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まめ知識カテゴリ: 健康まめ知識

緑に囲まれリフレッシュ、グリーンセラピーを採り入れよう(2008年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
緑に囲まれリフレッシュ、グリーンセラピーを採り入れよう
 暦の上ではすっかり秋。夏の暑さが残ってはいるものの、朝夕は冷え込む日も多く、普段以上に体調管理に気をつけて欲しい季節です。さて、秋といえば実りの季節。果物をはじめ、雨期と夏の日差しを受けて豊かに実った秋の味覚が食卓を賑わせてくれます。実をつける草木だけでなく、一般的に植物にとって秋は春と並ぶ最盛期。ガーデニングや山歩きにも最適の時期です。そこで今回は、緑の癒し効果を生活に採り入れる、グリーンセラピーについてお話します。
 
     

 

グリーンセラピーとは?
 
 「グリーンセラピー」とは、その名のとおり植物の「緑」によって心身を癒す方法のこと。植物の緑にはリラックス効果や心を落ち着ける効果があることは良く知られていますが、視覚を通して緑を吸収するだけでなく、例えば森林、特に針葉樹から放出される「フィトンチッド」という物質にはさまざまな効果があるそうです。
 
「フィトンチッド」はいわゆる森の香りのもとで、植物が光合成でブドウ糖をつくる際に分泌されると言われています。フィトンチッドの発生している環境の中で過ごすことで、副交感神経のはたらきが活発になり、イライラした気分や不安感を鎮静させたり、アルファ波を増加させてくれるなどの効果が現れます。この香りの中で睡眠をとると疲労回復が早いという研究報告もあり、心を癒すばかりか身体へのメリットも期待できるのがグリーンセラピーなのです。
   
身近な場所で森林浴をしよう
   さて、植物の緑に満たされた環境というと、どうしても公園や森林などをイメージしてしまいます。「わざわざ出かけるのは面倒」「市街地で周りに緑が無い」など、今の環境ではグリーンセラピーの恩恵を受けるのは難しいと感じる方も多いかもしれません。
しかし、何も公園や森林へ出かけなくても“森林浴”は可能です。室内の観葉植物やベランダガーデンの花、庭木もれっきとした植物。大きな森林でなくても、身近にある植物の緑は言わば小さな森林。どんな小さな植物も、私たちの心を癒し、光合成によって新鮮な酸素とマイナスイオンを供給してくれるのです。
   
室内緑化を進めよう
   失われ行く地球の緑を守るため、社会規模での大規模な緑化運動が進められている現代。自宅やオフィスにおいても「室内緑化」の大切さが改めて注目されています。先に紹介したとおり、室内の緑も心を落ち着けてくれるのはもちろん、他にもさまざまな効用をもたらしてくれます。
テクノストレスや目の疲れの解消・緩和
   情報化が進み、パソコン等を使用する作業が増えたことで「テクノストレス」という弊害が生まれました。主な症例は視覚疲労やドライアイなど目に関するもので、その他、機器が発生する電磁波が身体に及ぼす悪影響などが挙げられます。室内緑化植物が視覚疲労を緩和させる効果については科学的検証がなされている途中ですが、昔から「緑は目にいい」と言われていることからも、その効果が期待されます。
シックビルディング・シックハウスシンドロームの解消
   建物の気密性が高まるにつれ、問題視されるようになったのが建材や塗料から発生する、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレンなどの揮発性有機化学物質です。これらは人体に悪影響を及ぼすとされ、室内の空気の汚染源となっています。植物にはこれらの有害物質を吸着・分解する作用があり、煙草の伏流煙などに対する有効性も注目されています。
室内のイオンバランスの調整
   パソコンやテレビなどから発生するプラスイオンが空間のイオンバランスを崩し、疲労感や肩こり・腰痛、冷え性などの原因になっていると考えられています。植物が光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を排出するのはご存知のとおりですが、植物は酸素の他にマイナスイオンも発生し、室内のイオンバランスを整えてくれます。
   
   一言に「グリーンセラピー」といっても、その方法はさまざま。庭がある家ならガーデニングや家庭菜園を楽しむのもお勧めです。ベランダガーデンや屋上ガーデンも人気が高まっていて、植物が直射日光や外気と建物の緩衝材となってくれるため、省エネ効果も期待できます。また、室内の観葉植物が元気になる秋は植え替えにも最適な季節。根が張ってきた鉢物があれば、この機会に植え替えてみてはいかがでしょうか。土に触れ、水をやり、植物の手入れをする。緑を眺めるだけでなく、身近なものとして積極的に触れて「癒し」を感じてください。

 

 

プールに行こう!水中ウォーキングのススメ(2008年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
プールに行こう!水中ウォーキングのススメ
 いよいよ夏本番。蒸し暑い日が続き、クーラーのきいた部屋でゴロゴロ夏休み…というご家族も多いのではないでしょうか。こんなに暑いのに外で身体を動かすなんてとても無理!と思うのももっともですが、夏バテしやすい季節だからこそ、身体を動かして食事もしっかり摂りたいものです。暑いからといって家の中でゴロゴロして冷たいものばかり飲んでいては、余計に身体がだるくなって悪循環です。そこで今回は夏にぴったりの運動法・水中ウォーキングについてお話します。
 
     

 

泳ぐだけがプールじゃない!?
 
