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肩こりの要因をつくる習慣とは?原因と予防法を知って改善をめざしましょう(2015年9月)

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肩こりの主な原因は「同じ姿勢」「眼精疲労」「運動不足」「ストレス」の4つと言われています。特に毎日遅くまで残業をしているような方は、当てはまる項目が多いのではないでしょうじゃ?そこで今回は、肩こりの原因について探り、併せて予防法についてもお伝えします。

 

 

 

◆デスクワーカーは姿勢と運動不足に注意!

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パソコンに向かって仕事をするのが当たり前となっている現代では、一日中画面を見続けている方も多いことでしょう。デスクワークを中心に、朝から晩まで同じ姿勢を保ちながら仕事をする方の多くが、肩こりに悩まされていると言われています。

 

デスクワークは手を使った作業が中心となります。その際、多くの人が首を前に突き出した状態で肩をすぼめ、猫背のような姿勢になりがちです。この体勢を続けていると首から肩にかけて緊張性の疲労が生じ、その部位の血流が悪くなります。これが結果として、肩こりの症状を引き起こしている訳です。

 

主な予防策としては、とにかく同じ姿勢をキープしないということ。一定時間毎に首や肩を回して緊張をほぐしてあげましょう。首をゆっくりと後ろに反らせるのも効果的です。

 

また、日頃からデスクワークがメーンの方は運動不足になりやすい傾向があります。運動不足も肩こりを誘発する要因となるため、日頃から適度な運動を心がけ、全身の血行を促進するよう努めてください。これにより、肩こりはもちろん、疲れを感じにくい強い身体を作ることができます。はじめから肩こりが起きにくい身体なれば、つらい症状に悩まされることもなくなるでしょう。

 

図とは言え、運動の時間が中々確保できないという方も多いでしょう。その場合は、最低でも一時間に一回はイスから立ち上がり、全身を動かすよう心がけてください。手を伸ばして手首を振る、屈伸をする、といった簡単な運動だけでも肩こりの防止効果が望めます。

 

◆パソコンやスマートフォンによって目が疲れる

パソコンはもちろん、最近ではスマートフォンの普及により、一日の中でディスプレイを見続ける時間が増えてきた現代人。当然ですが、長時間画面を見続けると目が疲れてしまいます。そして、この眼の疲れは肩こりにもつながります。

 

眼精疲労が肩こりの原因となる理由は、細かい文字などを長時間見続けることにより、目およびその周囲に筋肉が緊張状態になるからです。同時に、光源(パソコンの画面など)を見続けると瞬きの回数が減り、ドライアイ状態になります。この二つが重なり合うことで、肩こりの症状が悪化することもあるので注意しましょう。

 

図眼精疲労の対策としては、一分程度目を閉じて休ませるか、目の疲れを感じたら目薬を注すのが良いでしょう。ドライアイを防ぐのに効果的です。また、こめかみあたりを八の字にマッサージするのも良いでしょう。目の周りの筋肉がほぐれて、肩こりの予防につながります。

 

また、大前提としてパソコンやスマートフォンの使用を控える、ということも付け加えておきましょう。仕事中は仕方ないかもしれませんが、家に帰ってからは極力スマートフォンを見ないようにし、読書などをして過ごすのがお勧めです。

 

◆ストレスからくる肩こりもある

肩こりにはストレス性のものがあり、特に女性を中心に引き起こされます。ストレス性の肩こりの対策は、当然ですがストレスを溜めすぎないこと。好きなことや夢中になれることを楽しみ、定期的にストレスを発散することが大切です。

 

人によって発散方法は異なりますが、できるだけ運動で発散させるのが良いでしょう。気持ちがスッキリするのはもちろん、運動することで血行が促進され、肩こりの予防につながります。また、気分が落ち込みやすい人ほど発症しやすいという特徴もあるので、気持ちを前向きに保てるよう心がけることも重要です。

 

◆つらい肩こりを改善できるかは、あなたの心がけ次第です

いかがでしたか?ご自身に当てはまる習慣がある方は、それが肩こりの原因かもしれません。今回ご紹介した予防法をお試しいただき、なおかつ肩こりを引き起こす要因を取り除けるような生活を心がけましょう。

 

飲み過ぎにはご注意! 中高年のためのアルコールとの正しい付き合い方(2015年8月)

イラスト「飲酒をしない人より、適量を飲む人の方が死亡率が低い」という海外の調査報告が一時期話題となりました。その結果、「お酒は適量だったら体に良い」と言われるようになり、それを信じている方も多いようです。しかし実はこれ、欧米の人の場合は、という前置きがあるのを知っていましたか? アルコールのつくる有害物質の分解能力に違いがある欧米人と日本人では、お酒が体にもたらす影響に違いがあるのだとか。つまり、上記の調査はあくまで海外で行われたものなので、日本人には当てはまらないというのが実情なのです。

 

とは言え、アルコールにはストレス解消や、コミュニケーションを円滑にするというメリットももちろんあります。そこで今回は、特に中高年の方がどのようにお酒に付き合っていけば良いか? ということについてお伝えします。

 

◆お酒の適量はどれくらい?

イラストまずは厚生労働省が「健康日本21」で示した“節度ある適度な飲酒量”を見てみましょう。ここには1日平均のアルコール量は20gと書かれています。ビールで言うと中瓶1本、日本酒だと1合がこれに該当します。

 

とは言え、「じゃあ毎日ビールなら中瓶1本を飲んでいいんだ」と考えるのは早計です。実はこの量というのは、“健康かつアルコール代謝機能が正常な人”が対象となっています。さらに、アルコール20gが体に良い、ということではありません。あくまでも、1日平均で飲んで良いのは20g、という上限を示した数値であることを覚えておきましょう。

 

◆アルコール代謝機能が低下する中年男性は飲み過ぎに注意

さて、前項で出てきたアルコール代謝機能とは一体何なのでしょうか? これはアルコールを分解、吸収し、排泄する機能のことです。特に中高年になるとこの機能の低下が起こるため、いわゆる“お酒に弱くなった”という状態になります。

 

イラストしかし、アルコール代謝機能の低下を自覚しないまま若い頃と同量のアルコールを摂取する方は少なくありません。そのため、ご自身の体に合わない量の飲酒となり、体へのダメージが大きくなってしまうのです。

 

また、加齢による衰えは血中アルコール濃度の高さにもあらわれます。この理由は、体内の水分量の減少と、前述したアルコール代謝機能の低下にあります。血中濃度が高いまま大量の飲酒を続ければ、やはり健康を害す原因ともなってしまうので注意が必要です。

 

◆どうして中高年はお酒を飲み過ぎてしまうの?

