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まめ知識カテゴリ: 肌・日差し

痛い、かゆい…冬場の悩み「しもやけ」対策(2010年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
痛い、かゆい…冬場の悩み「しもやけ」対策
 朝晩の冷え込みだけでなく、昼間の空気も冷たくなりすっかり冬模様になりました。指先がかじかんだり、足がしびれたり、身体の先端は特に寒さを感じやすい場所です。今回は、そんな場所に起こりやすい「しもやけ」についてのお話です。ひどくなると赤く腫れあがり、日常生活にも影響をきたすことがあるので、予防策をしっかり頭に入れて、しもやけ対策をしてください。
 
     

 

しもやけとは
 

 「しもやけ」は、主に冬におこる皮膚のトラブルで、手や指先、鼻、耳、足や足先に、かゆみや痛み等の炎症がおこるものです。最近では建物の気密性が高まったり、暖房設備が整ってきるので、昔に比べると少なくなっていますが、まだまだ冬になるとしもやけになってしまう人も多いようです。同じ環境下でもしもやけになる人とならない人がいるのは体質の違いですが、一般的に冷え性の人や貧血もちの人は血液循環が悪く、しもやけになりやすいと言われています。

しもやけ
   
しもやけの原因
 

 しもやけになりやすい人は、体質や遺伝も関係していると言われますが、一番の原因は気温が下がって血の流れが悪くなることにあります。手の指先や足のつま先など、血管が細い場所は特に、血流が悪くなりやすいため炎症が起こりしもやけになりやすいのです。温まるとしもやけがかゆくなるのは、血流の悪くなったしもやけの部分に急に血液が流れるためだと考えられています。

また、気温だけでなく湿度も関係すると言われ、昼と夜の気温差が激しく、さらに湿気が多い環境下で起こりやすいと言われています。さらに栄養不足、特にビタミンEの不足が大きく影響するようです。

   
しもやけの症状
 

 先にも紹介したように、しもやけは皮膚のトラブルで、患部にかゆみや痛み等の炎症が起こります。その重度にも個人差がありますが、最初はかゆみや軽度の腫れから始まり、ひどくなるにつれて腫れが赤く広範囲になり、さらに悪化すると腫れた皮膚が硬くなり、かさぶたやあかぎれ、ただれなどができてしまうこともあります。こうなると痛みやかゆみも耐え切れない程になってしまうので、早めの対策と治療を心がけましょう。

   
しもやけを防ぐには
 
手袋や靴下、帽子、耳あてなどで防寒対策をする
 

しもやけになりやすい指先や耳などは、なるべく冷たい空気に触れないようカバーしてあげましょう。

帽子と手袋
窮屈な靴や衣服は避ける
 

足元は元々血液の流れにくいものなので、窮屈な靴は更に血行を悪くしてしまいます。

濡れた手足はよく拭く
 

皮膚が濡れていると、表面温度が下がってしもやけになりやすくなります。ブーツは特にむれやすく、手袋をした指先もむれたり汗をかいていることがあるので注意しましょう。

水仕事にはゴム手袋を
 

食器洗いなどの水仕事は、長時間水に触れているので皮膚が乾燥する暇がなく、しもやけになったりしもやけを悪化させる原因となります。また、洗剤やお湯を使うと皮膚の油分がなくなり荒れやすくなるので、面倒でもゴム手袋をつけるようにしましょう。

お風呂でマッサージする
 

しもやけの最大の原因は血行不良なので、血液の流れを良くするためのマッサージも効果的です。入浴時や入浴後に、ふくらはぎから足先、二の腕から指先にかけて、なでるようにマッサージしてあげましょう。

お風呂でマッサージ
食事・栄養管理に注意する
 

身体を冷やすジュースや生野菜などの摂り過ぎに気をつけ、身体を温めてくれる鍋物や煮物などの温野菜、ビタミンEを多く含むバナナやアボカドなどの食品を積極的に摂りましょう。

 
 
しもやけの辛さは、なった人にしか分からないものです。自分で予防できない子どもや赤ちゃんには、ご家族が気をつけてあげましょう。特に赤ちゃんは汗をかきやすく、その汗が冷えてしもやけになりやすいものです。こまめに汗をふき、下着や靴下を取り替えてあげるようにしてください。大人も子どもも、身体の冷えを防ぐこと、そして栄養管理と体調管理が一番の予防策です。

 

 

蒸し暑い季節、「あせも」に気をつけよう!(2010年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
蒸し暑い季節、「あせも」に気をつけよう!
 梅雨に入り、ますます湿度が高く蒸し暑い季節になりました。地域によっては真夏日を記録したところもあり、早くも夏バテを経験している方もいるのではないでしょうか。さて、蒸し暑い夏にはどうしても「汗」をかくもの。ただでさえ不快指数の高い季節に汗でじっとりするのは気持ちの良いものではありませんが、発汗は体温調節に欠かせない働きです。今回は、この「汗」が原因で起こる「汗疹(あせも)」についてお話します。
 
     

 

あせもとは
 

 
あせもは、汗を多量にかいたあとに現れる皮膚トラブルのひとつで、汗管(汗のでる管)にかき過ぎた汗とほこりなどが詰まり、汗がきちんと出ないために軽い炎症を起こしたもの。主に小児が発祥することが多く、これは子供が大人と比べて汗をかきやすいことと、汗を出す能力(コントロールする機能)が未発達なためと言われています。また、大人でも発熱性疾患や多汗症の人、厨房や工場内など長時間高温になる環境で働いている人が発症することもあり、冬場でも暖房や厚着などで汗を多量にかくと起こることがあります。

あせも
<あせもの種類と特徴>
水晶様(すいしょうよう)汗疹
  皮膚表面の角層で汗管がふさがり、直径1~3mm程度の小さな水疱(すいほう)が多発しますが、かゆみや痛みなどの症状は特にありません。
紅色(こうしょく)汗疹
  表皮有棘層(ひょうひゆうきょくそう)で汗管がふさがることで起こり、赤い丘疹(きゅうしん)が多発し、軽いかゆみやチクチクした軽い痛みを伴うことがあります。
深在性(しんざいせい)汗疹
  真皮内で汗管がふさがってしまうのが原因で起こり、熱帯地方や高温の環境で長時間作業に従事している人のように、繰り返し高温にさらされると現れます。深在性汗疹の発疹がある部位では汗が出なくなります。
 
