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まめ知識カテゴリ: 運動

巣ごもり生活で運動不足になりがちに…体を動かす習慣をつけるには?(2021年5月)

 

巣ごもり生活で体を動かす機会が減り、心身に不調を感じていないでしょうか。ここでは、運動不足による健康リスクや、日常生活で運動量を増やすコツについてお伝えします。無理なく体を動かす習慣をつけて、健康のために適度な運動量を確保しましょう。

 

 

◆「巣ごもり生活」でライフスタイルに起こった変化

2020年以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため、国内ではテレワークや外出自粛といったさまざまな対策が採られることとなりました。こうした「巣ごもり生活」によってライフスタイルが大きく変わり、1日のうち多くの時間を自宅で過ごしている人も少なくありません。そこで問題となっているのが、自宅から出ないことによる運動不足です。これまでは通勤や通学のほか、休日のアクティビティなどで体を動かす機会が多かった方も、ライフスタイルの変化にともない運動不足となっている可能性も。運動量が減って心身の不調を感じるときは、生活習慣を見直してみましょう。

 

◆運動不足による健康リスクとは?

一見すると、それほど深刻には見えない運動不足。しかし、運動不足が長期間にわたり続くと、心身に影響を与えるだけでなく、生活習慣病のリスクを高めると考えられているのです。日常生活における運動量が不足していると、体力や筋力が低下してしまいます。立ったり歩いたりする能力が衰えれば、やがて活動の幅が制限され、生活の質(QOL)が下がるおそれがあるでしょう。適度に体を動かして気分転換ができない場合、ストレスが溜まりやすいため注意が必要です。また、運動不足が続くと食事での摂取エネルギーに対して消費エネルギーが少なくなる傾向にあります。こうした状況から、肥満・高脂血症・高血圧といった生活習慣病を引き起こしかねません。

 

◆日常生活で体を動かす習慣をつけましょう

巣ごもり生活で運動不足を感じているものの、いきなりスポーツを始めるのはハードルが高い……そんなときは、身近なところから少しずつ体を動かす習慣をつけていきましょう。最後に、日常生活で運動量を増やすコツをご紹介します。

 

・日常の動作を少しずつ増やす

日常生活のなかには、体を動かすチャンスが意外と多くあります。まずは、いつもより多く動くことを目標にしてみましょう。エレベーターやエスカレーターを使わずに階段で移動したり、拭き掃除のように全身を使った家事に取り組んだりするだけでも構いません。少しずつ運動量を増やして、運動に慣れていくことが大切です。

 

・ウォーキングを取り入れる

特別な準備が不要で、どこでも気軽に始められるウォーキング。初めのうちは短い距離から、軽い散歩のつもりで取り組んでみてはいかがでしょうか。日用品の買い物のためにお店まで歩いたり、近所の公園へ出かけたりすると良いでしょう。余裕ができたら、歩いた距離を記録したり、週や月ごとの目標を立てたり、自分なりの楽しみ方ができると理想的です。

 

・トレーニング動画などを活用する

昨今の巣ごもり需要を受けて、自治体の公式サイトや動画共有サイトなどで、無料のトレーニング動画が提供されています。動画では目的に応じたトレーニングメニューが用意されており、自宅で効果的に体を動かすために役立ちます。スポーツジムに通うのが難しい方は、動画でプロのトレーナーによる解説を聞くのもひとつの手です。

 

 

巣ごもり生活で運動不足を感じたら、自分が無理なくできる運動に、少しずつ取り組むようおすすめします。慣れてきたら、徐々に運動量を増やしてみてください。体を動かすことで健康リスクを避けて、心身を健やかに保ちましょう。

ダイエットや体質改善におすすめ!基礎代謝を上げる方法(2019年6月)

 

基礎代謝を上げると、痩せやすくなったり、肌状態が良くなったりといったように、さまざまなメリットがあります。ダイエットをしてもなかなか痩せられない方や、肌の調子が悪い方は、基礎代謝アップに取り組んでみてはいかがでしょうか。こちらでは、基礎代謝を上げるメリットや基礎代謝の上げ方についてお伝えします。

 

 

◆基礎代謝とは

基礎代謝とは、心拍や呼吸、体温の安定化といった生命維持のために最低限必要なエネルギーのことです。基礎代謝が高ければ何もしなくてもエネルギーが消費されるため、基礎代謝の向上はダイエットに役立ちます。

体内でもっとも多くエネルギーを消費するのは筋肉です。そのため、基礎代謝を高めるには運動をして筋肉を増やすことが有効だと考えられています。筋肉は年齢とともに落ちていきますが、トレーニングをすれば何歳からでも増やせます。そのため、基礎代謝のアップも何歳からでも可能です。

 

◆基礎代謝を上げるメリット

基礎代謝を上げるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

メリットのひとつは、前述の通り痩せやすくなることです。運動をしなくても体内の糖質や脂質の分解が行われ、余分なものが溜まりにくくなります。無理な食事制限をしなくても、痩せた状態を維持できます。

肌の調子が良くなるのもメリットです。基礎代謝が上がると、新陳代謝が活発になります。すると、皮膚細胞の置き換わりが早くなり肌状態が整います。新しい皮膚は水分を多く含むため、常に潤った肌状態のキープが可能です。

基礎代謝が上がって血の巡りが良くなると、冷え性や肩こりの改善効果も期待できます。体の末端にある手足は冷えやすくなりますが、血液が行き渡ると温度が上昇します。結果、冷えが改善されるのです。また、血行が促進されると筋肉が柔らかくなるため、肩もこりにくくなります。

体調を崩しやすい方にも基礎代謝の向上はおすすめです。風邪を引きやすかったり、体調を崩しやすかったりする方は、自律神経の調子が良くないと考えられています。基礎代謝が活発になれば、自律神経の不調が改善されて、体調を崩しにくくなります。

 

◆基礎代謝の上げ方

基礎代謝を上げるには、次のような方法がおすすめです。

・継続して運動をする

基礎代謝を上げるには筋肉が重要であるため、適度に運動をしましょう。筋肉は20代を過ぎると徐々に減っていくため、意識して運動して筋肉を増やす必要があります。

ジムに行ったりランニングをしたりする時間を取れない場合は、日常生活に小さな運動を取り入れるだけでも構いません。最寄り駅のひとつ手前で降りたり、エスカレーターよりも階段を使ったりといった工夫をして、運動量を増やしましょう。