普通に考えれば、お酒に弱くなれば飲酒量は減るものです。しかし、ある実勢調査によると、常習飲酒者(毎日飲酒をする人)と多量飲酒者(毎日3合以上飲酒をする人)のピークは、なんと40代~60代なのだとか。お酒をたくさん飲むのは若い人、というイメージがありますが、実際には中高年、特に男性なのです。

 

では、なぜ中高年の方はお酒に弱くなっているにもかかわらず、飲酒量が減らないのでしょうか? この理由はさまざまですが、その中のひとつとして「飲み過ぎの慢性化」があげられます。

 

東京都で行われた調査によると、自分の飲酒の適量を日本酒2合と答えた人が40代で40%、60代だと30%にものぼるそうです。これは前述した厚生労働省が示した基準の約2倍。つまり、あきらかに“飲み過ぎ”と言えます。

 

こうした結果が出る原因は、中高年の場合体がアルコールに慣れてしまっているため、少量では満足感が得られず、ついつい飲み過ぎてしまうことが考えられます。それを繰り返すことにより飲み過ぎが慢性化し、どんどん摂取量が増えていくのでしょう。

 

◆お酒と上手に付き合うために、覚えておきたい3つのルール

前置きが長くなってしまいましたが、ここからは「中高年がお酒と上手に付き合うために覚えておくべきルール」についてご紹介します。すでに飲み過ぎが慢性化している方にとっては少し大変かもしれませんが、これからのご自身の健康のことを考え、ぜひ実践してみてください。

 

○自分の“適量”を見直しましょう

前項でも触れているように、ご自身にとっての“適量”は、必ずしも健康にとっての“適量”ではありません。中高年はアルコール代謝量が低下していることもありますから、できれば厚生労働省の基準値よりも少ない量を目指すよう心がけましょう。

 

○毎日飲むのはやめましょう

イラストアルコールには強い依存性があります。そのため、毎日飲酒を続けているとそれが依存を招く可能性も。飲酒回数だけで言えば、最低でも週に2日は休肝日をつくるよう心がけてください。また、毎日だらだらと長時間飲酒を続けている方はすでにアルコール依存がはじまっている可能性もあるため、注意が必要です。

 

○飲むなら食べるをルールにしましょう

空腹状態で飲酒をすると、アルコールが胃を通り抜けて小腸に運ばれ吸収されます。その結果吸収のスピードが早くなり、血中濃度が急速に高くなってしまいます。体への負担を和らげるためには、必ず食事を同時に摂るようにしてください。

 

 

夏のスポーツは水分補給が肝心! ゴルフやマラソン、登山で起こる脱水症状の怖さとは(2015年7月)

イラストだんだんと気温が上がり始めてきたこの時期。外でスポーツを楽しむ方も増えているのではないでしょうか? この際、特にご注意いただきたいのが小まめな水分補給です。

 

運動中に水分補給を行うことは、「脱水症状予防」「体温調整」「栄養補充」といった役割があります。この3つのうち、どれかひとつでも欠けてしまうと、体調を崩す原因となってしまいます。今回はゴルフなどのスポーツを例に挙げ、いかに水分補給が大切であるかをご紹介。より暑さが増すこの季節だからこそ、特にご注意ください。

 

 

◆ゴルフは健康的なスポーツです! ですが、水分補給を忘れると……

中高年だけでなく、最近はプロゴルファーの石川遼くんの活躍などで若者にも人気が出てきたゴルフ。のんびりしているように見えますが、実は1ラウンドで歩く距離は7〜8キロ。プレー中はウォーキングをじっくりしているようなものですから、非常に健康的なスポーツと言えます。

 

しかし、同時にゴルフには少し注意しなくてはいけない点もあります。それが心筋梗塞です。とある調査によると、ゴルフ場でこうした症状に見舞われ、命を落としてしまった、という人は年間で約200人にものぼるのだとか。

 

とは言え、もちろんゴルフをプレーすることは先述した通り健康促進に繋がります。また、心筋梗塞のリスクを高めるような要因がゴルフ場にあるわけでもありません。むしろ、自然に囲まれた環境で心身共にリラックスできる、とも言えるでしょう。

 

それでもゴルフ場で心筋梗塞になってしまう人が多いのは、以下のような理由が挙げられます。

 

○予想以上の運動量で、気づかぬ内に脱水症状に

前述した通り、ゴルフは比較的楽に見られがちですが、実際には運動量が多いスポーツです。当然、発汗量も多くなるのですが、風に吹かれたりして汗が乾き、そのことを感じにくい、という特徴があります。

 

イラストまた、数人でプレーを行うため、ついつい周りの人に合わせて休憩を怠り、無理をしてしまう方も多いのだとか。その他、冷房の効いたクラブハウスでアルコールを摂ることもあるでしょう。これらはすべて、脱水症状の要因となり得る行動です。

 

○緊張のせいで血管・血圧に影響が

ゴルフは一打一打に緊張が走るスポーツでもあります。そのため、特にパターなどでは大きなストレスが襲いかかり、血管の収縮や血圧の変動が重たくなる場合があります。また、毎回のショット時には息を止めて全力のスイングを行うことや、プレー中の喫煙なども血管・血圧に影響を及ぼすと言えます。

 

こうした状況に脱水症状が加わると、心筋梗塞のリスクが非常に高まります。汗の元となるのは血液中の水分です。そのため、大量に汗をかけばその分血液から水分が失われ、粘度が上がり血栓ができる可能性が上昇。収縮した血管であればより詰まりが起こりやすくなり、心筋梗塞へと結びついてしまうのです。

 

◆その他のスポーツも脱水症状にはご注意

イラストゴルフ以外のスポーツであっても、脱水症状によって気づかぬ内にさまざまな危険が身に迫っているケースというのは多々あります。たとえば近年人気が高まっているマラソンなども、大会などに参加する場合には注意しましょう。制限時間をクリアしようと焦り、無理にペースを上げて心筋梗塞を引き起こすケースがあるようです。

 

また、登山やトレッキングなども同様のことが言えます。山登りは長時間をかけて行う運動のため、大量の発汗があります。それに加え、呼吸が荒くなると呼気からも多くの水分が失われていくのです。こうしたことから、水分補給を行わないと脱水症状に見舞われることが多いと言えます。ちなみに、山で脱水症状を引き起こすと一気に倦怠感・疲労感が増し、水を飲むのすらおっくうになるのだとか。そのため、より脱水症状が進行し、最後には歩けなくなってしまうこともあるようです。

 

◆小まめな水分補給だけでなく、体調管理は前日からスタート

さまざまなリスクを引き起こす運動中の脱水症状。これを防ぐためには、第一に小まめな水分補給が大切です。しかし、スポーツに熱中すると、それをついつい忘れてしまいがちになる可能性も十分にあるでしょう。そこで心がけていただきたいのが、前日の過ごし方です。

 

たとえば、ゴルフに泊まり込みで出かける場合、前日の晩は夜更かしをしながらお酒をたくさん飲む方も多いでしょう。そのせいで、次の日は睡眠不足に。さらにアルコールの利尿効果で脱水症状が起こりやすくなる可能性が高いです。

 