 夏のレジャースポーツの定番といえば、海やプールでの水遊びです。学校の授業以来、プールから足が遠のいているという方も多いかもしれませんが、ご存知の通り水泳は効率よくエネルギーが消費できるスポーツです。泳ぐのは苦手という方も、ご心配なく。水中で歩いたり体操をしたりして身体を動かすだけでも、実は結構いい運動になるんです。水中でのエクササイズは、水の抵抗があるためどうしてもゆっくりとした動きになりますが、その運動効果は床の上で激しい運動をしたときにひけをとらないほど高いという説も。陸上での運動と水中での運動は、条件がまったく異なるため明確に「どちらがいい」とは言えませんが、同じ酸素消費量の運動を行う場合、水中で行ったほうが脈拍数が少ないというデータがあります。つまり、水中での運動は少ない脈拍数で陸上より多くのカロリーが消費できるのです。
   
水中ウォーキングの方法
   水中でのウォーキングは、先にお話したとおり、水の抵抗があるため陸上と同じ姿勢・ペースでは行えません。正しい姿勢で行うことで運動効果も上がるので、ただ前に進むのではなく、足や腕の動かし方にも注意して歩きましょう。また、プール遊びを楽しんでいる他の人迷惑にならないよう、周りの状況にも気を配って行うことが大切です。

ウォーキングの姿勢
 

胸を張り、頭のてっぺんを真上に引っ張り上げるようなイメージでまっすぐ立ちます。前に進むときは下腹部を引き締めながら骨盤を少し前に出すようにして、できるだけ頭が揺れないよう水平な視線を保ち、まっすぐ前を見ながら進みます。速く歩く必要はないので、前かがみになったり上体を反らせたりせず、垂直の姿勢を意識しながら行いましょう。手足はなるべく大きく動かし、ゆっくり水をかくようにして進みます。

足の動きは、かかとから底に着地するようにして、つま先で身体を押し出すように重心を移動させます。プールの底をすべるようなイメージで前に進み、身体を上下動させるのではなく、水平に進むような姿勢で行いましょう。

 

   
アクアビクスの方法
   ここでは水中で行うエアロビクスを「アクアビクス」と総称しますが、これも基本的に陸上で行うエアロビクスとは違う運動になります。陸上でのエクササイズを水中で同じように行おうとしても動きづらいだけで、高い運動効果は得られません。水の抵抗や浮力を上手に利用して、水中に適した運動を行いましょう。プールによってはアクアビクスなどの教室を行っているところもあるので、自己流で始めるよりも、まずは教室で正しい方法を学ぶのも良いでしょう。

アクアビクスの姿勢
 

プールの深さにもよりますが、水面が胸のあたりまである深さがベストです。手のひらと手首は自然に伸ばした状態で、腕全体で水の抵抗を受け止めるように動かします。腕の動きや角度で水の抵抗を調整し、指を広げないよう、強くゆっくりとした動作で水を大きくかくように動かします。

   
プールに入るときの注意
 
プールに入る前に
 

陸上でのエクササイズと同じく、水中での運動もウォーミングアップが大切です。水中での事故を防止するためにも、まずは陸上でストレッチを。空腹時や満腹時にプールに入るのは避け、プールに入る前や休憩中の喫煙も避けてください。公共の場を利用するマナーとして、身体を清潔にして、水泳キャップの着用が義務付けられていないプールでもなるべく着用するようにしましょう。

プールからあがるとき
 

ウォーミングアップと同じく、クールダウンも大切です。泳いだ後や運動を終えたあとはすぐにプールサイドに上がらず、そのまま水中でクールダウンして、脈拍が平常脈に落ち着いてから上がりましょう。

   
 

水中で行うエクササイズは、「重力」の面でも陸上での運動と大きく異なります。肥満気味の方など、陸上では膝などに負担がかかりすぎてしまう人でも水中では浮力で体重が軽くなるため、少ない負担で運動が行えます。腰のあたりまで浸かることのできる深さがあれば、水面から出た上体の重さだけを支えるだけで動けるので、腰や膝を痛めている人でも比較的安全に運動できるという利点もあります。「運動するぞ!」と気負って出かけるのではなく、水に涼を求めるくらいの軽い気持ちで出かけるだけでまずはOKです。暑いひこそ、プールで身体を動かしてみませんか?

 

 

お肌の露出が増える季節、むだ毛対策は安全に!(2008年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
お肌の露出が増える季節、むだ毛対策は安全に!
 梅雨明けも間近、Tシャツ1枚でも暑いくらいの季節になりました。お肌の露出が多くなると、気になるのが腕や脚、ワキなどの「むだ毛」です。特に女性にとっては気になるものですが、最近では男性でも「オシャレ」や「身だしなみ」のひとつとして、体毛の濃さを気にする人も増えているようです。剃る、抜くなど様々な処理方法がありますが、場合によっては深刻な肌トラブルを引き起こすことも…。今回は、安全で正しい処理方法とむだ毛のメカニズムについてお話しします。
 
     

 

むだ毛は本当に「無駄」な毛?
 
  まずは「むだ毛」の役割について。辞書で「むだ毛」をひくと、

むだげ 【無駄毛/徒毛】 美容や化粧のじゃまになる、顔・えり足・足などの毛。/「大辞林 第二版」より

と書いてあります。人間の体毛は全身で150万本前後も生えていると言われますが、その全てに役割があり、本来「無駄」な毛はありません。それぞれ肌や身体を保護する大切な役割を持ち、例えばワキげは摩擦で皮膚がこすれるのを防いでいますし、顔や腕、脚を覆う産毛や体毛は紫外線を吸収したり皮脂を分泌したりして、私たちの肌を守ってくれているのです。

とは言え、むだ毛はやはりオシャレの大敵。自己処理を行う場合は、衛生面やその方法に注意して、安全な処理を行いましょう。

   
むだ毛が生えるメカニズム
   毛には生えてから抜け落ちるまでの毛周期(ヘアサイクル)があり、成長期・退行期・休止期のサイクルを一定の期間で繰り返しています。

成長初期
 

毛乳頭で細胞分裂が行われ、活発に毛が伸びます。成長期の期間は体の部位によって違い、毛が伸びる長さにも差があります。

退行期
 

毛乳頭の細胞分裂が止まり、毛の成長も止まります。この期間になると毛が毛乳頭から離れて自然に抜け落ち、毛が抜けた後の毛穴も収縮します。

休止期
 

毛乳頭が活動を休止している期間です。この期間は毛が生まれたり成長したりすることはありません。

ヘアサイクルには個人差がありますが、大体1ヶ月半から2ヶ月のサイクルになります。また、ヘアサイクルは身体の部位によっても違い、同じ部位の毛でも成長期にある毛や休止期にある毛が混在しています。皮膚の表面に出ている毛は全体の1/3~1/4で、残りは休止期の毛か、これから成長期に入る毛として皮膚の中に眠っています。現在生えている毛を処理しても、皮膚の中には次の毛が待機しているため、処理してもすぐに生えてくるように感じるのです。ちなみに、このサイクルを考えると、約150万本も生えている体毛のうち100本近くの毛が毎日抜け落ちていることになります。

