままでは却ってトラブルの原因となってしまいます。この機会に、普段履いている靴を見直して、サイズや形、中敷までチェックしてみましょう。足にあった靴は歩きやすく、ウォーキングをより快適にできるようになりますよ。