イラストその他、遠征でマラソン大会に参加される場合や、登山にでかける場合にも、睡眠不足には要注意。狭い車内での仮眠などは、十分な休息になりません。また、冷房のせいで発汗機能が崩れる可能性もあります。

 

2015年の夏は例年に比べて涼しい気候となる予報が出ていますが、だからと言って油断は禁物。ご自身に合わせた運動と、小まめな休憩・水分補給、そして前日の過ごし方に気をつけることで、脱水症状にならないよう気をつけましょう。

 

 

なかなか治まらない脚のむくみは病気の兆候?知っておきたいケアの方法(2015年6月)

イラスト脚がむくむ原因にはさまざまなものがあります。一般的には、同じ態勢を長く続けたり、疲れや睡眠不足が蓄積したり、その他加齢による筋力の低下などが挙げられます。とは言え、こうした要因による症状はあくまで一過性のもの。しばらくすれば自然と治まっていきます。

 

しかし、なかなか脚のむくみが治まらない場合には注意が必要です。もしかすると、重大な病気の兆候かもしれません。今回は、脚のむくみの原因となり得るさまざまな病気についてご紹介。併せて、普段から取り組みたい脚のむくみの予防・改善方法についてお伝えします。

 

◆脚のむくみ教えてくれる病気とは?

脚のむくみはさまざまな病気のサインである可能性があります。一過性のものであればほとんど問題ありませんが、いつまでも続くようでしたら一度病院で検査を受けるようにしましょう。

 

○肝臓と腎臓の病気

イラスト血液中に含まれるタンパク質のひとつに「アルプミン」という物質があります。これはアミノ酸などの栄養素を体に運ぶだけでなく、血液の浸透圧(血管に水分を取り込んだり排出したりする圧力)をコントロールしてくれる役割があります。アルプミンの量が低下すると、この浸透圧も一緒に低下してしまうため、水分がたまりやすくなるのです。

 

アルプミンの低下には肝臓や腎臓の障害が大きく関わっていると言われています。その症状を見つけるサインのひとつが脚のむくみと言われています。そのため、もしも脚のむくみがなかなか治まらないのであれば、一度検査を受けてみることをオススメします。

 

○心不全など

イラストつまでも治らない脚のむくみの原因には、心不全や下肢静脈瘤が関係している場合もあります。たとえば心不全は、心臓のポンプ的な働きが弱まってしまい、圧力が下がってしまった状態です。心臓から遠くに位置する脚の血行が悪くなり“むくむ”ということは、それだけ心臓の働きが低下している可能性が疑われる、ということです。その他にも、心不全の原因となる動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などが脚のむくみの原因となっている可能性もありますので、少しでも「おかしいな?」と感じたら、早めの受診を心がけましょう。

 

 

 

◆運動やマッサージでむくみを予防・解消

脚のむくみは基本的に一過性のものが多いですが、放置をすると免疫力低下につながる場合もあります。そのため、普段からしっかりと予防・解消を目指したケアを行うようにしましょう。

 

○適度な運動を心がけましょう

イラストむくみの原因はふくらはぎやももの筋肉が弱り、血液の流れが悪くなること。そのため、ウォーキングや散歩などをして、日頃から脚を鍛えるようにしましょう。

 

○積極的に階段を利用しましょう

疲れている時はついついエレベーターやエスカレーターを使いたくなってしまいますが、できれば階段を利用するよう心がけてみてください。階段の上り下りは脚の筋肉がしっかり使われますので、血の巡りを良くしてくれます。ただし、ひざ痛や腰痛がある人はできる範囲にとどめましょう。

 

○脚の先を意識的に動かしましょう

椅子に座った状態でかかとを上下させたり、かかとを床につけてつま先を上げたり伸ばしたりいった運動を行いましょう。脚の先の運動はふくらはぎの筋肉を動かし、血行をよくする効果があります。

 

○マッサージでむくみを解消しましょう

イラストリンパ液の流れ改善を目的としたマッサージも効果的です。この時に注意したいのは“揉む”のではなく“なでる”ように行うこと。ももの表側と裏側、足首からひざ、ふくらはぎからひざ裏、足首から脚の付け根といった部位を、上方向にそれぞれ10回ずつそっとなでてください。この時、床に座って脚を伸ばし、ひざを立てるとマッサージがしやすくなります。

 

脚のむくみというのはさまざまな病気の兆候である可能性があります。普段からケアをしつつ、それでも解消されない場合には一度病院で診てもらうことをお勧めします。健康的な毎日を送るために、ぜひ覚えておきましょう。

ぽっこりお腹の原因は歯周病かも?メタボとデンタルヘルスの意外な関係(2015年5月)

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 近年、中年男性などの間でよく話題となる「メタボリックシンドローム(以下、メタボ)」。そして、歯ぐきの炎症である「歯周病(歯槽膿漏)」。一見何の共通点もなさそうな両者ですが、実は最近の研究で密接な関係があることが判明しています。そして、歯周病を予防・改善することは、メタボにも良い影響があることもわかってきました。今回は、なぜ歯周病がメタボに影響を与えるのか? といった部分についてご紹介します。

 

◆健康な体をつくるためには、健康なお口から

メタボの予防・改善に必要なことはさまざまありますが、その中でも基本となるのが食生活です。規則正しい時間に食事を摂るのはもちろんですが、しっかり食べものを噛むことも非常に重要。これは、消化吸収を助けるのもそうですが、よく噛むことにより満腹中枢が刺激され、少量でも満腹感を得られることが目的です。

 

イラスト食べものをしっかり噛むためには、健康なお口でなくてはなりません。そのためには、歯周病などの口腔内トラブルが起きていないことが大切です。さらに言えば、歯周病は日本人が歯を失う原因第一位になるほど、健康な歯との関わりが大きい病気。欠損歯が多ければ多いほど、食べられるものは制限がされてしまうでしょう。また、入れ歯などになってしまっては、そもそも噛むこと自体が困難になってしまう場合もあります。バランスの取れた献立を、しっかりと噛んで食べるためには、歯の健康が非常に重要なのです。

 

◆データから見る歯周病とメタボの関係

歯周病の原因菌は、歯ぐきだけででなく全身に悪影響を与えることがわかっています。その中でも「LPS」という毒素によって作り出される「TNF-α」は、脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させるため、メタボの原因のひとつである血糖値の上昇につながると言われています。また、重度の歯周病は慢性的な炎症です。炎症によって合成される「CRP」というタンパク質が高くなると、将来的に動脈硬化や心筋梗塞のリスクも高くなるという報告もあります。

 

逆に、メタボの判定基準の対象となる項目が多い人ほど、歯周病のリスクが高くなるという研究結果も報告されています。原因はさまざまですが、ここでも脂肪組織から分泌される「TNF-α」が関わっているのだとか。具体的には、歯槽骨吸収が促されてしまい、歯周組織が破壊されてしまうのが原因だそうです。その他にも、糖尿病にかかった患者は歯周病の発生率が2.6倍になる、といったデータも発表されています。こうしたことからも、歯周病とメタボには相互に深い関わりがあると言えるのです。