   
毛の量や濃さには個人差がある?
   体毛の濃さには男性ホルモンの分泌量が影響すると言われています。一般的に男性の体毛の方が濃く太いことが多いのはそのためで、ホルモンの分泌量には個人差があるため、体毛の量や濃さにも個人差が出てきます。ホルモンの分泌量が多いと、刺激を受けた毛穴が成長して、毛も濃く太くなります。逆に、男性ホルモンが少ないと毛穴が退化し、毛も薄く細くなっていきます。ホルモンの分泌量は遺伝によるものも大きく、その他ストレスや生活習慣によっても変化します。ちなみに、生まれたときは男性も女性も毛穴の数は同じで、14歳くらいになるまでの間に毛の量や濃さがだいたい決まると言われています。
   
 
自己処理の方法と注意点
 むだ毛の処理には様々な方法がありますが、代表的なものを以下に挙げます。どの方法も、どうしてもお肌にダメージを与えてしまうため、肌の弱い人は特に注意が必要です。
カミソリで剃る(剃毛)  
 

カミソリなどで肌から伸びている毛を断ち切る方法で、どの部位にも適します。ただし、表面に出ている毛を切るだけなのですぐに伸び、伸びてきた毛の断面が目立つのでこまめな処理が必要になります。また、剃る際に皮膚の一部を切り取ることにもなるので、肌を痛めてカミソリ負けを起こしてしまう可能性があります。

※石鹸やシェービングジェルを塗って肌を保護しながら剃り、処理後はしっかりと石鹸やジェルを洗い流し、保湿ケアをしましょう。また、カミソリなどの器具は必ず清潔なものを使いましょう。

除毛クリームなどで毛を溶かす(除毛)
 

化学作用によって表面の毛を溶かす方法で、痛みをともなわない手軽な脱毛方法として知られています。一般的な除毛剤は、「チオグリコール酸カルシウム」という成分の働きで、むだ毛を構成するたんぱく質を分解し根こそぎ除毛します。毛穴の中に隠れているむだ毛も一部溶かすのでカミソリで剃るより少しだけ長持ちしますが、皮膚に対しても刺激が強く、使用方法に書いている時間以上放置したり、使用後の洗い残しがあると肌荒れをおこす可能性があります。

※薬剤を使用するため、体質や体調によってはかぶれたり炎症を起こすこともあります。使用前に少量を指定時間塗ってパッチテストを行い、かぶれや赤みが発生した場合は使用しないこと!また、目元や口元への使用は危険なのでやめましょう。

毛抜きやテープで毛を抜く(脱毛)
 

毛根を含めて毛を引き抜くので、うまく抜くことができれば再生までに3~4週間は次の毛が生えず、処理後の肌も比較的きれいに仕上がります。毛抜きの場合は1本ずつ抜くので根気がいる作業になり、部位によっては痛みを伴ないます。また、途中で切れた毛は皮膚内に残って黒ずみになり、カミソリよりも毛穴の化膿を引き起こす原因にもなります。

※皮膚と器具を清潔にし、脱毛する部位を蒸しタオルで温めて柔らかくし、毛穴を広げておきましょう。処理後に赤みのある場合は、冷たいタオルなどで冷やします。

毛を脱色し、目立たなくする(脱色)
 

表面に出ているむだ毛を、薬品で色を抜いて目立たなくする方法です。毛がなくなるわけではありませんが、痛みもなく、腕や脚、背中など広範囲のむだ毛を目立たなくするには適しています。

※除毛と同じく、薬品を使うので肌への刺激は強くなります。使用方法を守り、顔や目・口の周りには使用しないこと。パッチテストを行い、傷がある場合なども使用は避けましょう。

   
 

いずれの場合も、肌や皮膚を清潔に保って処理することが大切です。また、処理後は皮膚が弱っているので刺激を与えないよう注意も必要です。海水や強い日差しなどは刺激が強いため、水着を着るためにむだ毛を処理するなら数日前に済ませておくことが大切です。日焼け止めなども、処理直後には使用しないこと! 正しく安全なお手入れでむだ毛と上手に付き合い、夏のオシャレを楽しみましょう。

 

 

ジメジメ季節は裸足で過ごそう!(2008年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
ジメジメ季節は裸足で過ごそう!
 天気がすっきりせず、湿気の多い梅雨の時期。外出するのも億劫になってしまい、運動不足になりがちな季節です。こんなときこそ「裸足」で過ごしてはいかがでしょうか?足が蒸れないのはもちろん、健康効果も期待できる「裸足生活」。今回は、その効用やアドバイスについてお話します。
 
     

 

足裏は「第2の心臓」
 
  青竹踏みや健康サンダル、足裏マッサージなど、足裏を刺激すると身体の諸器官を活性化させる効果があるのはご存知のとおり。しかし、生活環境の変化とともに足裏への刺激は意識的に行わなくては与えられなくなっています。原因は裸足で過ごす時間が減ったことで、現代と昭和初期の日本人の足裏を比較すると、筋肉の発達にずいぶんと差が出ているそうです。脳をはじめ、身体中の器官に刺激を与えるツボが集まっている「足裏」。裸足で生活することで、常に足裏を刺激して各器官を活性化させ続けることができるのです。
   
