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まめ知識カテゴリ: 食事

食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。(2006年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。
 残暑は続きますが、季節は徐々に秋へと色づいてきました。さて、秋と言えばやっぱり”食欲の秋” 健康と食は切っても切れない大切な関係。健康の源である食事をおいしく楽しむために、胃腸の自己管理は欠かせません。そこで今回は、腸内環境についてお話しします。
 
     

 

健康に役立つ”腸内細菌”
 

  私たちの体の中には無数の細菌が棲息しています。細菌と聞くと、なんだか体に悪いもののように感じますが、常在菌と呼ばれるこの細菌たちは、病原菌など身体へ有害な菌の進入や増殖を防ぐ大切なもの。その中で、腸内に棲息する細菌を腸内細菌と呼びます。

●腸内細菌とは

常在菌が最も多く棲息しているのが消化管内で、胃腸管の内壁を覆うように棲みつく無数の細菌が腸内細菌です。腸内細菌は、食べた栄養素から体を構成するのに必要なタンパク質などを合成したり、ビタミンを生成したり、免疫機能を強化させたり、中性脂肪や血糖などの代謝を促進させたりと、健康に関わる多くの働きをしています。

●善玉菌と悪玉菌

さて、腸内細菌といえば善玉菌という言葉を耳にしたことがある人も多いかと思います。お腹に良いとされる「乳酸菌」がそれで、糖類を分解して乳酸や酢酸を生産したり、便秘や下痢を防いだり、消化・吸収・代謝を助けるなどの働きをもつ細菌の総称です。

ちなみに、腸内細菌には、この善玉菌と悪玉菌、そして食生活や体調によって善玉・悪玉のどちらにもなりうる日和見菌の3種類が存在します。悪玉菌は、その名の通り体に悪い働きをする菌で、ブドウ球菌やウェルシュ菌などが挙げられます。

生まれたばかりの赤ちゃんのお腹の中はほとんどが善玉菌ですが、成長と共に悪玉菌が増え、菌のバランスが崩れていきます。悪玉菌が増える原因には、ストレスや薬の服用によるもの、便秘、食生活や疾病などが挙げられますが、悪玉菌が増えると様々な有害物質が生成されることになり、免疫力が低下したり生活習慣病が発症しやすくなると言われています。

体と健康に大切な腸内細菌ですが、一度バランスの崩れた腸内環境は、放っておけば改善されるというものではありません。腸内細菌のバランスを整えるには、偏った食事ではなく、腸内細菌が好んで食べる乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維などをしっかりと摂るように心がけることが大切です。

 
ビタミンを作る腸内細菌
 

健康づくりに欠かせないもののひとつにビタミンがありますが、このビタミンを生成するのが腸内の善玉菌。腸内細菌がつくり出すビタミンには、ビタミンB郡(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12)、葉酸、ビタミンKなど、多くの種類が確認されています。

●ビタミンの種類

【ビタミンA】

皮膚や粘膜を丈夫にする。

【ビタミンB1】

脳を活性化し、疲労を防ぐ。

【ビタミンB2】

発育を促進する成長ビタミン。

【ビタミンB6】

タンパク質をつくる。

【ビタミンB12】

貧血を改善する。

【ビタミンC】

コラーゲンの生成を助ける、ビタミンの代表格。

【ビタミンD】

強い骨や歯をつくるカルシウムを調整する。

【ビタミンE】

活性酸素から体を守る。

【ビタミンK】

血液凝固と骨の健康に役立つ。

【ベータカロチン】

緑黄色野菜に豊富に含まれる、抗酸化ビタミン。

【ビオチン】

皮膚の健康を保つ。

【葉酸】

赤血球や細胞を作るのに役立つ

 

 
ストレスは善玉菌の大敵!
 
強いストレスは腸の蠕動(ぜんどう)運動をコントロールする自律神経中枢にも影響を及ぼし、便秘や下痢を引き起こす要因となります。不規則な便通は腸内細菌のバランスを崩し、善玉菌を減らして悪玉菌を増殖させてしまいます。

●便秘

便通が不規則で、水分の少ない便が出るのが便秘です。便が何日も腸内に滞ると、悪玉菌が繁殖して便を腐敗させます。腐敗した便は有毒物質やガスを発生し、これらの毒素が血液によって全身に運ばれると、様々な病気を引き起こす原因ともなります。便秘気味の人は、食物繊維と水分をしっかりととり、正しい食生活を心がけましょう。

●下痢

便に含まれる水分が腸内で十分に吸収されずに排泄されるのが下痢です。体を冷やさないように気をつけ、温かいスープなどで失われた水分や栄養素を補給しましょう。ただし、腹痛や嘔吐、発熱、血便など異常を感じる下痢の場合は食中毒などの可能性も考えられるので、速やかに医師の診断を受けましょう。

 気持ちのいいお通じは腸の健康につながり、便通を正しく整えることが腸内環境を良好に保つ秘訣です。そのためにもストレスをためないように自分なりの解消法を見つけるなど工夫し、積極的に食物繊維を摂るように心がけましょう。

