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まめ知識カテゴリ: 疲労回復・リフレッシュ

入浴剤を上手に使って、ぽかぽか&リフレッシュ!(2008年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
入浴剤を上手に使って、ぽかぽか&リフレッシュ!
 2008年も残すところあと少し。年内に片付けなければならない仕事や雑事に追われ、普段以上に忙しく過ごしている方も多いのではないでしょうか。『師走』と呼ばれるだけあり、何かと慌しい時期ではありますが、健康維持のためにも、ゆっくりリフレッシュする時間は大切にしたいもの。そこで今回は、前回に続きお風呂の話題、一番のリラックスタイム・入浴をより心地よい時間にする「入浴剤」についてお話します。
 
     

 

入浴剤を使った入浴のメリット
 
 お風呂が大好きな日本人にとって、入浴剤は身近なアイテムのひとつ。各地の有名な温泉のお湯が楽しめるものをはじめ、スーパーの日用品コーナーにも様々な入浴剤が並んでいます。菖蒲湯や柚子湯など“薬湯”に入る習慣は古くからあり、生薬を配合して布袋に詰めた入浴剤の原点とも呼ぶべき商品は、なんと明治時代から登場していたそうです。現代の入浴剤と同じように、温泉の効果を自宅で再現するような商品が開発されたのは昭和に入ってからですが、それ以降、健康の保持・改善だけでなく、色や香り、感触などでリラクゼーションの効果を重視した商品も開発されるようになりました。
 入浴剤の基本的な効果は、入浴そのものによって得られる温浴効果(身体を温める、痛みの緩和など)と、清浄効果(身体の汚れを落とす、皮膚を清浄にするなど)を高めることにあります。商品に表示される具体的な効能については薬事法に定められており、各メーカーが勝手に効能をうたうことはできません。効果や効能は入浴剤を選ぶ際の重要なポイントになるので、以下に挙げる「代表的な成分の効果」を参考にしてください。
   
入浴剤の代表的な成分の効果と、そのメカニズム
 
無機塩類系入浴剤
成  分:
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、等を主成分とするもの
剤  型:
粉末、顆粒が多い
効果について:
無機塩類系入浴剤の最大の効果は、塩類が皮膚の表面のたんぱく質と結合して膜を形成し、身体の熱の放散を防いでくれるというもので、入浴後の保温効果を高め、湯冷めしにくくしてくれます。また、硫酸ナトリウムには皮下組織の賦活作用や修復作用があり、あせも、ひび、あかぎれ等の予防に効果があり、炭酸水素ナトリウム(重曹)は石鹸と同じように皮膚の汚れを乳化し、清浄効果を高めてくれます。
 
炭酸ガス系入浴剤
成  分:
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等とコハク酸、フマル酸、リンゴ酸等を組み合わせたもの
剤  型:
錠剤や粒状
効果について:
炭酸ガスの血管拡張作用を有効利用したもので、湯に溶けた炭酸ガスが皮膚吸収によって容易に皮下内に入り、直接血管の筋肉へ働きかけて血管を拡げます。血管が拡がると末梢血管の抵抗が弱まって血圧が下がり、血流量が増えるため、全身の新陳代謝が促進されて疲れや痛み等の回復に効果的です。ちなみに、皮下内に入った炭酸ガスは肺から呼吸によって体外へ排出されるので、身体の中に蓄積することはありません。
 
酵素系入浴剤
成  分:
蛋白質分解酵素、パパイン、パンクレアチン等の酵素を配合したもので、無機塩類と組み合わせて使うことが多い
剤  型:
粉末、顆粒が多い
効果について:
医薬品の消化剤や洗浄剤等によく利用される酵素は、蛋白質や脂肪、澱粉等を分解して消化や洗浄を助ける効果をもっています。入浴剤に酵素を配合する目的は、皮膚に無理な刺激を与えずに清浄にし、他の成分と一緒に入浴効果を高めることにあり、皮膚の表面や毛穴にたまった汚れを洗い流しやすくしてくれます。そのため、浴後は清潔で滑らかな使用感をもたらしてくれます。
 
薬用植物系入浴剤
成  分:
センキュウ、トウキ、ボウフウ、チンピ、カミツレ、ハッカ葉等の生薬を配合しており、生薬をそのまま刻んだもの、生薬のエキスを取り出して他の成分と組み合せたもの等種類は色々
剤  型:
粉末、袋状など様々
効果について:
効果は配合されている生薬の種類によって異なりますが、生薬に含まれる化学成分の働きと、独特な香りの働きが特長です。生薬の効果は、医療薬として日本ばかりでなく欧米でも高く評価されており、入浴剤に応用した場合にも血行促進効果や湯冷め防止効果等が認められています。また、もう1つの効果『香り』についても、生薬に限らず“アロマテラピー(芳香療法)”の研究が進み、香りによるリラックス効果は脳波や心拍数等の測定により証明されてきています。
 
清涼系浴用剤
成  分:
l-メントール、炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム等を配合したもの
剤  型:
液体、粉末、顆粒が多い
効果について:
その名のとおり、清涼感を与えることを目的にした商品が多く、主に夏の入浴を快適にするために利用されます。l-メントールを配合して冷感を付与させたものや、炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウムを配合し、入浴後のべたつきを抑えてサッパリ感を与えてくれます。また、お湯の色は青色を基調にしたものが多く、視覚的にも爽快感を付与しています。
 
スキンケア系入浴剤
成  分:
セラミド、コレステリルエステル、米胚芽油、エステル油、スクワラン、ホホバ油、ミネラルオイル、米発酵エキス等の保湿成分を主に配合したもの
剤  型:
液体が多い
効果について:
保湿成分が入浴中に皮膚に吸着浸透してスキンケアを行うタイプ。特に空気が乾燥する冬場は、入浴後に過度に角層中の水分が失われてお肌のかさつきが起こりやすくなってしまうため、保湿を重視したこのタイプは効果的です。また入浴で膨潤したお肌は、保湿成分が浸透し易い状態になっているため、肌の表面だけでなく角層内部にまで浸透し、入浴後のお肌にしっとり、すべすべ感を与えてくれます。
   