裸足生活のススメ
   裸足で生活することは、足裏へ適度な刺激を与え続ける以外にも利点があります。履物による圧迫から開放されることで心が元気になり、皮膚呼吸も活発になって足の発達、ひいては怪我や疲れに強い身体づくりへとつながっていきます。また、普段陽を浴びない足裏の日光浴をすると血液の流れがよくなり、疲れやだるさがとれるという体験談も多く聞きます。子供たちに裸足で過ごすことを奨励している小学校や保育園などが増えているのも、これらの健康と心理効果を期待してのことでしょう。もちろん、ガラスの破片や小石など怪我をする恐れのある場所では注意が必要ですし、熱いアスファルトやコンクリの上、寒い冬場に無理をして裸足で過ごすことはありません。普段の生活の中で、裸足で過ごす機会を増やすのが「裸足生活」の第一歩。公園などに出かけた際には、履物を脱いで裸足で歩くのも気持ちがいいですよ。
   
土踏まずをチェックしてみよう
   ここで、みなさんやお子様の足の裏をちょっと見てみてください。内側の中央部、いわゆる「土踏まず」はしっかり形成されていますか?2足歩行をするヒトは、4本の足で歩く動物に比べて上半身(特に頭)が重く、非常にアンバランスです。そのバランスをとるのに重要な役割を果たしているのがこの土踏まずなのです。立って歩く前の赤ちゃんの足がぺたんとしたいわゆる扁平足なのは、足裏が未発達なしるし。立って歩くようになるにつれ、徐々に骨がアーチ型になって土踏まずが形成されていくのです。

しかし、最近では大きくなっても扁平足のままの子供が増えています。土踏まずが未発達なためにバランスがとりづらく、転んで怪我をしたり足の骨を折る子供も以前より増加しています。高校生の多くが腰痛をかかえているのも、足裏の発達に関係があると見られています。土踏まずはバランスをとるだけでなく、足の裏への刺激をうまく吸収して疲れにくい歩き方ができたり、高い場所から飛び降りたときなどの衝撃を和らげる役目も果たしているのです。土踏まずをしっかり形成するためにも、裸足で過ごして足裏を鍛えることが大切です。

   
裸足で行うエクササイズ
   心臓から一番遠い場所にある足は、全身の血液循環をよくするポンプの役目も果たしています。足裏への刺激が少ないと下半身の血行が悪くなって老廃物がたまり、むくみや冷え、腰痛や生理痛、便秘などの原因となることも。意識的に足裏を刺激し、足と全身に「刺激」を与えましょう。

まずは1日数時間、裸足で過ごす習慣を
 

 室内はもちろん、土の上や芝生の上などを裸足で歩いてみましょう。また、砂利道やでこぼこの多い道を歩くのもお勧めです。

足指じゃんけん
 

 お子様や家族と一緒に、足の指を使ってじゃんけんをしてみましょう。普段あまり使わない足指のエクササイズになります。

タオルで綱引き
 

 足の指でタオルをつかみ、綱引きのようにひっぱりっこをします。じゃんけんと同じく、足指のエクササイズになります。

足指で物をつかむ・拾う
 

 足の指で物を拾い上げるのもちょうど良い運動になります。ちょっとお行儀は悪いですが、消しゴムやリモコンなど、つかみやすい形と重さのもので試してみましょう。読書やテレビを観ながらできるのでお勧めです。

   
 

蒸し暑くなるこれからの季節、裸足で過ごすのは気持ちがいいものです。また、外出時はソールのやわらかい靴やサンダルを選んで、裸足に近い環境で歩くだけでも効果が望めます。ウォーキングシューズには、裸足に近い感触で歩けるものも販売されているので、こちらも活用を。裸足生活を、代謝のいい身体作りに役立ててくださいね。

 

 

乗り物酔いを撃退して、 快適な行楽シーズンを(2008年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
乗り物酔いを撃退して、

快適な行楽シーズンを

 不安定な気候が続きましたが、木々の芽もまぶしい新緑の季節になりました。大型連休・ゴールデンウィークには各地へお出かけの計画を立てている方も多いかと思います。せっかくの旅行の楽しみも、乗り物に酔ってしまうと半減してしまいます。今回は、乗り物酔いのメカニズムと予防策についてお話します。
 
     

 

乗り物に「酔う」原因とは
 
  揺れの激しい乗り物に乗っても平気な人もいれば、バスに乗っただけで気分の悪くなってしまう人もいるほど個人差の激しい乗り物酔い。その大きな原因は「身体のバランス」にあると言われています。身体のバランス、つまり平衡感覚を保つために重要なのが耳の奥(内耳)にある三半規管という器官で、ここから身体の位置の変化や運動による重力の変化が脳に送られます。この情報と目などから入った情報を統合して、脳は身体のバランスを保とうとしますが、乗り物の揺れや急発進などの動き・加速が加わると感覚に誤差が生じ、吐き気などを引き起こしてしまいます。
   
子供に多い乗り物酔い
   一般的に、成長期の子供(3歳~思春期)には乗り物酔いが発生しやすいと言われています。その原因ははっきりしていませんが、乗り物に慣れていないこと、大人より感覚が敏感で頭が不安定なこと、そして心理的な要因が大きいのではないかと言われています。心理的な要因とは、いわゆる「思い込み」や「苦手意識」などの自己暗示であることが多く、例えば一度バスに酔ってしまったせいで「自分は乗り物に酔いやすい」、あるいは周りが「この子は乗り物に弱い」と意識してしまい、その不安が悪影響になってしまうというものです。この場合は、酔い止めの薬を飲む、揺れの少ない中央部に座る、など「こうすれば大丈夫」という攻略法で(実際の効果に関らず)暗示をかけてみるのもひとつの手です。
   
乗り物酔いを防ぐには
   先にお話ししたように個人差の大きい乗り物酔いですが、同じ人・同じ環境でも、体調によってさらに差が出ます。そして、大人の場合も子供と同じく「心理的要因」が意外と大きく関係するものです。以下に挙げる対処法を参考に、自分なりの攻略法を見つけてください。