食物繊維の一日の摂取量の目安は、20~30gです。食物繊維は玄米や麦芽米などの穀類、大豆などの豆類、さつまいもや山芋などのいも類、ごぼうやにんじんなどの根菜類などの野菜に多く含まれています。また、わかめやひじき、寒天などの海藻、きのこ類、乳製品なども食物繊維を多く含む食品。これらの食材を毎日の食事に積極的に取り入れ、上手に食物繊維を摂取しましょう。

 
「食欲の秋」と言えば、気になるのがダイエット。しかし、食べる量を減らすダイエットは便の量と体内の水分を減らすことになり、便秘へとつながる恐れも。また、食事を抑えるだけで運動をしないダイエットも、筋肉を落とし腸の働きを鈍くしてしまうため、腸内環境には好ましくないものです。健康な腸の働きを助けるのは、規則正しい生活とバランスのよい食事、そして快便です。おいしく食べて、体の中から健康管理に努めましょう。

 

 

水には味がある! お水の話し(2006年9月)

 

水には味がある! お水の話し

社団法人 茨城県栄養士会

栄養士 小林麻衣子
 
 
 

人体の60%は水でできているといわれています。水がなければ人間は生きていけません。それほどい人間にとって、大切な命の源『水』。しかし昨今社会の都市化・工業化進み、水の汚染が心配されています。そんなこともあってか世は『水』ブーム。コンビニやスーパーの飲料水コーナーを覗いて、「最近、水が増えたなあ」と感じる方も多いはず!輸入品から国産品まで種々様々の水が売られている『水(ミネラルウォーター)』ブームの中身を覗くと共に身近過ぎる『水』について考えてみませんか?

1.人体の60%は水。水なしで人間は生きられない。

人間の体内で水の占める割合は、新生児で約80%、成人でも約60%とも言われています。水分が失われると脱水症状が現れ、15~20%を失うと生命の危機があるといいますから、私達の体にとって、水は非常に重要なものとも言えます。

2.水分補給のタイミング

成人が1日に必要な水分は2.000~2.500ml。このうち飲料水として摂りいれるのは800~1.300mlと言われています。

≪上手に水分補給をするには?≫

≪朝1杯の水を習慣に≫

寝ている間に汗をかき、水分が奪われしまうため、朝起きて水分を摂取しないでいると、どろどろとした血液が詰まって脳梗塞の発作を起こしてしまう可能性が高くなるからです。また朝起きぬけにコップ1杯の冷たい水を飲むと、腸が刺激され便秘解消にもなります。

≪1日1リットルを目標に≫

1度にがぶ飲みしても意味が無い1回200ml程度を何度かに分けて摂取すると摂取しやすい。1日のサイクルとしては・・・

朝目覚め1杯 午前10時1杯 午前3時1杯 入浴後1杯 就寝前1杯

≪乾く前に飲む≫

喉が渇いたからといってガブ飲みするのは避けましょう。汗をかいた
後の身体は、水分だけでなくミネラル分も失われています

水分だけ大量に共給すると、体液中のミネラル濃度が薄くなって
しまいます。まずは『喉が渇いた』と思う前に積極的に
水分を補給するよう心かけましょう。

≪入浴前・後は必ず補給≫

お風呂に入るとたくさんの汗をかきます。

十分な水分補給をしてから入浴しましょう。

また、入浴後は皮膚がふやけているので水分があるように思いますが、やはりたくさんの汗をかいています。入浴後も十分な水分補給を心がけましょう。

3.『おいしい水』とは?

本来水は水は無味無臭なものです。雨水を調べてみても、蒸留水に近くミネラル成分をほとんど含んでいません。雨水が地球に降った後に、いろんな地質層や岩石層の狭い隙間に浸み込んでいって、いろいろなミネラル成分(カルシウム・マグネシウム)を溶かし込みます。

水に味があるというのは、飲み水が純粋なH2Oでなく、鉱物分などを溶かし込んでいるからなのです。

さらに水には硬度があります。

水には軟水と硬水があり水に含まれているミネラル成分によって分けられます。

この硬度は水の味を決める大きな要素の一つなのです。

≪おいしい水とはどのような水?≫

「おいしい水」を決定づけるのは、とても難しいこと。味は個人的嗜好もあり一概には決めることはできません。ここでは「あなたの好み」に合いそうな水探しのヒントをご紹介します。

水質項目
おいしい水の要件
おいしさの違いは?
蒸留残留物 30~200mg/l 主にミネラルの含有量を示す。量が多いと苦味・渋味が増し、適度に含まれるとこくのある、まろやかな味がする。
硬   度 10~100mg/l 硬度の低い水は「くせ」がない。高いと「くせ」があるため、人によって好き嫌いが出る。カルシウムに比べ、マグネシウムの多い水は苦味をます。
遊離炭酸 3~30mg/l 水にさわやかな味を与えが、多いと刺激が強くなる
水   温 最高20℃以下 水は冷すことによっておいしく飲める。