入浴剤を使用する際の注意点
   医薬部外品として厚生労働省の承認許可を得て販売されている入浴剤は、その成分やいくつかの商品で実施している皮膚刺激性テストの結果からみて、問題となるような皮膚刺激性はありません。ただし、ごくまれにアレルギー性を示すことがあり、その場合は使用を中止してください。また、乳児の皮膚は抵抗力が弱く、かぶれや湿疹などのトラブルが起きやすいため、入浴剤を使用するのであれば殺菌作用のある沐浴剤を入れた赤ちゃん専用の浴槽を使いましょう。
 
誤飲や目に入った場合
入浴剤の入ったお湯を飲んだり、目に入った場合、通常の使用濃度であれば特に問題はありません。ただし、原液を多量に飲んでしまった場合、異常が認められた場合などは速やかに医師の診断を受けましょう。
洗髪、洗顔に利用する際
皮膚に対する安全性が認められた上で製品化・市販されているため、入浴剤の入ったお湯はもちろん洗髪や洗顔に利用でき、シャンプーや洗顔料の洗浄力にも問題はありません。ただし、衛生上の観点から、すすぎは清潔なさら湯で行いましょう。
   
 
入浴の効果を高めてくれる、様々なタイプの入浴剤。泡の出るものや、トロっとした感触のお湯にするものなど、ユニークな製品も多数開発されています。また、市販の入浴剤でなくても、日本酒や天然塩を入浴剤として使ったり、ちょっとした工夫が入浴効果を高め、リラックス気分を演出してくれます。効果だけでなく、香りや色なども様々なものがあるので、好みや気分に合わせて入浴剤を上手に利用し、お風呂タイムを楽しんでください。

 

 

寒い季節こそ、効果的な入浴で温まろう!(2008年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
寒い季節こそ、効果的な入浴で温まろう!
 天気の良い日中は暖かいものの、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。寒暖の差が激しいと、風邪をひいたり体調を崩しやすくなるので、外出時は上着を持参するなど、体調管理のためにも外気温には注意して過ごしましょう。さて、冬になると身体の冷えや乾燥、各部のコリや痛みなどが気になってくる方も多いのではないでしょうか。今回は、これらの悩みを助ける効果的な入浴方法についてお話します。
 
     

 

湯船につかるメリット
 
 入浴する大きな目的のひとつは、やはり「身体の汚れを落とす」こと。そのため、一人暮らしの方や、帰宅が遅くて家族と入浴時間が合わない方などは、シャワーのみで済ませてしまうという方も多いようです。しかし、お湯をはった湯船に浸かることには、シャワーだけでは得られない様々なメリットがあります。
温熱作用
肩までお湯に浸かる日本式の入浴法は、最も効果的に身体を温めることができると言われています。それは、温められた血液が血管を通して全身に運ばれ、深部温度を上昇させるため。身体の表面だけを温めるシャワーでは、深部温度はなかなか上昇しません。また、この深部温度の上昇は、視床下部の温熱中枢を刺激し、末梢の血流まで増加するため発汗を促進します。これにより、身体の隅々まで酸素や栄養分が行き渡り、代謝によって蓄積された疲労物質や老廃物も除去されます。
水圧効果
入浴すると身体表面に水圧がかかり、一般的な家庭用の浴槽で肩までの全身浴をした場合、胴回りが3~6cm、胸周りが1~3cm小さくなると言われています。腹部においては、横隔膜が押し上げられて肺の容量が減少するため、それを補うために呼吸数が増加します。この静水圧によって圧縮された血管やリンパ管は求心性(中心に向かって集まる動き)に働き、血液やリンパ液がいっせいに心臓に向かうため、心臓の働きが活発になり、疲労回復へとつながります。
浮力作用
お湯に浸かると、身体は浮力を受けて軽くなります。水中では空気中に比べて約1/9 程度の重さになると考えられるため、例えば体重60kg の人なら、水中では6.2~6.3kgの重力しかかからない計算になります。アクアビクスなどプールでのエクササイズにも応用される原理で、入浴では、身体が軽くなることでだるさを感じなくなり、心身ともにリラックスできます。
   
目的別の入浴方法
 
 このように、湯船に浸かることは身体に様々な物理的効果を与えてくれますが、その効果をより高めるためには「湯温」と「入浴時間」が大きなポイントとなります。目安としては、「ぬるめのお湯にゆっくり」はリラックス効果が、「熱いお湯に短時間」は覚醒・興奮させる効果があると覚えてください。
リラックスし、ストレスを解消したいとき
40℃以下のぬるめのお湯に、ゆっくり長めに浸かります。副交感神経を刺激し、心身を鎮静させる作用があるため、のんびりリラックスした気分を味わえます。また、身体の緊張がとれて本来の疲れが表面に出てくると同時に、脈拍も穏やかになるため、ぐっすりと眠りにつきやすい状態になります。ちなみに、脳が実際にリラックスするのは湯船から出てしばらく経ってからという実験結果も報告されているため、入浴のリラックス効果をより満喫するには、入浴後すぐに家事や明日の準備をするのは避け、のんびり過ごすと良いようです。
筋肉の疲れをとりたいとき、眠気を覚ましたいとき
42~43℃の、少し熱めのお湯に浸かります。熱めのお湯は血行を血行を良くして疲労物質を早く取り除く効果があり、この場合は熱めのシャワーを身体に当てるのも効果が望めます。ただし、心臓や血圧に不安のある方には負担が多いため厳禁です。また、お風呂に入ると眠くなるというイメージがありますが、熱いお湯での短時間の入浴は交感神経を刺激し、心身の緊張を高めてくれます。「これから一仕事するために眠気を覚ましたい」「気分転換したい」という場合は、熱いお湯をさっと浴びる入浴がオススメ。朝風呂の場合も、この入浴法が向いています。
冷えた身体を温めたいとき、湯冷めしたくないとき
身体を温めるには熱いお湯のほうがいいような気がしますが、芯から身体を温めるには40℃くらいのお湯に10分以上浸かるほうが効果的。42℃のように熱いお湯だと、どうしてもゆっくり浸かることができず、身体の表面しか温まらないため、風呂上りに身体の熱が奪われやすくなってしまします。
肌を美しくしたいとき、乾燥肌を防ぎたいとき
湿度の低い冬場は、肌の水分が奪われ、ただでさえ乾燥しがちな季節ですが、熱いお湯は皮膚を乾燥させて肌の老化を早める原因にもなります。そこで、美肌や乾燥肌対策の入浴なら、一番風呂は避けて40℃以下のぬるめのお湯に浸かるのがベスト。また、長時間お湯に浸かると肌に膨潤変化がおきて保湿成分が溶け出してしまうため、過度の長風呂は避けましょう。ナイロンタオルやスポンジで身体をゴシゴシこすることも、皮脂不足や角質層のはがれを起こして乾燥肌を助長するので避け、しっかり泡立てた石鹸で優しく洗うようにしましょう。
   