睡眠・朝食をしっかりとる
 

 旅行の前日やお出かけ前の朝は、準備などで何かと時間がなくなりがちですが、睡眠不足や空腹は体調不良のもと。体調管理が万全なら、乗り物酔いへの抵抗力も高まると意識しましょう。ちなみに、満腹状態もよくないので出発直前の食事は控えましょう。

車内の「匂い」に気をつける
 

 匂いは感覚を刺激し、酔いの原因のひとつとなります。自家用車で出かける場合は、香りのつよい芳香剤は避け、事前に掃除をしてタバコやカビの匂いを抑えておきましょう。ガソリンの匂いも刺激となるので、給油はあらかじめ済ませておくといいでしょう。

スムーズな運転で揺れを軽減させる
 

 こちらも自家用車で出かける場合、急発進や急ブレーキなど、急激な力の加わる運転に気をつけて。安全運転は心の余裕にもつながり、リラックスすることで酔いの発生も軽減します。また、可能であれば自分が運転すると動きが予測できるので酔いにくくなります。

こまめに休憩をとる
 

 長時間の乗車になる場合は、意識的に乗り物から降りる機会を増やすこと。外の空気を吸い、遠くの景色を眺めたりストレッチをしてリフレッシュしましょう。また、安全かつ安定した楽な姿勢がとれるのであれば、移動中は眠ってしまうのもアリです。

車内の環境を快適に
 

 蒸し暑い車内や空気のよどんだ空間は、誰でも気分が悪くなるもの。換気に気をつけ、爽やかな環境をつくりましょう。雑誌をみたり、ゲームをしたり、テレビやDVDを観賞するのも酔いの原因のひとつ。近くのものを凝視すると酔いやすく、カーブやブレーキなどの動きも予測できなくなります。目からの刺激は極力抑え、目を閉じたり色の濃いサングラスをかけるのも効果があると言われています。

酔い止めのツボを刺激する
 

 手のひらを上に向け、手首の中心から約3cmひじ側にある内関(ナイカン)というツボを刺激すると、自律神経の働きを整える効果があります。ここを指で押したり、カーショップなどで購入できる「酔い止めバンド」を利用する方法もあります。

窮屈な服装、体勢をしない
 

 なるべくゆったりとした服装で出かけ、車内では頭をヘッドレストにもたれさせた楽な姿勢を。ベルトや靴、帽子などはなるべく脱ぐかゆるめに着用しましょう。

   
 

これらの方法は、効果にも個人差があるので確実ではありませんが、少しでも快適に楽しむためには気をつけて欲しいポイントです。それでも酔ってしまった場合は、乗り物を降りて炭酸飲料などのさっぱりとした飲み物を飲んでリフレッシュ!ちなみに、人間だけでなくペットも乗り物酔いをします。一緒に連れて行く場合はペットにも気を配ってあげましょう。体調良好で、楽しいお出かけを楽しんでくださいね。

 

 

気分スッキリ、昼寝のススメ。(2008年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
気分スッキリ、昼寝のススメ。
 桜の花が咲き始め、新しい年度がスタートしました。春眠暁を覚えず、とはよく言ったものですが、ぽかぽか暖かくなってくると、朝方だけでなく日中もついウトウトと睡魔におそわれることも多いものです。特に昼食後は、季節を問わず眠気を感じた経験が誰しもあるのではないでしょうか。そこで、今回は「大人の昼寝」についてお話しします。
 
     

 

昼食後に眠くなるのは何故?
   食事をとると、体内の血液が消化管に集まり、脳への血液が少なくなります。また、食事をすることによって脳の満腹中枢が刺激を受けて、睡眠物質が働くために眠気がさそわれます。さらに、体内時計のリズムも大きな要因のひとつ。ヒトの眠気には半日リズムで山が2回あり、午前2時~4時に大きな山が、午後1時~4時に小さな山を迎えます。この小さな山と昼食後の時間が重なり、昼食後には眠気が起こりやすくなるのです。
午後の仕事効率
   この昼食後の眠気は意外と侮れず、デスクワークなどで眠気を我慢しながらの仕事で効率があがらないばかりか、工場など現場作業でのミスが起こりやすくなったり、交通事故が多発する時間帯であるとのデータも出ています。地中海沿岸や中南米諸国の暑い地方では、正午から午後3時までの時間を「シエスタ」(スペイン語で「昼寝」の意)の時間として社会全体が昼寝を公認する習慣が根付いているのも、こんな背景があるのでしょう。日本ではあまり「昼寝」の習慣はありませんが、昼休みを上手に利用して、午後からもスッキリ過ごせるためのお昼寝タイムを実践してみてはいかがでしょうか。
   
大人のための昼寝のコツ
   もちろん無理に昼寝をする必要はありませんし、どうしても時間がとれないときもあります。どうしても眠いとき、ぼんやりしてしまうとき、そして時間や環境が許すとき。これらの条件が揃った場合は、次に挙げるポイントに気をつけて昼寝をしてみましょう。

長時間眠らない
 

 あくまで「仮眠」なので、長時間の居眠りは禁物です。睡眠には脳が休息するためのノンレム睡眠と、身体の休息のためのレム睡眠があり、20分以上の睡眠は深いノンレム睡眠に入ってしまう恐れがあります。そのため、昼寝をするなら10分~20分程度の時間が理想的。身体を休息させようと脳の活動レベルが下がる前に目覚めることで、覚醒への移行に無理がなく、スッキリ目覚めることができる範囲内での昼寝をおすすめします。

横にならない
 

 これも「昼寝=仮眠」という位置づけから、必要以上に深い眠りに入ってしまうことを防ぐためのものです。背もたれに深めに腰掛けたり、机に伏せる、肘をつくなどの姿勢で昼寝をすること。ちなみに、昼寝とまではいかなくても、椅子に座ったまま数分間まどろむだけでも頭脳の疲れの回復には大きな効果があるとも言われています。