4.『硬い水』と『軟らかい水』

水はミネラル分が多く含まれると水の味は硬く感じられ、少ないと軟らかかく感じられます。
『硬度』とは水に含まれるカルシュウムとマグネシウムの量を測定したものです。

◆軟水

1リットル中100mg以下のもの。味はまろやか。

ミネラル分は少なめ。日本産のミネラルウォーター

はほとんどこれにあたります。

◆硬水

1リットル中301mg以上のもの。

口当たりにはややクセがありますが、ミネラル補給には効果的です。

◆中硬水

1リットル中101mg以上300以下のもの。

違和感のない味わいで、ミネラル補給も同時にできます。

海外産ミネラルウォーターではエビアンなどがこのタイプです

◆超硬水

1リットル中1000mg以上のもの。

コントレックスはこのタイプです。

一般的に硬い水は口に含むと引き締まった味がします。一方軟らかい水は口の中でやさしく広がります。

5.『ミネラルウォーター』の効能

6.ミネラルウォーター使い分け術

 
緑茶
紅茶
地域
日本
欧州
軟水
まろやか
香りが薄い
硬水
渋みが出る
香りが良く出る
硬度50以下

(軟水)

野菜煮物・炊飯・和風のだし・緑茶
硬度50~100

(中程度の軟水)

料理・コーヒー・紅茶
硬度170前後

(硬水)

ウイスキー水割り・洋風だし・肉の煮込みやアク抜き
硬水300

(非常な硬水)

食欲増進の効果があるので食前酒の代わりに
硬度600を超える水

(更に非常な硬水)

便秘対策・スポーツ後のミネラル補給など

一口に『水』といっても、軟水・硬水・炭酸水など、様々な種類があり、それぞれの性質と、体に及ぼす効能も違います。私達にとっては、本当に日常的な飲み物。だからこそ『たかが水』など思わずに、関心を深めることにより楽しく、用途や利用目的によってミネラル成分や硬度を確認してから購入してみてはいかがでしょうか?きっとあなた好みの『水(ミネラルウォーター)』が見つかるかもしれませんね。

 

 

 

血管の健康、気づかっていますか?(2006年8月)

 

血管の健康、気づかっていますか?

社団法人 茨城県栄養士会

染谷まゆみ
 
 
 

サラサラの血液

ふだんは血管の状態など考えたこともない方がほとんどだと思います。でも血管は休むことなく私たちの体を維持するために、血液を体全体に届ける役目を果たしてくれています。その大切な血管を知らず知らずに酷使していませんか。糖分やアルコール・脂肪などを摂りすぎたり、ストレスが溜まったりすると血液の粘度が増し、ドロドロとした血液になります。その結果血液の流れが悪くなり、血管に負担をかけることになります。そのような状態が長く続くと血管壁が厚くなったり弾力が失われたりして動脈硬化につながり、更に脳梗塞や心筋梗塞になる恐れもあります。次のような点に気をつけて血液がサラサラになるような食生活を心がけ、血管をいたわりましょう。

〔心がけたいこと〕

1.健康に良いといわれている食品でも食べすぎは禁物。エネルギーや塩分のとりすぎになりやすいので注意が必要です。今までの食事に追加するのではなく、食べ過ぎていたと思う食品を減らしてその変わりに食べる方がよいでしょう。

2.バランスの良い食事を適量摂取しましょう。できる限り主食(ご飯、パン、麺など)・主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)・副菜(野菜、きのこ、海草など)をそろえるように心がけます。ごはんと汁物・おかずを組み合わせる日本型の食事はバランスがとりやすいでしょう。

3.野菜・きのこ・海草類を十分に摂りましょう。

これらは低エネルギーで、かつ血管に良い影響を及ぼす成分の宝庫です。ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンが多く含まれており、血液をサラサラにする効果があります。食物繊維も豊富で血中のコレステロールを下げ動脈硬化を防ぐ効果や、血糖値の上昇を抑える作用もあります。野菜は小鉢に1~2杯を目安に毎食食べたいものです。

4.青背魚も積極的に食べましょう。魚に含まれる不飽和脂肪酸は血液の流れを良くします。夏向けにさっぱりとしたイワシ料理をご紹介いたします。開いた生のイワシに少量の酒と醤油で下味をつけ、たたいた梅干と千切りのしその葉を混ぜたものをのせて焼くだけです。

 

 

 

 

健康づくりの中のおやつ作り(2006年7月)

 

健康づくりの中のおやつ作り

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 吉田和子
 
 
 

間食の必要性

幼児にとって間食は3つの側面から必要である。

第1点は栄養的な面の役割である。幼児期の食事摂取基準は、幼児の体重1kg当たりで見ると成人の2~3倍にもなる。しかし、消化吸収などの機能はまだ未熟で発育途上にある。

このため、多くの食物を一度に処理することができず、大人のように三回の食事だけで必要な栄養量を充足することが困難である。そのため間食を食事の一部分と考え、身体発育の面からエネルギー及び各栄養素のバランスが大切である。また、代謝が活発であり、水分補給の点からも重要視されている。

第2点は精神的な面の効果を考えられる。おやつは幼児にとって食べることの楽しみを体験できるひとときである。通常の3度の食事とは異なる雰囲気や、時には友達や家族を含め食卓の団らんなどのコミュにケーションの仲立ちにもなり、幼児に休息、気分転換の機会を与える。また、おやつはその形態や食べ方の面において、子供の好みを取り入れやすく、心の発達を助ける点からも効果的である。