・毎日湯船に浸かる

暑い日は湯船に入らずにシャワーで済ませるという方もいらっしゃいます。しかし、基礎代謝を上げるには湯船に入るのがおすすめです。湯船に浸かって体の奥から温まると、血流が良くなり、老廃物が流れやすくなって新陳代謝が高まります。

体温が1度上がるごとに基礎代謝は約12%アップします。ぜひ、毎日湯船に浸かって体を温めましょう。

・朝起きてすぐにストレッチをする

朝起きてすぐにストレッチをすると、体に酸素を取り込みやすくなり、代謝が上がりやすくなります。血の巡りも良くなり、すっきり目を覚ませます。

ストレッチは、ベッドに寝たままの状態で行いましょう。仰向けのまま頭の上で両手を組み、両手両足を上下に伸ばします。それから膝を立て、おへそを覗き込むように状態を浮かせてください。

さらに両手を左右に広げ、右足を左側に伸ばしてキープします。終わったら、反対側も行いましょう。最後に四つん這いになってお尻を踵の上に乗せます。その状態で両手を伸ばし、背中をストレッチしてください。

続けると基礎代謝を上げられます。ぜひ毎日行ってみましょう。

糖尿病や動脈硬化を引き起こすことも?血糖値スパイクの危険性(2018年7月)

 

食後に急激に血糖値が上がる状態を「血糖値スパイク」と呼びます。血糖値スパイクを放置すると、糖尿病や動脈硬化が引き起こされてしまう可能性があり、早めに対策することが必要とされています。こちらでは、血糖値スパイクの特徴や対策法についてお伝えします。健康維持のためにぜひお役立てください。

 

 

 

◆血糖値スパイクとは?

血糖値スパイクとは、食後に急激に血糖値が上昇する状態のことです。通常、血糖は空腹時は80~100mg/dl、食後は高くても140mg/dl以下で安定しています。しかし、血糖値スパイク状態になると、食後の血糖値が140mg/dl以上にまで急激に上昇してしまうのです。現在、成人の約20%が、このような血糖値スパイク状態であると言われています。

 

血糖値スパイクになると、糖尿病にかかるリスクが高まります。糖尿病とは、空腹時の血糖値が126mg/dl、食後の血糖値が200mg/dlを超える状態を指します。つまり血糖値スパイクの方は、糖尿病の予備軍になってしまっているのです。

 

また、血糖値スパイクによって動脈硬化の危険性も高まります。動脈硬化とは、動脈が硬くなり、血管内部で詰まりが起こることによって血流が悪くなる状態のことです。血糖値スパイク状態が続くと、細胞から活性酸素が発生するようになり、細胞が傷ついてしまいます。そうすると動脈が硬くなり、心不全・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・脳出血・閉塞性動脈硬化症といった病気が引き起こされやすくなります。病気を防ぐためにも、血糖値スパイクには早めに対策することが必要です。

 

◆血糖値スパイクは気づかれにくい!

放置すると危険な血糖値スパイクですが、健康診断ではなかなか見つけることができません。なぜなら健康診断は空腹時に行われるため、血糖値スパイクの方も、正常な数値が出てしまうからです。血糖値スパイクを調べるためには、食後1~2時間の間に検査をすることが必要になります。病院の中には、検査の前にブドウ糖の入った甘い液体を飲んで、飲む前と後の血糖値を測定してくれるところもありますが、このような検査方法はまだ一般的ではないのが現状です。

 

また、血糖値スパイクは痩せている方でも起こります。ある調査では、痩せ型の20代女性のうち、5人に1人に血糖値スパイクが起きていることが分かりました。しかし、若い方や痩せ型の方で、血糖値スパイクを気にする方は多くありません。血糖値スパイクは、年代や性別に関係なく、全ての方が気にかけておくべき症状です。

 

◆血糖値スパイクを改善するには?

血糖値スパイクを防ぐには、食べる順番に気をつけることが効果的です。ご飯を食べる前に、副菜や主菜を食べることで、血糖値の急激な上昇が抑えられます。最初にご飯を食べてしまうと、少量であったとしても、血糖値は大きく上がってしまいます。しかし、野菜やきのこ、海藻といった野菜類から食べれば、血糖値の急激な上昇を抑えられるのです。

 

野菜類には食物繊維が豊富に含まれており、糖や脂肪を吸着してくれます。また、満腹感も感じやすくなるため、食べ過ぎを予防することにも役立ちます。血糖値スパイクが気になる方は、野菜から先に食べる習慣をつけましょう。

 

また、食後に適度な運動をすることも有効です。運動をすると血液中のブドウ糖類が筋肉のエネルギーとして使われるため、血糖値が下がります。食後30分~2時間の間に運動をすることで、血糖値スパイクを防ぐことができます。食事の後は、ウォーキングや体操といった緩やかな運動を行うようにしましょう。

 

健康診断で気づかれにくいですが、血糖値スパイクの状態になっている方は数多くいらっしゃいます。血糖値スパイクを放置すると、糖尿病や動脈硬化が引き起こされる可能性があり、危険です。食べる順番を工夫したり、食後に運動したりして、血糖値スパイク状態になるのを防ぎましょう。

若者も要注意!スポーツ中に襲いかかる労作性熱中症のリスクと対策(2016年7月)

mame1607_001激しい日照りが降り注ぐこの時期、特に注意したいのが熱中症。水分を奪われ急激な体調不良に襲われるこの症状は、幼児や高齢者などの年齢層が多くかかると言われています。しかし、最近では野外で部活動に励む中高生が熱中症で倒れ、救急車で搬送されるという事例も。熱中症は、暑い夏では誰にでも起こりえる症状だと用心し、必要な対策を立てるようにしましょう。

 

◆「古典的熱中症」と「労作性熱中症」

熱中症とは、体内外の熱の影響により、体温調節や発汗量のコントロール機能が失われ、めまいやけいれん、顔面蒼白、失神など、さまざまな体の不調を引き起こす症状です。その熱中症は、大きく分けて2つに分けられます。

・古典的熱中症

体の外からの熱によって体調不良が起きる熱中症です。夏になると気温が上昇し、体内温度にも影響をおよぼします。猛暑の期間が何日も続くと、熱波とよばれる現象が起き、高齢者や乳幼児が発症しやすくなります。その中でもなりやすいのは、心臓病・腎臓病・糖尿病などの持病を持っている方など。また、野外の車の中で乳幼児が発症するケースもこれにあたります。