 

◆歯周病予防がメタボ予防につながります

イラストメタボを予防するには、健康なお口であることが重要。そのため、歯周病対策が重要なことは前述した通りです。しかし、歯周病というのは「静かな病気」と呼ばれるほど、自覚症状に乏しいのが特徴。そのため、歯ぐきの出血や腫れに気づいた時には、すでにある程度症状が進行してしまっているケースが非常に多いです。

 

改善をするためには早期発見・早期治療が大切ですが、それ以上に普段からの予防がもっとも重要です。毎日の歯みがきはもちろんのこと、デンタルフロスなどを使ったセルフケアを行うようにしましょう。また、歯医者に定期的に通院し、検診や歯石取りなどのクリーニングを受けるのもオススメです。

 

その他、喫煙者の場合には禁煙も非常に大切です。これは、タバコに含まれる有害物質が口腔内にさまざまな悪影響を及ぼし、歯周病を悪化させる原因となるからです。また、お口だけでなく動脈硬化など全身に引き起こす悪影響もわかっているため、早めにやめておくことがメタボの改善・予防につながるでしょう。

 

イラスト歯周病とメタボは、一見何の関係もなさそうに見えますが、実は相互に関連し合い、体に悪影響を与えていると言えます。「歯みがきをしたら歯ぐきから血が出た」といった自覚症状が同時に起こった場合は、同時にお腹周りなどについても気にしてみましょう。そして、メタボを進行させないためにも、早めに歯周病治療を行うことが大切です。

 

 

視力の異常(2015年4月)

イラスト新年度が始まり、小学校~高校では視力検査があります。視力異常に気づく人が多いこの時期。遠視、近眼、乱視などが見つかった場合、眼鏡やコンタクトなどでの視力矯正をしての生活となります。今回は視力についてふれてみましょう。

 

 

視力低下を防ぐには

普段感じやすい視力の低下として、眼を酷使しがちな現代人は、夕方や週末になると、パソコン画面の文字が読み取りにくくなったり、遠くのものが見えにくくなったりする人が多いことがあげられます。これは夕方・週末老眼化現象といいます。こうした「ぼやけ」は、ほとんどの場合、眼のレンズの厚さを調節して焦点をあわせる筋肉の調整機能の一時的低下によるものです。また、パソコン画面など近距離を眺め続けることは、この調整筋肉がいつも緊張状態になっていることなので、長時間続けると疲労し、うまく調整ができなくなるのです。

 

イラスト1日のうち、朝はモノや文字がハッキリ・クッキリ見えますが、夕方になるとそうでもないことがあり、パソコン画面の細かい文字が読み取りにくくなったり、見るのに苦労したり、時間がかかったりなど、このような現象を夕方老眼化現象といいます。

 

月曜の朝は、モノや文字がハッキリ・クッキリ見えますが、木曜や金曜になると、パソコン画面の細かい文字が読み取りにくくなったり、見るのに苦労したり、時間がかかったり、より緊張したりします。木曜や金曜になると、近くや遠くなど、どこを見てもぼやけているような現象を週末老眼化現象といいます。

 

視力検査の受け方

視力検査で、実際より低く判断されないために前日は、翌日良いコンディションで検査を受けられるように気をつけましょう。体調不良や睡眠不足は、視力結果にも悪影響があります。視力検査はそれほど頻繁に行うものではないのですから、体調を整えて、スッキリとした視界で受けることが大切です
日中の疲れを翌日に持ち込まない工夫をし、やさしく目を労わって上げましょう。検査前日には次のようなことを心がけてください。

 

  • イラスト暗いところで、本などを読まない
  • 就寝2時間前からはパソコン・ゲーム控える
  • 蒸しタオルなどで目を温めて癒す
  • 入浴時に浴そうにつかり、リラックスする
  • 深く考えすぎない、悩まない
  • 心が落ち着く音楽を聴く
  • 就寝前に、軽くストレッチをして体をほぐす
  • コンタクトレンズなど、夜は早めにはずす
  • ビタミンやアントシアニンを含む果物・野菜・サプリメントを摂取
  • 睡眠不足にならないように、早めに寝る
  • 仰向けで眠る

 

など、体と心をリラックスさせ、翌日の検査に備えましょう。

 

視力低下を防ぐコツ

一時的調整機能の低下を感じた時は、無理を重ねないことです。それが月曜の夕方でも、金曜の午後でも、ちょっとしたケアを取り入れて、その場で目を癒してあげてください。こうした日常的なちょっとした維持・管理が、長期的な視力低下を防ぐことにもつながります。

 

  • ちょっとした休止、休憩をはかる
  • 5m以上遠くを20秒間以上眺める
  • 瞼を閉じて、少し保つ
  • 眼精疲労の回復に役立つ目薬を活用する
  • 蒸しタオルを目にあてて、癒す
  • スチーム・ホットアイマスクをする
  • 目の周りのツボ刺激などで血行をよくする。

 

どれも、習慣化すれば簡単にできるはずです。そうすることで、いつもよいコンディションに視力を保つことができ、パソコンワークなどの作業効率も落とすことなく、1週間バリバリ働けるでしょう。

 

自分でできる目のケア

目を洗う薬剤は薬局で売られています。目に入った異物を除去する、花粉を除去するためには有効と思われますが、普段は涙が目を洗ってくれています。目を洗う薬剤は目の表面の涙まで除去してしまうので、異物や花粉を除去する目的以外には使用することは控えたほうがよいでしょう。目にとって一番良い目薬は涙です。涙が正常に出ている限りは、特に何もしなくても良いのです。

 

イラスト点眼薬も、病気というほどではなくとも、ドライアイや眼精疲労の強い方は手放せないでしょう。使用される場合には、あまり刺激の強いものは避けられることをお勧めします。最近はルテインやブルーベリー(アントシアニン)のサプリメントが流行しています。これらの成分は、臨床の現場でも加齢性黄斑部変性症*などには一定の効果がありますので、網膜に良いことは間違いないと考えられています。加齢性黄斑部変性症の予防や改善のために内服する、というのがもっとも理にかなった使用法です。

 

*加齢性黄斑部変性症は、年を取るとともに黄斑の働きに異常が起こり、視力が低下する加齢が原因で起こる眼の病気です。欧米では成人の失明原因の第1位、日本では第4位となっています。早い方では40代でも発症します。黄斑(おうはん)とは網膜の中央にある、ものを見るために一番重要な部分です。ものの形、大きさ、色、立体性、距離などの光の情報の大半を識別しています。この部分に異常が発生すると、視力が低下したり、ものの見え方に支障をきたすようになります。

 

健康なランナーを目指そう(2015年3月)