あせもの治療について
 

 
あせもの初診は、なるべく皮膚科や皮膚泌尿器科にかかりましょう。水晶様汗疹の場合は特別な治療を行わなくても自然に治ることが多く、紅色汗疹はステロイドクリームの外用のみの治療が、深在性汗疹の場合も高温多湿の環境を避けて自然治癒を待つことがほとんどです。

ただし、かゆみのために掻きすぎてしまうと、化膿菌の感染を受けると「あせものより」と呼ばれる汗腺膿瘍を起こしてしまうこともあります。このように汗疹に細菌感染が加わっている場合は、抗菌薬の感受性検査や組織検査を行い、抗生剤の全身投与や膿を切開して取り除く治療が必要になるケースもあります。

あせもの治療
   
あせもは予防が大切
 

 
あせもは、基本的に症状の軽いものは汗をよくふき取った上で少量のベビーパウダーを使うだけで治りますが、治療について知るよりも、まずは予防を意識しましょう。そのためには、何よりも「汗をかき過ぎない」環境づくりが一番です。厚着をし過ぎないように気をつけ、肌にあたる衣類は汗を吸いやすい素材のもので、皮膚との摩擦が起こりにくい柔らかい生地のものを選ぶようにしましょう。

また、皮膚を清潔に保つのも大切なポイントなので、汗をかいたらこまめにふきとるようにし、可能であれば早めにシャワーを浴びて汗を洗い流しましょう。すでにあせもができている場合の入浴は、患部への刺激を抑えるために、ごしごし洗わないようにし、泡立てた石鹸を手につけてやさしく洗い、ぬるめのお湯を使うと良いでしょう。

汗をかきやすく、自分で室内温度の調整などを行えない小児に対しては特に注意が必要です。上記の予防に加え、就寝時には汗をかきやすい首の後ろに水枕をあてるなどの工夫をするとより効果的です。

あせも予防
   
 
あせもが起こる原因は「汗」ですが、汗をかかないよう冷房の効いた部屋でずっと過ごしていると、体温の調節を行う自律神経に支障をきたしてしまうこともありますし、やはり「夏は汗をかく」という前提での対策が自然な考え。汗をかいたまま放っておくのは気分的にも気持ちの良いものではないので、普段から涼しく清潔な衣類を身につけ、汗をかいたら早めにシャワーを浴びて着替えるようにして気持ちよく過ごしましょう!

 

 

身近な危険「やけど」の予防と応急手当について(2009年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
身近な危険「やけど」の予防と応急手当について
 早いもので、今年も残すところあと1ヶ月になりました。大掃除など新年を迎える準備に追われ、何かと慌しいこの時期は、注意力も散漫になってしまいがちです。最近でも、電子レンジで加熱するタイプの湯たんぽが破裂する事故が話題となりましたが、やけどは冬場の家庭で起こりやすい事故のひとつ。今回は、やけどの危険を取り除く「予防」と、やけどしてしまった場合の「応急処置」についてお話します。
 
     

 

やけど(火傷・熱傷)とは
 
 やけどとは皮膚に高温が作用したために起こる傷害のこと。皮膚症状が中心ですが、やけどを受けた面積が広ければさまざまな全身症状があらわれることもあり、炎によるものは、熱湯によるものと比べて重症となることが多いとされています。

やけどの範囲が狭く、軽度のものであれば皮膚症状(赤くなったり・はれたり・痛み)のみで数日で治りますが、範囲が広く深いものでは皮膚症状のほかに、血圧の低下やショック状態などのさまざまな全身症状が現れます。やけどの程度は熱の温度と皮膚に作用する時間によって決まり、受傷の深さによってⅠ度からⅢ度までに区分されています。

ちなみに、生命の危険度(重症度)は受傷面積とその深さによって決まり、

成人では受傷面積が体表面積の40%以上で生命の危機、20%以上でショックをおこす危険がある。
乳幼児や老人では30%以上で生命の危機、10%以上でショックをおこす恐れがある。

とされています。体表面積の1%の目安は人の手のひら1つ分ですが、乳幼児の体表面積の10%は大人の手のひらの2つ分に相当するため、特に注意が必要です。

 

やけどを予防するには
   まず第一に、熱を発するものに触れないよう気をつけることが大切です。小さな子供のいる家庭では特に、やかんやポット、使用中のアイロンなどの置き場所には十分注意をしましょう。最近はストーブなどの暖房器具の全体が熱くなることは少なくなりましたが、吹き出し口の近くは高温になることもあるので、うっかり触れないようゲージを設置するなどの対策をしておきましょう。また、ストーブなどの温風や、ホットカーペットの熱を長時間同じ箇所に当て続けていると「低温やけど」の原因にもなります。

その他、炊飯器の蒸気や鍋の蓋など見落としがちな熱源や、熱いお風呂など、意外な場所にもやけどの危険は潜んでいます。

 
やけどの応急処置
 
 やけどを負ってしまった場合は、とにかく早めに冷やすことが大切です。高温のものに触れたときは直接流水で5分以上(直接流水をあてられないときは氷嚢などを使う)、目安としては痛みを感じなくなるまで冷やします。衣服の上から熱湯をかぶってしまった場合は、服や下着、靴下、オムツなど直接皮膚に触れているものは脱がせずに、衣服の上からシャワーなどの流水で冷やすようにしましょう。慌てて脱がせると水泡がつぶれたり、場合によっては皮膚がむけてしまう危険があります。

赤みやヒリヒリ感が数時間で治まる軽度のやけどは問題ありませんが、範囲や広いやけどや深度の深いやけどは、感染を起こしたり跡が残ってしまったりする恐れがあります。やけどは受傷直後の応急処置がもっとも重要で、初期治療が遅れるとキズは深くなり、治療期間も長くかかることになるので、あきらかに軽度のやけど以外は早急に医師の診断を受けましょう。軽度のやけどに見えても、数時間後に水泡ができた場合は、破れて感染を起こす恐れがあるため念のため受診してください。また、口や鼻の周りのやけどは、表面からは見えなくても熱いものを吸い込んで内部にやけどを負っていることもあるので注意が必要です。

 