・労作性熱中症

暑い環境の中で激しく体を動かしたり、太陽の降り注ぐ中で作業や労働に従事したりした時に起こりやすい熱中症です。若くて健康な人でも、一度に大量の汗をかいて水分が失われると臓器障害などを引き起こします。

 

最近とくに多くなったのが、後者の労作性熱中症です。ラクビー選手など、屈強な体格を持つ若者ですら、熱中症にかかって死亡するという例が増えています。労作性熱中症は、その多くがスポーツ・労働する環境や、その方法が原因で発生しているといえます。酷暑の中で体を動かす際は、環境面やルール作りなどを重視し、熱中症対策を立てる必要があります。

 

◆スポーツ環境で注意したいこと

野外でスポーツする場合、どんな環境でのぞめばいいのでしょうか。以下にまとめてみましたので、参考にしてください。

・常に温度計を準備し、35℃以上になれば屋内へ

mame1607_00235℃以上で体を激しく動かすことは熱中症のリスクを高めるため、基本的には避けましょう。そのため、指導者の方は常に温度計をにらみながら管理することを怠らないでください。また、1日の中でも比較的涼しい朝や夕方でも熱中症は発症します。日照りの強い日中の時間だけ注意するのではなく、朝練習や日の沈んだ時間帯でも運動量と温度には気を配るようにしましょう。

・急激な温度差に注意

熱中症の多くは、7・8月をピークに発生します。しかし、体が暑さに馴れきっていない梅雨明けや、暑さのぶり返しのある9月など、意外な時期に体調の変化を訴えるケースも目立ちます。それまでと比べ温度差を実感したときは、急激な運動は避け、徐々にペースを上げていくのがポイントです。

 

◆スポーツ中に気をつけること

次に紹介するのは、スポーツ中に心がける注意点。いずれも簡単に始められることなので、忘れずに実行するように努めてください。

・水分をしっかり補給

mame1607_003「水分が足りてないな……」と自分の中で感じたら、無理をせず水分を補給するようにしましょう。その時、微量の塩分を含ませると回復に効果的です。スポーツドリンクの飲料でも適度の糖分を含ませるなど、成分含有量にも気を配ってください。ちなみにスポーツドリンクは100ml中40~80mlのナトリウムが適量といわれます。

・いきなりハードに動かない

運動に慣れた選手でも、急に体を動かすのはよくありません。熱中症が危ぶまれる中でのスポーツは特に、「体を暑さに慣らす」ことを意識するようにしてください。体力差や運動能力には個人差がありますので、周囲のペースについて行けない場合は、無理をせず申告してできるだけ自分のペースでトレーニングを行うようにしましょう。また、暑さに体が慣れてくると水分も多く失われるため、スポーツドリンクなど補給は多めに取るのが肝心です。

 

運動中に起きる労作性熱中症は、暑さと体力、運動量の管理をしっかり行えば防げます。若いからといって油断せず、対策をしっかり立てて心置きなく好きなスポーツに励みましょう。

あなたにぴったりな体重計はどれ?正しいヘルスメーターの選び方(2015年11月)

イラスト皆さんは日頃から「体重管理」を行っていますか? 最近は肥満や成人病を予防するため、常日頃から体重を計り、スマートフォンなどにメモをして管理している方が多いと聞きます。成人病等のリスクが高まっていると言われている現代だからこそ、多くの人が健康を意識するようになっているのですね。

 

さて、体重を計るために必要なアイテムと言えば「ヘルスメーター」。体重をはじめ、体脂肪率や筋肉量もチェックすることができる機器です。より詳しく身体の状態を確認できるので、健康管理には必需品と言えるでしょう。そんなヘルスメーターですが、一体何を基準に選べばよいかご存じですか?今回は、ヘルスメーターの正しい選び方についてご紹介します。

 

◆ヘルスメーターは3タイプに分類できる

ヘルスメーターは「体重計」、「体脂肪計」、「体組成計」といった3タイプに分けられます。体重計は体重のみを計るシンプルなもので、最近は体重を100g単位で表すデジタル表示の製品が主流です。販売価格もリーズナブルなので、とりあえず体重さえ計れれば良いという方にオススメでしょう。

 

体脂肪計は、体重に加えて身体の体脂肪率を表示するヘルスメーターです。製品によっては内臓脂肪や筋肉量を計ることもできます。体脂肪率は健康管理において重要な数値の一つなので、気になる方はこちらをチョイスしましょう。

 

体組成計は本格的な健康管理に取り組みたい方にオススメのアイテムです。体重や体脂肪のほか、基礎代謝や筋肉量、推定骨量や体水量など、ありとあらゆる組成の数値を計測します。そしてこれらの数値を元に、BMIや体年齢の判定を行うという優れものです。

 

最新の体組成計はより多くの組成を計測し、より正確な数値を表示してくれるため、健康管理をしっかり行いたいという人に重宝されています。お値段こそ若干張るものの、とにかく健康管理を徹底したい方は導入してみてはいかがでしょうか。

 

◆製品によって差がある?計測項目や機能をチェック!

体重や体脂肪率といった計測項目は、製品によって異なります。たとえば、体重は基本的に100グラムあるいは200グラム単位での計測となりますが、計測単位が大きいほどリーズナブルになり、より細かく計れる物ほど高価になる傾向があります。

 

イラスト「たった100グラムでしょ?」と思った方も多いでしょう。しかし、100グラム単位で計測できるヘルスメーターなら、ごくわずかに体重が減っただけでもそれが目に見えて現れます。つまり、「ダイエット中のモチベーション維持」につながる、という訳です。ダイエット中は少し体重が減るだけでも嬉しいもの。逆に、少しでも体重が増えれば翌日からの食事や運動などに注意するようになるでしょう。これからダイエットに取り組む、あるいは現在取り組んでいる方は、100グラム単位の製品を選ぶと良いかもしれません。

 

また、体脂肪は0/1%単位、最大で75%まで計ることができる製品が多いです。中には体脂肪率をレベル判定する機能を備えた製品もあるので、興味のある方は製品情報を確認してみましょう。

 