   
昼寝の効用
 
 このように、昼寝には短い眠りでも脳の活動レベルを下げる休息効果があり、疲労回復にも役立ちます。また、脈拍が減り、血圧も下がるなど、心身ともにリラックス効果が期待できます。ヒトの頭脳は絶えず活性化された状態にあるわけではなく、適度な気分転換や休息が必要という考えからも、昼寝の重要性は大きなものです。つい寝過ごしてしまったという失敗のないように、携帯のアラームなどで目覚ましをセットして20分を超えないようにすれば、適度にリフレッシュして午後からの時間をより快適に過ごせるでしょう。

労働省産業医学総合研究所の調査によれば、20、30歳代の男女30人を昼食後15分と45分の仮眠、睡眠なしの3グループの中で、刺激に脳が一番速く反応し、また一定時間に英文を書き写すテストでミスが少ないのはいずれも15分の仮眠をとったグループという結果が報告されています。上手に昼寝をとって、心身ともにスッキリした状態で午後からの仕事にむかいましょう。

   

 

 

イライラする、落ち着かない。 これって更年期?(2008年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
イライラする、落ち着かない。

これって更年期?

 三寒四温を繰り返し、季節は春へ。当センターのある水戸市の名所・偕楽園でも梅の花が咲き始め、季節の移り変わりを感じることができます。年度末でもある3月は、季節の変わり目であるとともに入学や就職、転勤など生活環境の変化を間近に控える方も多い月。忙しいせいかなんとなくイライラする、気分が滅入るという方、「更年期のせいかしら?」と疑う前に、まずは更年期について正しく理解してみましょう。
 
     

 

更年期障害とは?
   更年期とは女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰えて停止し、女性ホルモンが欠乏した状態で体が安定するまでの時期を指し、具体的には閉経をはさんでその前後10年ぐらいの期間を指しています。ホルモンのバランスが崩れることで自律神経の働きや情動に影響があり、それによって引き起こされる様々な症状を総称して「更年期障害」と呼ばれます。
   
 
更年期障害には個人差がある
 

 現在、日本人女性の平均的な閉経年齢は52歳前半と言われます。そのため、概ね40代半ばから50代半ばの期間が更年期にあたりますが、更年期障害の症状が30代後半から現れるケースも増えています。閉経だけでなく卵巣の機能が衰え始める時期に個人差があるのはもちろんのこと、若い頃に無理なダイエットを繰り返したり、不規則な生活や食事を続けてきたため、体力の落ち始める30代後半にホルモンのバランスが乱れ始めることが大きな原因になっているようです。また、更年期を迎えても症状がほとんど出ない人から体調を崩して寝込んでしまう人まで、症状の度合いや現れ方も様々です。

更年期障害の症状
 

 このように個人差も大きく症状も様々な更年期障害ですが、その主な症状を以下に挙げていきます。

  <精神神経系>
 

頭痛・めまい・耳鳴り・物忘れ・憂うつ感・判断力、集中力低下・不眠・不安感・倦怠感など

  <知覚系>
 

しびれ・蟻走感(皮膚に虫がはうような感じ)・かゆみ・知覚過敏・知覚鈍麻

  <運動器官系>
 

肩こり・腰痛・関節痛・背筋痛・筋肉痛

  <自律神経系>
 

のぼせ・ほてり・冷え・動悸・息切れ・手足の冷え

  <皮膚・分泌系>
 

皮膚や粘膜の乾燥

湿疹・発汗・ドライマウス・唾液分泌の異常・ドライアイ

  <消化器系>
 

食欲不振・吐き気・便秘・下痢・腹部膨満感・のどのつかえ

  <泌尿器・生殖器系>
 

月経異常・頻尿・残尿感・性器下垂感・性交障害・外陰掻痒症

 
更年期障害に負けないからだと心づくり
 

 先に挙げたように、更年期障害には実に多くの不快な症状が挙げられますが、注意して欲しいのは、これらの症状は主に生理的なからだの変化に伴うものだということを理解する点。イライラしたり気分が落ち込んだり、精神的な症状も起こりやすいだけに悩んでしまう人も多いようですが、「こんなものだ」と割り切って気持ちを変えるだけで随分と楽に乗り切ることもできるのです。

 
生活習慣を整えよう
 

 更年期障害は女性ホルモンのバランスの乱れが原因なので、それを整えることが大切。更年期障害に効果的といわれるエストロゲンを多く含む(※植物性エストロゲン:イソフラボン)大豆製品、体内の免疫力や抗体力を高める抗酸化ビタミン(緑黄色野菜など)、そして骨粗鬆症を予防するためにカルシウムを積極的に採り入れた食事を心がけてください。また、趣味やスポーツを楽しんでストレス解消をするなど心のケアも忘れずに!

   
 

 人間は誰しも年齢を重ねるとともに体の機能も衰えていくものです。そして更年期は男性にも訪れ、その症状は女性と同じく様々で前立腺肥大症や泌尿器のトラブル、肩こりやめまい、そして倦怠感や疲労感など。いわゆる成人病の起こりやすい時期でもあり、「調子が悪いな」と感じたら早めの受診は大原則ですが、普段の生活改善も大切。オシャレをして出かける、趣味を見つける、運動を始める、、、若々しい気持ちで過ごすことで「更年期」を意識しすぎないのがポイントです。

   

 

 

健康な1年の始まりは、 毎日の食事をよく「噛む」ことから(2008年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
健康な1年の始まりは、

毎日の食事をよく「噛む」ことから

 新年明けましておめでとうございます。毎年のことではありますが、新しい1年の始まりという大きな節目を迎え、みなさん気持ちを新たにしていることと思います。今回は健康にこの1年を過ごすために、食事の大切さ、「噛む」ことの大切さについてお話しします。
 
     

 