   熱い味噌汁やコーヒーをうっかりこぼしてしまったり、調理中や調理直後の熱い鍋やフライパンなどに触れてしまったり、ちょっとした不注意で起こるのがやけどの事故。普段から注意するとともに、大掃除の機会にもう一度家庭内に危険がないかどうか見渡してみてください。

 

 

正しく使おう、日焼け止め(2009年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
正しく使おう、日焼け止め
  海開きも済み、子供たちはいよいよ夏休みに突入しました。海やプール、炎天下で長時間遊ぶ機会も増え、皮膚ガンや肌の老化の原因となる紫外線の影響が気になる季節です。女性は特に、日焼けしないよう普段から気をつけている方が多いものですが、子供や男性にとっても過度の日焼けは考え物。真っ黒に焼けた肌は元気で健康なイメージではありますが、身体への影響を考えて、日焼け止めを上手に使う習慣をつけましょう。
 
     

 

日焼け止めの種類
 
 ドラッグストアなどへ行くと、実にたくさんの種類の日焼け止め剤が並んでいます。紫外線が肌に浸透するのを防いでくれる日焼け止め剤ですが、肌に直接塗るものなので、メーカーや価格だけでなく、成分や肌との相性を考えて選びましょう。
SPF値とは
  日焼け止めには、その性能を表すためにSun Protection Factor(サン プロテクション ファクター)という値が用いられています。このSPF値は紫外線B波(UV-B)を防ぐ力を示しており、何も塗らない状態と比べてサンバーン(皮膚が赤くなってヒリヒリする状態)が始まるまでの時間を何倍に延ばすことができるか、ということの目安です。例えば、「SPF2」と表示してあれば、サンバーンが始まる時間を約2倍に延ばすことができるという意味です。ちなみに、個人差はありますが、成人が夏の日差しの下にいた場合、サンバーンを起こすほどの紫外線を浴びるには約20分かかるといわれています。ただし、一般的にSPF値が高いほど肌への負担が増え、通常の洗顔剤やボディソープでは落としにくくなるので、お天気や時間帯、用途によって使い分けましょう。
PA値とは
  PAとはProtection Grade of UVA(プロテクション グレイド オブ UVA)の略で、UV-A防御指数とも言われます。

これはUV-Aに対する効果を表しており、SPFは肌が赤くなるのを防ぐのに対し、PAは皮膚の黒化を防ぎます。PAは、効果によって次の3段階に分けて表示されています。

○PA+ :PFA2以上4未満・UV-A防御効果がある。

○PA++ :PFA4以上8未満・UV-A防御効果がかなりある。

○PA+++:PFA8以上・UV-A防御効果が非常にある。

また、PA値もSPF値と同じように、数値が高いほど肌への負担や落ちにくさが増します。

 

日焼け止めの成分と選び方
 
 日焼け止め剤には、紫外線防止剤という成分が含まれていますが、紫外線の一部を吸収する「吸収剤」と紫外線を反射する「散乱剤」の2種類があり、これらを単独、もしくは組み合わせて用いられます。
紫外線吸収剤とは
  紫外線吸収剤は、紫外線吸収剤が紫外線を吸収し、熱エネルギーに変えることで、肌への浸透を防ぐというものです。熱エネルギーに変えるという化学変化を起こすことで皮膚への浸透を防いでいるため、肌への負担にもなります。また、紫外線を吸収することにより酸化による肌への影響が高いため、使用頻度が高くなると肌のもつ基礎体力を損なっていきます。ちなみに、紫外線吸収剤はSPFやPAの高い日焼け止めに多く使用されているため、日焼けに対しては非常に有効ですが、長時間使用することで紫外線吸収剤が肌へ与える影響も大きくなります。
紫外線散乱剤とは
  紫外線散乱剤は、 紫外線散乱剤が肌を覆い、紫外線を反射して日焼けを防ぐものです。主な成分は酸化チタン、酸化亜鉛で、紫外線吸収剤に比べて肌への負担が少ないのが特徴です。SPFやPAの低い日焼け止めは、紫外線吸収剤を控えて主に紫外線散乱剤で構成されているものが多いため、ちょっとした買い物や子供の送り迎え、洗濯物を干したりする程度なら、紫外線吸収剤が少ないものや含まれていないSPFやPAの低い日焼け止めを利用することで肌への負担を考慮した日焼け対策ができます。
   
日焼け止めの上手な使い方
 
パッチテストをする
  日焼け止めは紫外線から肌を守るメリットを持つと同時に、その成分によって肌を傷めるデメリットも持っています。肌質や体質によっては炎症等を起こしてしまう場合もあるので、使用前にパッチテストを行うことをおススメします。テストの方法は、皮膚の内側などの目立たない部分に少量の日焼け止め剤を塗り、かゆみやほてりなどが起こらないかチェックします。なるべく使用する2日前までに行っておきましょう。
適量を塗り、こまめに塗りなおす
  ほとんどの日焼け止め剤は塗ると肌に白く残ってしまいますが、白浮きが嫌で薄くのばしてしまうと十分な効果が得られなくなります。SPFとPAの値は、日焼け止め剤を1平方センチあたり2ミリグラムずつ塗った状態を基準にしているため、白く残るのが適量なのです。また、汗などで落ちてしまうため、2~3時間おきに塗りなおし、水遊びをした後にも塗りなおすようにしましょう。ウォータープルーフのものも、皮脂が混じると落ちやすくなるため、一度塗っただけで安心するのは禁物です。
日焼け止め+αの紫外線対策を
  肌のことも考えると、日焼け止めをたっぷり塗るより帽子や日傘を併用した紫外線対策が安心。帽子はつばの広いものを選び、衣服は紫外線をカットしやすい羊毛やポリエステル素材のもので、黒くて肌の露出の低いものがベストです。
日焼け後のアフターケアと洗浄をしっかりと
  いくら日焼け対策をしても、紫外線を完全に防ぐことはできません。焼けてきたと感じたら、すぐに冷水で冷やすなどしてお肌をクールダウンしましょう。帰宅後はローションやパックでの水分補給と保湿も、シミやしわ、肌の老化を防ぐために効果的です。また、肌に残った日焼け止め剤をしっかり落とすのも忘れずに!SPFやPA値の強いもの、ウォータープルーフなど“落ちにくい”タイプのものには専用のクレンジングもあります。
 