第3点は、しつけや健全な食習慣を形成するための栄養教育の効果的な場として評価できる。間食を通して食事のマナーや食物の衛生的な取扱い等を無理なく自然な形で教育でき、また、クッキーづくりなど、作ることの喜びや直接素材にふれることのできる体験学習の場として、食べ物に対して子供の関心をさらに高められる。

間食の与え方と問題

与える回数は1~2歳児は午前(朝食と昼食の間)と午後(昼食と夕食の間)の2回

3~5歳児は午後(昼食と夕食の間)1回として与えることが一般的だ。個々の幼児の生活リズムに合わせることも大事である。

与える量は間食全体で1日に必要な食事摂取基準の10~15%位が適当である。1~2歳児は100~180kcal、3~5歳児では140~240kcalに相当する。

しかし、最近の幼児の間食の実態は、間食による摂取エネルギーの割合が25%前後にもなることが多く、1日の食事の栄養配分や肥満などの面から問題となっている。

注意点

① 間食の種類として望ましいものは、

栄養的な偏りの少ないもの

薄味で甘味、塩味の強くないもの

消化のよいもの(胃内停留時間の短いもの)

ある程度の容積を持ち満腹感を与えられるもの

水分補給できるもの

脂肪や糖質の多すぎないもの

食品

牛乳、乳製品を中心とした飲み物、果物、野菜類、穀類、芋類、豆類等の糖質性食品を基本に手作りされたもの

これらは市販のおやつに含有量の少ないビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれている。

最近は栄養成分が表示されている菓子も流通されているので添加物の表示内容や製造年月日なども確認して利用することが必要である。

②間食に市販食品を用いた場合、容器包装のまま多量に与えない。

間食として使用頻度の高いスナック菓子類の中には非常に多くの脂肪や食塩が含まれている。放任すれば1袋食べてしまう。次の食事が十分に摂取できない場合も生じる。

③間食の時刻を決めることは、食生活リズムを整える上から重要である。 

だらだらと遊び食いにならないように、間食所要時間は20~30分以内ですます。

④幼児期になると簡単な買い物行動も可能となる。このとき、買い物の場において直接食べることがある。これは食生活リズムを乱し、幼児のわがままを助長し、さらには衛生面での問題を生じる。

⑤間食の内容については幼児の好みを取り入れることは幼児に喜びを与えるが、その際には間食の意義を逸脱しないよう配慮する。

⑥幼児期は、特に地域の同年齢の子供たちの影響を受けやすい。近隣の幼児の母親同士の情報交換や話し合いにより子供にとって最も望ましい間食について考え、間食の作り方なども紹介しあい、健全な食習慣の形成に努める。間食を軽視しない。

好ましいおやつの例

① 材料そのもの風味を味わうおやつの例

  • にんじん、きゅうり、セロリのステック:1歳頃から与えると野菜になじみやすい。
  • 季節の果物、果汁:果物はあまり手を加えない。
  • 牛乳、ヨーグルト、チーズ、ゆで卵:カルシウム、たんぱく質が不足するときに用いる。
  • 枝豆、そら豆、とうもろこし、焼栗、ナッツ類:季節を味わう。
  • 芋や南瓜の素揚げ、焼き芋、じゃがいものバター焼き、衣かつぎ、干しいも:胃に満腹感を与える。
  • そばがき、麦こがし、餅、かき餅、きな粉おはぎ:伝統的味覚を養う。
  • するめ、昆布、いりこ:噛みごたえのあるもの

② おやつの組み合わせ例(エネルギー量)―水分を同時にとる

  • 牛乳100gとポップコーン10g(109kcal)
  • 牛乳200gとビスケット20g(225kcal)
  • りんご果汁100gと焼きじゃがいも80g、バター5g(145kcal)
  • お茶100gと餅50g、チーズ20g、海苔1g(185kcal)
 

 

 

家族で毎朝 朝ごはんを食べよう(2006年5月)

 

家族で毎朝 朝ごはんを食べよう  
會澤千恵子
 
 朝ごはんを食べることは、心身が睡眠モードから活動モードに切りかわるので、生活リズムを整える上でとても大切なことです。また、睡眠中に下がった体温が上昇して血流がよくなるので、体が元気良く動きだします。さらに、消化器系も活動し始め腸が刺激されて、便通がよくなります。

<なぜ 朝ごはんが大切なのか?>
 人も子どもも年々朝食の欠食率が増加してきています。平成 14年の国民栄養調査では、約10%の人が、児童生徒も学年が上がるにつれて欠食率が上昇しています。この原因は、大人の生活が夜型化しているため、夜中に夜食をお腹いっぱい食べるなど不規則な食事になっていることや、就寝時間が遅くなり、朝起きられず、食べる時間がないことや、食欲もわかないので朝食が欠食になってしまっています。これに引きずられるように子どもたちの中にも、朝食を食べない子どもたちが増えてきているのです。

なぜ、朝ごはんが大切なの?