高価なヘルスメーターは計測項目が多いのはもちろん、その結果をユーザーに分かりやすく伝える判定機能を備えている傾向にあります。体重はともかく、内蔵脂肪や基礎代謝などは数値を見ただけでは良し悪しがわかりにくいので、判定機能をうまく活用したいところです。

 

◆とにかく使いやすい製品を選ぼう

いろいろとヘルスメーターの特徴などをご紹介してきましたが、最終的にはご自身が“使い易い”と思える物を選ぶのが大切です。特に、測定値の見やすさや電源ボタンとなるフットスイッチの位置は使い勝手に影響があるので必ず確認するようにしてください。

 

また、複数人で使用する場合は「登録人数」もチェックしておく必要があります。登録人数は2人から6人が一般的で、迷った際は家族人数分の登録ができる製品をチョイスすると良いです。

 

◆まとめ

イラストいかがだったでしょうか。最近はスマートフォンと連動するヘルスメーターも登場しており、より健康管理がしやすい時代となっています。今現在体重計しか備えていないという方は、これを機に体脂肪計や体組成計の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

夏のスポーツは水分補給が肝心! ゴルフやマラソン、登山で起こる脱水症状の怖さとは(2015年7月)

イラストだんだんと気温が上がり始めてきたこの時期。外でスポーツを楽しむ方も増えているのではないでしょうか? この際、特にご注意いただきたいのが小まめな水分補給です。

 

運動中に水分補給を行うことは、「脱水症状予防」「体温調整」「栄養補充」といった役割があります。この3つのうち、どれかひとつでも欠けてしまうと、体調を崩す原因となってしまいます。今回はゴルフなどのスポーツを例に挙げ、いかに水分補給が大切であるかをご紹介。より暑さが増すこの季節だからこそ、特にご注意ください。

 

 

◆ゴルフは健康的なスポーツです! ですが、水分補給を忘れると……

中高年だけでなく、最近はプロゴルファーの石川遼くんの活躍などで若者にも人気が出てきたゴルフ。のんびりしているように見えますが、実は1ラウンドで歩く距離は7〜8キロ。プレー中はウォーキングをじっくりしているようなものですから、非常に健康的なスポーツと言えます。

 

しかし、同時にゴルフには少し注意しなくてはいけない点もあります。それが心筋梗塞です。とある調査によると、ゴルフ場でこうした症状に見舞われ、命を落としてしまった、という人は年間で約200人にものぼるのだとか。

 

とは言え、もちろんゴルフをプレーすることは先述した通り健康促進に繋がります。また、心筋梗塞のリスクを高めるような要因がゴルフ場にあるわけでもありません。むしろ、自然に囲まれた環境で心身共にリラックスできる、とも言えるでしょう。

 

それでもゴルフ場で心筋梗塞になってしまう人が多いのは、以下のような理由が挙げられます。

 

○予想以上の運動量で、気づかぬ内に脱水症状に

前述した通り、ゴルフは比較的楽に見られがちですが、実際には運動量が多いスポーツです。当然、発汗量も多くなるのですが、風に吹かれたりして汗が乾き、そのことを感じにくい、という特徴があります。

 

イラストまた、数人でプレーを行うため、ついつい周りの人に合わせて休憩を怠り、無理をしてしまう方も多いのだとか。その他、冷房の効いたクラブハウスでアルコールを摂ることもあるでしょう。これらはすべて、脱水症状の要因となり得る行動です。

 

○緊張のせいで血管・血圧に影響が

ゴルフは一打一打に緊張が走るスポーツでもあります。そのため、特にパターなどでは大きなストレスが襲いかかり、血管の収縮や血圧の変動が重たくなる場合があります。また、毎回のショット時には息を止めて全力のスイングを行うことや、プレー中の喫煙なども血管・血圧に影響を及ぼすと言えます。

 

こうした状況に脱水症状が加わると、心筋梗塞のリスクが非常に高まります。汗の元となるのは血液中の水分です。そのため、大量に汗をかけばその分血液から水分が失われ、粘度が上がり血栓ができる可能性が上昇。収縮した血管であればより詰まりが起こりやすくなり、心筋梗塞へと結びついてしまうのです。

 

◆その他のスポーツも脱水症状にはご注意

イラストゴルフ以外のスポーツであっても、脱水症状によって気づかぬ内にさまざまな危険が身に迫っているケースというのは多々あります。たとえば近年人気が高まっているマラソンなども、大会などに参加する場合には注意しましょう。制限時間をクリアしようと焦り、無理にペースを上げて心筋梗塞を引き起こすケースがあるようです。

 

また、登山やトレッキングなども同様のことが言えます。山登りは長時間をかけて行う運動のため、大量の発汗があります。それに加え、呼吸が荒くなると呼気からも多くの水分が失われていくのです。こうしたことから、水分補給を行わないと脱水症状に見舞われることが多いと言えます。ちなみに、山で脱水症状を引き起こすと一気に倦怠感・疲労感が増し、水を飲むのすらおっくうになるのだとか。そのため、より脱水症状が進行し、最後には歩けなくなってしまうこともあるようです。

 

◆小まめな水分補給だけでなく、体調管理は前日からスタート

さまざまなリスクを引き起こす運動中の脱水症状。これを防ぐためには、第一に小まめな水分補給が大切です。しかし、スポーツに熱中すると、それをついつい忘れてしまいがちになる可能性も十分にあるでしょう。そこで心がけていただきたいのが、前日の過ごし方です。

 

たとえば、ゴルフに泊まり込みで出かける場合、前日の晩は夜更かしをしながらお酒をたくさん飲む方も多いでしょう。そのせいで、次の日は睡眠不足に。さらにアルコールの利尿効果で脱水症状が起こりやすくなる可能性が高いです。

 

イラストその他、遠征でマラソン大会に参加される場合や、登山にでかける場合にも、睡眠不足には要注意。狭い車内での仮眠などは、十分な休息になりません。また、冷房のせいで発汗機能が崩れる可能性もあります。

 

2015年の夏は例年に比べて涼しい気候となる予報が出ていますが、だからと言って油断は禁物。ご自身に合わせた運動と、小まめな休憩・水分補給、そして前日の過ごし方に気をつけることで、脱水症状にならないよう気をつけましょう。

 

 

なかなか治まらない脚のむくみは病気の兆候?知っておきたいケアの方法(2015年6月)

イラスト脚がむくむ原因にはさまざまなものがあります。一般的には、同じ態勢を長く続けたり、疲れや睡眠不足が蓄積したり、その他加齢による筋力の低下などが挙げられます。とは言え、こうした要因による症状はあくまで一過性のもの。しばらくすれば自然と治まっていきます。

 

しかし、なかなか脚のむくみが治まらない場合には注意が必要です。もしかすると、重大な病気の兆候かもしれません。今回は、脚のむくみの原因となり得るさまざまな病気についてご紹介。併せて、普段から取り組みたい脚のむくみの予防・改善方法についてお伝えします。

 

◆脚のむくみ教えてくれる病気とは?