 母子手帳からも「日光浴」という言葉が消え、日焼けは身体に害を及ぼすというイメージがすっかり定着してしまいました。とは言え、一日中紫外線の届かない室内で過ごすより、やはり太陽のもとで身体を動かすほうが、身体にも心にも健康的。日焼けと上手に付き合って、楽しく夏を過ごしましょう。

 

 

ベトベト汗を防いで、夏をサラッと快適に!(2009年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
ベトベト汗を防いで、夏をサラッと快適に!
  梅雨があければ、いよいよ夏本番。夏休みを楽しみにしている子供たちのために、レジャーの計画をたてているご家庭も多いのではないでしょうか。たくさんの人で賑わう観光地や電車の中、ショッピングセンターなど、むっとする人いきれの中に出かけると、汗や体臭が気になるもの。夏に汗をかくのは当然の生理現象ですが、実はこの汗も健康のバロメーターなんです。生活習慣の改善で、さらっとしてにおいのない、快適な汗をかける身体づくりを目指しましょう。
 
     

 

汗の種類とメカニズム
 
 汗はベタベタしてくさいもの、というイメージがありますが、体質や生活習慣によってそのベタつき具合やにおいが異なります。そもそも汗は体内にたまった熱を放出するためにかくもので、汗を分泌する「汗腺(かんせん)」にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があります。
エクリン腺
  運動をしたり暑いときにかく汗がでるところで、全身に約230万本あると言われています。体外へ熱を放出する大切な役割を担っており、基本的にこの汗腺から出る汗はさらさらしていてにおいもほとんどありません。
アポクリン腺
  脇の下、陰部、乳首やおへその周り、耳の中など特定の部位にある汗腺。ここから出る汗は、脂肪、鉄分、尿素などの成分を含み、乳白色で独特の臭気があります。わきがの主な原因となるのはここから出る汗で、この汗腺が大きかったり多かったりすると起こりやすくなります。

 

あなたの汗はどのタイプ?
   通常全身のエクリン腺からかく汗はさらさらしてにおいも少ないものですが、エアコンに頼りすぎた生活や運動不足などで汗腺の機能が鈍ると、ベタベタした汗をかくようになります。また、汗に含まれている成分によって皮膚の常在菌が繁殖することで、いやなにおいが発生することも。まずは以下のチェック項目から、ベタベタ汗の危険度をチェックしてみましょう。

<ベタベタ汗診断>

入浴はシャワーですますことが多い
運動はほとんどしない
室内ではいつもクーラーをかけている
汗をかいてもそのままにしている
耳垢が湿っている
便秘がち、あるいはくさいおならがよく出る
食事は肉が中心で野菜はあまり食べない
ストレスがたまりやすい、いつもイライラしている
煙草を吸う
お酒が好き

6個以上の項目に当てはまる方は、ベタベタ汗の持ち主、あるいは予備軍の可能性大です。ベタつきやにおいの少ない快適な汗をかけるよう、生活習慣の改善を心がけましょう。

   
生活習慣改善のポイント
 
1. ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、湯上りのクーラーは控える。
  汗腺の機能を回復するためには、「ゆっくり汗をかく」ことが大切。岩盤浴もおススメです。
2. 水分補給と有酸素運動を心がける。
基礎代謝が高まると、血液だけでなく汗もサラサラしてきます。水分補給とともにミネラルの摂取も心がけて。
3. エアコンに頼り過ぎない。
冷房の効いた部屋と蒸し暑い屋外への行き来を繰り返すと、汗腺や脳に変調が起き、ベタベタ汗の原因になってしまいます。
4. 食生活を見直し、腸も健康に。
肉をはじめとする高タンパクな食事を減らし、食物繊維や発酵食品を積極的に摂りましょう。
5. ストレスをためないよう、上手に気分転換を。
ストレスによって交感神経が緊張すると汗をかきやすくなり、におい物質を発生させる原因にもなります。
6. お酒・煙草は控えめに。
お酒を飲む量や回数が多いと肝機能が低下し、血中の遊離脂肪酸濃度が高まりくさい汗の原因に。また、煙草に含まれるにおい物質もくさい汗の原因となります。
 
 このように、健康的な生活、バランスのとれた食生活を送っている人ほど汗のべたつきやにおいが気にならない、サラサラ汗をかけるようになると言えます。もちろん体質など個人差があるので一概には言えませんが、ベトベト汗やにおいの強い汗が気になる場合は、生活習慣や食生活を見直して、快適な汗をかけるよう心がけましょう!

 

 

素肌美人を目指せ!春の肌トラブル対策(2009年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
素肌美人を目指せ!春の肌トラブル対策
  桜の花が咲き始め、季節は春を迎えました。入学や入社など、新生活がスタートする4月ですが、「春一番」に代表されるように風の強い春は、実はお肌のトラブルが起こりやすい季節。新しい生活の始まりに心躍らせる時期に、肌の悩みを抱えていては楽しい気持ちも半減してしまいます。正しい対処法を知り、美しい肌で自信を持って新生活に臨みましょう。
 
     

 

春に肌トラブルが起こりやすい理由
 
元々季節の変わり目は、気候の変化やホルモンバランスの変化によって、体調を崩しやすい傾向があります。特に春は、風が強く、花粉やホコリなどが大気中に舞うため、肌にとっては決して優しい季節ではありません。そして、夏に向けて紫外線も多くなる時期。まずはトラブルの原因を知りましょう。
大気中の汚れ
  風の強い春は、ホコリやチリ、細かい砂など様々な汚れが大気中に含まれます。春は皮脂の分泌が増加する季節でもあるため、これらの細かい汚れが皮膚に付着しやすくなります。この汚れが、肌荒れやニキビなどのトラブルを引き起こしてしまうのです。
アレルゲンの増加
  花粉症の人には辛い季節ですが、花粉症の症状が出ていない人にとっても、花粉のアレルゲンは油断できないものです。また、ダニなどの活動が活発になる季節なので、花粉だけでなくダニの死骸などもアレルゲンとなります。アレルゲンが皮膚に付着すると、その刺激から肌を守ろうと防御システムが働き、肌が赤くなったりかゆくなったりする、アレルギー症状を引き起こすこともあります。
紫外線
  紫外線に注意するのは、日差しの強い夏の間だけでいいと思っている人も多いかもしれませんが、実は春から初夏にかけての季節のほうが、紫外線は強く降り注いでいます。しかも、冬の間日光に当たる機会が少なかった肌は、紫外線への抵抗力が弱まっています。そのため、いつも以上に紫外線の刺激を受けやすく、痛みや赤み、乾燥などを引き起こしてしまいます。
 