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毎年、春を目前に行われる東京マラソン。参加する人も応援する人もこれほど楽しめる大会はないかもしれません。東京の街並みを普段とは違った目線でじっくり味わいながらのラン。こうした大会に参加して、もう二度と走りたくないと思う人と、初参加で病みつきになる人がいるといいます。今回参加した知人にその典型のような二人がいましたので、その顛末をご紹介しながら、ランニングで健康になる方法を考えてみましょう。

 

運の良いA氏、頑張り屋のBさん

A氏は、元水泳選手で水泳のコーチもしていたという颯爽としたスポーツマン。東京マラソンには過去に2回続けて当選したという幸運な男です。今回は残念ながら抽選にもれ、それまで行っていた練習のモチベーションが一気に下がってしまっていました。ある日、会社の上司との飲み会の席でその話しをすると、なんと会社の後押しでチャリティーランナーとして参加することになりました。どこまでも運の良い男です。

 

Bさんは、頑張り屋のキャリアウーマン。毎日早朝から猛勉強、仕事で使う資格取得を目指していました。その試験に合格したBさんは、空いてしまった早朝の時間を走ることにしました。それが昨年の8月。初めてのフルマラソンにチャレンジする半年前のこと。たまたまギリギリに申し込んだ東京マラソンにも当選してしまったのです。それまで、マラソンはおろか短い距離のレース経験もありません。早速、ランニングシューズを買い求めました。

 

まったく異なる練習法

イラストさて、この二人の練習内容は、まったく異なっています。A氏は、一般応募で落選してからしばらくの間、練習に気が乗らず、さらにチャリティー枠での出場が決まってからも年末年始に例年より多い宴会が重なり、思うように練習できない日々が続きました。過去に4時間を切ってフィニッシュした経験があるので、1月に入ってからの短期間のコンディショニングでも4時間程度で走れる自信があったのです。1月の中旬には、徐々にペースをあげて走れるようになりました。

 

一方のBさん。11月に20キロレースに出場して、1月には30キロレース。物事を計画通りに進めることが得意なBさんは、ランニングの大会でも着々と距離を伸ばし、それぞれ10キロを約1時間で走ることができました。初めてにしては出来過ぎの感がありますが、これには理由があります。友人から勧められた本で体幹トレーニングとストレッチがランのフォームを作る上で大切なことを知り、毎日欠かさず練習に取り入れました。アスリート専門のトレーナーの講習会にも参加し、さらに知識を深めました。

 

大会直前のアクシデント

イラストこうしてそれぞれ本番を一ヵ月後に控え、練習に気合いが入る日々を過ごしていました。ところが、二人とも身体に問題がおきてしまいました。

 

A氏は、1月の末にひどい風邪を引いて体調を崩してしまったのです。せっかく練習も調子に乗ってきて、これからさらにペースを上げようとしていた矢先です。

 

Bさんの方は、足に問題が起きました。左足の踵のあたりが毎朝痛むようになったのです。

 

 

A氏の場合

まず、A氏の方から体調を崩す原因になったことを推測してみましょう。彼は経験も自信もあったので、比較的短期間にコンディショニングをあげられると考えていました。ここ何年かマラソンに参加してきた練習の蓄積もあります。しかし、彼のようマラソンの経験があっても日頃コンスタントに走っているのでなければ、大会本番に向けて最低でも3ヵ月はかけて基礎的な代謝機能を高め、衰えている筋力などを強化する必要があります。しかし、大会まで時間がなかったために、実際のレースでの走行スピードをイメージしたトレーニングに集中することになったのです。キロ何分という設定で練習していました。こうした練習では、心肺機能は高まるのですが、基礎体力が落ちてしまうことがあります。

 

皆さんもご存知の有酸素運動レベルでは、体内の糖質と脂肪の燃焼割合は50%ずつです。ところが、比較的早いスピードでの練習をすると酸素摂取量を酸素消費量が上回り酸素不足になります。酸素不足では脂肪をエネルギーにすることができません。この状態での練習を続けると身体は次第に脂肪をスムーズに燃やせなくなってくると考えられるのです。脂肪が使えないとなると、エネルギーは糖質に依存することになります。しかし、糖質は脳で常に大量に使われる上、体内の備蓄が少ないので身体は常にエネルギー不足の状態になり、疲れやすくなってしまいます。

 

A氏が早いスピードの練習で調子が上がってきたと思ったところで、ひどい風邪を引いてしまったのはエネルギー不足で基礎体力を失い、免疫機能を低下させたのだと考えられるのです。

 

この事態を避けるには、どうしたら良いのでしょうか。一つの方法が、トレーニングに心拍計を使うこと。心拍計を使うと脂肪を燃焼するゾーンで練習するエアロビックトレーニングを確実に行うことができます。このエアロビックトレーニングで脂肪を燃焼するエアロビックシステムを身体の中にしっかりと構築した上で、スピードを上げるトレーニングをすれば、A氏のように体調を崩すことはなかったと思います。

 

こうしたアドバイスをしたところ、A氏は大会本番で心拍計を付けて走ることになりました。今回は準備不足でエアロビックシステムが強固でないため、心拍計を確認しながらエアロビックゾーンで走り終盤にエネルギーを温存すると良いということも伝えました。本番では、15キロ地点まではゆっくり走っていたのですが、その後体調が良いと感じて30キロあたりまでスピードを上げてしまったということでした。ここでエネルギーを使い果たしたA氏は、35キロ過ぎからは足も動かずとても辛い思いをしながら歩いてフィニッシュラインに辿り着いたということです。走り終わっての感想は「もう二度と走らない」でした。

 

Bさんの場合

一方Bさんの足はどうだったのでしょうか。朝起きると踵に痛みがあって歩いているうちに消えるということでしたので、初期の足底筋膜炎だと思われます。これは、足底の筋肉の膜に炎症が起きるものです。長距離を走るようになって半年近く経過し、疲労から足のアーチが落ちてしまったことが原因です。Bさんには、このアーチを作るために足の指で靴底を掴むようにして歩くこと、裸足でタオルの上に足を置き、足指でタオルをたぐり寄せる練習をするというアドバイスをしました。この訓練でアーチを高くするのです。この後、幸いなことにこのことでBさんの足の痛みはなくなったということでした。

 

さて、大会本番。Bさんは女性らしいコスチュームに可愛らしい縫いぐるみのキャラクターを冠って走っていました。大会参加者の中には、全身に映画のキャラクターの衣装で着込んでフルマラソンを走るという強者もいて、皆さんサービス精神満点です。

 

Bさんの腕には、最新型の脈拍計が付けられています。これは、胸にセンサーのベルトをつける形の「心拍計」ではなく、腕の血流をセンサーで測定するもの。気軽に付けられるという点に特徴があります。初めて一人で走るマラソンが不安だという彼女に、一緒に走ってくれるトレーナー役をこの脈拍計に託したのです。Bさんにもエアロビックゾーンで走れるよう目標にする心拍数の上限と下限を設定し、それぞれの心拍数を超えるとアラームが鳴るように設定しました。走っている間、このアラームの音に支えられてとても心強かったとBさん。見事に笑顔で初マラソンを完走しました。