それは

  朝ごはんを食べることで、睡眠モードから活動モードに心身が切りかわるので、生活リズムを整える上でとても大切なことです。また睡眠中に下がった体温が上昇して血流がよくなり、身体が元気良く動きだします。また消化器系も活動し始め腸が刺激されて、便通がよくなります。

 

 

忙しい朝は、時間をかけずに用意をすることが大切です。事前に献立を考え、夕食の残りを利用したり、前日に料理の下準備をしておきましょう。

 

 

近頃

  お菓子やインスタント食品、栄養補助食品などを朝ごはんがわりにしている人が増えています。それらの食品は、「食事の補助」や「間食」用なので、食事代わりにすると栄養の偏りなどの問題がでてきます。

 

 

新生活の始まり。朝食を摂って元気な1日を!(2006年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
新生活の始まり。朝食を摂って元気な1日を!
 4月。新年度、新学期のスタートです。新たな生活が始まった人はもちろん、環境に特別何も変わりがないという人でも、4月は「新しい始まりの季節」ではないでしょうか?

1日の始まりは朝。元気な1日を過ごすために、今回は「きちんと朝ごはんのススメ」についてのお話です。

 
     

 

朝ごはんは、なぜ大切か?
 

食事 人間の体は、1日の24時間を1サイクルとして、体を構成する組織や臓器がリズムを保って活動しています。そのリズムの基となるのは太陽の光で、その明るさや暗さが脳の中枢神経を刺激し、活動を弱めたり強めたりして体の働きを調節するのです。また、食事を摂ることも神経系を刺激する作用があり、血液中の栄養成分の濃度を高めて、組織や内臓の働きを活発にします。

●朝ごはんを食べないと…

全身の組織や内臓の働きは起床した直後に活発になるわけではありません。体温は低く、脳の働きも不十分な状態です。この状態のまま、体をあまり動かすことなく食事もとらずに、仕事や勉強など日中の活動を始めると、脳も体も栄養不足で十分に働きません。このままでは集中力を欠いたまま午前中を過ごすことになってしまいます。

●朝ごはんを食べると

それに対し、起床してから体を動かして筋肉を刺激し、血液の流れや胃腸の働きを活発にして、食欲をあげてから朝ごはんを食べるとどうでしょう。体温と血糖が上がり、脳と体はリズムにのって働き始めます。そうすると仕事や勉強にも集中でき、朝から気持ちよく過ごすことができるのです。

 
朝食抜きの原因とは?
 
不振  さて、朝ごはんが大切なことは分かっていても、忙しい現代人はなかなか朝ごはんを食べられないという実態があります。あるアンケート調査では、独身でひとり暮らしの女性の場合、朝食を毎日きちんと摂ると答えた人はなんと全体の半数以下という結果でした。

では、なぜ朝ごはんが食べられないのでしょうか?その原因と対策を、以下にご紹介します。

●朝は食欲がない

1日のリズムでいえば、本来、朝は1日のうちで一番お腹が空く時間のはずです。前日午後8時に夕食を摂ったとして、睡眠、起床と翌朝7時までは約11時間。お菓子や夜食を食べた場合は別として、ほぼ半日もの間、体に栄養が入っていないことになります。こういうリズムで生活を送っている人は、朝お腹が空いた状態で目覚めることができるでしょう。

これに対して、夕食が遅い人、寝る前にお菓子や夜食を食べる人は、朝あまり食欲がわかないのは当然ですね。また、就寝時間が遅すぎるのも、夜中に食べてしまう原因のひとつ。睡眠不足だと食欲刺激ホルモンが増え、食欲抑制ホルモンが減るという現象が起こります。つまり夜更かしすればするほど余分に食べてしまい、翌朝は体があまり食事を欲しない状態になってしまうのです。だからといって朝食を抜くと、昼食までの時間が空きすぎるので、体はエネルギーを蓄えようとして、食べたものが脂肪に変わりやすくなり、皮下脂肪のつきやすい体質になってしまいます。

●ダイエット中なのでなるべく食べたくない

これが間違った考えというのは、すでに多くの皆さんがご存知でしょう。上にも書いたように、朝食を抜くと脂肪のつきやすい体質になるため、朝食を抜くことはダイエットには逆効果になります。毎朝きちんと朝食を摂ることで体のリズムが正常になり、消化や代謝の働きが整うので、ダイエットにも良い傾向が出てきます。また、食事を摂ることは腸を刺激するため、排便のリズムも整います。

●ギリギリまで寝ていたい

朝ごはんを食べる時間がもったいなくて、それならその分寝ていたい…という声も多く聞きます。しかし10分長く寝ても、朝ごはんを食べなくては体はすっきりと目覚めず、午前中をぼーっと過ごすことになります。かえって時間がもったいないと思いませんか?