春の肌を守るには
    このように、春は過ごしやすく見えて、お肌にとっては厳しい季節。新生活が始まると生活リズムが変化し、また、昼夜の温度差も大きいため、いつもよりもしっかりとした意識で体調管理をすることも大切です。新しい生活の始まりに合わせ、生活習慣の改善を含めてお肌のケアを行いましょう。

洗顔・保湿をしっかりと!
  まずは、毎日のスキンケアの見直しを。春は肌に汚れがつきやすい季節なので、朝晩の洗顔をきちんと行い、洗顔後は化粧水や保湿液をつけて乾燥や汚れから皮膚をガードしましょう。また、洗顔時や洗顔後には、併せてマッサージをするのもおススメ。血行がよくなり、新陳代謝を促すために、肌が活性化されます。
紫外線対策は万全に!
  夏のように強い日差しを感じることが少ないため、つい忘れがちな紫外線対策ですが、この季節こそ注意が必要。ちょっとした買い物や散歩、洗濯物を干す間も、油断は大敵です。日焼け止め効果のあるクリームなどを常に塗る習慣をつけ、出かけるときには帽子や日傘を持つようにしましょう。また、顔だけでなく、薄手の長袖をはおるなどして身体への紫外線にも注意してください。
旬の野菜を食卓に!
  旬の食材は、栄養分が豊富でおいしいもの。さらに、旬の季節に合わせて食べると、健康面にも良いとされています。春菊や竹の子、春キャベツ、山菜など、春が旬の食材を積極的に食事に採り入れ、身体を内側からキレイに元気にしていきましょう。また、春は身体の中の老廃物が排出されやすい季節でもあります。ハーブティーなど、デトックス効果のある食材も意識的に摂りましょう。
 
  漢方の古典 「黄帝内経(こうていだいけい)」 には、春は花や草木の芽が吹き、それまで静かにしていた動物や昆虫が外に飛び出し、川や海に住む生き物まで自然の全てが活き活きと栄えてくる季節として、春の3ヵ月を発陳(はっちん)と呼ぶと書かれています。そして、「この季節には少し早起きし、楽な格好で外に出てゆったりと歩き、春に芽生えた万物と同じように心身ともに活き活きと活動的な気持ちで過ごすと良い」とされているそうです。草花が芽吹くこの季節は、ウォーキングにも最適です。春の明るい景色を眺めながら身体を動かせば、ストレスによる肌トラブルも防ぐことができるはずです。

 

 

お肌の露出が増える季節、むだ毛対策は安全に!(2008年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
お肌の露出が増える季節、むだ毛対策は安全に!
 梅雨明けも間近、Tシャツ1枚でも暑いくらいの季節になりました。お肌の露出が多くなると、気になるのが腕や脚、ワキなどの「むだ毛」です。特に女性にとっては気になるものですが、最近では男性でも「オシャレ」や「身だしなみ」のひとつとして、体毛の濃さを気にする人も増えているようです。剃る、抜くなど様々な処理方法がありますが、場合によっては深刻な肌トラブルを引き起こすことも…。今回は、安全で正しい処理方法とむだ毛のメカニズムについてお話しします。
 
     

 

むだ毛は本当に「無駄」な毛?
 
  まずは「むだ毛」の役割について。辞書で「むだ毛」をひくと、

むだげ 【無駄毛/徒毛】 美容や化粧のじゃまになる、顔・えり足・足などの毛。/「大辞林 第二版」より

と書いてあります。人間の体毛は全身で150万本前後も生えていると言われますが、その全てに役割があり、本来「無駄」な毛はありません。それぞれ肌や身体を保護する大切な役割を持ち、例えばワキげは摩擦で皮膚がこすれるのを防いでいますし、顔や腕、脚を覆う産毛や体毛は紫外線を吸収したり皮脂を分泌したりして、私たちの肌を守ってくれているのです。

とは言え、むだ毛はやはりオシャレの大敵。自己処理を行う場合は、衛生面やその方法に注意して、安全な処理を行いましょう。

   
むだ毛が生えるメカニズム
   毛には生えてから抜け落ちるまでの毛周期(ヘアサイクル)があり、成長期・退行期・休止期のサイクルを一定の期間で繰り返しています。

成長初期
 

毛乳頭で細胞分裂が行われ、活発に毛が伸びます。成長期の期間は体の部位によって違い、毛が伸びる長さにも差があります。

退行期
 

毛乳頭の細胞分裂が止まり、毛の成長も止まります。この期間になると毛が毛乳頭から離れて自然に抜け落ち、毛が抜けた後の毛穴も収縮します。

休止期
 

毛乳頭が活動を休止している期間です。この期間は毛が生まれたり成長したりすることはありません。

ヘアサイクルには個人差がありますが、大体1ヶ月半から2ヶ月のサイクルになります。また、ヘアサイクルは身体の部位によっても違い、同じ部位の毛でも成長期にある毛や休止期にある毛が混在しています。皮膚の表面に出ている毛は全体の1/3~1/4で、残りは休止期の毛か、これから成長期に入る毛として皮膚の中に眠っています。現在生えている毛を処理しても、皮膚の中には次の毛が待機しているため、処理してもすぐに生えてくるように感じるのです。ちなみに、このサイクルを考えると、約150万本も生えている体毛のうち100本近くの毛が毎日抜け落ちていることになります。

   
毛の量や濃さには個人差がある?
   体毛の濃さには男性ホルモンの分泌量が影響すると言われています。一般的に男性の体毛の方が濃く太いことが多いのはそのためで、ホルモンの分泌量には個人差があるため、体毛の量や濃さにも個人差が出てきます。ホルモンの分泌量が多いと、刺激を受けた毛穴が成長して、毛も濃く太くなります。逆に、男性ホルモンが少ないと毛穴が退化し、毛も薄く細くなっていきます。ホルモンの分泌量は遺伝によるものも大きく、その他ストレスや生活習慣によっても変化します。ちなみに、生まれたときは男性も女性も毛穴の数は同じで、14歳くらいになるまでの間に毛の量や濃さがだいたい決まると言われています。
   