  寒い夜の温かいお風呂は嬉しいものですが、冬場は高齢者のお風呂での事故も増えがちです。高齢者や血圧の高い人がいる家庭では、浴室や脱衣所も温めておき、温度差をなくすよう心がけましょう。

 

 

緑に囲まれリフレッシュ、グリーンセラピーを採り入れよう(2008年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
緑に囲まれリフレッシュ、グリーンセラピーを採り入れよう
 暦の上ではすっかり秋。夏の暑さが残ってはいるものの、朝夕は冷え込む日も多く、普段以上に体調管理に気をつけて欲しい季節です。さて、秋といえば実りの季節。果物をはじめ、雨期と夏の日差しを受けて豊かに実った秋の味覚が食卓を賑わせてくれます。実をつける草木だけでなく、一般的に植物にとって秋は春と並ぶ最盛期。ガーデニングや山歩きにも最適の時期です。そこで今回は、緑の癒し効果を生活に採り入れる、グリーンセラピーについてお話します。
 
     

 

グリーンセラピーとは?
 
 「グリーンセラピー」とは、その名のとおり植物の「緑」によって心身を癒す方法のこと。植物の緑にはリラックス効果や心を落ち着ける効果があることは良く知られていますが、視覚を通して緑を吸収するだけでなく、例えば森林、特に針葉樹から放出される「フィトンチッド」という物質にはさまざまな効果があるそうです。
 
「フィトンチッド」はいわゆる森の香りのもとで、植物が光合成でブドウ糖をつくる際に分泌されると言われています。フィトンチッドの発生している環境の中で過ごすことで、副交感神経のはたらきが活発になり、イライラした気分や不安感を鎮静させたり、アルファ波を増加させてくれるなどの効果が現れます。この香りの中で睡眠をとると疲労回復が早いという研究報告もあり、心を癒すばかりか身体へのメリットも期待できるのがグリーンセラピーなのです。
   
身近な場所で森林浴をしよう
   さて、植物の緑に満たされた環境というと、どうしても公園や森林などをイメージしてしまいます。「わざわざ出かけるのは面倒」「市街地で周りに緑が無い」など、今の環境ではグリーンセラピーの恩恵を受けるのは難しいと感じる方も多いかもしれません。
しかし、何も公園や森林へ出かけなくても“森林浴”は可能です。室内の観葉植物やベランダガーデンの花、庭木もれっきとした植物。大きな森林でなくても、身近にある植物の緑は言わば小さな森林。どんな小さな植物も、私たちの心を癒し、光合成によって新鮮な酸素とマイナスイオンを供給してくれるのです。
   
室内緑化を進めよう
   失われ行く地球の緑を守るため、社会規模での大規模な緑化運動が進められている現代。自宅やオフィスにおいても「室内緑化」の大切さが改めて注目されています。先に紹介したとおり、室内の緑も心を落ち着けてくれるのはもちろん、他にもさまざまな効用をもたらしてくれます。
テクノストレスや目の疲れの解消・緩和
   情報化が進み、パソコン等を使用する作業が増えたことで「テクノストレス」という弊害が生まれました。主な症例は視覚疲労やドライアイなど目に関するもので、その他、機器が発生する電磁波が身体に及ぼす悪影響などが挙げられます。室内緑化植物が視覚疲労を緩和させる効果については科学的検証がなされている途中ですが、昔から「緑は目にいい」と言われていることからも、その効果が期待されます。
シックビルディング・シックハウスシンドロームの解消
   建物の気密性が高まるにつれ、問題視されるようになったのが建材や塗料から発生する、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレンなどの揮発性有機化学物質です。これらは人体に悪影響を及ぼすとされ、室内の空気の汚染源となっています。植物にはこれらの有害物質を吸着・分解する作用があり、煙草の伏流煙などに対する有効性も注目されています。
室内のイオンバランスの調整
   パソコンやテレビなどから発生するプラスイオンが空間のイオンバランスを崩し、疲労感や肩こり・腰痛、冷え性などの原因になっていると考えられています。植物が光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を排出するのはご存知のとおりですが、植物は酸素の他にマイナスイオンも発生し、室内のイオンバランスを整えてくれます。
   
   一言に「グリーンセラピー」といっても、その方法はさまざま。庭がある家ならガーデニングや家庭菜園を楽しむのもお勧めです。ベランダガーデンや屋上ガーデンも人気が高まっていて、植物が直射日光や外気と建物の緩衝材となってくれるため、省エネ効果も期待できます。また、室内の観葉植物が元気になる秋は植え替えにも最適な季節。根が張ってきた鉢物があれば、この機会に植え替えてみてはいかがでしょうか。土に触れ、水をやり、植物の手入れをする。緑を眺めるだけでなく、身近なものとして積極的に触れて「癒し」を感じてください。