それならば、いつもより少し早く起きて、朝食をとることが効率的だと考え方を変えてみましょう。また、目覚めてすぐに朝食を摂ろうとせず、朝の準備などをして体を少し動かしてから朝食を摂るようにしましょう。それによって胃腸をはじめとする体の組織が働き出し、空腹感がおきて、朝ごはんをおいしく食べることができるのです。

●朝食を準備する時間がない

これも上の「ギリギリまで寝ていたい」派と同じような意見です。確かに、朝は何かと忙しく、時間がないもの。だからといって朝ごはんを犠牲にするのはよくありません。晩ご飯やお弁当のおかずを多めに作って、朝食用に残しておいたり、温めるだけでたべられるように前の晩から用意しておくなど対策はいくらでもあります。「朝は食欲がない」という人も、ヨーグルトや果物、シリアル、スープなど、手軽に食べられるものから始め、少し早起きして朝食を食べる習慣をつけていきましょう。

 
朝食をきちんととることは、体の健康だけでなく心の健康にも関わってきます。朝食を抜くと、集中力が低下するだけでなく、体調不良で元気が出ない、なんとなく体がだるい、エネルギー不足で貧血気味、空腹によるイライラ感など、脳と体に様々な悪影響を及ぼします。 子供の場合も同じで、朝食を食べる習慣のない家庭で育つと、朝から元気が出ない、学校に行く気力がない、という状態になってしまい、体の成長ばかりか心の成長まで妨げてしまう恐れがあります。「食育」という言葉をよく耳にしますが、子供の成長にも朝ごはんは大切なのです。 夜食・夜更かしを控え、少し早起きする生活を徐々に習慣づけていくと体のリズムも整い、生活習慣病の予防にも役立ちます。気持ちのよい1日の始まりは、おいしい朝ごはんから。朝ごはんをきちんと食べて、健康的な毎日を送りましょう。

 

 

サプリメントって一体何者?(2006年4月)

 

サプリメントって一体何者?

社団法人 茨城県栄養士会

サプリメントアドバイザー

根本 偉代

 
 
 
近年、私達の日常生活の中で『サプリメント』という言葉をよく聞きますが、『サプリメント』って一体何でしょうか?
 
★サプリメントは薬それとも食品?
 
サプリメント(supplement)には補うという意味があります。

私達が口から入れるものの中で法律上
 「医薬品(医薬部外品含む)」
 「食品」のどちらかに位置付けされます。


医薬品
  • 病気の治療や予防を目的としてつくられたものです。
  • 用法用量が細かく決められていて効能効果もはっきり書くことができます。
  • 医師・薬剤師の指示・アドバイスが必要です。
   
サプリメント
  • 薬のように即効性があったり、病気の治療を目的としたものではありません。
  • ビタミン・ミネラル・アミノ酸など毎日の食事で不足しがちな栄養素を補うもので「栄養補助食品」ともいいます。
  • 錠剤やカプセルなど薬に似た形をしていますが、薬ではなく食品なので効果を表示することは出来ません。
   
★どこまでがサプリメント?
 
図1 保健機能食品の分類と名称
<保健機能食品>
医薬品

(医薬部外品を含む)

特定保健用食品

(個別評価型)

栄養機能食品

(規格基準型)

一般食品

(いわゆる健康食品を含む)

  栄養成分含有表示

保険用途の表示

(栄養成分機能表示)

注意喚起表示

栄養成分含有表示

栄養成分機能表示

注意喚起表示

 
厚生労働省医薬局長通知「保健機能食品制度の創設について」2001年3月より
・健康維持、増進に役立つ健康食品のうち一定の条件を満たしているものには、「保健機能食品」と表示できます。
栄養機能食品
  • 栄養機能表示が認められているのは、ビタミンA・βカロテン・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ナイアシン・葉酸のビタミン類です。
  • カルシウム・鉄・銅・亜鉛・マグネシウムのミネラル類です。
   
特定保健用食品(トクホ)
  • 保健食品、栄養補助食品と呼ばれている食品の中で保健の用途、有効性、安全性など医学、栄養学的に明らかにされたものです。
  • 健康への効果の表示が認められたものです。
  • 成分として、オリゴ糖・乳酸菌・食物繊維・ペプチド・たんぱく質・脂質・ミネラルなどです。
  • 表示内容・・・8つに分類
  1. おなかの調子を整える食品
  2. コレステロールが高めな方の食品
  3. 血圧が高めな方の食品
  4. ミネラルの吸収を助ける食品
  5. 骨の健康のための食品
  6. 歯の健康のための食品
  7. 血糖値が気になる方の食品
  8. 血中中性脂肪が上昇しにくい食品

となっています。

   
健康食品

(いわゆる保健食品)

  • 規定する法律、科学的根拠は認められていません。
  • 健康維持、増進の目的に期待されている食品ということです。
  • 栄養素を「補う」として本来はここがサプリメントとしての場所なのですが、一般に「栄養機能食品」をサプリメントとして呼んでいるようです。
   
★飲み方は?
 
サプリメントの説明書には「食生活は、主食・主菜・副菜を基本に食事のバランスを」と書かれています。

まずはご自分のライフスタイルから見直してみましょう。

いかがですか・・・・・・

サプリメントは『魔法』の薬ではありません。
毎日の食事の中からどうしても不足してしまう栄養素を補う『補助食品』であることを知っておいて欲しいのです。
サプリメントを利用したいときは、目的と十分な理解と判断で上手に活用して頂きたいと思います。

 

 

 

ストレスに強くなる食事の工夫!!(2006年3月)

 

ストレスに強くなる食事の工夫!!