 
自己処理の方法と注意点
 むだ毛の処理には様々な方法がありますが、代表的なものを以下に挙げます。どの方法も、どうしてもお肌にダメージを与えてしまうため、肌の弱い人は特に注意が必要です。
カミソリで剃る(剃毛)  
 

カミソリなどで肌から伸びている毛を断ち切る方法で、どの部位にも適します。ただし、表面に出ている毛を切るだけなのですぐに伸び、伸びてきた毛の断面が目立つのでこまめな処理が必要になります。また、剃る際に皮膚の一部を切り取ることにもなるので、肌を痛めてカミソリ負けを起こしてしまう可能性があります。

※石鹸やシェービングジェルを塗って肌を保護しながら剃り、処理後はしっかりと石鹸やジェルを洗い流し、保湿ケアをしましょう。また、カミソリなどの器具は必ず清潔なものを使いましょう。

除毛クリームなどで毛を溶かす(除毛)
 

化学作用によって表面の毛を溶かす方法で、痛みをともなわない手軽な脱毛方法として知られています。一般的な除毛剤は、「チオグリコール酸カルシウム」という成分の働きで、むだ毛を構成するたんぱく質を分解し根こそぎ除毛します。毛穴の中に隠れているむだ毛も一部溶かすのでカミソリで剃るより少しだけ長持ちしますが、皮膚に対しても刺激が強く、使用方法に書いている時間以上放置したり、使用後の洗い残しがあると肌荒れをおこす可能性があります。

※薬剤を使用するため、体質や体調によってはかぶれたり炎症を起こすこともあります。使用前に少量を指定時間塗ってパッチテストを行い、かぶれや赤みが発生した場合は使用しないこと!また、目元や口元への使用は危険なのでやめましょう。

毛抜きやテープで毛を抜く(脱毛)
 

毛根を含めて毛を引き抜くので、うまく抜くことができれば再生までに3~4週間は次の毛が生えず、処理後の肌も比較的きれいに仕上がります。毛抜きの場合は1本ずつ抜くので根気がいる作業になり、部位によっては痛みを伴ないます。また、途中で切れた毛は皮膚内に残って黒ずみになり、カミソリよりも毛穴の化膿を引き起こす原因にもなります。

※皮膚と器具を清潔にし、脱毛する部位を蒸しタオルで温めて柔らかくし、毛穴を広げておきましょう。処理後に赤みのある場合は、冷たいタオルなどで冷やします。

毛を脱色し、目立たなくする(脱色)
 

表面に出ているむだ毛を、薬品で色を抜いて目立たなくする方法です。毛がなくなるわけではありませんが、痛みもなく、腕や脚、背中など広範囲のむだ毛を目立たなくするには適しています。

※除毛と同じく、薬品を使うので肌への刺激は強くなります。使用方法を守り、顔や目・口の周りには使用しないこと。パッチテストを行い、傷がある場合なども使用は避けましょう。

   
 

いずれの場合も、肌や皮膚を清潔に保って処理することが大切です。また、処理後は皮膚が弱っているので刺激を与えないよう注意も必要です。海水や強い日差しなどは刺激が強いため、水着を着るためにむだ毛を処理するなら数日前に済ませておくことが大切です。日焼け止めなども、処理直後には使用しないこと! 正しく安全なお手入れでむだ毛と上手に付き合い、夏のオシャレを楽しみましょう。

 

 

ジメジメ季節は裸足で過ごそう!(2008年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
ジメジメ季節は裸足で過ごそう!
 天気がすっきりせず、湿気の多い梅雨の時期。外出するのも億劫になってしまい、運動不足になりがちな季節です。こんなときこそ「裸足」で過ごしてはいかがでしょうか?足が蒸れないのはもちろん、健康効果も期待できる「裸足生活」。今回は、その効用やアドバイスについてお話します。
 
     

 

足裏は「第2の心臓」
 
  青竹踏みや健康サンダル、足裏マッサージなど、足裏を刺激すると身体の諸器官を活性化させる効果があるのはご存知のとおり。しかし、生活環境の変化とともに足裏への刺激は意識的に行わなくては与えられなくなっています。原因は裸足で過ごす時間が減ったことで、現代と昭和初期の日本人の足裏を比較すると、筋肉の発達にずいぶんと差が出ているそうです。脳をはじめ、身体中の器官に刺激を与えるツボが集まっている「足裏」。裸足で生活することで、常に足裏を刺激して各器官を活性化させ続けることができるのです。
   
裸足生活のススメ
   裸足で生活することは、足裏へ適度な刺激を与え続ける以外にも利点があります。履物による圧迫から開放されることで心が元気になり、皮膚呼吸も活発になって足の発達、ひいては怪我や疲れに強い身体づくりへとつながっていきます。また、普段陽を浴びない足裏の日光浴をすると血液の流れがよくなり、疲れやだるさがとれるという体験談も多く聞きます。子供たちに裸足で過ごすことを奨励している小学校や保育園などが増えているのも、これらの健康と心理効果を期待してのことでしょう。もちろん、ガラスの破片や小石など怪我をする恐れのある場所では注意が必要ですし、熱いアスファルトやコンクリの上、寒い冬場に無理をして裸足で過ごすことはありません。普段の生活の中で、裸足で過ごす機会を増やすのが「裸足生活」の第一歩。公園などに出かけた際には、履物を脱いで裸足で歩くのも気持ちがいいですよ。
   
土踏まずをチェックしてみよう
   ここで、みなさんやお子様の足の裏をちょっと見てみてください。内側の中央部、いわゆる「土踏まず」はしっかり形成されていますか?2足歩行をするヒトは、4本の足で歩く動物に比べて上半身(特に頭)が重く、非常にアンバランスです。そのバランスをとるのに重要な役割を果たしているのがこの土踏まずなのです。立って歩く前の赤ちゃんの足がぺたんとしたいわゆる扁平足なのは、足裏が未発達なしるし。立って歩くようになるにつれ、徐々に骨がアーチ型になって土踏まずが形成されていくのです。