 

 

気分スッキリ、昼寝のススメ。(2008年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
気分スッキリ、昼寝のススメ。
 桜の花が咲き始め、新しい年度がスタートしました。春眠暁を覚えず、とはよく言ったものですが、ぽかぽか暖かくなってくると、朝方だけでなく日中もついウトウトと睡魔におそわれることも多いものです。特に昼食後は、季節を問わず眠気を感じた経験が誰しもあるのではないでしょうか。そこで、今回は「大人の昼寝」についてお話しします。
 
     

 

昼食後に眠くなるのは何故?
   食事をとると、体内の血液が消化管に集まり、脳への血液が少なくなります。また、食事をすることによって脳の満腹中枢が刺激を受けて、睡眠物質が働くために眠気がさそわれます。さらに、体内時計のリズムも大きな要因のひとつ。ヒトの眠気には半日リズムで山が2回あり、午前2時~4時に大きな山が、午後1時~4時に小さな山を迎えます。この小さな山と昼食後の時間が重なり、昼食後には眠気が起こりやすくなるのです。
午後の仕事効率
   この昼食後の眠気は意外と侮れず、デスクワークなどで眠気を我慢しながらの仕事で効率があがらないばかりか、工場など現場作業でのミスが起こりやすくなったり、交通事故が多発する時間帯であるとのデータも出ています。地中海沿岸や中南米諸国の暑い地方では、正午から午後3時までの時間を「シエスタ」(スペイン語で「昼寝」の意)の時間として社会全体が昼寝を公認する習慣が根付いているのも、こんな背景があるのでしょう。日本ではあまり「昼寝」の習慣はありませんが、昼休みを上手に利用して、午後からもスッキリ過ごせるためのお昼寝タイムを実践してみてはいかがでしょうか。
   
大人のための昼寝のコツ
   もちろん無理に昼寝をする必要はありませんし、どうしても時間がとれないときもあります。どうしても眠いとき、ぼんやりしてしまうとき、そして時間や環境が許すとき。これらの条件が揃った場合は、次に挙げるポイントに気をつけて昼寝をしてみましょう。

長時間眠らない
 

 あくまで「仮眠」なので、長時間の居眠りは禁物です。睡眠には脳が休息するためのノンレム睡眠と、身体の休息のためのレム睡眠があり、20分以上の睡眠は深いノンレム睡眠に入ってしまう恐れがあります。そのため、昼寝をするなら10分~20分程度の時間が理想的。身体を休息させようと脳の活動レベルが下がる前に目覚めることで、覚醒への移行に無理がなく、スッキリ目覚めることができる範囲内での昼寝をおすすめします。

横にならない
 

 これも「昼寝=仮眠」という位置づけから、必要以上に深い眠りに入ってしまうことを防ぐためのものです。背もたれに深めに腰掛けたり、机に伏せる、肘をつくなどの姿勢で昼寝をすること。ちなみに、昼寝とまではいかなくても、椅子に座ったまま数分間まどろむだけでも頭脳の疲れの回復には大きな効果があるとも言われています。

   
昼寝の効用
 
 このように、昼寝には短い眠りでも脳の活動レベルを下げる休息効果があり、疲労回復にも役立ちます。また、脈拍が減り、血圧も下がるなど、心身ともにリラックス効果が期待できます。ヒトの頭脳は絶えず活性化された状態にあるわけではなく、適度な気分転換や休息が必要という考えからも、昼寝の重要性は大きなものです。つい寝過ごしてしまったという失敗のないように、携帯のアラームなどで目覚ましをセットして20分を超えないようにすれば、適度にリフレッシュして午後からの時間をより快適に過ごせるでしょう。

労働省産業医学総合研究所の調査によれば、20、30歳代の男女30人を昼食後15分と45分の仮眠、睡眠なしの3グループの中で、刺激に脳が一番速く反応し、また一定時間に英文を書き写すテストでミスが少ないのはいずれも15分の仮眠をとったグループという結果が報告されています。上手に昼寝をとって、心身ともにスッキリした状態で午後からの仕事にむかいましょう。

   

 

 

イライラする、落ち着かない。 これって更年期?(2008年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
イライラする、落ち着かない。

これって更年期?

 三寒四温を繰り返し、季節は春へ。当センターのある水戸市の名所・偕楽園でも梅の花が咲き始め、季節の移り変わりを感じることができます。年度末でもある3月は、季節の変わり目であるとともに入学や就職、転勤など生活環境の変化を間近に控える方も多い月。忙しいせいかなんとなくイライラする、気分が滅入るという方、「更年期のせいかしら?」と疑う前に、まずは更年期について正しく理解してみましょう。
 
     

 

更年期障害とは?
   更年期とは女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰えて停止し、女性ホルモンが欠乏した状態で体が安定するまでの時期を指し、具体的には閉経をはさんでその前後10年ぐらいの期間を指しています。ホルモンのバランスが崩れることで自律神経の働きや情動に影響があり、それによって引き起こされる様々な症状を総称して「更年期障害」と呼ばれます。
   
 
更年期障害には個人差がある
 

 現在、日本人女性の平均的な閉経年齢は52歳前半と言われます。そのため、概ね40代半ばから50代半ばの期間が更年期にあたりますが、更年期障害の症状が30代後半から現れるケースも増えています。閉経だけでなく卵巣の機能が衰え始める時期に個人差があるのはもちろんのこと、若い頃に無理なダイエットを繰り返したり、不規則な生活や食事を続けてきたため、体力の落ち始める30代後半にホルモンのバランスが乱れ始めることが大きな原因になっているようです。また、更年期を迎えても症状がほとんど出ない人から体調を崩して寝込んでしまう人まで、症状の度合いや現れ方も様々です。