 
咀嚼(そしゃく)のはたらき
 
  咀嚼とは、食べ物をよく噛みくだき、味わうことです。食べ物を口の中で何度も噛んで細かくすることで栄養として消化吸収されやすくなるため、咀嚼はからだにとって大切な役割をもっています。また、咀嚼回数が多くなると唾液がたくさん出ますが、この唾液にも消化吸収や殺菌力を高める作用があります。他にも、咀嚼の刺激が脳を経て胃に伝わることで、咀嚼運動に見合った胃液が分泌されて効率的に消化が行われるなど、栄養を摂取するための「食事」という行為において咀嚼は大変重要です。

しかし、現代人は昔に比べて食べ物を噛む回数が減っていると言われています。その要因の第一には、軟らかい食べ物が多くなったことが挙げられます。一説によると、日本人の咀嚼回数は弥生時代の1/6、昭和10年代と比べてもなんと約半分の回数に減っているとも。子供の頃からよく噛む習慣がないために顎の成長が遅れ、歯並びが悪くなったり、噛む筋肉自体が弱くなっている現代人が増えているのです。

 
咀嚼はなぜ大切か
 

 食べ物の変化に加え、忙しい現代社会ではゆっくり食事をする時間がないという問題もあるようです。しかし、先にお話しした通り「よく噛んで食べる」ことは健康づくりの第一歩。咀嚼の役割を知ることで、その大切さを見直してみましょう。

   
 
食べ物の消化を助ける
 

よく噛むことで食べ物が細かくなり、唾液と混ざって適度に水分が増すため飲み込みやすくなります。また、唾液にはアミラーゼという消化酵素も含まれているため、消化吸収をよくしてくれます。

虫歯や歯周病を予防する
 

咀嚼することで分泌される唾液には、消化酵素の他にも口内の浄化作用があります。さらに口内環境を中性に保とうとする作用があり、虫歯や歯周病の原因となる酸を薄めてくれます。また、唾液に含まれるパロチンというホルモンが、カルシウムと結合して強い歯を作ってくれます。

歯並びを整える
 

よく噛むことで顎の骨や顔の筋肉が発達し、顎が強くなります。顎の発達が遅れていると、歯の大きさとの本来のバランスがくずれてしまい、正しい位置に歯が生えずに歯並びが悪くなってしまいます。

食べすぎ・肥満を防止する
 

よく噛んで食べると、唾液が多量に分泌されるために血糖値が上がり、脳の満腹中枢に働いて満腹感を与えてくれます。よく噛むことで自然と食事のペースもゆっくりになり、食べすぎを予防します。

脳に刺激を与える
 

咀嚼運動が脳に連続的な刺激を与えることで、脳が活発に機能します。眠気を覚ますのにガムを噛むのもその一例で、噛むという行為によって記憶力や集中力が高まります。また、こどもの脳の発育を促したり、老人の痴呆予防にも役立つと言われています。

新陳代謝を高める
 

咀嚼によって、EGF(表皮成長因子)と呼ばれるホルモンも分泌されます。これは細胞分裂を促進するホルモンで、新陳代謝が活発になり若々しい身体を保ってくれます。

   
 

 生きていくためには「食べる」という行為は必要不可欠なものですが、食事とは味覚だけでなく、視覚や嗅覚、触覚など五感で味わうものです。よく噛むことでゆっくりと食事を楽しむことができれば、それは心の余裕や充足感にもつながります。身体のためにも、豊かな生活のためにも、

よく噛んで食べるということはとても大切なのです。普段よく噛まずに飲み込んでしまうという人は、まずは「噛む」ことを意識して、ゆっくりおいしく食事をするよう心がけましょう。

   

 

 

冬場の手荒れ、ひび割れ、なんとかしたい!(2008年1月)

 

     
 
2月のテーマ:
冬場の手荒れ、ひび割れ、なんとかしたい!
 年間で最も寒い2月。空気が乾燥し、ハンドクリームやリップクリームが欠かせない季節です。特に、お料理や食器洗いなど毎日水仕事をする主婦にとって、冬場は手荒れが気になるもの。ひび割れて痛い思いをしたり、かゆくて辛い思いをしたり…。今回はそんな冬場の指先のケアについてお話しします。
 
     

 

手荒れの原因は?
   手荒れ・肌荒れは、肌の表面にある角質をとりまく皮脂が減少することで起こります。皮脂は肌をしっとりなめらかに保つだけなく、皮脂は外部からの刺激物やばい菌などを防ぐ役目も持っています。そのため、皮脂が減ると肌が荒れ、外部からの刺激にも敏感になってかゆみを感じるようになります。
   
 
なぜ冬場は手が荒れやすいのか
 

冬場は気温と湿度が低下するため乾燥によって肌の水分が奪われる上、冷たい空気などの刺激によって角質が破壊されたり、新しい細胞が生まれるターンオーバーのサイクルが乱れやすくなっています。また、水仕事の際にお湯を使いがちなのも手荒れの一因になります。

お湯を使うと手が荒れる理由
 

手荒れの原因は皮膚の表面をカバーしている皮脂が減るためとお話ししましたが、熱いお湯は皮脂も一緒に洗い流してしまうので、手が荒れやすくなるのです。また、台所洗剤は油汚れを落とす性質を持つため、手の皮脂や、肌の持つ天然保湿因子までも取り除いてしまいます。つまり、お湯と洗剤両方を使っての食器洗いは、手荒れの一番の原因と言っても過言ではないのです。

 
手荒れを防ぐためには
 

 手荒れを防ぐには、なんと言っても保湿が一番。水を使った後には必ずクリームやローションなどを塗って保湿に気をつけましょう。また、一度にたくさん塗るよりも、回数をこまめに、よくすり込むようしっかり塗るようにしましょう。