 

エアロビックトレーニングの活用

イラスト大会の翌日、A氏とBさんに会いました。二人とも筋肉痛で階段の上り下りが辛いようです。A氏はレース直後に、もう二度と走りたくないと思ったが、時間が経つにつれて悔しさがこみ上げてきたと言います。もう一度、身体を作り直し、エアロビックシステムをきちんと構築してからレースに臨みたいとのこと。Bさんは、レース後もアミノ酸を摂ったりストレッチをしたりして身体のケアにも気をつけている様子。もう次のレースをどこにしようかと目を輝かせていました。

 

マラソンを趣味にしている人、これから参加しようという人はたくさんいます。楽しくフィニッシュするには、どうしたら良いかもうお分かりでしょう。本格的に走り出す前にエアロビックゾーンでの練習をじっくりと行い、脂肪を燃やしながら走れる身体を作ることが大切です。体脂肪の燃える身体にすれば、自然に普通体型になりますので無理なダイエットをする必要はありませんね。

ダイエットに失敗する原因は?(2015年2月)

 

イラスト友人のジャーナリストを仮にAさんと呼びます。彼は、スポーツ系に強いライターでよくトレーニング関連の本を制作するために、その道のプロであるトレーナーや大学の先生に取材に行きます。そこでAさんは、よくこのように言われたそうです。「君はよく“筋トレでダイエット”とか、“美しく柔軟な身体を目指すトレーニング”などをテーマに本を作っているが、自分自身の身体の管理ができないと、説得力がないのでは?」

 

Aさんは高校時代アマチュアレスリングの選手だったので筋肉質の理想的な体格でした。ところが、その後の不規則なライター稼業でかなり贅肉を蓄えていたのです。このAさんに久しぶりに会うと、別人に見える程激変していました。まるで枯れ木が立っているかのように痩せ細っていたのです。いったいAさんに何があったのでしょう。

 

今回は、短期間でのダイエットについて、身近な例からご紹介しましょう。

 

急激なダイエット

Aさんが、行ったのは極端な食事制限でした。もともとアマチュアレスリングの選手だったので、当時行った方法で体重を減らそうとしたのです。レスリングの選手は、試合に出場するためには階級に合わせて身体を作る必要があります。できるだけ軽いクラスで戦った方が基本的に有利なので、試合前は減量ということになります。この当時の減量は、飲む水まで制限される過酷なものだったといいます。皆さんもボクサーの減量の様子をご存知でしょう。前の試合が終わってから増えてしまった体重を、指定された計量日までにどのようなことをしても落とすという過酷な世界です。

 

現代のボクサーは、管理栄養士の指導のもとに、減量しながらも必要な栄養を摂れるように配慮された食事をするということが、試合で勝利するためにも大切な条件となっているようです。しかし、昔の体重別の競技ではそうした恵まれた環境にいる選手は少なかったのです。日々、練習量を増やしながら食べ物を削っていき、水分まで制限していました。

 

イラストAさんは、どうやらこの高校時代の減量を一念発起でまた行ってしまったようなのです。しかも、トレーニングは一切せずに、食事制限だけの減量。甘いもの、ごはんやパンなどの炭水化物は一切摂らないというものです。

 

確かに体重は減りましたが、見た目は痩せたというよりやつれた感じになりました。歯の噛み合わせまで悪くなったと本人が言うように、会話していても言葉が聞き取りにくくなってしまいました。顔色が悪いのと皺(しわ)が深くなったことで、実年齢以上に一気に老けてしまった印象でした。

 

こうした極端なダイエットは、リバウンドという避け難い事態の他に、様々な問題を引き起こします。

 

ダイエット臭

前記にあげたような、老け顔になってしまうという点、この原因は栄養不足になった身体が、体内に蓄えられた脂肪だけでなく筋肉も分解してしまい、表情筋などもその対象になるということが考えられます。

 

さらに、他人に悪い印象を持たれてしまうのが、ダイエット臭と言われる独特の甘酸っぱい体臭や口臭です。これは、エネルギー不足になった脳が、食事で入ってこないエネルギーの代わりに非常用のエネルギー源として作るように肝臓に命じた「ケトン体」によるものです。このとき、肝臓で作られるアセトン・アセトン酢酸・βーヒドロキシ酪酸の総称が「ケトン体」と呼ばれるもので、糖尿病などと同じ臭いが発生することがあるのです。「ケトン体」が血液中に増加すると口臭としても放出されます。

 

さらに、空腹感が唾液の分泌を低下させ、唾液によってコントロールされている口内環境も悪化してさらに強い口臭を生んでしまいます。

 

このダイエット臭が、はっきり認識されるような飢餓状態を放っておくと、自律神経系やホルモンバランスを崩し、身体に様々な問題が起きてきます。

 

イラストダイエット臭を改善するためには、まず脳に必要な栄養素である糖分を送るために、炭水化物を摂る必要があります。タンパク質、脂質ももちろんバランス良く摂らなければなりません。さらにエネルギーの枯渇に対応して身体の基礎代謝が落ちていますので、これを上げるために有酸素運動を取り入れます。ウォーキングや軽いジョギング、ゆっくりとした水泳など、あまり心拍数が上がらない運動を継続的に行うことが重要です。

 

さらに筋肉トレーニングで筋肉量を増やすことも基礎代謝を高める効果があります。

 

健康的な生活を送るための「体力」の喪失

食事制限による極端なダイエットで、失われるのは筋肉や若さだけではありません。前向きに仕事や人生を楽しむための「体力」が失われてしまうのです。

 

「体力」は、病気やストレスに打ち勝つための「防衛体力」。運動に必要な「行動体力」という概念に分けることができますが、そのどちらも損なわれてしまい、生活そのものから潤いや喜びを失ってしまいます。

 

この「体力」という言葉にまとめられる「防衛体力」、「行動体力」を分かりやすく説明すると以下のようになります。

 

○「防衛体力」

  •  免疫力(病原菌などに対する抵抗力)
  •  環境変化に対する抵抗力(暑さや寒さに対する抵抗力)
  •  生理的変化に対する抵抗力(時差や、運動時の身体の変化に対する抵抗力)
  •  精神的ストレスに対する抵抗力

 

○「行動体力」

  •  筋力(重いものを持ち上げたりする能力)
  •  筋持久力(持続的に力を使う能力)
  •  瞬発力(瞬発的に力を発揮する能力)
  •  全身持久力(ランニングなどで使う全身の持続力)
  •  柔軟性
  •  俊敏性
  •  平衡性(片足でバランスをとって立ち続ける能力)

 

こうした「体力」は、何歳になっても人が健康に生きていく上でなくてはならないものです。従って、食事制限による極端なダイエットは、リスクが大きいので避けるべきだということになります。

 