更年期障害の症状
 

 このように個人差も大きく症状も様々な更年期障害ですが、その主な症状を以下に挙げていきます。

  <精神神経系>
 

頭痛・めまい・耳鳴り・物忘れ・憂うつ感・判断力、集中力低下・不眠・不安感・倦怠感など

  <知覚系>
 

しびれ・蟻走感(皮膚に虫がはうような感じ)・かゆみ・知覚過敏・知覚鈍麻

  <運動器官系>
 

肩こり・腰痛・関節痛・背筋痛・筋肉痛

  <自律神経系>
 

のぼせ・ほてり・冷え・動悸・息切れ・手足の冷え

  <皮膚・分泌系>
 

皮膚や粘膜の乾燥

湿疹・発汗・ドライマウス・唾液分泌の異常・ドライアイ

  <消化器系>
 

食欲不振・吐き気・便秘・下痢・腹部膨満感・のどのつかえ

  <泌尿器・生殖器系>
 

月経異常・頻尿・残尿感・性器下垂感・性交障害・外陰掻痒症

 
更年期障害に負けないからだと心づくり
 

 先に挙げたように、更年期障害には実に多くの不快な症状が挙げられますが、注意して欲しいのは、これらの症状は主に生理的なからだの変化に伴うものだということを理解する点。イライラしたり気分が落ち込んだり、精神的な症状も起こりやすいだけに悩んでしまう人も多いようですが、「こんなものだ」と割り切って気持ちを変えるだけで随分と楽に乗り切ることもできるのです。

 
生活習慣を整えよう
 

 更年期障害は女性ホルモンのバランスの乱れが原因なので、それを整えることが大切。更年期障害に効果的といわれるエストロゲンを多く含む(※植物性エストロゲン:イソフラボン)大豆製品、体内の免疫力や抗体力を高める抗酸化ビタミン(緑黄色野菜など)、そして骨粗鬆症を予防するためにカルシウムを積極的に採り入れた食事を心がけてください。また、趣味やスポーツを楽しんでストレス解消をするなど心のケアも忘れずに!

   
 

 人間は誰しも年齢を重ねるとともに体の機能も衰えていくものです。そして更年期は男性にも訪れ、その症状は女性と同じく様々で前立腺肥大症や泌尿器のトラブル、肩こりやめまい、そして倦怠感や疲労感など。いわゆる成人病の起こりやすい時期でもあり、「調子が悪いな」と感じたら早めの受診は大原則ですが、普段の生活改善も大切。オシャレをして出かける、趣味を見つける、運動を始める、、、若々しい気持ちで過ごすことで「更年期」を意識しすぎないのがポイントです。

   

 

 

寝苦しい季節、環境を整えて快眠を手に入れよう。(2006年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
寝苦しい季節、環境を整えて快眠を手に入れよう。
寝苦しい夏の夜。クーラーなしでは寝つけなかったり、起きたら汗びっしょり…なんて人も多いのではないでしょうか? 夏に限らず、生活リズムの乱れやストレスの多い現代社会の影響か、現代人は5人に1人が不眠に悩まされているそうです。十分な睡眠時間が得られない人も、すっきりとした寝覚めが感じられない人も、睡眠環境を整えて『快眠』を手に入れましょう。
 
     

 

理想の睡眠時間は8時間?
 

よく理想の睡眠時間は「1日8時間」と言われますが、実はこれには医学的根拠はありません。多くの人の睡眠時間が6~9時間程度という統計から出された平均値に過ぎず、また、この平均値も年々減少傾向にあるようです。国民生活時間調査(2000年NHK調べ)によると、日本人の平均睡眠時間は7時間23分で、年代別に見ると30代が6時間57分、40代が6時間59分と、働き盛りの年代に特に睡眠時間が短いという現象が見られます。

睡眠時間にはかなりの個人差があり、毎日3~4時間の睡眠で十分な睡眠が得られる人もいれば、9時間以上の睡眠が必要な人もいるのが実情。基本的には、日中眠気がなく活動できるのに十分な睡眠時間が確保されていれば、睡眠時間は何時間でも構わないと言われています。

 
睡眠の仕組み
 

睡眠には浅い眠りのレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠があります。寝付いたあとにはまずノンレム睡眠があらわれ、次に浅い眠りのレム睡眠へと移行します。そのあと再びノンレム睡眠へと移行し、この繰り返しが約90分周期で1晩に4~5回、一定のリズムで繰り返されるのです。

●ノンレム睡眠

脳が眠っている状態で、眠りの深さによって4段階に分けられます。浅い眠りから深い眠りへと進み、一番深いところまでいくと再び浅い眠りに向い、そのあとレム睡眠へと移行します。寝付いた直後はまずノンレム睡眠がおこるため、居眠りはほとんどがノンレム睡眠。そのため、ほんの少し居眠りするだけで脳の休息が得られます。

ノンレム睡眠の特徴は

・入眠直後にあらわれる

・夢はほとんど見ない

・身体を支える筋肉は働いている

・眠りが深くなるにつれ、呼吸回数・脈拍が少なくなる

といったものが挙げられます。

●レム睡眠

一方、身体は深く眠っていても脳が起きているような状態の眠りがレム睡眠。眠りが浅く、寝覚めの準備状態でもあるため、このレム睡眠時に目覚めるとすっきり目覚められます。

レム睡眠の特徴は

・眼球がキョロキョロ動く(まぶたは閉じています)

・身体の力は完全に抜けている

・呼吸や脈拍が不規則

・夢を見やすい

長い時間眠る人でも、脳の睡眠時間であるノンレム睡眠の時間は睡眠時間の短い人と変わらないとの調査結果もあり、長時間の睡眠を確保するよりも睡眠のリズムを知り「質」重視を心がけることで熟睡感が得られるようです

 

 
いびきをかくのは疲れている証拠?
 