しかし、最近では大きくなっても扁平足のままの子供が増えています。土踏まずが未発達なためにバランスがとりづらく、転んで怪我をしたり足の骨を折る子供も以前より増加しています。高校生の多くが腰痛をかかえているのも、足裏の発達に関係があると見られています。土踏まずはバランスをとるだけでなく、足の裏への刺激をうまく吸収して疲れにくい歩き方ができたり、高い場所から飛び降りたときなどの衝撃を和らげる役目も果たしているのです。土踏まずをしっかり形成するためにも、裸足で過ごして足裏を鍛えることが大切です。

   
裸足で行うエクササイズ
   心臓から一番遠い場所にある足は、全身の血液循環をよくするポンプの役目も果たしています。足裏への刺激が少ないと下半身の血行が悪くなって老廃物がたまり、むくみや冷え、腰痛や生理痛、便秘などの原因となることも。意識的に足裏を刺激し、足と全身に「刺激」を与えましょう。

まずは1日数時間、裸足で過ごす習慣を
 

 室内はもちろん、土の上や芝生の上などを裸足で歩いてみましょう。また、砂利道やでこぼこの多い道を歩くのもお勧めです。

足指じゃんけん
 

 お子様や家族と一緒に、足の指を使ってじゃんけんをしてみましょう。普段あまり使わない足指のエクササイズになります。

タオルで綱引き
 

 足の指でタオルをつかみ、綱引きのようにひっぱりっこをします。じゃんけんと同じく、足指のエクササイズになります。

足指で物をつかむ・拾う
 

 足の指で物を拾い上げるのもちょうど良い運動になります。ちょっとお行儀は悪いですが、消しゴムやリモコンなど、つかみやすい形と重さのもので試してみましょう。読書やテレビを観ながらできるのでお勧めです。

   
 

蒸し暑くなるこれからの季節、裸足で過ごすのは気持ちがいいものです。また、外出時はソールのやわらかい靴やサンダルを選んで、裸足に近い環境で歩くだけでも効果が望めます。ウォーキングシューズには、裸足に近い感触で歩けるものも販売されているので、こちらも活用を。裸足生活を、代謝のいい身体作りに役立ててくださいね。

 

 

冬場の手荒れ、ひび割れ、なんとかしたい!(2008年1月)

 

     
 
2月のテーマ:
冬場の手荒れ、ひび割れ、なんとかしたい!
 年間で最も寒い2月。空気が乾燥し、ハンドクリームやリップクリームが欠かせない季節です。特に、お料理や食器洗いなど毎日水仕事をする主婦にとって、冬場は手荒れが気になるもの。ひび割れて痛い思いをしたり、かゆくて辛い思いをしたり…。今回はそんな冬場の指先のケアについてお話しします。
 
     

 

手荒れの原因は?
   手荒れ・肌荒れは、肌の表面にある角質をとりまく皮脂が減少することで起こります。皮脂は肌をしっとりなめらかに保つだけなく、皮脂は外部からの刺激物やばい菌などを防ぐ役目も持っています。そのため、皮脂が減ると肌が荒れ、外部からの刺激にも敏感になってかゆみを感じるようになります。
   
 
なぜ冬場は手が荒れやすいのか
 

冬場は気温と湿度が低下するため乾燥によって肌の水分が奪われる上、冷たい空気などの刺激によって角質が破壊されたり、新しい細胞が生まれるターンオーバーのサイクルが乱れやすくなっています。また、水仕事の際にお湯を使いがちなのも手荒れの一因になります。

お湯を使うと手が荒れる理由
 

手荒れの原因は皮膚の表面をカバーしている皮脂が減るためとお話ししましたが、熱いお湯は皮脂も一緒に洗い流してしまうので、手が荒れやすくなるのです。また、台所洗剤は油汚れを落とす性質を持つため、手の皮脂や、肌の持つ天然保湿因子までも取り除いてしまいます。つまり、お湯と洗剤両方を使っての食器洗いは、手荒れの一番の原因と言っても過言ではないのです。

 
手荒れを防ぐためには
 

 手荒れを防ぐには、なんと言っても保湿が一番。水を使った後には必ずクリームやローションなどを塗って保湿に気をつけましょう。また、一度にたくさん塗るよりも、回数をこまめに、よくすり込むようしっかり塗るようにしましょう。

※ひび割れて血が出ていたり、状態がひどいときはハンドクリームが症状を悪化させる場合もあるので専門医に相談してください。

   
お湯を使うと手が荒れる理由
 
 
手を保護する
 

ゴム手袋をして水や洗剤に直接触れないのが一番です。それが無理な場合はあらかじめ保護クリームを塗りましょう。水に強いタイプのクリームでも結構ですが、保湿用のハンドクリームとは違い肌の表面に膜を張って保護する機能を持つものなども市販されています。

お湯と洗剤は控えめに
 

熱いお湯は避け、ぬるま湯か水で洗うようにしましょう。また、洗剤の量も控えめに。あらかじめキッチンペーパーで汚れをふきとるなどして、洗剤と水に触れる時間を少しでも減らすように工夫してください。

最後に必ず保湿を
 

洗い物が終わったらすぐに手を拭き、クリームやローションを塗りましょう。手を濡れたままにしておくと、手についた水滴が蒸発する際に角質層の水分も奪うので更に乾燥してしまいます。

   
 

 乾燥によって手が荒れると、ガサガサするだけでなく赤く炎症を起こしたり、湿疹やかゆみが生じる原因にもなります。ひどいときには皮膚が割れ、強い痛みを伴うことも。そんなことになる前に、指先のこまめな保湿を心がけましょう。ちなみに、水仕事だけでなく、パソコンのキーボードや書類、お札などの紙も、意外と指先の皮脂を奪うもの。日常生活を送る中でも、手を使う作業の前後にはクリームの使用を習慣づけましょう。

   

 

 

足の指の皮がポロポロ…これって水虫?(2006年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
足の指の皮がポロポロ…これって水虫?
 湿度の高い日本の夏。梅雨があければ、本格的に夏本番です。暑さとともに、食欲不振や日射病、夏バテなどの体調不良も心配になってくるので、身体の調子には注意して過ごしましょう。

さて、蒸し暑い時期は特に気になる靴の中の蒸れ。そう、水虫の多くなる季節です。特効薬のない病気、オヤジの病気と言われた時代も今は昔。対処法や効果的な薬が開発される一方、若い女性や子供の水虫も多くなっています。そこで今回は水虫についてのお話。本人はもちろん、家族に水虫がいる人もぜひご一読ください。

 
     

 

水虫ってどんな病気?
 