脚のむくみはさまざまな病気のサインである可能性があります。一過性のものであればほとんど問題ありませんが、いつまでも続くようでしたら一度病院で検査を受けるようにしましょう。

 

○肝臓と腎臓の病気

イラスト血液中に含まれるタンパク質のひとつに「アルプミン」という物質があります。これはアミノ酸などの栄養素を体に運ぶだけでなく、血液の浸透圧(血管に水分を取り込んだり排出したりする圧力)をコントロールしてくれる役割があります。アルプミンの量が低下すると、この浸透圧も一緒に低下してしまうため、水分がたまりやすくなるのです。

 

アルプミンの低下には肝臓や腎臓の障害が大きく関わっていると言われています。その症状を見つけるサインのひとつが脚のむくみと言われています。そのため、もしも脚のむくみがなかなか治まらないのであれば、一度検査を受けてみることをオススメします。

 

○心不全など

イラストつまでも治らない脚のむくみの原因には、心不全や下肢静脈瘤が関係している場合もあります。たとえば心不全は、心臓のポンプ的な働きが弱まってしまい、圧力が下がってしまった状態です。心臓から遠くに位置する脚の血行が悪くなり“むくむ”ということは、それだけ心臓の働きが低下している可能性が疑われる、ということです。その他にも、心不全の原因となる動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などが脚のむくみの原因となっている可能性もありますので、少しでも「おかしいな?」と感じたら、早めの受診を心がけましょう。

 

 

 

◆運動やマッサージでむくみを予防・解消

脚のむくみは基本的に一過性のものが多いですが、放置をすると免疫力低下につながる場合もあります。そのため、普段からしっかりと予防・解消を目指したケアを行うようにしましょう。

 

○適度な運動を心がけましょう

イラストむくみの原因はふくらはぎやももの筋肉が弱り、血液の流れが悪くなること。そのため、ウォーキングや散歩などをして、日頃から脚を鍛えるようにしましょう。

 

○積極的に階段を利用しましょう

疲れている時はついついエレベーターやエスカレーターを使いたくなってしまいますが、できれば階段を利用するよう心がけてみてください。階段の上り下りは脚の筋肉がしっかり使われますので、血の巡りを良くしてくれます。ただし、ひざ痛や腰痛がある人はできる範囲にとどめましょう。

 

○脚の先を意識的に動かしましょう

椅子に座った状態でかかとを上下させたり、かかとを床につけてつま先を上げたり伸ばしたりいった運動を行いましょう。脚の先の運動はふくらはぎの筋肉を動かし、血行をよくする効果があります。

 

○マッサージでむくみを解消しましょう

イラストリンパ液の流れ改善を目的としたマッサージも効果的です。この時に注意したいのは“揉む”のではなく“なでる”ように行うこと。ももの表側と裏側、足首からひざ、ふくらはぎからひざ裏、足首から脚の付け根といった部位を、上方向にそれぞれ10回ずつそっとなでてください。この時、床に座って脚を伸ばし、ひざを立てるとマッサージがしやすくなります。

 

脚のむくみというのはさまざまな病気の兆候である可能性があります。普段からケアをしつつ、それでも解消されない場合には一度病院で診てもらうことをお勧めします。健康的な毎日を送るために、ぜひ覚えておきましょう。

健康なランナーを目指そう(2015年3月)

イラスト

 

毎年、春を目前に行われる東京マラソン。参加する人も応援する人もこれほど楽しめる大会はないかもしれません。東京の街並みを普段とは違った目線でじっくり味わいながらのラン。こうした大会に参加して、もう二度と走りたくないと思う人と、初参加で病みつきになる人がいるといいます。今回参加した知人にその典型のような二人がいましたので、その顛末をご紹介しながら、ランニングで健康になる方法を考えてみましょう。

 

運の良いA氏、頑張り屋のBさん

A氏は、元水泳選手で水泳のコーチもしていたという颯爽としたスポーツマン。東京マラソンには過去に2回続けて当選したという幸運な男です。今回は残念ながら抽選にもれ、それまで行っていた練習のモチベーションが一気に下がってしまっていました。ある日、会社の上司との飲み会の席でその話しをすると、なんと会社の後押しでチャリティーランナーとして参加することになりました。どこまでも運の良い男です。

 

Bさんは、頑張り屋のキャリアウーマン。毎日早朝から猛勉強、仕事で使う資格取得を目指していました。その試験に合格したBさんは、空いてしまった早朝の時間を走ることにしました。それが昨年の8月。初めてのフルマラソンにチャレンジする半年前のこと。たまたまギリギリに申し込んだ東京マラソンにも当選してしまったのです。それまで、マラソンはおろか短い距離のレース経験もありません。早速、ランニングシューズを買い求めました。

 

まったく異なる練習法

イラストさて、この二人の練習内容は、まったく異なっています。A氏は、一般応募で落選してからしばらくの間、練習に気が乗らず、さらにチャリティー枠での出場が決まってからも年末年始に例年より多い宴会が重なり、思うように練習できない日々が続きました。過去に4時間を切ってフィニッシュした経験があるので、1月に入ってからの短期間のコンディショニングでも4時間程度で走れる自信があったのです。1月の中旬には、徐々にペースをあげて走れるようになりました。

 

一方のBさん。11月に20キロレースに出場して、1月には30キロレース。物事を計画通りに進めることが得意なBさんは、ランニングの大会でも着々と距離を伸ばし、それぞれ10キロを約1時間で走ることができました。初めてにしては出来過ぎの感がありますが、これには理由があります。友人から勧められた本で体幹トレーニングとストレッチがランのフォームを作る上で大切なことを知り、毎日欠かさず練習に取り入れました。アスリート専門のトレーナーの講習会にも参加し、さらに知識を深めました。