「グーグー」といびきをかいて眠る人、はたから見るとぐっすり眠っているように見えますが、実際はどうなのでしょうか。寝ている間に舌や喉の奥の筋肉が緩み、気道が狭くなるために口の中の軟部組織が振動して音が出るのがいびきの仕組み。歳をとればとるほどいびきの回数が多くなると言われ、60代では男性の6割、女性の約半数が一晩に1回はいびきをかくといわれています。

疲れているときやお酒を飲みすぎたとき、鼻炎や扁桃腺炎などの人もいびきをかきやすくなりますが、いびきが多いからといって健康上に問題があるという心配はありません。

●睡眠時無呼吸症候群

ただし、いびきをかく人の中には、新幹線運転手の件などで一時話題になった「睡眠時無呼吸症候群」という病気がかくれていることがあります。いびきの合間に無呼吸状態になる病気で、昼間に耐えられないほどの眠気におそわれる経験のある人は要注意。大きないびきのあとに突然静か(無呼吸状態)になり、そのあと「ヒュー」という空気が抜けるような音や、「ガガっ」というような大きないびきをかく場合は睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。この無呼吸状態は高血圧や動脈硬化を引き起こしやすく、脳梗塞や心不全など命に関わる危険もあるので、家族のいびきが気になる場合は一度注意して観察してみましょう。

●いびき対策

病気とは関係ない普通のいびきでも、隣で眠っている人にとっては騒音に…。いびきをかきやすい人は、以下のような点に注意してみましょう。

・仰向けでなく横向きに寝る

→仰向けで寝ると、舌などが重力で下向きに落ち込み気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。

・枕を高めにしてみる

→頭の位置を上げることで、気道が確保されやすくなります。

・生活習慣を見直そう

→肥満の人はダイエットを、アルコールのとりすぎもいびきの原因になることがあります。

 
ぐっすり眠れる環境づくり
 

快眠を得るためには、寝室の環境も大切。静かで快適な、落ち着ける寝室づくりで、気持ちよい眠りを手に入れましょう。

●快眠できる寝室の条件

・音

→周りが静かになる分、夜間はちょっとした物音でも寝付けない原因に。二重サッシや遮音カーテンなどを利用して外からの騒音を防ぐほか、就寝時間の違う家族間でも協力しあいましょう。

・光

→寝室の理想的な明るさは、20~30ルクス(おぼろげに物が見える程度)が良いとされています。ただし、人によって「真っ暗にしないと眠れない」「多少明かりがあったほうが安心して眠れる」など好みがあるため、実際は自分にとって一番眠りやすい明るさがベスト。ただし明るすぎる寝室は脳を刺激して眠りに入るのを邪魔するため、部屋全体の照明は消して、明るさの調節できる間接照明などを利用するとよいでしょう。

・湿度と温度

→理想的な室温は、夏場が25℃、冬場は15℃、湿度は年間を通じて50%が良いとされています。エアコンをつける場合は、冷房は25~28℃、暖房は18℃~22℃を目安に設定しましょう。また、掛け布団などの寝具も、夏は涼しく、冬は暖かく眠れるように季節に応じて工夫しましょう。

・色

→ベージュやブラウンなど、落ち着いた色合いが好ましく、刺激的な色彩は避けましょう。

●スムーズに眠りに入るために

スムーズに眠りに入るためには、眠る1~2時間前から脳をリラックスさせることが大切。眠りたい時間の直前まで仕事や勉強、ゲームなど頭を酷使する作業をすることは避け、心身ともにリラックスして眠る準備に入りましょう。

・入浴法を工夫

→ぬるめのお風呂にゆっくりつかると緊張がほぐれ、リラックスできます。

・ハーブの香りでリラックス

→カフェインの含まれていないハーブティーは、香りにもリラックス効果があります。お茶だけでなく、アロマオイルやキャンドルを使ってみるのも良いでしょう。神経の緊張や不安を和らげる効果のあるラベンダー、気分を沈静させて不眠症にも効果のあるといわれるカモマイルなど、リラックスできる好みの香りを見つけましょう。

・リラックス音楽を聴いてみる

→脳がリラックスしているときに出るといわれるα波。最近はα波を引き出すような音楽を集めたCDも売られているので、これらの音楽でのんびりとリラックスするのもひとつの手。ただし個人の好みがあるので、却って落ち着かないという人には向きません。

・ホットミルクで身体を温める

→空腹感は眠りにつくのを邪魔しますが、寝る前の過度な飲食も体内リズムによくありません。眠る前に空腹感を感じたときは、ホットミルクがおススメです。

 
それでもなかなか寝付けないときは、眠れないこと自体がストレスになり、余計眠れなくなることも。気分を変えて一度布団から出て、軽いストレッチをしたり、読書をしたり、リラックスした時間を過ごせば自然と眠気がやってきます。

また、十分な時間寝ているのにまだ眠いという人は、生活リズムに原因があるかもしれません。決まった時間に眠り、決まった時間に起きる。本来の生活リズムを取り戻し、気持ちよい熟睡感と目覚めを手に入れましょう

 

 

ストレスに負けない心と身体作り~5月病を撃退しよう~(2005年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
ストレスに負けない心と身体作り~5月病を撃退しよう~
 就職、転勤、入学など、大きな環境の変化がある季節。新入社員や新入生のみなさんは、難しい試験を乗り越えてようやく入った会社や学校での生活にもう慣れた頃でしょうか?さて、この時期になると緊張感が途切れて急に無気力になったりするのがいわゆる”5月病”。特にGW明けの頃からこの状態になることが多いようです。

この五月病という病名は医学用語ではなく、決まった概念や定義があるものではありませんが、今回は一般的な症状や傾向、憂鬱な気分を快復させるためのアドバイスについてご紹介します。

 
     

 