※ひび割れて血が出ていたり、状態がひどいときはハンドクリームが症状を悪化させる場合もあるので専門医に相談してください。

   
お湯を使うと手が荒れる理由
 
 
手を保護する
 

ゴム手袋をして水や洗剤に直接触れないのが一番です。それが無理な場合はあらかじめ保護クリームを塗りましょう。水に強いタイプのクリームでも結構ですが、保湿用のハンドクリームとは違い肌の表面に膜を張って保護する機能を持つものなども市販されています。

お湯と洗剤は控えめに
 

熱いお湯は避け、ぬるま湯か水で洗うようにしましょう。また、洗剤の量も控えめに。あらかじめキッチンペーパーで汚れをふきとるなどして、洗剤と水に触れる時間を少しでも減らすように工夫してください。

最後に必ず保湿を
 

洗い物が終わったらすぐに手を拭き、クリームやローションを塗りましょう。手を濡れたままにしておくと、手についた水滴が蒸発する際に角質層の水分も奪うので更に乾燥してしまいます。

   
 

 乾燥によって手が荒れると、ガサガサするだけでなく赤く炎症を起こしたり、湿疹やかゆみが生じる原因にもなります。ひどいときには皮膚が割れ、強い痛みを伴うことも。そんなことになる前に、指先のこまめな保湿を心がけましょう。ちなみに、水仕事だけでなく、パソコンのキーボードや書類、お札などの紙も、意外と指先の皮脂を奪うもの。日常生活を送る中でも、手を使う作業の前後にはクリームの使用を習慣づけましょう。

   

 

 

一年の汚れをスッキリと、 耳の中まで大掃除?(2007年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
一年の汚れをスッキリと、

耳の中まで大掃除?

 色々あった2007年もいよいよ師走、最後の月を迎えました。今年一年の家族の健康についても整理して、新しい年も元気に過ごすための準備を整えておきましょう。さて、一年の締めくくりに家中の大掃除をするご家庭も多いと思いますが、この機会に体のお掃除・耳掃除についてお話しします。
 
     

 

 
耳垢はなぜたまる?
 
  耳垢は外耳道、つまり耳の穴に溜まる垢(あか)のことです。外耳道皮膚の皮脂腺(耳垢腺と呼ばれる汗腺の一種)からの分泌物に、外耳道表皮の角化脱落細胞(古くなってはがれ落ちた皮膚)や空気中の埃がくっついて塊のようになったものを耳垢と言います。鼓膜の外層で生まれた鼓膜上皮には、鼓膜側から出口に向かってゆっくりと移動する「移送能」という機能があり、この上皮が出口近くまで来ると自然にはがれて耳垢の原因となります。このような皮膚上皮の移動性は鼓膜・外耳道の特徴で、耳垢が発生するのは生理現象として正常なことなのです。
 
湿った耳垢はトラブルの印?
 

 耳垢の量や状態には個人差があり、環境や体調などによっても変化します。お風呂やプールに入った後などに湿り気があるのは当然として、普段から耳垢がベトベトしたり粘り気のあることを気にする方も多いようですが、これは耳垢腺からの分泌物の多寡によって変化するもので、体質的に個人差があって当然のものです。一般的に東洋人には乾性耳垢(こな耳)が多く、西洋人には湿性耳垢(あめ耳)の体質が多いと言われますが、もちろん「日本人なのに湿性だ」と心配する必要はありません。中には少しにおいがあることもありますが、基本的にははがれ落ちた皮膚や埃なので心配はないでしょう。

 
耳垢を放っておくと病気になる?
 

 先にお話しした通り、外耳道の皮膚や毛は外側に移動する性質があることから、耳垢は自然と外に押し出されてくるものです。また、外耳道と中耳とは鼓膜で隔てられているため、耳垢がたまったために中耳炎になることはありません。

ただし、綿棒などで耳垢を押し込んでしまったり、耳かきで外耳道の皮膚を傷つけて炎症を起こしてしまったりと「耳掃除」が原因でトラブルを引き起こすこともあります。

   
 
耳垢栓塞
 

文字通り耳垢が栓のように詰まってしまった状態で、聞こえも少し悪くなることがあります。多くの場合は綿棒などで耳掃除をしているつもりが、逆に奥に押し固めてしまうことで起こります。カチカチに固まってしまっているケースもあり、その場合は専門医でも除去しきるのに数回かかることもあります。無理にとろうとすると、耳の中を傷つけたり、さらに奥へとやってしまうこともあるので注意しましょう。

外耳道湿疹・外耳道炎
 

外耳道の皮膚はとても薄く傷つきやすいため、耳かきなどでこすると傷がつき、痒みを起こすことがあります。外耳道湿疹・外耳道炎の原因の多くは「耳の掻きすぎ・いじりすぎ」で、耳掃除によって起こった痒みを抑えるためにさらに耳を掻きすぎて炎症を起こしてしまうケースです。耳かきは一般的に気持ちのいいものなので、つい掻きすぎてしまうという人にも注意が必要です。

   
子供の耳掃除をするには
 

 小さなお子さん、特に乳幼児の場合、親御さんが耳掃除をしてあげることも多いでしょう。しかし、通常市販されている綿棒は子供の耳には太すぎること、子供の外耳道は大人よりも短いことなどから、耳垢を奥に押し込んでしまう危険性が大人の耳掃除以上に高いものです。また、目で耳の中が見える分、必要以上にこすってしまったり、奥まで掃除しようと突っ込んでしまって痛い思いをさせてしまうケースもあります。乳幼児は特に分泌量が多いこともあり、耳垢が気になることも多いと思いますが、出口付近のものだけを、皮膚をこすらないように優しくとってあげるようにしましょう。

同じ掃除でも、しずぎると却って良くないということもあります。耳掃除の場合は、身だしなみ程度に、外から見えるものだけを優しく取り除くのが基本です。耳垢を放っておいたことが原因で病気になることはまずありませんが、耳垢が極端に多かったり、においが気になる場合は、耳垢ではなく膿などが混じった「みみだれ」の可能性もあります。その場合「慢性中耳炎」などの耳の病気のサインとも考えられるので、速やかに診察を受けることをおすすめします。