社団法人 茨城県栄養士会

根本 鈴子
 
 
 
 

私たちの生活をとりまく環境は、近頃ますます複雑になってきており、人間関係にも影響をおよぼすなど、何かと精神的緊張を増して健康を阻害する大きな要因になっています。日常の食生活に十分気をつけて、ストレスに負けないようにしましょう。
 
★1 ストレスに強くなる食生活の基本は、やはり”バランス”のとれた食生活
 

強いストレスや心配事があったり、イライラしている時など胃酸の分泌が高まり、胃潰瘍や胃からの出血が起こることが少なくありません。この予防のためには普段から栄養素のバランスのとれた食生活を続ける事が大切です。特に胃の弱い人は、バランスのとれた食事を摂るとともに規則正しい生活を送るように心がけましょう。


   
★2 良質のたん白質を毎日欠かさず摂りましょう
 
ストレスが加わると、副腎皮質の機能が高まり、体のたん白質が壊されていきます。その結果、体力が消耗し、ストレスに対しての耐性も弱まります。そのような意味からも、体のたん白質の量が多いほど、ストレスに対応する抵抗力が強いといえます。

たん白質は、毎日の食事で十分に補っていかなければならない大切な栄養素ですが、とくに良質のたん白質を毎日必ず摂取するように心がけましょう。

   
★3 各種のビタミン、とくにCを十分摂りましょう
 

ストレスが加わる副腎髄質ホルモンの分泌が増して、体内での代謝が高まります。それによって各種ビタミン、とくにビタミンCの消耗が激しくなります。ふだんからビタミンCの補給に十分に心がけることが大切です。ビタミンCの働きは様々なビタミンの相互作用でも高まりますから、他のビタミンについてもバランスよく摂取しなければなりません。

ストレス社会を健康的に生きるためには、毎日規則的に食事をとるだけではなく、十分に睡眠と休養をとって生活リズムを調える、適度の運動をするなど、望ましいライフスタイルをつくり上げることが大切です。

 

 
 

 

 

「一年の計は元旦にあり」(2006年2月)

 

一年の計は元旦にあり」

茨城県栄養士会

大津 音江

 
 
 
 「一年の計は元旦にあり」といいますが、皆さんの年明けはいかがだったでしょうか?

健康も、実は年初めの食生活が大きく影響するのです。

寒さと日照時間の短さによる運動不足、忘年会やクリスマスなどでの年末に酷使した胃袋にさらに拍車をかけるようなおせち料理や新年会などの宴会料理が続きます。必要以上に蓄積された体脂肪、そのまま引きずってはいませんか?1kg増えた体重を元に戻すには7000Kcalの消費が必要ですが、1日30分【分速60m】歩行しても消費カロリーは100 Kcal程度、2ヶ月以上もかかります。その上2月はますます寒さが厳しい季節、外に出るのも億劫になる時期です。気づいた頃には体調不良で病院通い、生活習慣病の発症なんてことにもなりかねません。生活習慣病は、過食・偏食、運動不足、喫煙、多飲、ストレス、肥満などが起因する慢性疾患ですが、自覚症状のないうちに予防するのが一番です。さあ今日からでも遅くはありません。今年1年無病息災(一次予防、二次予防、三次予防)健康成就を願って食生活(日常生活)を見直してみましょう!!

 
自覚症状で健康チェック

(A)
1
のどが渇く【口渇】□
2
ジュースや水がやたらにほしくなる【多飲】□
3
夜間おしっこに何回も起きる【多尿】□
4
ジュースやコーラは水代わりに飲む、

1日ペットボトル1リットル~2リットルは飲んでしまう□

5
果物やまんじゅうがすき、毎日2~3個は食べる□
(B)
6
漬物や梅干、味の濃いお惣菜が好きで毎食のように食べている□
7
刺身にはたっぷりの醤油をかけて食べる、

塩焼魚にも醤油をかけて食べるのがすき□

8
ラーメンやうどんなど麺類が好き、つゆも残さず飲みきるほうだ□ 
(C)
9
てんぷらやフライなど揚げ物はよく食べる、

トンカツの脂身のところが特にすき□

10
ケーキやシュークリームなど洋菓子が大好き、

ソフトクリームもよく食べる□

11
あん肝や霜降り肉がすき、鍋物は水炊きよりすき焼きが好き□
12
和食より洋食、中華料理が好き、お浸しや酢の物は嫌い□
13
お酒はよく飲む、ほとんど毎日飲まないと寝付けない□
14
最近 体重が増えてきた、運動不足を自覚している□
15
お腹のまわりが眼に見えて太ってきたのがわかる□
(D)
16
スポーツの後に飲むビールと、焼肉は最高!毎日でもいける□
17
最近 胃の調子が悪い、食欲がない、背が張る、肩が凝る□
18
最近 寝起きの顔がむくんでいるような気がする、頭がすっきりしない□
19
野菜やきのこ類は苦手だ、ほとんど口にしない□
20
朝食抜き、昼は麺類か菓子パン、

夜はカップラーメンか外で飲むことが多い□

 
1~20の項目であなたはいくつ該当しますか?
(A)
2型糖尿病によくみられる症状です
(B)

高血圧のリスクファクター【要因】

(C)
高脂血症、脂肪肝(内臓肥満)、アルコール性肝炎などが疑われます
(D)
痛風や腎機能の低下、胆のう炎(胆石)、胃腸はだいじょうぶ?
 