 

大会直前のアクシデント

イラストこうしてそれぞれ本番を一ヵ月後に控え、練習に気合いが入る日々を過ごしていました。ところが、二人とも身体に問題がおきてしまいました。

 

A氏は、1月の末にひどい風邪を引いて体調を崩してしまったのです。せっかく練習も調子に乗ってきて、これからさらにペースを上げようとしていた矢先です。

 

Bさんの方は、足に問題が起きました。左足の踵のあたりが毎朝痛むようになったのです。

 

 

A氏の場合

まず、A氏の方から体調を崩す原因になったことを推測してみましょう。彼は経験も自信もあったので、比較的短期間にコンディショニングをあげられると考えていました。ここ何年かマラソンに参加してきた練習の蓄積もあります。しかし、彼のようマラソンの経験があっても日頃コンスタントに走っているのでなければ、大会本番に向けて最低でも3ヵ月はかけて基礎的な代謝機能を高め、衰えている筋力などを強化する必要があります。しかし、大会まで時間がなかったために、実際のレースでの走行スピードをイメージしたトレーニングに集中することになったのです。キロ何分という設定で練習していました。こうした練習では、心肺機能は高まるのですが、基礎体力が落ちてしまうことがあります。

 

皆さんもご存知の有酸素運動レベルでは、体内の糖質と脂肪の燃焼割合は50%ずつです。ところが、比較的早いスピードでの練習をすると酸素摂取量を酸素消費量が上回り酸素不足になります。酸素不足では脂肪をエネルギーにすることができません。この状態での練習を続けると身体は次第に脂肪をスムーズに燃やせなくなってくると考えられるのです。脂肪が使えないとなると、エネルギーは糖質に依存することになります。しかし、糖質は脳で常に大量に使われる上、体内の備蓄が少ないので身体は常にエネルギー不足の状態になり、疲れやすくなってしまいます。

 

A氏が早いスピードの練習で調子が上がってきたと思ったところで、ひどい風邪を引いてしまったのはエネルギー不足で基礎体力を失い、免疫機能を低下させたのだと考えられるのです。

 

この事態を避けるには、どうしたら良いのでしょうか。一つの方法が、トレーニングに心拍計を使うこと。心拍計を使うと脂肪を燃焼するゾーンで練習するエアロビックトレーニングを確実に行うことができます。このエアロビックトレーニングで脂肪を燃焼するエアロビックシステムを身体の中にしっかりと構築した上で、スピードを上げるトレーニングをすれば、A氏のように体調を崩すことはなかったと思います。

 

こうしたアドバイスをしたところ、A氏は大会本番で心拍計を付けて走ることになりました。今回は準備不足でエアロビックシステムが強固でないため、心拍計を確認しながらエアロビックゾーンで走り終盤にエネルギーを温存すると良いということも伝えました。本番では、15キロ地点まではゆっくり走っていたのですが、その後体調が良いと感じて30キロあたりまでスピードを上げてしまったということでした。ここでエネルギーを使い果たしたA氏は、35キロ過ぎからは足も動かずとても辛い思いをしながら歩いてフィニッシュラインに辿り着いたということです。走り終わっての感想は「もう二度と走らない」でした。

 

Bさんの場合

一方Bさんの足はどうだったのでしょうか。朝起きると踵に痛みがあって歩いているうちに消えるということでしたので、初期の足底筋膜炎だと思われます。これは、足底の筋肉の膜に炎症が起きるものです。長距離を走るようになって半年近く経過し、疲労から足のアーチが落ちてしまったことが原因です。Bさんには、このアーチを作るために足の指で靴底を掴むようにして歩くこと、裸足でタオルの上に足を置き、足指でタオルをたぐり寄せる練習をするというアドバイスをしました。この訓練でアーチを高くするのです。この後、幸いなことにこのことでBさんの足の痛みはなくなったということでした。

 

さて、大会本番。Bさんは女性らしいコスチュームに可愛らしい縫いぐるみのキャラクターを冠って走っていました。大会参加者の中には、全身に映画のキャラクターの衣装で着込んでフルマラソンを走るという強者もいて、皆さんサービス精神満点です。

 

Bさんの腕には、最新型の脈拍計が付けられています。これは、胸にセンサーのベルトをつける形の「心拍計」ではなく、腕の血流をセンサーで測定するもの。気軽に付けられるという点に特徴があります。初めて一人で走るマラソンが不安だという彼女に、一緒に走ってくれるトレーナー役をこの脈拍計に託したのです。Bさんにもエアロビックゾーンで走れるよう目標にする心拍数の上限と下限を設定し、それぞれの心拍数を超えるとアラームが鳴るように設定しました。走っている間、このアラームの音に支えられてとても心強かったとBさん。見事に笑顔で初マラソンを完走しました。

 

エアロビックトレーニングの活用

イラスト大会の翌日、A氏とBさんに会いました。二人とも筋肉痛で階段の上り下りが辛いようです。A氏はレース直後に、もう二度と走りたくないと思ったが、時間が経つにつれて悔しさがこみ上げてきたと言います。もう一度、身体を作り直し、エアロビックシステムをきちんと構築してからレースに臨みたいとのこと。Bさんは、レース後もアミノ酸を摂ったりストレッチをしたりして身体のケアにも気をつけている様子。もう次のレースをどこにしようかと目を輝かせていました。

 

マラソンを趣味にしている人、これから参加しようという人はたくさんいます。楽しくフィニッシュするには、どうしたら良いかもうお分かりでしょう。本格的に走り出す前にエアロビックゾーンでの練習をじっくりと行い、脂肪を燃やしながら走れる身体を作ることが大切です。体脂肪の燃える身体にすれば、自然に普通体型になりますので無理なダイエットをする必要はありませんね。

ダイエットに失敗する原因は?(2015年2月)

 

イラスト友人のジャーナリストを仮にAさんと呼びます。彼は、スポーツ系に強いライターでよくトレーニング関連の本を制作するために、その道のプロであるトレーナーや大学の先生に取材に行きます。そこでAさんは、よくこのように言われたそうです。「君はよく“筋トレでダイエット”とか、“美しく柔軟な身体を目指すトレーニング”などをテーマに本を作っているが、自分自身の身体の管理ができないと、説得力がないのでは?」