背広を着た縄文人

ある大学の先生が、『現代人は「背広を着た縄文人」である。』ということを本に書いておられました。この考え方に基づけば、現代の生活を営む我々が、なぜ肥満に苦しむことになったのか、明解に説明できます。

 

人類が誕生してから、現在まで経過した時間を仮に1年、12ヵ月に置き換えてみたとします。現代の便利な生活、このパソコンや、電話などの情報機器に囲まれ、コンビニなどで24時間いつでも食べたいものを手に入れられる生活を、人類が誕生してからどのくらいの月日にあたるか、想像してみてください。

 

秋ぐらいでしょうか。いやもう少し後、12月の何日かというイメージをもたれる方もいることでしょう。正解は、12月31日の午後11時50分。人類誕生から今までを1年に換算すると、現代はこの最後の10分間にあたるというのです。人類はそれまで、11ヵ月30日と23時間50分は、便利な文明機器も持たず、飽食の時代もなかったわけです。

 

イラスト従って私達の身体は、飢餓に耐え、外的の襲撃からも身を守るという環境に適応したまま、いわゆる背広を着ていても、中身は縄文人と同じというわけです。豊富な食べ物、特に甘いもの、塩、高温で調理した食べ物などがいつでもあるという生活ではなかったわけですから、こうした環境にまだ適応できていないため、肥満になってしまうわけです。

 

健康的な生活、生き生きとした人生を歩むために最も大切なのは、何かということ。それは、この説に照らしてみれば明らかです。中身は縄文人の我々は、飽食に走らず、外的に襲われたり、狩猟の必要がなくても毎日歩いたり、軽いジョギングや水泳をする。重いものを持つ必要がなくても筋肉に刺激を与え、筋力を保つ。食べ物は、四季の恵みを大切にし、旬でないもの、高温の油で調理したものなどは、あまり大量に摂らない。

 

便利な文明社会にあっても、身体は縄文人と同じ環境に適応している生き物であるという自覚。そういったことが大切なのではないでしょうか。

 

 

弱った内臓を労る(2015年1月)

図

 

年の初めを迎えて、体調はいかがでしょうか。暴飲暴食という言葉は、この時のためにつくられたのかと思える程、年末年始はさまざまなイベントや会食が続きます。付き合いの良い人は多少無理をしてでも様々な関係者と飲食を共にされたことでしょう。

 

皆さんご存知のように、「七草がゆ」はこうして疲れた胃腸を労って休ませてあげようという昔人の知恵だといわれています。しかし、飽食の時代といわれて久しい現代。お正月でも24時間休むことなく、様々な飲食物を購入できるコンビニなどが身近にある生活では、そうした昔人の知恵だけでは、疲れきった胃腸が簡単に回復しない程、内蔵疲労が重症化しているという人も少なくないことでしょう。

 

そこで今回は、年末年始で弱った内臓を労るということをテーマにしたいと思います。

 

養生の基本

 

図養生をするという言葉があります。貝原益軒の「養生訓」を思い起こす人もいることでしょう。益軒はその中で、「人は飲食によって生命が養われ、飲食は半日も欠くことができない。飲食は人間の最も大きな欲で、その欲望に任せていると病気になり、命を失う」と言っています。

 

それはわかっていても飲食の欲望には負け、つい食べ過ぎ、飲み過ぎをしてしまうのが人の性。さらにそれが宴会などで、美食や美酒が並ぶということになれば、いくら益軒が「養生訓」で「酒はほろ酔いでやめ、食事は満腹の半分でやめるべきだ」と言ってもそれを守り抜くことは至難の業。「わかっちゃいるけどやめられない」ということになってしまう人も多いことでしょう。

 

しかし、負担を一手に引き受ける胃や腸はそれではたまりません。まずその働きについて知識を新たにしておくことで、無茶な食欲に少しブレーキをかけましょう。

 

胃と腸の働き

 

簡単に説明すると以下のようになります。

 

胃は、食物を消化する代表的な器官。粘液を内膜全体に分泌し、強力な胃酸から内壁を守っていますが、暴飲暴食やストレスによって粘液の分泌がうまくいかなくなると、胃の内壁が胃酸で荒れたり、潰瘍を生じることがあります。

 

腸は、食物の消化と吸収を行います。胃ほど強い消化能力はありませんが、その長さを生かして繊維質をはじめとする分解されにくいものをゆっくり消化し、同時に栄養分も腸壁から吸収します。

 

しかし、腸はこの常識的な認識からさらに飛躍的な発見に基づいて、その働きの重要性が認められました。

 

アメリカの神経生理学者のマイケル・D・ガーション医学博士が、「セカンド・ブレイン 腸にも脳がある」という本の中で、脳に存在しているはずの神経伝達物質「セロトニン」が腸にも存在する事を発見し、体内のセロトニンの95%が腸で作られているということを発表したのです。博士は「つまり腸に脳があるこということだ。信じ難いことに、腸は豊かな感情を持ち、脳や脊髄からの指令がなくとも反射を起こさせる内在性神経系を持っている。我々の先祖はアメーバの原生的生物から進化して脊椎を獲得した時、頭蓋と腸の両方にそれぞれ別の感情を持つ脳を発達させたのである」と述べています。脳とは腸から進化して最後にできたものだというのです。

 

いかがでしょう。こうした高度な機能を有する器官を、アルコールや暴食で痛めつけていいものでしょうか。

 

疲れた胃腸を癒すには

 

図我々に備わった大切な器官が、疲れて弱っていたとしたら、それをほったらかしにすることは、もうできませんね。それでは、その回復法について紹介しましょう。

 

夜行性動物でない人間は、昼間働いて夜休むということを習慣化してきました。この習慣は体内リズムとなり、このリズムを守ることが、胃腸の健康のためにはとても大切だといわれます。この体内リズムを整えるために大切なのが食事のタイミング。一日三食、決まった時間に食事を食べることが体内にリズムを生み出します。

 

また、寝る三時間前からは何も食べない、そして間食はなるべくしないということも大切です。こうすることで体内リズムが整い、快便にもつながります。

 

胃の生理からいえば、問題となるのは食事の回数よりその間隔だといわれます。空腹が長時間続くと胃液が胃の粘膜を荒らしたり潰瘍ができやすくなったりするのです。朝食を抜いてのたばこやコーヒーは、さらに胃を荒らす原因になります。

 

朝食はきちんととり、その後は5~6時間あけて食事を取るのが体には一番いいようです。

しかし、前日に宴会などで胃腸が疲れていると感じられる時は、スープやみそ汁などで胃腸を温める程度の朝食にして休ませてあげたほうが回復は早まります。

 

よく噛むことも大切

 

図よく噛んで食べることが大切だとよく言われます。現代人は噛む回数が減っているという指摘もよく耳にします。ある実験によると弥生時代の人々が食べていたものを咀嚼するためには、一回の食事で4000回近く噛まなければならなかったといいます。ところが現代のファーストフードでは1000回を大きく下回り、600回程度噛めば食事が終わってしまうという結果になりました。