5月病とは
 
 よく言われるのは、新しい環境に適応できないことで心に焦りが生まれ、”何とかしなければ”という気持ちがストレスになって気分が落ち込んだり無気力になってしまう状態=5月病、ということです。入試を終えようやく入った大学で自分の新たな目標や居場所が見つけられず、GW明け頃からうつ気味になったり無気力な状態になることからこの名前がついたと言われています。ただし、これは五月に限ったことでも新入学生に限ったことでもなく、一般的に見られる症状なのです。
5月病の原因
 
 なんと言ってもストレスを貯めないのが一番。落ち込んだり無気力になっても焦らず、上手に気分をリフレッシュするようにしましょう。そして元気な自分に戻ったあと、新たな目標や関心事を見つけるのも大切。人生の目標など、大きなものでなくてもスポーツや趣味などでもいいのです。新しいものに目を向けたりチャレンジするということが刺激となり、生活の活性化につながります
ストレスの上手な解消法
 
 ストレスをためてしまうと、うつ気分や無気力状態だけでなく、睡眠障害や食欲不振、ひどくなるとそのままうつ病になってしまったりと良くないことばかり。解消法として米デトロイト医療センターが挙げているものを紹介します。

・自分ひとりだけでできることをする

他人と接したり、物を頼んだりすることがストレスになる場合も。自分だけで成し遂げられることを選ぶのも一案。

・友人や家族に自分の気持ちを相談する

悩みは自分の中に溜め込まず、話すことで楽になります。

・週に最低3回運動する

軽い運動はリフレッシュに最適です。

・食事・アルコールは控えめに

食べ過ぎ、飲み過ぎは体調を壊す原因にもなります。

・少なくとも1日に1回は温かい食事をとる

温かい食事は気分を和やかにしてくれます。夕食くらいはゆっくりととりましょう。

・カフェインを含有する飲料を減らす

覚醒作用のあるカフェイン。ぼんやりしてしまう時、気分をキリっとさせるためコーヒーなどを飲む程度なら良いのですが、摂りすぎや就寝前は避けましょう。

・瞑想やリラックス運動を覚えて実践する、ヨガや太極拳を始める

筋肉の緊張緩和や神経の鎮静に役立ちます。

・面白い映画を鑑賞しに行ったり、コメディビデオを借りたりする

笑いは心の活力剤。また、泣ける映画で泣いて心のモヤモヤを洗い流すのもひとつの手です。

・定期的に健康診断を受ける

自分の身体の状態を知っておくのも大切。定期的に診断を受ける、という行為自体が心に安定をもたらす効果も。

ストレスに効く食べ物
 
 過敏になった神経をリラックスさせたり鎮静させるのに効果的な食べ物にタマネギ、ニラ、しそ、レタス、ごま、ユリ根、くるみなどがあります。これらの野菜やカルシウムを多く含む小魚や牛乳の摂取を心掛けましょう。また、カルシウムの吸収に必要なのがビタミンDとマグネシウム。ビタミンDを多く含むきのこ類や魚類、マグネシウムを多く含む豆類も積極的に摂取を。

色々ご紹介しましたが、5月病の大半は放っておいても1,2ヶ月で治ると言われています。5月病はココロの病。特効薬はありませんが、イライラせずにのんびり構えることが予防策。そしていつも前向きな気持ちでいる人には、5月病は無縁なのです。せっかくの新生活、今の状態が不満でも先を見つめ、ポジティブに、元気に過ごしましょう

 

 

寒い季節、冷え症にご用心(2005年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
寒い季節、冷え症にご用心

 朝晩の冷え込みが辛い季節。それでなくても冷え症の人は「手足が冷え切ってなかなか眠れない」という経験もあるのではないでしょうか?

そこで、今回は指先まで暖かい生活がおくれるよう、身体を暖める方法などをご紹介します。

 
     

 

「冷え症」の原因は何?
 
人間の身体には本来体温を一定に保つ機能が備わっているもの。しかしこの体温調節機能にトラブルが起こると「冷え症」になってしまいます。その代表的なトラブルを以下に挙げます。
【皮膚神経の低下

周囲の気温が下がると、皮膚から脳に「寒い・冷たい」という情報が伝達され、体温を調節しようとする。しかし暖房のきいた室内と外との気温差が激しく、そこを出入りする生活が続くことで気温の変化を感じる神経が鈍くなってしまう。また、季節を問わず冷たい飲み物や食べ物をとることで、内臓内の温度調節機能も鈍くなってしまい、体全体で温度を感じる神経の機能が鈍くなる。
【自律神経の機能低下

体温調節は、脳内の自律神経から各器官に指令が送られることで行なわれる。この自律神経は喜怒哀楽などの感情をコントロールする神経中枢(交感神経、副交感神経)の影響を受けているため、強いストレスが続く生活を送っているとうまく機能しなくなってしまうことがある。
【血液の流れの低下

「寒い・冷たい」と感じると、皮膚の毛細血管は一時的に収縮し、皮膚からの放熱を防ぐように働く。しかし血液の流れが悪いと身体の末端まで温かい血液が流れなくなり、指先などが冷えてしまう。また、静脈の流れが悪いと動脈の血液が身体中に行き渡る前に冷えてしまうため、手足だけでなく下腹部も冷え、腰の冷えの原因となる。貧血や低血圧も、温かい血液が毛細血管まで届かないため「冷え」の原因のひとつ。
冷えたら温める
 
 

「冷え」を感じたら、とにかく温めるのが一番。冬場は靴下を2枚履く、重ね着をする、外出時は手袋を着ける、ひざ掛けを持ち歩くなど、身体を温める工夫をしましょう。また、お風呂はシャワーだけで済まさず、湯船につかって身体を温めてあげましょう。

【芯から身体を温める入浴法

 
少しぬるめのお湯にゆっくり入る
 

体温より少し高め、38~40℃くらいのお湯にゆっくりつかる。胸から下だけを湯につける半身浴で20~30分入浴すると効果的。

入浴剤を使う
 

入浴剤を入れると香りや色でリラックス効果もあがり、湯あたりもよくなりお風呂に入るのが楽しみになる。薬用成分が配合されている入浴剤は、湯上りの身体が冷えにくくなるという検証結果もある。