 

Aさんは高校時代アマチュアレスリングの選手だったので筋肉質の理想的な体格でした。ところが、その後の不規則なライター稼業でかなり贅肉を蓄えていたのです。このAさんに久しぶりに会うと、別人に見える程激変していました。まるで枯れ木が立っているかのように痩せ細っていたのです。いったいAさんに何があったのでしょう。

 

今回は、短期間でのダイエットについて、身近な例からご紹介しましょう。

 

急激なダイエット

Aさんが、行ったのは極端な食事制限でした。もともとアマチュアレスリングの選手だったので、当時行った方法で体重を減らそうとしたのです。レスリングの選手は、試合に出場するためには階級に合わせて身体を作る必要があります。できるだけ軽いクラスで戦った方が基本的に有利なので、試合前は減量ということになります。この当時の減量は、飲む水まで制限される過酷なものだったといいます。皆さんもボクサーの減量の様子をご存知でしょう。前の試合が終わってから増えてしまった体重を、指定された計量日までにどのようなことをしても落とすという過酷な世界です。

 

現代のボクサーは、管理栄養士の指導のもとに、減量しながらも必要な栄養を摂れるように配慮された食事をするということが、試合で勝利するためにも大切な条件となっているようです。しかし、昔の体重別の競技ではそうした恵まれた環境にいる選手は少なかったのです。日々、練習量を増やしながら食べ物を削っていき、水分まで制限していました。

 

イラストAさんは、どうやらこの高校時代の減量を一念発起でまた行ってしまったようなのです。しかも、トレーニングは一切せずに、食事制限だけの減量。甘いもの、ごはんやパンなどの炭水化物は一切摂らないというものです。

 

確かに体重は減りましたが、見た目は痩せたというよりやつれた感じになりました。歯の噛み合わせまで悪くなったと本人が言うように、会話していても言葉が聞き取りにくくなってしまいました。顔色が悪いのと皺(しわ)が深くなったことで、実年齢以上に一気に老けてしまった印象でした。

 

こうした極端なダイエットは、リバウンドという避け難い事態の他に、様々な問題を引き起こします。

 

ダイエット臭

前記にあげたような、老け顔になってしまうという点、この原因は栄養不足になった身体が、体内に蓄えられた脂肪だけでなく筋肉も分解してしまい、表情筋などもその対象になるということが考えられます。

 

さらに、他人に悪い印象を持たれてしまうのが、ダイエット臭と言われる独特の甘酸っぱい体臭や口臭です。これは、エネルギー不足になった脳が、食事で入ってこないエネルギーの代わりに非常用のエネルギー源として作るように肝臓に命じた「ケトン体」によるものです。このとき、肝臓で作られるアセトン・アセトン酢酸・βーヒドロキシ酪酸の総称が「ケトン体」と呼ばれるもので、糖尿病などと同じ臭いが発生することがあるのです。「ケトン体」が血液中に増加すると口臭としても放出されます。

 

さらに、空腹感が唾液の分泌を低下させ、唾液によってコントロールされている口内環境も悪化してさらに強い口臭を生んでしまいます。

 

このダイエット臭が、はっきり認識されるような飢餓状態を放っておくと、自律神経系やホルモンバランスを崩し、身体に様々な問題が起きてきます。

 

イラストダイエット臭を改善するためには、まず脳に必要な栄養素である糖分を送るために、炭水化物を摂る必要があります。タンパク質、脂質ももちろんバランス良く摂らなければなりません。さらにエネルギーの枯渇に対応して身体の基礎代謝が落ちていますので、これを上げるために有酸素運動を取り入れます。ウォーキングや軽いジョギング、ゆっくりとした水泳など、あまり心拍数が上がらない運動を継続的に行うことが重要です。

 

さらに筋肉トレーニングで筋肉量を増やすことも基礎代謝を高める効果があります。

 

健康的な生活を送るための「体力」の喪失

食事制限による極端なダイエットで、失われるのは筋肉や若さだけではありません。前向きに仕事や人生を楽しむための「体力」が失われてしまうのです。

 

「体力」は、病気やストレスに打ち勝つための「防衛体力」。運動に必要な「行動体力」という概念に分けることができますが、そのどちらも損なわれてしまい、生活そのものから潤いや喜びを失ってしまいます。

 

この「体力」という言葉にまとめられる「防衛体力」、「行動体力」を分かりやすく説明すると以下のようになります。

 

○「防衛体力」

  •  免疫力(病原菌などに対する抵抗力)
  •  環境変化に対する抵抗力(暑さや寒さに対する抵抗力)
  •  生理的変化に対する抵抗力(時差や、運動時の身体の変化に対する抵抗力)
  •  精神的ストレスに対する抵抗力

 

○「行動体力」

  •  筋力(重いものを持ち上げたりする能力)
  •  筋持久力(持続的に力を使う能力)
  •  瞬発力(瞬発的に力を発揮する能力)
  •  全身持久力(ランニングなどで使う全身の持続力)
  •  柔軟性
  •  俊敏性
  •  平衡性(片足でバランスをとって立ち続ける能力)

 

こうした「体力」は、何歳になっても人が健康に生きていく上でなくてはならないものです。従って、食事制限による極端なダイエットは、リスクが大きいので避けるべきだということになります。

 

背広を着た縄文人

ある大学の先生が、『現代人は「背広を着た縄文人」である。』ということを本に書いておられました。この考え方に基づけば、現代の生活を営む我々が、なぜ肥満に苦しむことになったのか、明解に説明できます。

 

人類が誕生してから、現在まで経過した時間を仮に1年、12ヵ月に置き換えてみたとします。現代の便利な生活、このパソコンや、電話などの情報機器に囲まれ、コンビニなどで24時間いつでも食べたいものを手に入れられる生活を、人類が誕生してからどのくらいの月日にあたるか、想像してみてください。

 

秋ぐらいでしょうか。いやもう少し後、12月の何日かというイメージをもたれる方もいることでしょう。正解は、12月31日の午後11時50分。人類誕生から今までを1年に換算すると、現代はこの最後の10分間にあたるというのです。人類はそれまで、11ヵ月30日と23時間50分は、便利な文明機器も持たず、飽食の時代もなかったわけです。

 