 テレビCMなどでご存知の方も多いと思いますが、水虫は一種のカビ。皮膚糸状菌という一種のカビによって生じる感染症を言い、多くは白癬菌というカビが原因です。高温多湿を好むカビの特性と、皮膚のたんぱく質(ケラチン)を栄養源とする性質があるため、足の裏や足指の間などが「住みやすい場所」となるようです。

また、足に発症した場合は水虫ですが、生じる場所が爪なら爪水虫、体ならたむし、股ならいんきんたむし、頭皮ならしらくもと呼び名が変わり、必ずしも足だけに生じるものではありません。

 
足水虫の特徴
 
さらに、足の水虫にもいくつかのタイプがあります。
・ジュクジュクタイプ(趾間型)

一番多いタイプの水虫。足指の間が、びらん(ジュクジュクした状態)して白くふやけるタイプ。皮がむけたり、赤くただれてきたりします。
・ポツポツタイプ(小水疱型)

足裏などに小さな水ぶくれがポツポツとでき、その後薄皮がむけるタイプ。水ぶくれの周りが腫れてくる場合もありますが、水ぶくれが目立たず、薄皮がむけるだけの場合もあります。ちなみに、水ぶくれが破れたときの汁には白癬菌はいないため、この汁から水虫がうつる心配はありません。
・ガサガサタイプ(角質増殖型)

足裏の角質が厚くなりガサガサになって割れたりはがれたりするタイプ。このはがれた皮には白癬菌がすんでいるため、ここから家族などへ感染する場合もあります。また、水ぶくれやかゆみなどがないため、水虫と気付かない場合も多いタイプなので注意が必要です。
・爪水虫

爪の色が白色から黄色に濁り、厚くなるタイプ。進行してくると爪がもろくなって欠けたり、でこぼこになったりします。足水虫が爪にうつることで発症することが多いようです。

 「かゆい」というイメージの強い水虫ですが、かゆみを感じない場合も意外と多いのが実際のところ。特にガサガサタイプの場合、水虫と気付かずに過ごしている人も多いようです。一度自分の足を見て、「もしかして…」と感じるところがあれば、皮膚科へ行ってみましょう。

 
水虫に似た皮膚病
 
 水虫になると、大抵の人は市販の水虫薬で治療を試みます。しかし「薬を塗っても治らない」と、皮膚科に訪れる人も多く、なんとその3割近くが別の病気なんだとか。逆に水虫じゃないと思っていたのに水虫だったというケースもありますが、水虫に似た病気には以下のようなものが挙げられます。
・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひらや足の裏などの皮膚に、膿をもったプツプツができる皮膚病
・汗疱(かんぽう)

手のひらや足の裏などの皮膚に、小さな水ぶくれができる皮膚病
・かぶれや湿疹

手のひらや足の裏などがかぶれたり湿疹ができ、赤みやかゆみができる

これらの症状は水虫と間違いやすいものですが、水虫ではないので水虫薬を塗っても治らなくて当然ですね。このような間違いを防ぐためにも、疑わしい場合はやはり皮膚科での診断をおすすめします。

 
水虫治療はどう行うの?
 

●皮膚科での診断

では、皮膚科ではどのような診断と治療をするのでしょうか。一般的な流れをご紹介します。

皮膚科ではまず皮膚の状態をみて診断しますが、水虫かどうかの判断は、白癬菌の確認によって行います。皮膚の表面をこすって、顕微鏡で白癬菌の有無を確認することで、水虫かどうかを判断するのです。

●水虫薬について

水虫と診断されたら、そのあとは外用薬による治療が始まります。抗真菌薬を患部に塗布しますが、ジュクジュク水虫や白くふやけている場合、化膿やかぶれを伴っている場合などは、まずはその症状を抑えてから抗真菌薬による治療を開始します。また、爪の水虫の場合は内服薬が必要になりますが、肝臓へ負担がかかることもあるため、医師の指示に従いましょう。

薬を使用する際、大切なのは毎日続けて塗布することです。水虫は角質層の奥深くに寄生している場合が多いため、表面上治ったようにみえても、菌が残っているおそれが高いのです。皮膚のターンオーバーのサイクルは約1ヶ月。つまり、角質層が新陳代謝によって完全に生まれ変わるのには約1ヶ月かかるのです。このことからも、症状が治まったように見えても、それから最低でもさらに1ヶ月は薬を塗布し続けることが水虫治療のポイントなのです。塗るタイミングは、毎日の入浴後がベスト。清潔なのはもちろん、皮膚が柔らかくなっており、成分が浸透しやすい状態になっているからです。また、かゆいところや赤くなっているところ以外にも菌の広がっている可能性があるため、患部周辺になるべく広範囲に塗るようにしましょう。

 
 水虫の正体はカビ。ということは、カビが繁殖しづらい環境を作ることが水虫撃退の第一歩です。カビは高温多湿を好むので、足を蒸らさない、乾燥させる、こまめに洗う、などしてカビの繁殖しにくい状態を保ちましょう。

バスマットやスリッパなどから感染するケースも多いため、家族に水虫のいる家庭はもちろん、プールや公衆浴場、スポーツジムなどでも、最後に足をキレイに洗う、自分専用のスリッパを持参するなどして対処しましょう。また、靴や靴下も通気性のよいものを選ぶようにして、足の蒸れを減らしましょう。

治りにくいと思われている水虫ですが、正しい治療を根気よく続ければ約1ヶ月でよくなるはずです。民間療法も多く出回っていますが、症状を悪化させたりかぶれやただれなどを引き起こしてしまう場合もあるので、おすすめできません。やはり一番は医師の診断を受け、早めに正しい治療を始めること。家族に水虫のいる家庭は、本人だけでなく家族揃って診断するのがよいでしょう。素足になる機会もおおい季節、キレイな足で気持ちよく過ごしましょう。