※生活習慣病は、日常生活の多様な悪循環が複合して起きる病気です

該当する項目がある方は、早めに病院で検査してみましょう

病気は早期発見・早期治療で、あなたの健康寿命を延ばします 

食事も良質のたんぱく質や食物繊維の豊富な野菜をたっぷりとりましょう

 

《お知らせ》

 

◎栄養診断は、茨城県栄養士会で行っています

◎食事摂取基準や治療食について詳しくお知りになりたい方は、

専門の管理栄養士がお答えします

   
   

 

 
 

 

 

「食品の安全性」を守る(2006年1月)

 

「食品の安全性」を守る

社団法人茨城県栄養士会

管理栄養士 荒田玲子

 
 
 
 ちょうど 20 世紀から 21 世紀に変わる頃、大手乳業メーカーの食中毒事件、香料メーカーの違法行為や輸入牛肉など食品の偽装事件、鯉ヘルペスや鳥インフルエンザの問題等が起こり、食への不安が高まりました。食品の安全性と安心は、どのようにして守っていけばよいのでしょうか?情報が大量に入ってくる一方、知りたい情報を得ることができず、不安だけがつのる今日この頃です。 2003 年 12 月より輸入禁止となっていた米国産牛肉が、 2005 年 12 月より輸入再開されました。賛否両論の中、米国の圧力が見え隠れする中での輸入再開でしたが、皆さんはどのように考えますか?
Q.
 安全が確保されたとして、輸入が再開された米国産の牛肉は安全なのでしょうか?
 
A.

 内閣府食品安全委員会によりますと、 (1)生後 20 ヶ月以下の牛 (2)特定危険部位の除去この 2 つを厳格に守る事ができれば、国産牛と同じレベルの安全性が確保できるという見解が出されています。問題点としては、米国の「月齢の判定」と「特定危険部位除去」の 2 点が正しく行われるかにかかっているようです。また、 30 ヶ月以下へ漸次引き上げようという動きもあるようですから、今後も注意深く監視する必要があります。

  

Q.
BSEは、なぜ発生したの?

  

A.

  スクレイピー(BSEと同じ症状を起こす羊の病気)で大量死した羊の屍骸を肉骨粉として牛の安い飼料としたことが、
羊  ( スクレイピー )  → 牛(BSE) → 人  ( 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 )

の連鎖に繋がったといわれています。

また、 1973 年の第一次オイルショックの石油高騰により、レンダリング ( 肉骨粉製造時の煮沸処理 ) の温度を 100 ℃以上から 80 ℃に下げたことも、発生を拡大した一因ではないかといわれています。

1984 年イギリスのミッドファーストという小さな村で、初めて確認された牛のBSE。イギリス政府がきちんとした対策を講じなかったがために、 2001 年時点で 106 名の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症をみる結果となってしまいました。コスト削減と効率性ばかりを追及した結果、BSEが発生してしまったと言えるでしょう。

  

Q.
米国牛輸入禁止後も輸入販売されているオーストラリア産牛は安全なの?

 

 

A.

オーストラリア産牛肉の安全性は非常に高いといわれています。以下の予防を早手回しにやっている事からです。

(1)1952 年から生きた羊とやぎの輸入を禁止

(2)1966 年から肉骨粉の輸入を禁止

(3)1999 年から国内の肉骨粉使用も禁止

 

<  参考  >

日本の肉骨粉の使用禁止は、 2001 年 10 月(国内1頭目BSE感染牛発生直後)からです。

また、米国では現在も鶏や豚に安価で効率よい飼料として牛の肉骨粉が使用されており、食品安全委員会も肉骨粉の全面使用禁止を米国に求めています。

 

食品の安全性を守るには、「消費者の高い見識」が不可欠です。

   
 

  食品の安全性を守るには、安全な食品を作る生産者を守り育てる気持ちが不可欠です。スローフード運動や、地産地消運動の思想とも符合します。

安くて良いものも確かにあります。しかし一方、安価ではあるが、安全性に欠ける食品もたくさんあります。安さばかりを求める消費者が多ければ、安全性を第一に考える生産者は育ちません。

無農薬・減農薬野菜、無添加食品は、コストがかかるものが多いのです。安全性を高めるには、長期間にわたる、消費者の投資が必要です。

食品の履歴を確認できるトレイサビリティーの仕組みも日本で導入され始めています。知りたい情報が少しずつ入手可能になってきています。(仕組みの運営にかなりのコストがかかります。国や生産者、消費者もその費用を分担することになりそうですが、安全、安心のために必要な投資ですね。)

今回の牛肉問題も、長い目で安全を監視し、問題意識を持ち続けたいものです。
食品安全委員会 は、食の安全の問題を精力的に審議しています。月 4 回程度行なわれる委員会は公開で行なわれ、誰でも傍聴できます。委員会の活動や、食の最新情報、安全情報、委員会の開催日や議題は以下のホームページから見ることができます。正しい情報を得、「本物の食」を選び取るため、「食に関する高い見識」を持ちましょう。

食の安全確保は、未来の子どもたちへの贈り物です。目先の利益に惑わされず、守っていきたいものです。

   
 

食品安全委員会ホームページ