イラスト従って私達の身体は、飢餓に耐え、外的の襲撃からも身を守るという環境に適応したまま、いわゆる背広を着ていても、中身は縄文人と同じというわけです。豊富な食べ物、特に甘いもの、塩、高温で調理した食べ物などがいつでもあるという生活ではなかったわけですから、こうした環境にまだ適応できていないため、肥満になってしまうわけです。

 

健康的な生活、生き生きとした人生を歩むために最も大切なのは、何かということ。それは、この説に照らしてみれば明らかです。中身は縄文人の我々は、飽食に走らず、外的に襲われたり、狩猟の必要がなくても毎日歩いたり、軽いジョギングや水泳をする。重いものを持つ必要がなくても筋肉に刺激を与え、筋力を保つ。食べ物は、四季の恵みを大切にし、旬でないもの、高温の油で調理したものなどは、あまり大量に摂らない。

 

便利な文明社会にあっても、身体は縄文人と同じ環境に適応している生き物であるという自覚。そういったことが大切なのではないでしょうか。

 

 

姿勢年齢を若く保つ(2014年12月)

 

図 先日なにげなくテレビをつけたところ、とても姿勢の良い初老の男性がでてきました。別に芸能人でもなければ、体操の先生でもないようです。しかし、その姿勢の良さが生み出す雰囲気がとても若々しく、歌声もなかなか素敵で、実際の年齢を聞いてたいへん驚きました。「姿勢年齢」という言い方があるとすれば、その若さを保つということは大切なことでしょう。今月は、その方法についてご紹介しましょう。

 

良い姿勢はなぜ大切か

 地球上に生息する我々は、常に重力によって地面に向かって押さえつけられています。普段は意識しないことですが、長いこと風邪等で寝込んだ後に起き上がると重力に逆らって立ち上がることがとても辛く感じられたりします。この重力に逆らって身体を支えている筋肉を抗重力筋と呼ぶこともあります。この抗重力筋は、日常生活を送る上で常に活躍を強いられているのですが、姿勢が悪いとさらに負担が増え疲労やコリの原因にもなってしまいます。そのため慢性的な腰痛や肩こり、頭痛などの症状が、悪い姿勢と相関関係にあると言われます。
図 肩こりを例にあげれば、約5kgもある頭部を首と肩甲骨周辺の筋肉が抗重力筋として支えているということがそもそもの出発点です。通常は、脊柱の自然なS字カーブで頭部の重みを上手に分散して支えていますが、姿勢が悪いと頭部の重さは、脊柱の上に上手く乗らずに首と肩の筋肉で主に支えることになります。5kgの重さというと2ℓ入りのペットボトルを2.5本分。片手で持ったら5分もしないうちに下に置きたくなる重さです。
 さらに首と肩の筋肉は腕の重さも支えているというのをご存知ですか? 腕は肩の関節で身体に繋がっているというイメージを持つのが当然ですが、実は肩の筋肉が身体に繋ぎ止めているのです。その証拠に腕を大きく動かすと肩も一緒に動くはずです。この腕が一本で約3.5kg。2本で7kg。頭部と合わせると10kg以上の重さが常に首と肩周りにかかっているということになります。
 つまり人類は、二本足で歩き始めたときから良い姿勢で立つということが宿命づけられているということになります。

 

自然体の作り方

 自然体は、最近大ブームのスポーツでも取り入れられています。ランニングがそうです。今や1000万人とも言われるランニングブームも、最終的に良い姿勢で走るということに行き着きます。なぜなら、42kmを走るマラソンでは何より脚や腰、膝などの一部の筋肉や関節に過度の負担をかけないことが大切だからです。このマラソンのフォーム作りでも取り入れられている方法を紹介します。
 1.真っすぐだと思われる姿勢で立ちます。
 2.そのままの姿勢で軽く膝を曲げ、真っすぐ上に軽くジャンプします。
 3.それを2~3回繰り返し、真っすぐに着地するようにイメージします。
 このジャンプで、頭部が脊柱に真っすぐに乗ります。ランニングでは、この姿勢のまま走り出すことで、自然体でのランニングフォームを作って行きます。
 全身の映る鏡の前で、身体の側面を鏡に映してジャンプしてみてください。着地して自然に立った時、耳、腰の骨、くるぶしの3点が一つの軸上にあればこれが「自然体」です。
 もう一つの確認の仕方が、壁を利用する方法です。あごを引いた状態、つまり首の後ろを十分に伸ばして後頭部と背中とお尻、ふくらはぎ、踵を壁に付けて立ちます。自然体で立てれば無理なく全てが壁につきます。

 

椅子に座って良い姿勢を保つには

図 デスクワークの長い人は、1時間に一度ぐらいは立ち上がって自然体で少しでも歩くようにしましょう。また、良い姿勢で座るということも大切です。椅子に座った良い姿勢というのは、背もたれとの間に隙間を作らないように深く腰掛け、骨盤の下にある座骨で椅子に座りこの座骨の上に骨盤から脊柱を真っすぐに乗せます。腰を引かずにやや骨盤を前傾させるようなイメージで椅子に深く座ればこの姿勢になります。

 

正しい歩き方は、正しい姿勢から

図 健康のためにウォーキングを始めても長続きしないという人は、姿勢と歩き方に問題があるかもしれません。特に、歩くための筋力をアップしようと、足腰の筋肉を意識して早歩きしようとすると、すぐに疲れてしまいます。最悪の場合、筋肉がコリ固まりケガをしてしまうこともあります。
 まず、先に紹介したように自然体で立ちそこから歩き始めます。歩くときは、筋肉の力ではなく、重心を前に倒し、重心が移動する力で歩くようにします。

 具体的には、以下のようにします。
 1.まず自然体を上の「自然体の作り方」の方法で作ります。
 2.身体を一本の棒としてイメージします。
 3.この棒が前に倒れるイメージで身体を前に倒すと、身体の真下に一歩前に足がでます。
 4.この自然に前に出た足に重心を乗せる動きの繰り返しで歩きます。
 こうすると、筋肉の力に頼らずにある程度の距離をラクに歩くことができます。心拍数も上がりすぎない運動強度で歩くことができるので、身体の様々な機能が改善され、健康の維持にもつながります。

 

 良い姿勢は、若々しく見えるだけでなく身体を本質的に若々しくしてくれるのです。自然体を身につけ、いつまでも若さを保ち、生き生きと充実した日々を過ごしましょう。