湯船の中でマッサージを
  ただのんびりお湯につかるのもいいが、足指のマッサージをすると血流がさらに良くなる。足の指の付け根には自律神経の通り道があるため、マッサージすることで活性化させることができる。
   
   入浴後すぐは身体中がポカポカと温かく、つい薄着で過ごしてしまいますが、これでは湯冷めのもと。温まった身体が急速に冷えるとかえって冷え症を悪化させてしまうこともあります。特に冷えやすい足元には注意して、お風呂上りにも靴下を履くようにしましょう。お風呂に入れないときは深いバケツなどにお湯をはって足湯をするだけでも温まります。このときは少し熱めの42~43℃くらいのお湯がよいでしょう。

ちなみに、身体を温める食べ物もあります。かぼちゃ、にら、ねぎ、にんじん、みょうが、にんにく、とうがらし、いわし、えびなどが身体を温める食べ物。ビタミン E には血液の流れを良くする働きがあるため、ビタミン E を多く含む食品やサプリメントをとるのも「冷え」対策のひとつに。身体の外と内、両方から温めて「冷え」のない生活を送りましょう!

 

 

秋の夜長、リラックスしてよい睡眠を(2004年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
秋の夜長、リラックスしてよい睡眠を

4年に一度のスポーツの祭典アテネオリンピックが閉幕しました。日本代表選手の活躍に目が離せず、連日にわたる深夜の観戦で寝不足続き…なんて方も多かったのではないでしょうか。それでなくても寝苦しい熱帯夜の続いた今年の夏。生活のリズムが狂ったり、体調を崩したりしていませんか?徐々に秋めいて、過ごしやすくなってくる季節。カラダもココロもほぐしてリラックス、心地よい睡眠をとり、正常な生活リズムを取り戻しましょう。

 
     

 

安眠の大敵・不快ストレス
 
 睡眠不足は脳機能の低下を引き起こし、ストレスへの耐性も弱めてしまいます。そして自律神経やホルモンバランスをも乱し、結果として心身に不調を生じさせる原因となってしまうのです。 

ストレスを受けると分泌される副腎皮質刺激ホルモン( ACTH )には外敵から身を守るため睡眠を抑制させるはたらきがあり、このホルモンのためにストレスを感じるとなかなか寝付けなかったり、浅い眠りしか得られない、といった状態になります。

 しかもこのホルモンの ” 分解 ” は睡眠中に行なわれるため、ストレスを感じる→ ACTH が分泌される→分解するために身体が睡眠を要求する(眠気がおこる)→しかし ACTH のはたらきでよく眠れない…という悪循環に陥ってしまうのです。つまり十分な睡眠と正しい生活リズムを取り戻すには、ストレスを解消することが必要なのです。
上手にストレスを解消しよう
 
 ストレスとは医学的に言うと「なんらかの刺激が身体に加えられた結果、身体が示したゆがみや変調」のこと。窮屈な姿勢を続けていると身体が痛くなってしまうように、ストレスを受けつづけていると心が傷み、身体にまで影響を与えてしまいます。一般的に内気な人や真面目で几帳面な人などはストレスを受けやすく、溜め込みやすいと言われます。ストレスの解消法は人それぞれですが、趣味や好きなことをしたりのんびりすごしたり、自分なりのストレス解消法をみつけておきましょう。
 
ストレッチでストレス解消
 

頭や神経を使うとストレスが起こり、筋肉が緊張状態になります。筋肉をストレッチ( stretch :伸ばす、引っ張る)すると筋肉がほぐれて身体の疲れが和らぐように、ストレスでこってしまった筋肉をほぐすことはストレス解消にも役立ちます。また、軽い運動は眠りを誘う効果も期待できます。

お風呂でストレス解消
 

40 度くらいの少しぬるめのお湯にゆっくりつかると血行がよくなり、首や肩のこりがほぐれて身体が心地よく温まります。入浴後、徐々に身体が冷えていくにつれ眠気が訪れるため、寝る前の入浴は快眠にも効果的。お風呂に入れないときには、 40 度くらいのお湯をはった洗面器などに足を 15 分ほど浸す「足浴」がオススメ。

アロマでストレス解消
  アロマセラピー(芳香療法)で利用されるアロマオイルには、鎮静効果をもつものもあり、ストレスを和らげたり誘眠や睡眠の質を高める効果が期待できます。キャンドルやオイルマッサージ、入浴などに上手く取り入れてみましょう。
  <ストレス解消や安眠に効果のある香り>

ラベンダー:心地よい眠りを誘う

ネロリ:心を穏やかにして安眠を促す

スィートオレンジ:不安や緊張をほぐす

カモミールローマン:ストレスを和らげる

サンダルウッド:緊張を和らげる

フランキンセンス:心を落ち着かせる

クラリーセージ:緊張をほぐす

ゼラニウム:精神を安定させる

ローズ:不安や緊張を和らげる

マージョラム:神経を鎮静する

呼吸法でストレス解消
  ストレスによる緊張状態が続くと呼吸が浅くなり、全身に酸素が行き渡らないため、リラックスしたくてもできなくなってしまいます。そこで、ストレスや緊張を感じたら「腹式呼吸」を。椅子にゆったり腰掛け、お腹を膨らませながら鼻からたっぷり息を吸いこみ、吐く時はお腹をへこませながら口からゆっくり息を吐き出す。これを何度か繰り返すと緊張がほぐれ、心身ともにリラックスできます。
   
 「早寝早起き」ではなく「早起き」が「早寝」につながる、という言葉があります。眠りの浅いときはむしろ「遅寝早起き」と割り切り、同じ時刻に起床して生活リズムを作りましょう。すっきりとした寝覚めは快眠の証拠。気持ちよく起きて、元気な一日を過ごしたいものですね。