 

噛むという行為は、食べ物を小さく砕き消化しやすくするというだけでなく、脳や胃腸を刺激し、全身を活性化してくれるのです。また唾液と混ぜ合わせることで胃への刺激を減らす効果もあります。

 

さらにこの唾液には、様々な働きがあるとされています。 唾液の中には粘性タンパク質のムチンという胃を保護し食べ物を飲みやすくする成分がありますが、それ以外にも様々な成分が入っています。例えば、ご飯やパンを分解して麦芽糖にする酵素アミラーゼ。抗菌作用を持つ物質、ラクトフェリン、リゾチーム。その他にも、細菌の発育の抑制をするラクトフェリンや、免疫作用に関係するIgAという抗体、歯の中にしみ込んでいって歯を石灰化して強くさせるスタテリンなども含まれています。

 

噛むことで唾液と食物が混じり合い、消化吸収されやすくなるのですが、忙しいと早食いになってしまい、噛む回数が減ると胃は余分に働くことになってしまいます。噛むことが胃腸を疲れさせないためにも大切だということですね。

 

図また、食後すぐ動いたり入浴してしまうと、胃に十分な血液が回らなくなって、消化がスムーズにできなくなります。食後は30分以上ゆっくり休むように心がけたいものです。

 

暴飲暴食は誰もが陥りやすいものですが、今年も元気に過ごせるよう、自分の健康は自分で守り、維持していきたいものです。

 

 

 

 

姿勢年齢を若く保つ(2014年12月)

 

図 先日なにげなくテレビをつけたところ、とても姿勢の良い初老の男性がでてきました。別に芸能人でもなければ、体操の先生でもないようです。しかし、その姿勢の良さが生み出す雰囲気がとても若々しく、歌声もなかなか素敵で、実際の年齢を聞いてたいへん驚きました。「姿勢年齢」という言い方があるとすれば、その若さを保つということは大切なことでしょう。今月は、その方法についてご紹介しましょう。

 

良い姿勢はなぜ大切か

 地球上に生息する我々は、常に重力によって地面に向かって押さえつけられています。普段は意識しないことですが、長いこと風邪等で寝込んだ後に起き上がると重力に逆らって立ち上がることがとても辛く感じられたりします。この重力に逆らって身体を支えている筋肉を抗重力筋と呼ぶこともあります。この抗重力筋は、日常生活を送る上で常に活躍を強いられているのですが、姿勢が悪いとさらに負担が増え疲労やコリの原因にもなってしまいます。そのため慢性的な腰痛や肩こり、頭痛などの症状が、悪い姿勢と相関関係にあると言われます。
図 肩こりを例にあげれば、約5kgもある頭部を首と肩甲骨周辺の筋肉が抗重力筋として支えているということがそもそもの出発点です。通常は、脊柱の自然なS字カーブで頭部の重みを上手に分散して支えていますが、姿勢が悪いと頭部の重さは、脊柱の上に上手く乗らずに首と肩の筋肉で主に支えることになります。5kgの重さというと2ℓ入りのペットボトルを2.5本分。片手で持ったら5分もしないうちに下に置きたくなる重さです。
 さらに首と肩の筋肉は腕の重さも支えているというのをご存知ですか? 腕は肩の関節で身体に繋がっているというイメージを持つのが当然ですが、実は肩の筋肉が身体に繋ぎ止めているのです。その証拠に腕を大きく動かすと肩も一緒に動くはずです。この腕が一本で約3.5kg。2本で7kg。頭部と合わせると10kg以上の重さが常に首と肩周りにかかっているということになります。
 つまり人類は、二本足で歩き始めたときから良い姿勢で立つということが宿命づけられているということになります。

 

自然体の作り方

 自然体は、最近大ブームのスポーツでも取り入れられています。ランニングがそうです。今や1000万人とも言われるランニングブームも、最終的に良い姿勢で走るということに行き着きます。なぜなら、42kmを走るマラソンでは何より脚や腰、膝などの一部の筋肉や関節に過度の負担をかけないことが大切だからです。このマラソンのフォーム作りでも取り入れられている方法を紹介します。
 1.真っすぐだと思われる姿勢で立ちます。
 2.そのままの姿勢で軽く膝を曲げ、真っすぐ上に軽くジャンプします。
 3.それを2~3回繰り返し、真っすぐに着地するようにイメージします。
 このジャンプで、頭部が脊柱に真っすぐに乗ります。ランニングでは、この姿勢のまま走り出すことで、自然体でのランニングフォームを作って行きます。
 全身の映る鏡の前で、身体の側面を鏡に映してジャンプしてみてください。着地して自然に立った時、耳、腰の骨、くるぶしの3点が一つの軸上にあればこれが「自然体」です。
 もう一つの確認の仕方が、壁を利用する方法です。あごを引いた状態、つまり首の後ろを十分に伸ばして後頭部と背中とお尻、ふくらはぎ、踵を壁に付けて立ちます。自然体で立てれば無理なく全てが壁につきます。

 

椅子に座って良い姿勢を保つには

図 デスクワークの長い人は、1時間に一度ぐらいは立ち上がって自然体で少しでも歩くようにしましょう。また、良い姿勢で座るということも大切です。椅子に座った良い姿勢というのは、背もたれとの間に隙間を作らないように深く腰掛け、骨盤の下にある座骨で椅子に座りこの座骨の上に骨盤から脊柱を真っすぐに乗せます。腰を引かずにやや骨盤を前傾させるようなイメージで椅子に深く座ればこの姿勢になります。

 

正しい歩き方は、正しい姿勢から

図 健康のためにウォーキングを始めても長続きしないという人は、姿勢と歩き方に問題があるかもしれません。特に、歩くための筋力をアップしようと、足腰の筋肉を意識して早歩きしようとすると、すぐに疲れてしまいます。最悪の場合、筋肉がコリ固まりケガをしてしまうこともあります。
 まず、先に紹介したように自然体で立ちそこから歩き始めます。歩くときは、筋肉の力ではなく、重心を前に倒し、重心が移動する力で歩くようにします。

 具体的には、以下のようにします。
 1.まず自然体を上の「自然体の作り方」の方法で作ります。
 2.身体を一本の棒としてイメージします。
 3.この棒が前に倒れるイメージで身体を前に倒すと、身体の真下に一歩前に足がでます。
 4.この自然に前に出た足に重心を乗せる動きの繰り返しで歩きます。
 こうすると、筋肉の力に頼らずにある程度の距離をラクに歩くことができます。心拍数も上がりすぎない運動強度で歩くことができるので、身体の様々な機能が改善され、健康の維持にもつながります。

 

 良い姿勢は、若々しく見えるだけでなく身体を本質的に若々しくしてくれるのです。自然体を身につけ、いつまでも若さを保ち、生き生きと充実した日々を過ごしましょう。